3 / 34
3.そして婚約破棄(ミレイユ)
しおりを挟むそれからというもの、ガスパルと私が2人でいると、リリアンがガスパルに話しかけてくるようになった。
「ガスパル様…。あのぉ…今良いですか…?」
ある日もおずおずと話かけてくるリリアン。
「リリアン!どうしたんだ!?またあの男が纏わりついて来るのか!?」
立ち上がりガスパルが答える。
「あっ…!すいませんっ!ミレイユ様もご一緒だったんですね…。お二人のお邪魔なので私はご遠慮します…。」
(私は貴女の目の前にいたのですが…。)
思わず苦笑してしまいそうになる。
「リリアン様。ごきげんよう。リリアン様にも婚約者様がいらっしゃいますので、あまり特定の男性と仲良くされるのは良くないのではありませんこと?」
なるべく優しい声色で言ってみるものの、リリアンはビクッと震え上がり、顔を覆いシクシク泣き始めた。
「すっすみませんっ!ミレイユ様は怒ってらっしゃるんですねっ!!すみませんすみませんすみません…!!」
「おい!ミレイユ!!リリアンは悩んでいるんだ…。神経の図太いミレイユとは違って、リリアンは繊細なんだ。」
(婚約者同士が話している所に割って入る事ができるのに繊細…?神経が図太いのは、一体どちらでしょうか…。)
親が決めた婚約者とはいえ、この人を理解し支え合い、結婚後は尽くして行こうと思っていた。
が、ガスパルの言葉と態度にその思いは一瞬で崩れ去っていくのだった。
「リリアン様の為にも言っているのです。リリアン様の婚約者様も、学園でリリアン様が婚約者以外の異性と親しくしていたら誤解されますわ。」
「ぴっぴぇ…。」
「もう黙れ!ミレイユ!!リリアンは婚約者が1つ年上で去年卒業してしまい学園に頼れる者がいないのだ。そう追い詰めてやるな。」
「ごめっ、ごめんなさい…。リリアン、ガスパル様しか頼れる人がいなくって…。」
「あぁリリアン!大丈夫だ。大丈夫だから、さ、あちらで話そう??」
ガスパルは肩をリリアンの肩を抱きながら人気のいない木陰に行くのだった。
(リリアン様。私、忠告はしましたからね…??)
そして、次の日。
真剣な目をして私の所へやってきたガスパルが口にしたのは、謝罪では無く婚約破棄だった。
「私は真実の愛に目覚めたんだ!ミレイユ。君は強いから1人で大丈夫だろう?リリアンはミレイユと違って私がいないとダメなんだ。私が守ってやらないとダメなんだ。だから、婚約破棄してもらう!!」
「ふふっ。あら失礼。」
思わず笑ってしまう。
「な、何を笑っているんだ。気が触れたのか…?」
「いえ。予想通りだなと思いまして。あれだけ相談に乗っているだけだと言っていて、私が咎めたらそのようなやましい感情は無い!と怒ってらしたのに、やはりそのような感情があったのだと。」
そう言った瞬間ガスパルの顔が真っ赤になる。
「やっ!やましいだと!?これは真実の愛なんだ…。リリアンは色々な女に妬まれ、色々な男に迷惑な好意を寄せられ、迫られて困っているんだ。誰かが守ってやらないと…!!」
「しかし、リリアン様には素敵な婚約者がいるとお聞きしましたわ?確か侯爵家で去年卒業された…。」
「そんなの関係無いんだ!リリアンもきっと私と同じ気持ちに違いない。卒業後、私たちは結婚する!!」
(卒業後って…。卒業まであと3ヶ月程しか無いのですが…。)
「分かりました。私はもう何も言いませんわ。それでは、婚約破棄承りました。」
「分かってくれるか!さすがミレイユだ。決して君の事を嫌いになった訳では無いのだ…!落ち込まないでくれ…!!」
(落ち込むとしたら、こんな人が私の婚約者だったという事実が恥ずかしくてならない事だわ。)
「そのかわり、その婚約破棄を無かったことにしてくれ…などはやめてくださいね?」
「あぁ!もちろんだとも!ミレイユも良い人が見つかると良いな!」
そう言って笑顔で去っていくガスパルを、
笑顔で見送る。
(さぁ。お父様に連絡よ。
ふふ、1ヶ月後の卒業試験と3ヶ月先の卒業式が楽しみですわ。そもそも私と婚約破棄して、卒業できるかしら?)
112
あなたにおすすめの小説
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
婚約破棄されたので、戻らない選択をしました
ふわふわ
恋愛
王太子アルトゥールの婚約者として生きてきた
貴族令嬢ミディア・バイエルン。
だが、偽りの聖女シエナに心を奪われた王太子から、
彼女は一方的に婚約を破棄される。
「戻る場所は、もうありませんわ」
そう告げて向かった先は、
王都から遠く離れたアルツハイム辺境伯領。
権力も、評価も、比較もない土地で、
ミディアは“誰かに選ばれる人生”を静かに手放していく。
指示しない。
介入しない。
評価しない。
それでも、人は動き、街は回り、
日常は確かに続いていく。
一方、王都では――
彼女を失った王太子と王政が、
少しずつ立ち行かなくなっていき……?
