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第123話 星塵の異能者
ギーレは、眼前の少女を見て、心が躍っていた。
最初は何も気に留まらなかった。ただの超能力者。魔術が使えるとはいえ、面白みはないように思えた。それならむしろあの銀髪の少女のほうが、興味が湧いたものだ。
けれど今は違う。この星華ミナという人間は、ヒトは、現人類の、現魔族の、可能性を越えようとしている。
「時代の節目。時代の変わり目。時代が動く時は、いつだって特異点が現る。⋯⋯そうか。イア・スカーレットはその予兆に過ぎなかったんだ。君か。君こそが、特異点。その核心!」
ただ強いだけではない。ありえないもの。それこそが特異点。そういう点において、ミナは、他の誰より上だと言える。そうだと、ギーレは確信している。
「君が新たなヒトのモデルだ。現人類、現魔族を絶滅させ、君を原初に新たな生命が生まれ落ちる。そして新世界は誕生する! ⋯⋯そしてだからこそ、残念だ」
ギーレの魔力回路が完全に回復した。そして、構える。
「他でもない君が、それを望んじゃいない」
──新たなヒト? 新世界? そんなこと、どうだっていい。
──わたしはただ、今を、これからを過ごしたい。リエサや皆んなが、楽しく過ごせる、そんな世界が欲しい。
「⋯⋯だから、邪魔なオマエは居なくなれ」
「君を殺さなくちゃならないなんて、非常に惜しい」
変幻自在の固有魔力により、彼女の超能力は最適化と強化が施されていた。その一つが範囲の拡大とそれに伴う出力の上昇。
今やその出力は十倍以上。最大範囲は半径約2000m。
それほどの超火力を、ミナは右手の先の一点に集め、放つ。
爆裂は一瞬。範囲も絞ったから、広域破壊は行われていない。
「⋯⋯⋯⋯くく。この刹那で、どれほどの⋯⋯」
防御力に優れた特級魔獣を出し、併せてギーレ自身も耐爆に仕様変更した防御魔術を展開した。それでも尚、特級魔獣は即死。防御魔術は貫通し、ギーレの半身が弾けた。
人間なら当然即死。形が無くなっていてもおかしくはない。
〈零下〉よりも格段に火力が高い。だが、それほどまでの超火力であるがゆえに⋯⋯、
「だけど君自身も爆破されてちゃ駄目だろう!」
ミナの右腕が消し飛んでいた。痛みに顔を顰めることもなかった。
ギーレは拳を突き出す。ミナはそれを避ける。瞬間的に爆破が生じていた。それによるスピードアップだ。
ギーレの腕が伸び切るより先に、ミナは彼の右脇腹へと潜り込んでいた。左腕で爆裂を伴う肘打ちを繰り出す。
防御魔術は間に合わず、ただの魔力強化のみでそれを受ける。当然のように左側の胴体が骨ごと弾ける破壊力。
「最早人間には強大すぎる火力だね」
ミナの右腕と左の肘から先は弾け飛んでいた。彼女自身は痛覚が狂っているのか、動きに一切の障害がないが、戦闘はもはや続行不能なほどの自傷ダメージを受けている。
対してギーレは、自らの肉体の再生を完了させていた。
「両腕がない状態では何もできないさ。最後にもう一度だけ訊こう。私と一緒に新時代を創らないか? 君なら⋯⋯」
「両腕が、ない? 何、バカげたことを?」
──ミナの両腕が、再構築された、一瞬で。
「⋯⋯⋯⋯。⋯⋯『変質』の魔力。マナ家相伝の固有魔力か。くくく⋯⋯やるね」
パチパチと、ミナの周りで爆裂の源が発生した。
ミナは目を見開いていた。集中している。思考を巡らせている。どれくらいの火力で、どれくらいの範囲で、どれくらいの制限をすれば、可能な限り周囲に影響を与えずに最高パフォーマンスを引き出せるのか。
──月宮リエサならどうするか?
