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2.ガスパルとミレイユ
ヨーデリア侯爵家の息子ガスパルとは、親が決めた婚約だった。
きっかけはと言うと、ヨーデリア侯爵家の領地で酷い自然災害があり、財政難に陥っていた所、ヨーデリア侯爵が我がハーブス伯爵家に支援を求めた。
ヨーデリア侯爵と私の父は旧知の仲だったので快く要求に応じて、沢山のお金を貸した。"父は困った時はお互い様"と、返済は断ったが、ヨーデリア侯爵が頑なにそれを拒んだ。
そのため、
"娘と息子を婚約させ、娘の婚約者から金を取る事はできないから貸したお金は無しにしよう、"
と私の父が提案したのだった。
ヨーデリア侯爵家としても経済的に潤っているハーブス伯爵家と婚姻関係にあると助かるし、
ハーブス伯爵家としても、侯爵家との繋がりができて嬉しい。というお互いの利害関係が一致してこの婚約を結ぶ事になったのだ。
(ガスパル様はこの背景を理解できた上で婚約破棄を言い出したのだろうか…。)
ふーっとため息をつく。
私たちは親同士が決めた婚約者といっても、それなりには仲良くしてきたつもりだった。
しかし、3ヶ月前から雲行きが怪しくなって来たのだ。
3ヶ月前のある日、昼食をガスパルと共にして、昼食後に他愛もない話をしていたら、目の前をすすり泣きながら歩いてくる1人の令嬢がいた。そして目の前で座り込んでしまったのだった。
すかさず私が近寄り、
「どうしたのでしょうか…?どこかお身体が悪いのでしょうか?誰か呼びましょうか?」
と話しかけたが、何も反応が無かった。
ガスパルも心配して、
「大丈夫ですか?」
と声をかけると、その令嬢は潤んだ瞳でガスパルを見つめ、
「うぅっ…。こんなリリアンに声をかけてくださってありがとうございます…。誰も…誰もリリアンの事なんて知らんぷりして…。あの、お名前お聞きしても?」
と言った。
(え…?今私が先に声をかけましたわよね…!?完全に無かったことにされていますわ…。この方は確か、子爵令嬢のリリアン様だったかしら。)
「あっ…それは可哀想だったね…。私はヨーデリア・ガスパルだ。」
「まぁ、侯爵家の…。あのぅ…。私、リリアンです。また、お話聞いて貰っても良いですか…?」
「あぁ、あぁ勿論だ!」
顔を真っ赤にしてガスパルが答える。
その時はそのまま別れたのだったが、嫌な予感がしていた。
そして、それからお昼休みや放課後に、ガスパルがリリアンと過ごしている事が多くなった。
何度か、
「婚約者がいるのに特定の女性と2人きりになるのは体裁が悪いからやめておいた方が良いのではないでしょうか。」
と、苦言を呈すると、
「なんだい?ミレイユ。ヤキモチかい?私はただリリアンの悩みを聞いているだけさ。君は婚約者だろ?ドンと構えていないと!」
「そうは言いましても…。」
「なんだい?君は悩んでいる人を放っておけと言うのかい??そんな薄情な人だったか??」
「い、いえそういう訳ではありませんが…。」
「ならこの話は終わりだ!!」
そう言って立ち去ってしまったのだった。
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