派手な復讐も、涙の和解もない。
あるのは、「戻らない」という選択と、
終わらせない日常だけ。
【完結】婚約を解消して進路変更を希望いたします
宇水涼麻
ファンタジー
三ヶ月後に卒業を迎える学園の食堂では卒業後の進路についての話題がそここで繰り広げられている。
しかし、一つのテーブルそんなものは関係ないとばかりに四人の生徒が戯れていた。
そこへ美しく気品ある三人の女子生徒が近付いた。
彼女たちの卒業後の進路はどうなるのだろうか?
中世ヨーロッパ風のお話です。
HOTにランクインしました。ありがとうございます!
ファンタジーの週間人気部門で1位になりました。みなさまのおかげです!
ありがとうございます!
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
「婚約破棄された聖女ですが、実は最強の『呪い解き』能力者でした〜追放された先で王太子が土下座してきました〜
鷹 綾
恋愛
公爵令嬢アリシア・ルナミアは、幼い頃から「癒しの聖女」として育てられ、オルティア王国の王太子ヴァレンティンの婚約者でした。
しかし、王太子は平民出身の才女フィオナを「真の聖女」と勘違いし、アリシアを「偽りの聖女」「無能」と罵倒して公衆の面前で婚約破棄。
王命により、彼女は辺境の荒廃したルミナス領へ追放されてしまいます。
絶望の淵で、アリシアは静かに真実を思い出す。
彼女の本当の能力は「呪い解き」——呪いを吸い取り、無効化する最強の力だったのです。
誰も信じてくれなかったその力を、追放された土地で発揮し始めます。
荒廃した領地を次々と浄化し、領民から「本物の聖女」として慕われるようになるアリシア。
一方、王都ではフィオナの「癒し」が効かず、魔物被害が急増。
王太子ヴァレンティンは、ついに自分の誤りを悟り、土下座して助けを求めにやってきます。
しかし、アリシアは冷たく拒否。
「私はもう、あなたの聖女ではありません」
そんな中、隣国レイヴン帝国の冷徹皇太子シルヴァン・レイヴンが現れ、幼馴染としてアリシアを激しく溺愛。
「俺がお前を守る。永遠に離さない」
勘違い王子の土下座、偽聖女の末路、国民の暴動……
追放された聖女が逆転し、究極の溺愛を得る、痛快スカッと恋愛ファンタジー!
結婚式の日に婚約者を勇者に奪われた間抜けな王太子です。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月10日「カクヨム」日間異世界ファンタジーランキング2位
2020年11月13日「カクヨム」週間異世界ファンタジーランキング3位
2020年11月20日「カクヨム」月間異世界ファンタジーランキング5位
2021年1月6日「カクヨム」年間異世界ファンタジーランキング87位
婚約破棄されたショックで前世の記憶を取り戻して料理人になったら、王太子殿下に溺愛されました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
シンクレア伯爵家の令嬢ナウシカは両親を失い、伯爵家の相続人となっていた。伯爵家は莫大な資産となる聖銀鉱山を所有していたが、それを狙ってグレイ男爵父娘が罠を仕掛けた。ナウシカの婚約者ソルトーン侯爵家令息エーミールを籠絡して婚約破棄させ、そのショックで死んだように見せかけて領地と鉱山を奪おうとしたのだ。死にかけたナウシカだが奇跡的に助かったうえに、転生前の記憶まで取り戻したのだった。
婚約破棄されましたが、私はもう必要ありませんので
ふわふわ
恋愛
「婚約破棄?
……そうですか。では、私の役目は終わりですね」
王太子ロイド・ヴァルシュタインの婚約者として、
国と王宮を“滞りなく回す存在”であり続けてきた令嬢
マルグリット・フォン・ルーヴェン。
感情を表に出さず、
功績を誇らず、
ただ淡々と、最善だけを積み重ねてきた彼女に突きつけられたのは――
偽りの奇跡を振りかざす“聖女”による、突然の婚約破棄だった。
だが、マルグリットは嘆かない。
怒りもしない。
復讐すら、望まない。
彼女が選んだのは、
すべてを「仕組み」と「基準」に引き渡し、静かに前線から降りること。
彼女がいなくなっても、領地は回る。
判断は滞らず、人々は困らない。
それこそが、彼女が築いた“完成形”だった。
一方で、
彼女を切り捨てた王太子と偽聖女は、
「彼女がいない世界」で初めて、自分たちの無力さと向き合うことになる。
――必要とされない価値。
――前に出ない強さ。
――名前を呼ばれない完成。
これは、
騒がず、縋らず、静かに去った令嬢が、
最後にすべてを置き去りにして手に入れる“自由”の物語。
ざまぁは静かに、
恋は後半に、
そして物語は、凛と終わる。
アルファポリス女子読者向け
「大人の婚約破棄ざまぁ恋愛」、ここに完結。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる