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15.おかしい1(ジョセフ)
しおりを挟むおかしい。
最近、やけに誰かに見られている感じがして背中がゾクリとする。
これは全部、リリアンと会った時からのように思える。気のせいだろうか…?
私はジョセフ・チェアランド
伯爵家の嫡男だ。
私は同じ伯爵家の令嬢、エミールと婚約している。
エミールは幼馴染で、私の初恋の相手だ。
ふわふわの金髪に、クリッとした大きな目。明るく笑顔が可愛い彼女は皆の人気者でいつもモテていた。
このままではエミールが誰かに狙われてしまう…!!
そう思い10歳の時、父にエミールと婚約したいと懇願した。
エミールの父と私の父は仲が良い為、婚約はスムーズにできた。
これでエミールは私のモノだ……!!
エミールを見るたびに、この可愛い彼女が私の婚約者だと思うと、喜びで身震いする程だった。
歳を重ねる度に、エミールは綺麗になっていった。
学園に入学すると、エミールは他の男達の視線を集めていた。
何とか仲良くしようと企む男たちが沢山出てきた。
私はその度にヤキモチを妬いた。
エミール…!なぜ私以外の男に笑いかけるのだ…!!
私だけにその笑顔を向けて欲しい…。
私はこのような気持ちなのに、エミールはきっと違う。
私はエミールを望んで婚約したが、エミールにとっては所詮親が決めた婚約に従っただけだろう。
私が他の女性と仲良くした所で何も感じないだろう。
そう考えると苛立ちさえ覚える。
その苛立ちを発散させるかのように勉学に打ち込む。
学年でトップを取れば、きっとエミールも私を見直すだろう。
しかし、3年間ずっと成績は学年2位だった。
1位はいつでも伯爵家のミレイユ嬢、エミールの友人だった。
(くそっ…。何もかも面白く無い…!!)
3年生も後半に差し掛かった頃、中間試験の結果が廊下に張り出された。
(またもや2位か…。)
そう思い、ギリッと奥歯を噛み締める。
すると、隣にいた顔しか知らない令嬢が声をかけてきた。
「あ、もしかして2位のジョセフ様ですか?」
エミール程までとはいかないが、それなりに可愛い。
「あ、あぁそうだが…。」
「やっぱりっ!!すごいですねっ!!」
両手を胸の前に合わせて、キラキラした上目遣いで見られると、つい目を逸らしてしまう。
「いや、でも1位では無いし…。」
「えぇー!そんなの良いではありませんか!2位でも充分凄いですよ!あーぁ、ジョセフ様の婚約者様が羨ましいです!こんな頭脳明晰な婚約者がいて!」
エミールが…羨ましい…??
「私…。本当に何やってもダメで…。勉強も一生懸命頑張っているのですが…卒業できるかどうか…。あぁジョセフ様のような方が婚約者だったらなぁ…。」
「そ、それなら私が勉強を教えても良いぞ?」
その瞬間、リリアンの顔がパァーっと輝く。
(あ…しまった。つい褒められて調子に乗り無責任な事を言ってしまった…。)
「嬉しいっ!ありがとうございます!あ…でも、婚約者様がヤキモチ妬いちゃいますよね…?やっぱり悪いです…。」
エミールがヤキモチを妬く…!?この私に……!?そのような姿を想像するだけで……!!
ゴクっと生唾を飲む。
「だ、大丈夫だ!!」
その日から、リリアンに勉強を教えるようになった。
勉強を教えながら、リリアンの悩みも聞いていた。
他の令嬢に恵まれた容姿を妬まれ、仲間外れにされたり、ストーカーに付き纏われているらしい。
多少気の毒には思うが、このリリアンには悲劇のヒロインのように振る舞う所があるので、同性には嫌われそうな性格をしている。
仕方のない事だろうなぁと適当に聞き流していた。
自分から勉強を教えると言ったものの、2.3回勉強会をするとリリアンの相手が面倒に感じるようになってきた。
(そろそろ何とか理由をつけて断るかな…)
しかし、2週間もした所でエミールに声を掛けられた。
「ジョセフ様?最近リリアン様と仲が良いそうですね…?」
!!
あのエミールが……!!
私とリリアンの事を気にしている…!!
心の底から湧き上がる嬉々とした思いを見せないよう平静を装って答える。
「ん?そうかな…。なんだか、最近変な男に付き纏われているようで相談に乗っているだけなんだけど…。仲良さそうに見えるかな?ふーん…。そうか。で、何?エミールは嫉妬したのかい?」
「嫉妬…と言いますか…。」
エミールが私に嫉妬している……!!
今まで私ばかりがエミールを追いかけていたのに…!!
口元がゆるむのを隠しきれず、その場を早々に切り上げて去った。
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