『仄明星々』──74%
右足を踏み込んだ瞬間、インパクトを発生させる。
超能力と魔力の起動タイミングにはラグがある。やはり超能力の方が早く起動できる。できてしまう。
今まではそうだった。二つの力の発動がズレていた。
ならばそれを合わせればいい。そうすれば、
──ミナのキックがギーレの顔面を砕いた。
(はや、い⋯⋯っ!? 見えなかったッ!?)
直後、爆裂が生じる。その前にギーレは退避することに成功した。
砕けた首の骨や頭蓋骨を再構築させつつ、ギーレはミナの動きを最大限警戒する。彼女は足の自傷ダメージを回復している。
(今の追撃を食らっていたら死んでいた。⋯⋯しかしなんだ、あのスピード。この程度の魔力量で為せるものじゃ⋯⋯)
いくら超能力があろうと、ミナの魔力量から考えるとイアに匹敵するほどのスピードなど出せるはずがない。
もっと言えば、『変質』の魔力によってミナは肉体を再生させている。
体の再構築は魔族ですら相当な魔力消費を伴う。ましてや肉体を魔力で構築していない人間なら、変換時にロスが生じてそう何度も欠損を完治させることはできない。魔力が足りなくなるはずだ。
(⋯⋯いや、待て。おかしい。なぜ⋯⋯魔力が減っていない?)
ギーレは冷静なって、ミナの残存魔力量を改めて確認すると、まるで減っていなかった。
精々一級魔術師程度の魔力量。両腕と片足の欠損を完治させ、爆裂にも魔力を使っていることを考えると、とっくに枯渇していても良い消費量のはず。減ってさえいないのは明らかに異常だ。
「そうか。異常!」
──星華ミナの超能力の本質はエネルギーの変換。爆裂など所詮はその能力のオマケに過ぎない。
『星塵』は、至る所にある星のエネルギー。ミナはこれを認識し、干渉することができる異能力を持つ。
ミナは『星塵』を魔力に変換することで、魔力の補給を行っていた。
「はぁ──」
空気を吸い込んでいけばそこが真空になるように、いくらでも『星塵』を変換し、補給できるわけではない。
時間が経てば『星塵』は再び空間内に戻ってくるが、それまでエネルギー源はなくなる。そしてミナの超能力の影響範囲、つまり吸収できる『星塵』の量を考えると、今みたいな戦い方ができるのは精々あと五分。それ以上は場所を変えるか、クールタイムを待つしかない。
(いや、それより先にわたしの脳に限界が来るかな。どっちにしても、わたしがこの状態をキープしたまま戦えるのは、あと五分には変わりない)
『星塵』を爆裂させる操作は大した負荷ではないが、魔力への変換には負荷が掛かっている。慣れていないというのもあるだろうが、おそらくそもそも魔力への変換には向いていないのだろう。変換効率も80%程度にまで落ちている。爆裂なら100%なのに。
(あとどれ程、星華ミナがその能力を扱っていられるのか私には分からない。だが⋯⋯ここで魔獣を必要以上に失うわけにはいかない。それに彼女の成長速度は異常だ──)
(ギーレの手札の数が分からない以上、長期戦はわたしにとって不利になる。ここまでやってようやく殺せるかどうかの実力差。限界が近くなればなるほど、勝算は悪くなる。だから──)
星華ミナ、大魔族ギーレは、奇しくも同じ結論に行き着く──。
(これ以上の驚異になる前に、殺す)
(わたしの限界が来る前に、殺す)
──両者、構えを取る。
────そして次の瞬間、光が放たれた。桃色の光。それがギーレの目前に生じる。
散布から起爆までの猶予はほぼゼロ。ギーレでは見てから回避することは殆ど不可能。
だから、彼は予測して避けていた。が、それはミナにとって想定済みである。
