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第47話 聖女、こたつで告白される!?――“恋人たちの夜と永遠のぬくもり”
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夜。
こたつの中で、私は紅茶をすすっていた。
昼間に歩き回ったせいで、足の先までじんわり疲れている。
「……あ~、やっぱりこたつって偉大。」
「はい。外でどれだけ出かけても、最後はここに戻ってきますね。」
「なんかそれ、人生の真理みたいに言うのやめて?」
「真理ですよ。人はこたつから生まれ、こたつに還ります。」
「それ信仰になりそうで怖いなぁ……」
私は笑いながらカップを置いた。
こたつの熱で頬がほんのり赤い。
外の雪の冷気が遠くに感じられるほど、部屋の中は温かかった。
◇ ◇ ◇
「ねぇ、ユウヒくん。」
「はい。」
「今日、楽しかったね。」
「僕もです。真由さんの笑顔がたくさん見られました。」
「……君、恋人力上がってるよね。」
「恋人力、ですか?」
「うん。甘やかしスキルが上級職レベル。」
「それは……真由さん専用スキルです。」
「……っ!」
(ほんと、どこでそんな台詞覚えてくるの……)
◇ ◇ ◇
ふと、静寂が降りた。
外では雪がさらさらと舞い、
その白がこたつの灯りに溶けていく。
「ねぇ、ユウヒくん。」
「はい。」
「私ね、異世界に来てから、ずっと考えてたんだ。」
「何を、ですか?」
「“私がここにいる意味”。」
私はこたつの縁に指をなぞりながら、
ゆっくりと続けた。
「最初は、聖女とか召喚とか言われてもピンとこなかった。
でも、君と一緒にいて……少しずつわかった気がするの。」
「わかったこと?」
「うん。
私、世界を救うために来たんじゃなくて――
“誰かを幸せにするために来た”のかもしれない。」
「……それは、僕のことでしょうか。」
「……たぶん、そう。」
沈黙。
でも、心地いい沈黙だった。
ユウヒは目を伏せ、そしてまっすぐこちらを見た。
「真由さん。」
「ん?」
「僕も、伝えたいことがあります。」
「なに?」
彼の手が、こたつの中で私の指に触れる。
その瞬間、鼓動が速くなった。
「――僕は、あなたを愛しています。」
「……えっ、え、いきなり!?」
「いきなりじゃありません。ずっと思っていました。」
「ずっとって……どのくらい?」
「召喚されたあの日から、です。」
「え、早っ!?」
「一目惚れでした。」
「真顔で言うのやめて!?」
……でも、心臓がバクバクして、
何も言い返せなかった。
◇ ◇ ◇
「僕は、聖女としてのあなたも、
ぐうたらなあなたも、全部大切なんです。」
「……もう、ずるいよ。」
「え?」
「そんなこと言われたら、好きが溢れて止まらなくなるじゃん。」
私はそっと、彼の手を握った。
「ねぇ、ユウヒくん。」
「はい。」
「私も、君が好き。
“聖女だから”とか、“守ってくれるから”じゃなくて――
ただ君といると、安心する。」
ユウヒが、少し息をのんだ。
そして、ゆっくり笑った。
「……真由さん。」
「ん?」
「ひとつ、お願いがあるんです。」
「なに?」
「“さん”を取って呼ばせてください。」
「……えっ。」
「あなたを、恋人として呼びたいんです。」
息が止まる。
心臓が、こたつよりも熱くなる。
「……いいよ。」
「……真由。」
その声は、
まるで祈りのようにやさしかった。
◇ ◇ ◇
「……ねぇ、ユウヒ。」
「はい。」
「名前呼び、思ったより破壊力あるね。」
「僕の方こそ、照れてしまって……」
「もう、可愛いってば。」
笑い合いながら、
ふたりの手がまた重なる。
――そして、唇がそっと触れ合った。
雪の音が遠のいていく。
世界が静かに包まれ、
こたつの熱と恋のぬくもりが溶け合っていった。
◇ ◇ ◇
「……ねぇ、ユウヒ。」
「はい。」
「明日も、同じ時間に、同じこたつで。」
「もちろんです。」
「じゃあそれが、私たちの約束ね。」
――この世界に、
たったひとつの“やすらぎの誓い”が生まれた夜だった。
次回予告
第48話 「聖女、プロポーズされる!?――“神殿の夜と永遠の誓い”」
――お楽しみに!
