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第48話 聖女、プロポーズされる!?――“神殿の夜と永遠の誓い”
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夜更け。
神殿の外は静かだった。
雪は止み、空には無数の星が浮かんでいる。
私は、こたつから顔だけ出して窓の外を見上げた。
「……きれい。」
「そうですね。」
隣でユウヒが小さく頷く。
こたつの光が、彼の横顔をやさしく照らしていた。
◇ ◇ ◇
「ねぇ、ユウヒ。」
「はい。」
「こっちの世界の星って、やっぱりちょっと違うね。」
「ええ。けれど、真由が見上げているなら、それは同じ空です。」
「……もう、またそういうこと言う……」
「本心です。」
「……うん。知ってる。」
私は思わず笑った。
けれど、その笑いの奥に少しだけ、胸が締めつけられる感覚があった。
――ここが“いつか帰る場所”なのか、“ずっといる場所”なのか。
時々、わからなくなる。
◇ ◇ ◇
「ねぇ、ユウヒ。」
「はい。」
「もし私が、いきなり消えちゃったらどうする?」
「……そんなこと、考えたくありません。」
「仮に、だよ。ほら、異世界ってさ、召喚とか転生とかいろいろ理不尽だし。」
「それでも、僕は信じます。」
「信じる?」
「ええ。真由がいなくなっても、心の中でずっと隣にいるって。」
(この人、やっぱりずるいなぁ……)
「……そんなこと言われたら、帰れなくなるじゃん。」
「それなら、それでいい。」
その言葉が、やさしく胸に降りてくる。
◇ ◇ ◇
ユウヒは、そっと立ち上がった。
こたつの灯りを背にして、私の前に膝をつく。
「え、ちょ……なにその姿勢、なんかプロポーズ前の――」
「真由。」
(やっぱり!?)
ユウヒは、手のひらを私に差し出した。
その中には、小さな銀色の指輪。
淡く光を反射して、まるで星を閉じ込めたみたいだった。
「……それ、どこで……?」
「今日の街で。あなたがキャンディを選んでいた時に、
こっそり露店で買いました。」
「え、いつの間に!?」
「あなたが“恋結び飴”に夢中だったので。」
「そんな理由!?」
でも、笑いながらも、心がどんどん温かくなっていく。
◇ ◇ ◇
「真由。」
「……ん。」
「僕は、あなたと共に生きたい。
聖堂の祈りも、日々のだらだらも、
全部、一緒に積み重ねたい。」
「……それって。」
「はい。僕の生涯を捧げる誓いです。」
私は言葉を失った。
涙がこたつの熱で少し滲む。
「……ユウヒ。」
「はい。」
「そんな顔で言うの、反則だよ……。」
「僕は真剣です。」
「知ってるよ。だから、困るんだってば。」
でも、困るって言いながら、
私はその指輪に手を伸ばしていた。
「……こんな聖女でよければ、よろしくお願いします。」
「“こんな聖女”がいいんです。」
ユウヒが笑う。
その笑顔に、世界のすべてが溶けた気がした。
◇ ◇ ◇
指輪が、私の左手薬指にはめられる。
冷たい金属の感触が、一瞬でぬくもりに変わった。
「……あったかいね。」
「あなたの手が温かいからです。」
「いや、こたつの熱じゃない?」
「……こたつの加護かもしれません。」
「それ言い方ずるいなぁ。」
二人で笑った。
外の星が、祝福するようにまたたいている。
◇ ◇ ◇
「……ユウヒ。」
「はい。」
「これ、指輪……返さないからね。」
「返してもらう気はありません。」
「じゃあ、永遠に貸し借りゼロってことで。」
「ええ。愛の等価交換です。」
「……言葉選び、ちょっとずつ上達してるね。」
「真由の教えのおかげです。」
そして、ふたりはこたつの中で肩を寄せ合った。
――世界の果てよりも静かで、
どんな祈りよりも確かな夜。
私の新しい人生が、
ここで永遠に、ひとつの光に結ばれた。
次回予告
第49話 「聖女、新婚モード突入!?――“ぐうたら聖女、愛され妻への第一歩”」
――お楽しみに!