避けた先にも星屑を蒔いていた。コンマ数秒だけオフセットし、起爆。ギーレは爆破を直撃する。
当たり前のようにギーレは肉体の半分以上を失う。
「魔族化していない肉体の、魔力による再構築。それの肉体的負担は辛かったさ。なら、慣れていない君はどうだ?」
ミナの体がよろける。その瞬間を見逃さず、ギーレは彼女に接近し、取り出した『断骨』を振るう。
防御魔術が展開されるも、『断骨』はこれを容易く破壊。ミナの右肩を深く抉る。
直後、カウンターの爆撃がギーレを襲う。彼は吹き飛ばされるも、受け身を取り、体制を直す。
「今の爆破、随分と火力が落ちていたね。どうしたんだい? もう限界なのかい?」
ギーレの肉体は破損していない。表面上の火傷を治すだけで済んでいた。
「うる⋯⋯さいっ!」
爆撃が連鎖するも、ギーレはその全てを避ける。火力は回復したが今度は精度が落ちている。今の一撃が大分効いたようだ。
(一時的なものだし、確実なものでもないね、この隙は。でも⋯⋯)
ギーレは回避ではなく防御を選択する。ミナから百メートル近く離れて、防御に徹すれば何とか無傷で凌げることがわかった。
(畳み掛けられるキッカケがあるとすれば、これだけなのもまた事実。今の星華ミナの瞬間火力は特級魔術師に匹敵すると考えていい。下手に距離を詰めれば、近距離の減衰無しの爆撃食らって即死するのがオチだ)
ミナは先程のような『断骨』による直接攻撃を警戒している。原理までは把握していないが、それが防御魔術では防げないものだと理解した。
(ただこっちも近づかないと有効打は与えられない。ほんと厄介だ。近距離も遠距離も馬鹿みたいに強い)
ギーレの周りを星屑が、そして爆裂が生じる。
対爆に仕様変更した防御魔術でも防ぎ切ることはほぼ不可能。ミナが爆裂を発生させる度に体力か魔力、それか両方を削られる。
(星華ミナは消耗戦を仕掛けるだけでいい。賭けにでなければならないのは、私)
心核結界のリキャストタイムは終えている。
ミナもそれを肌で理解している。だから、問題はいつその手札を使うのか。
ミナは複合能力を得たことによって感覚が研ぎ澄まされている。魔術練度の低さを、センスと超能力の練度でカバーできる今の状態、ギーレにも、心核結界の勝負の結果がどうなるのか分からない。
異例の力を相手に、ギーレは立ち回らなくてはならない。
「──っ」
ギーレが顕現したのは特級疑似魔獣『九頭水蛇』。
家ほどの大きさを持ち、名前の通り八つの首を持つ大蛇だ。
伝承として伝わる本物のヒュドラではないものの、それに由来する魔獣。
そしてギーレが持つ最高位の手札の一つ。イア・スカーレットを相手に切るつもりだったが、今ここで出さなければならないと判断した。
八つの頭がミナを食らおうと迫る。うち一頭が彼女に噛み付いた。しかし噛み千切られることはなかった。魔力強化によってミナは身体強度を高めていたのだ。
(魔力量が増加している? ⋯⋯本当に理屈はわからないが⋯⋯そんなことをすれば⋯⋯)
「⋯⋯がっ」
ミナの意識が一瞬揺れる。魔力の過剰出力による肉体への反動だ。
血飛沫が舞う。そして次の瞬間、ギーレはその場を跳躍して離れた。なぜならそこが爆撃されるからだ。
噛み千切られたのではない。ミナはヒュドラの首に魔力を流し、破裂させたのだ。
拘束から抜け出したミナはギーレを追う。
追いついたミナはギーレにラッシュを仕掛ける。ギーレはこれに『断骨』で応戦しようとするも、スピードで負けてしまっていた。
拳が叩き込まれる度に爆裂が生じる。魔力打撃に加えて純粋な爆発ダメージが雨のように浴びせられる。
しかしそこにヒュドラが来る。ミナに噛み付き、ギーレから離れる。
