姉が何でもくれて困ります~要らないって伝わらない~

Haru

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姉様は妹が大好き

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私の一番古い記憶は姉様に抱きしめられながら
絵本を読んで貰っているシーンだ。


『シャーロン、生まれてきてくれてありがとう』

『ねーしゃましゅきっ!!』

お気に入りのクマのぬいぐるみを抱え
大好きな姉様に抱きしめられている

仲のいい姉妹


そう、仲のいい姉妹………



「シャーロンっっ!!ああ!今日も可愛いわ!我がアルベル公爵家の宝!!」

「……おはようご、ざいます、お、ねえさま」

朝から元気よく私を抱きしめるお姉様
サーシャリア・アルベルは簡易なワンピースの上から黒いローブを身に付けている

「お仕事だったのですか?」

「ええ、大したことないんだけどね」

姉は宮廷魔道士団に7つの頃から所属している
それはこの国で唯一、全ての属性の魔法を操れるからだ

両親はそんなに魔力は高くないし、私に至っては
ほぼゼロだ

「なら、お姉様が行かなくても」

いくら強いからって嫁入り前の姉をこき使うのは
如何なものか
口には出せないけど、怪我でもしたらと心配で堪らない

「来週、西の森に野外学習に行くでしょ
シャーロン」

「ええ。行きますけど」

「だからよ。じゃなきゃ知らないわ。
さ、朝食食べましょー!!」

軽やかに食堂に向かう姉の背を見ながら
私は「納得」と呟いた。







「見てシャーロン!!このドレス!」

鮮やかな薄紫のドレスを姉が持って
私の部屋にやって来た

私は一気に緊張した
迂闊な事は言えないのだ

「まぁ!ですわね!お姉様素敵!!」

通じろ、通じろ、通じろ


「そうなのよ!私の瞳と同じ紫!だからねシャーロン、アナタが着なさい」

「お姉様、私だってドレスはありますから
大丈夫ですわ」

「ダメよ。まだ1度もそでを通してないし
前のものよりこっちの方がから」

強いって……防具じゃないんだから……

「でもそのドレスはお姉様が着るべきですわ
せっかくお父様がプレゼントしてくださったんですから」

「それは有難いけどドレスは戦闘には不向きなのよ。シャーロン、ここに置いていくわね」

「え!?だから私には必要無い……」

姉は部屋に居たメイドにドレスを預けると
さっさと部屋を出ていってしまった


ドレスを持たされて困っているメイドを見てから
わたしは自分の部屋を見渡す

今まで姉がくれたアクセサリーやドレス
絵画、くつ、鞄

外出する際必ずどれか身に着けるようにと
姉から強く言われているもの達だ

「……もう充分なのに」

両親に相談しても貰っておきなさいしか言わないし

ふと、ベッドのまくら横にいるクマのぬいぐるみを見た
私か初めて姉様からもらった物らしく
それは私が持っているから姉様の宝物らしい


普通は喜ぶべきなんだろうけど……

「お姉様、私もう本当に要らないのよ……」







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