神殿の外は静かだった。
雪は止み、空には無数の星が浮かんでいる。
私は、こたつから顔だけ出して窓の外を見上げた。
「……きれい。」
「そうですね。」
隣でユウヒが小さく頷く。
こたつの光が、彼の横顔をやさしく照らしていた。
◇ ◇ ◇
「ねぇ、ユウヒ。」
「はい。」
「こっちの世界の星って、やっぱりちょっと違うね。」
「ええ。けれど、真由が見上げているなら、それは同じ空です。」
「……もう、またそういうこと言う……」
「本心です。」
「……うん。知ってる。」
私は思わず笑った。
けれど、その笑いの奥に少しだけ、胸が締めつけられる感覚があった。
――ここが“いつか帰る場所”なのか、“ずっといる場所”なのか。
時々、わからなくなる。
◇ ◇ ◇
「ねぇ、ユウヒ。」
「はい。」
「もし私が、いきなり消えちゃったらどうする?」
「……そんなこと、考えたくありません。」
「仮に、だよ。ほら、異世界ってさ、召喚とか転生とかいろいろ理不尽だし。」
「それでも、僕は信じます。」
「信じる?」
「ええ。真由がいなくなっても、心の中でずっと隣にいるって。」
(この人、やっぱりずるいなぁ……)
「……そんなこと言われたら、帰れなくなるじゃん。」
「それなら、それでいい。」
その言葉が、やさしく胸に降りてくる。
◇ ◇ ◇
ユウヒは、そっと立ち上がった。
こたつの灯りを背にして、私の前に膝をつく。
「え、ちょ……なにその姿勢、なんかプロポーズ前の――」
「真由。」
(やっぱり!?)
ユウヒは、手のひらを私に差し出した。
その中には、小さな銀色の指輪。
淡く光を反射して、まるで星を閉じ込めたみたいだった。
「……それ、どこで……?」
「今日の街で。あなたがキャンディを選んでいた時に、
こっそり露店で買いました。」
「え、いつの間に!?」
「あなたが“恋結び飴”に夢中だったので。」
「そんな理由!?」
でも、笑いながらも、心がどんどん温かくなっていく。
◇ ◇ ◇
「真由。」
「……ん。」
「僕は、あなたと共に生きたい。
聖堂の祈りも、日々のだらだらも、
全部、一緒に積み重ねたい。」
「……それって。」
「はい。僕の生涯を捧げる誓いです。」
私は言葉を失った。
涙がこたつの熱で少し滲む。
「……ユウヒ。」
「はい。」
「そんな顔で言うの、反則だよ……。」
「僕は真剣です。」
「知ってるよ。だから、困るんだってば。」
でも、困るって言いながら、
私はその指輪に手を伸ばしていた。
「……こんな聖女でよければ、よろしくお願いします。」
「“こんな聖女”がいいんです。」
ユウヒが笑う。
その笑顔に、世界のすべてが溶けた気がした。
◇ ◇ ◇
指輪が、私の左手薬指にはめられる。
冷たい金属の感触が、一瞬でぬくもりに変わった。
「……あったかいね。」
「あなたの手が温かいからです。」
「いや、こたつの熱じゃない?」
「……こたつの加護かもしれません。」
「それ言い方ずるいなぁ。」
二人で笑った。
外の星が、祝福するようにまたたいている。
◇ ◇ ◇
「……ユウヒ。」
「はい。」
「これ、指輪……返さないからね。」
「返してもらう気はありません。」
「じゃあ、永遠に貸し借りゼロってことで。」
「ええ。愛の等価交換です。」
「……言葉選び、ちょっとずつ上達してるね。」
「真由の教えのおかげです。」
そして、ふたりはこたつの中で肩を寄せ合った。
――世界の果てよりも静かで、
どんな祈りよりも確かな夜。
私の新しい人生が、
ここで永遠に、ひとつの光に結ばれた。
次回予告
第49話 「聖女、新婚モード突入!?――“ぐうたら聖女、愛され妻への第一歩”」
――お楽しみに!
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