(頭⋯⋯回復してる。再生持ち⋯⋯)
過剰な魔力が流し込まれる前にミナは投げ飛ばされた。
ヒュドラは先回りし、頭を武器のように振り回しミナを地面に叩きつけた。
そしてその巨体を活かし、ミナを踏み潰そうとした。
が、ミナはそこには居なかった。空中に彼女は逃れていた。
ヒュドラは彼女を見た。その赤い目で。
「──面倒。邪魔」
そこは『星塵』に満ちている。これを吸収した後、ミナはヒュドラに向かって手を伸ばした。
爆裂がヒュドラをギーレの所まで吹き飛ばした。
そこは誰もいない。巻き込むことは、ない。
一瞬だけ淡いピンク色の光が生じ、直後、周囲が焼け野原になった。
その爆心地。ミナは立っていた。体を治癒し、彼女と彼だけが立っていた。
「⋯⋯はは。一撃って。強みなくなったじゃん。全くどうなってるんだか、君のその能力は、さ」
残り二分。体の限界が近づいてきているのを理解した。
その時だった。ギーレは魔力の喪失を確認した。
(⋯⋯レジアが死んだ。カーテナ⋯⋯も、か。まさか二人とも死ぬとは。想定外だね)
ミナとの戦闘で気がつくのに遅れたが、大魔族二体が既に殺されている。
例えここでミナに勝ったとしても、援軍に来た魔術師と超能力者を相手にしなければいけないことが確定した。
(星華ミナはここで殺しておきたかったが⋯⋯)
一番近場のグリンスタッドからここまでの距離を考えたとき、五分もあれば魔術師たちならば来ることができる。十分もすれば確実に来ると言っていい。
(⋯⋯魔力が大分削られた。駄目だね。もう撤退ラインを超えている──)
心核結界を使えば魔力はほぼ枯渇する。そんな状態で援軍と戦っても、死ぬ確率のほうが高い。それに、心核結界を使ってミナを殺せる確信もなければ、下手をすれば押し合いに負ける可能性だってある。そうなればそこで即死だ。
ここで選択すべきは撤退だ。
しかし、ただでは帰してくれないだろう。
「────」
ピンク色の光線が放たれた。ギーレは避けた。
「人が考え事してるときに不意打ちと──」
光線が乱射される。これは超能力が編み込まれている一般攻撃魔術だ。
速度も密度も出力も並外れている。が、無理していると分かる。
命中精度が極端に落ちていたから、ほとんど避ける必要がなかったのだ。
「はあ⋯⋯はあ⋯⋯っんで⋯⋯!」
殺せる、今なら。
星華ミナは弱っている。無理な魔術行使、超能力の使用の反動が来ているのだ。
「────。⋯⋯心核結界」
逡巡というには永い思考。結果として、ギーレは魔術を使うことにした。魔力が無くなる。その後をベットしてでも。そうすべきだと、判断した。
「──〈魔胎生窟〉」
ギーレが行使した心核結界が広がり始める。暗い洞窟の心象が具現化される。その中で起きるは無数の獣による虐殺。物量と質量の両方を取った魔術による殺戮。
だが、結界術に長けた魔術師を相手にすることなど初めから分かっていた。だから星華ミナがこの戦いに繰り出された。
眼前には無数の魔獣が蔓延っている。ギーレが展開したのは『閉じない心核結界』だからだ。
魔獣たちは河のように、流れ、そこら中を見たそうと、溢れる──。
数が多すぎる。自らが持つ殆ど全ての手持ちを出しているようだ。このままでは周囲の人にも被害が及ぶかもしれない。一刻も早く、殺さなくては。
「心核結界──」
魔術界御三家、マナ家の相伝魔力『変質』。
特に星華ミナにおいては、それは変幻自在、無尽蔵の魔力となる。
たったひと目見ただけで、空井リク一級魔術師の固有魔力『金属変換』を模倣した。
ならば──ミナは、彼女に魔術を教えるため、幾度もそれを見せたエストの固有魔力を模倣することはできるのか?
