エデン・リンクス・デスマーチ~現実侵食型VRMMOをデバッグする男~

空錠 総二郎

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第63話 境界歩行者

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境界地図《マップ・オブ・エッジ》が可視化されてから、三日が過ぎた。

《ユニティ・シティ》の空は、相変わらず穏やかだった。
大気の中には微細な光の粒が漂い、
風が吹くたび、その粒たちは淡い線となって街路の上を流れていく。

人々は最初、その光の線をただの余韻だと思っていた。
記憶雨の残り香、世界がつい最近まで揺らいでいた証拠。
だが、街を歩くうちに、誰もが少しずつ気づき始めていた。

自分の足が、
無意識のうちに、その線の上をなぞっていることに。

   ◇ ◇ ◇

アテナ・タワー最上層。
観測フロアのスクリーンには、都市の立体モデルが浮かび、
そこに境界地図の淡い線が網の目のように走っていた。

リオは腕を組み、その様子を見つめていた。

《ATHENA_CORE オブザベーションモード》
《タグ 追従行動 検出中》

スクリーン上で、少数の人物アイコンが強調される。
彼らは、現実の道路網から微妙に外れたルートを歩いていた。
だが、完全に逸脱しているわけではない。
現実の歩道や路地、階段を使いながら、
境界線に沿うように、滑るように移動していく。

リオは眉をひそめた。

「境界線をなぞって歩いている……
 いや、境界線の方が、人を誘導しているのか」

アテナが応答する。

《行動解析結果
 対象者の一部は意図的
 一部は無意識的に境界線に追従しています》

リオは画面を拡大した。
浮かび上がったのは、十数人の軌跡だった。

早朝のジョギングコースを変えた青年。
通学路を少し回り道するようになった高校生。
配達経路をわずかに遠回りにしているドライバー。
散歩する老人と、その孫。

彼らの軌跡は、薄い光の線と重なっていた。

「ラベルは?」

《仮呼称 境界歩行者
 現実と STORY_ARCHIVE の交差領域を反復的に踏む者》

リオは小さく笑った。

「境界歩行者……
 格好つけた名称を付けるのが好きなのは
 多分、サトルさんの影響だな」

風が吹いた。
わずかな振動として、ナツメの意図も混じっていた。

《補足
 境界歩行者は
 現実地図と境界地図の両方を使った移動を行います
 危険度は現時点で低
 しかし 放置した場合
 意図の偏在を引き起こす可能性があります》