こたつの中で、私は紅茶をすすっていた。
昼間に歩き回ったせいで、足の先までじんわり疲れている。
「……あ~、やっぱりこたつって偉大。」
「はい。外でどれだけ出かけても、最後はここに戻ってきますね。」
「なんかそれ、人生の真理みたいに言うのやめて?」
「真理ですよ。人はこたつから生まれ、こたつに還ります。」
「それ信仰になりそうで怖いなぁ……」
私は笑いながらカップを置いた。
こたつの熱で頬がほんのり赤い。
外の雪の冷気が遠くに感じられるほど、部屋の中は温かかった。
◇ ◇ ◇
「ねぇ、ユウヒくん。」
「はい。」
「今日、楽しかったね。」
「僕もです。真由さんの笑顔がたくさん見られました。」
「……君、恋人力上がってるよね。」
「恋人力、ですか?」
「うん。甘やかしスキルが上級職レベル。」
「それは……真由さん専用スキルです。」
「……っ!」
(ほんと、どこでそんな台詞覚えてくるの……)
◇ ◇ ◇
ふと、静寂が降りた。
外では雪がさらさらと舞い、
その白がこたつの灯りに溶けていく。
「ねぇ、ユウヒくん。」
「はい。」
「私ね、異世界に来てから、ずっと考えてたんだ。」
「何を、ですか?」
「“私がここにいる意味”。」
私はこたつの縁に指をなぞりながら、
ゆっくりと続けた。
「最初は、聖女とか召喚とか言われてもピンとこなかった。
でも、君と一緒にいて……少しずつわかった気がするの。」
「わかったこと?」
「うん。
私、世界を救うために来たんじゃなくて――
“誰かを幸せにするために来た”のかもしれない。」
「……それは、僕のことでしょうか。」
「……たぶん、そう。」
沈黙。
でも、心地いい沈黙だった。
ユウヒは目を伏せ、そしてまっすぐこちらを見た。
「真由さん。」
「ん?」
「僕も、伝えたいことがあります。」
「なに?」
彼の手が、こたつの中で私の指に触れる。
その瞬間、鼓動が速くなった。
「――僕は、あなたを愛しています。」
「……えっ、え、いきなり!?」
「いきなりじゃありません。ずっと思っていました。」
「ずっとって……どのくらい?」
「召喚されたあの日から、です。」
「え、早っ!?」
「一目惚れでした。」
「真顔で言うのやめて!?」
……でも、心臓がバクバクして、
何も言い返せなかった。
◇ ◇ ◇
「僕は、聖女としてのあなたも、
ぐうたらなあなたも、全部大切なんです。」
「……もう、ずるいよ。」
「え?」
「そんなこと言われたら、好きが溢れて止まらなくなるじゃん。」
私はそっと、彼の手を握った。
「ねぇ、ユウヒくん。」
「はい。」
「私も、君が好き。
“聖女だから”とか、“守ってくれるから”じゃなくて――
ただ君といると、安心する。」
ユウヒが、少し息をのんだ。
そして、ゆっくり笑った。
「……真由さん。」
「ん?」
「ひとつ、お願いがあるんです。」
「なに?」
「“さん”を取って呼ばせてください。」
「……えっ。」
「あなたを、恋人として呼びたいんです。」
息が止まる。
心臓が、こたつよりも熱くなる。
「……いいよ。」
「……真由。」
その声は、
まるで祈りのようにやさしかった。
◇ ◇ ◇
「……ねぇ、ユウヒ。」
「はい。」
「名前呼び、思ったより破壊力あるね。」
「僕の方こそ、照れてしまって……」
「もう、可愛いってば。」
笑い合いながら、
ふたりの手がまた重なる。
――そして、唇がそっと触れ合った。
雪の音が遠のいていく。
世界が静かに包まれ、
こたつの熱と恋のぬくもりが溶け合っていった。
◇ ◇ ◇
「……ねぇ、ユウヒ。」
「はい。」
「明日も、同じ時間に、同じこたつで。」
「もちろんです。」
「じゃあそれが、私たちの約束ね。」
――この世界に、
たったひとつの“やすらぎの誓い”が生まれた夜だった。
次回予告
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――お楽しみに!
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