【完結】聖女さまは今日もベッドの中~転生したぐうたらOL、子犬系見習い神官に甘やかされる~

空錠 総二郎

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第41話 聖女、朝からイチャイチャ――“恋人同棲の弊害(※甘すぎ)”

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朝。
鳥の声と、ほんのり香る紅茶の匂い。
……そして、いつもの“ぬくもり”。

「……ん……」

目を開けると、目の前に見慣れた金の髪。
すぐ隣、椅子に座ったままうたた寝しているユウヒ。

「……また寝てる。」

真由は苦笑して、そっと彼の頭に手を伸ばした。
前髪を指で梳くと、ユウヒのまつげが小さく震える。

「……おはようございます、真由さん。」
「おはよう、寝顔くん。」
「寝顔くん……?」
「寝顔が尊い罪でできてるから。」
「どんな罪状ですか!?」
「“かわいすぎ罪”で即有罪判決。」

ユウヒは頬を真っ赤にしながら、
朝からいつものペースを乱されていた。

◇ ◇ ◇

朝食。
こたつの上には、パンとスープと、まだ寝癖が残る聖女。

「ん~……この時間、幸せ~。」
「そろそろ朝の祈りの時間ですよ。」
「寝ながら祈っちゃダメ?」
「それはもう、“夢の中の祈り”です。」
「いいじゃん、スピリチュアル。」

ユウヒは小さくため息をつきながらも、
結局パンに蜂蜜を塗って彼女に差し出した。

「はい。あーん、してください。」
「……え、今なんて?」
「……あーん、です。」
「それ恋人イベントじゃん。」
「……いけませんか?」

「――大いに結構です!」

真由は口を開け、素直にぱくり。

「……ん、あま~い!」
「蜂蜜ですから。」
「違う。君の表情が。」
「っ……!」

(あぁ、これはもう……朝から仕事にならない……)

◇ ◇ ◇

案の定。

昼になっても神官たちが焦っていた。

「聖女さまがこたつから出てこられません!」
「ユウヒ様も隣で祈ってらっしゃいます!」
「祈り……? いや、寝てますね!」

――結果。
午後の祈祷が一時間遅れることとなった。

「すみません、ちょっと“幸福祈願”に時間がかかって。」
「それ寝てただけでは!?」
「寝ながら祈るのが最新トレンド。」

誰も逆らえなかった。
なぜなら聖女の頬が、幸福そのもので光っていたから。

◇ ◇ ◇

夕方。
二人は廊下を歩いていた。
修道女たちがすれ違うたびに、
「まぁ……」「見て、手をつないで……!」とざわめく。

「……視線、すごいね。」
「皆さん、僕たちの“信仰の絆”に感動しているんですよ。」
「いや、それ完全に恋人観察だよ。」

真由が笑って、ユウヒの手をぎゅっと握る。

「……もういいや。隠さなくて。」
「え?」
「だって、君のこと、ちゃんと好きだから。」
「……っ!」

ユウヒはしばらく言葉を失って――
やがて、静かに微笑んだ。

「……僕も。世界のどこにいても、
 あなたを隠したりしません。」

「ふふ……かっこいい。」
「言わせたの、真由さんじゃないですか……。」

◇ ◇ ◇

夜。
こたつの中。

「ねぇ、ユウヒくん。」
「はい。」
「“恋人同棲の弊害”ってね、あると思うの。」
「え?」
「甘すぎて、離れられなくなること。」
「……それは確かに、危険ですね。」
「でも、もう手遅れかも。」
「僕も同意です。」

風鈴が鳴り、
外では雪が舞う。

こたつの中では、
世界の平和よりも確かな“ふたりの安らぎ”が続いていた。

次回予告

第42話 「聖女、恋人バレる!?――“神殿騒然!祝福と大混乱”」
――お楽しみに!
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