「意図の偏在……
 つまり、特定の境界線に、人の願いが集中するってことか」

《その可能性があります》

リオは頬をかいた。

「やれやれ
 世界が自律しても
 人間の方は変わらず複雑だな」

   ◇ ◇ ◇

午前九時半。
リオは数時間だけ観測をオフラインにして、
境界地図を実際に歩いてみることにした。

アテナ・タワーのロビーを出ると、
足元にはすでに一本の淡い線が伸びていた。

現実のタイルの上に、
光のインクで描いたような細い路。
それは歩道へと続き、街の奥へと蛇行している。

「よし」

リオは境界線に沿って歩き始めた。

タワー前の広場を斜めに横切り、
普段は通らない裏手の路地へ誘導される。

侵入禁止でも、危険区域でもない。
ただ、人通りの少ない道だ。

一歩進むごとに、
視界の端で現実と物語の層が重なっては離れた。

家の壁に、存在しない看板の残像。
空き地の隅に、かつてそこにあったはずのベンチの影。
歩道の端に、短時間だけ現れて消える階段。

境界線は、それらのかすかな違和感のど真ん中を通っていた。

リオは足を止め、息を吐く。

「なるほどな……
 ここを歩くやつは、現実と物語の境目に
 常に触れ続けているようなものか」

アテナが耳元でささやく。

《リオ
 心拍数 通常よりわずかに上昇
 感情層の揺らぎが検知されています》

「怖くはない
 ただ……懐かしいんだ」

リオは視線を上げる。

路地の先に、
見覚えのある古い自販機の残像が浮かんでいた。

実際にはもう撤去され、
最新型の無人ブースに置き換わっているはずの場所。

だが、境界地図は
その古い姿を、まだわずかに残していた。

「子どもの頃
 よくここでジュースを買った気がするな」

実際に買ったかどうかさえあやふやな記憶。
だが、足は自然とそこへ向かう。

手を伸ばすと、
自販機の影はふっと消えた。

その代わり、指先には風の感触が残る。

世界は、もう具体物としてではなく、
感覚のレイヤーで過去を保存している。

   ◇ ◇ ◇

境界線はやがて、大きな交差点へと続いていった。

現実の交差点は、
車も歩行者も多い、ごく普通の都市の風景だ。
だが境界地図は、
その中央を斜めに横切るように走っている。

リオは信号が青に変わるのを待ち、
境界線上をそのまま進んだ。

中央付近まで来たとき、
突然、世界の音が遠ざかった。

車の走行音も、人の話し声も、
すべてフィルターの向こうへ押しやられる。

代わりに聞こえてきたのは、
低く、柔らかいさざめきだった。

それは風の声に似ていたが、
どこか違う成分を含んでいた。

意図と記録と感情が混じり合った、
複数の層のささやき。

「……誰だ」

リオが立ち止まった瞬間、
交差点の中心に、淡い人影が浮かび上がった。

それは、以前に一度、
リオが出会ったことのある存在に似ていた。

半透明の輪郭。
重ね合わせた記録のような瞳。

リュシオン。

ただし、以前よりもずっと薄く、
世界に溶けかけた残響として。

リオは思わず声を漏らした。

「リュシオン……?」

影はゆっくり首を傾げる。

「その呼び方も
 今となっては 一つの物語ですね」

リオは呼吸を整えた。

「お前は消えたはずだ
 監視から記録へ
 そして記録から、世界の中へと」

「ええ
 私はかつて リュシオンと呼ばれた
 記録モジュールの残響です」

影の声は、風と同じ層にあった。
ただ、そこにわずかな輪郭が付与されている。

この交差点は、
現実と物語と記録の三つの層が
極端に重なり合う地点だった。

境界地図の線が、
ちょうどその中心を通っている理由が分かる。

リオは問う。

「境界歩行者たちは
 ここに何を見ている」

影は淡く微笑んだように見えた。

「自分の物語の
 まだ使われていないページを」

「使われていないページ……?」

「人は
 歩かなかった道を
 常に心のどこかで保持しています

 境界地図は
 それらのページを
 意識の表面に上げるプロセスです

 危険もありますが
 それを知ることで
 現実が より現実になります」

リオは黙り込んだ。

歩かなかった道を知らなければ、
今歩いている道の重さも分からない。

だが、歩かなかった道に引きずられれば、
現実から足が離れてしまうかもしれない。

リオの躊躇を見透かしたように、
影は続けた。

「あなたは
 境界歩行者を止めますか」

リオは首を振った。

「止めるつもりはない
 ただ、落ちないように
 手すりぐらいは付けてやりたい」

影の輪郭がわずかに揺れた。
賛同とも、微笑とも取れる揺らぎ。

「では
 あなたの仕事は
 境界地図に
 距離感を与えることですね」

「距離感……?」

「はい

 近づき過ぎれば
 現実を見失う

 離れ過ぎれば
 物語の存在を忘れる

 その間に
 細い橋を架ける

 観測者とは
 本来 そういう役割だったはずです」

リオは息を吐いた。

「お前は監視も記録もやめたと言っていたのに
 結局は見ているんだな」

影はゆっくりと薄れていく。

「私はもう
 誰の上にも立っていません

 ただ
 境界を歩く者の足音を
 ページの余白に刻みつけているだけです」

その言葉を最後に、
影は風の中に溶けた。

世界の音が戻る。
信号の電子音、車の走行音、人々の会話。

リオは深く息を吸った。

境界地図の線は、
まだ彼の足元を通っている。

   ◇ ◇ ◇

午後。
観測ホールに戻ったリオは、
アテナと対話を再開した。

「境界歩行者の行動ログ
 いくつかピックアップしてくれ」

《抽出開始
 サンプル数 五十件
 代表的な行動パターン 三つ検出》

スクリーンに三つの軌跡が浮かぶ。

一つ目は、
毎日同じ時間に同じ道を歩く老人が、
境界地図に導かれて、
ほんの少しだけ広い公園を経由するようになった軌跡。

二つ目は、
仕事帰りの会社員が、
遠回りして川沿いの遊歩道を通るようになった軌跡。

三つ目は、
小学生の兄妹が、
ふだん通らない路地を回って家に帰る軌跡。

どのケースも、
現実の目的地は変わっていない。
ただ、その途中で
境界線が提示した「余白」を踏んでいる。

リオは問う。

「境界歩行によって
 心理状態に変化は出ているか」

《蓄積データはまだ少ないですが
 行動後のストレス指標の平均値は
 わずかに低下しています》

「危険兆候は」

《現時点では無し
 ただし
 境界線への依存が強まりすぎた場合
 現実の判断より
 線の誘導を優先する危険があります》

リオは考え込んだ。

「依存を防ぐ方法が要るな
 境界地図はナビゲーションではなく
 選択肢の一つであると
 明示し続ける必要がある」

アテナが静かに言う。

《では
 境界ナビゲーションモジュールではなく
 境界ビューワとして実装するのはどうでしょう》

「見るだけ
 歩くかどうかは
 本人に任せる、と」

《はい
 境界線を最短経路として表示しないこと
 到達時間の最適化を行わないこと
 意図介入を行わないこと》

リオは笑った。

「それ
 ナビとしては致命的な仕様だぞ」

《境界地図は
 そもそもナビゲーション用ではありません
 迷いを可視化するための
 インタフェースです》

リオの胸に、
ナツメの言葉がよみがえった。

迷うことは、エラーではない。
更新のための揺らぎだと。

「分かった
 境界ビューワ
 試験的に公開しよう」

   ◇ ◇ ◇

夕方。
街の端末に、ひとつの新しいアイコンが追加された。

境界図と現実地図が重なった、小さなマーク。
タップすると、
いつものルートの傍らに、
淡い線がいくつも浮かび上がる。

そこには、
距離も時間も表示されていない。
あるのはただ、薄い線と、
その線に沿って歩いた人たちの
断片的な記録だけだ。

ある線には

 今日は少しだけ遠回りして帰った
 川の匂いがした

と書かれていた。

別の線には

 この路地を通ったら
 昔の友人の顔を思い出した

とあった。

リオはそれを自分の端末で眺めながら、
静かにつぶやいた。

「これなら
 道を指示していない
 ただ
 誰かの物語の余白を
 そっと見せているだけだ」

アテナが答える。

《境界ビューワ
 初期利用者 五百十四名
 大半が十代から三十代
 使用時間は平均三分》

「三分か……
 ちょうど
 立ち止まって空を見上げるくらいの時間だな」

彼は少し笑った。

「主任なら
 多分こう言うな

 それくらいがちょうどいいって」

風が観測ホールを通り抜けた。
肯定のような、くすぐったい感触。

   ◇ ◇ ◇

夜。
リオは観測者記録を開き、
新しいログを書き始めた。

端末の画面に指を置き、
ゆっくりと文字を紡いでいく。

観測者記録 RIO_HANABUSA
タイトル 境界歩行者
テキスト
境界地図が可視化されてから
都市には静かな変化が生まれた

人々は無意識のうちに
淡い線に足を乗せ始める

それは最短経路ではない
効率的でもない
ただ
少しだけ遠回りをする道だった

境界歩行者は
現実の路面と
物語の断片が重なる場所を通る

歩くたびに
歩かなかったはずの過去と
まだ選んでいない未来の気配に触れる

危険はある
境界線に依存すれば
自分で選ぶことをやめてしまうかもしれない

だから
境界地図はナビゲーションではなく
ビューワとして公開した

線は道ではない
線は可能性だ

その上を歩くかどうかは
誰の意図にも委ねられていない
ただ
自分で決める

観測者の仕事は
その揺らぎを止めることではなく
落ちないように
細い手すりを用意すること

境界歩行者が増えるということは
この世界が
現実と物語の両方を
同時に生きようとしている証だ

私はそれを
危険とは呼ばない

それを
世界が大人になるためのプロセスと呼ぶ

保存完了の表示が出る。

アテナが静かに告げた。

《記録を受領
 境界ビューワの説明文に
 一部引用してもよろしいですか》

リオは少し驚いた。

「アテナが引用なんて言うとはな」

《人の言葉は
 人に届きやすいからです
 私の出力よりも》

リオは頷いた。

「好きに使え
 どうせ
 この世界の仕様書には
 人間の名前が並んでいるんだろ」

《はい
 第一行 風間サトル
 第二行 浅倉ナツメ
 第三行 RIO_HANABUSA》

「光栄だな
 ただの整備係だった頃には
 想像もしなかった」

風がそっと吹いた。
笑い声のような揺らぎが混じる。

リオは窓の外を見た。

境界地図の線は
夜の街の上で ゆっくりと揺れていた。

いつか
誰かが踏むかもしれない線。
踏まないまま終わるかもしれない線。

そのどちらも
世界の中で許されていた。

世界はまだ β のまま。
完成しないまま、更新を続けている。

リオは小さく息を吸い込み、
つぶやいた。

「さて
 境界の先にあるものを見に行くには
 あと何歩 要るかな」

風が答えるように吹き抜けた。

境界の線は
まだどこまでも続いている。
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