答えは──、
『ミナ、キミのセンスなら私の魔術を使うことはできる。でも、これは、流石においそれと使えたものじゃない。だから使うタイミングは見極めることだよ』
〈反射防御〉や〈位置反転〉、〈対称転移〉など、無詠唱を前提にした魔術をミナは使いこなすことができなかった。だったら、使わなくていい。悟られないように、と。
──〈墜幻想煌星〉をギーレは警戒しないわけがない。
史上最高の結界術師であるギーレならば、心核結界の即時要件変更など容易いはずだ。だから一度見せた破壊特化の心核結界は通用しないか、最低でも耐えられる。
だから、二度目の心核結界の勝負があるならば、と、ミナはこの手札を隠していた。
「──〈虚無世界〉ッ!」
想定外の魔術。対物理破壊に特化したおかげで、今のギーレの心核結界の精神防御、魔術相殺は薄まっており、合成魔術ではなく純粋な魔術であるため、特化させた魔力中和効果は見事に外れてしまった。
ギーレの類まれなる心核結界の才能が、要件変更を容易とするその実力が、ここに来て裏目に出る。
例え大魔族であろうと、例え出力機構が魔術師として未熟な術師であろうと、その魔術を構築したのはイアと同格の術師。その完全模倣魔術だ。
「──────」
虚無という情報が、ギーレの脳を侵し、思考能力を掻き消す。故に起こる、あらゆる活動の停止。すなわち脳機能の破損。
「はぁ──」
魔術の演算機関は疾うに限界を超えている。
しかし、魔力を載せることくらいは、できる。
ありったけの魔力を。
そして、ありったけの超能力を。
ミナは能力演算を終え、放つ。
『仄明星々』──120%
──ピンク色の星々が、咲き、乱れる。
────それの遺体は魔力の残滓ごと跡形もなく消し飛ばされた。
「⋯⋯⋯⋯」
魔力は枯渇している。超能力にも限界が来ている。
しかし周りには、ギーレが顕現させた魔獣が溢れている。心核結界によって出現したはずだが、術者が居なくても消え失せることはないらしい。それとも、術者が死んだからこそ溢れたのだろうか?
ここで倒れてしまえば、ミナは魔獣に食い荒らされるだろう。
でも、もう限界だ。
ミナの意識が、暗闇に落ちる。そして彼女の体が倒れようとした。
最初は何も気に留まらなかった。ただの超能力者。魔術が使えるとはいえ、面白みはないように思えた。それならむしろあの銀髪の少女のほうが、興味が湧いたものだ。
けれど今は違う。この星華ミナという人間は、ヒトは、現人類の、現魔族の、可能性を越えようとしている。
「時代の節目。時代の変わり目。時代が動く時は、いつだって特異点が現る。⋯⋯そうか。イア・スカーレットはその予兆に過ぎなかったんだ。君か。君こそが、特異点。その核心!」
ただ強いだけではない。ありえないもの。それこそが特異点。そういう点において、ミナは、他の誰より上だと言える。そうだと、ギーレは確信している。
「君が新たなヒトのモデルだ。現人類、現魔族を絶滅させ、君を原初に新たな生命が生まれ落ちる。そして新世界は誕生する! ⋯⋯そしてだからこそ、残念だ」
ギーレの魔力回路が完全に回復した。そして、構える。
「他でもない君が、それを望んじゃいない」
──新たなヒト? 新世界? そんなこと、どうだっていい。
──わたしはただ、今を、これからを過ごしたい。リエサや皆んなが、楽しく過ごせる、そんな世界が欲しい。
「⋯⋯だから、邪魔なオマエは居なくなれ」
「君を殺さなくちゃならないなんて、非常に惜しい」
変幻自在の固有魔力により、彼女の超能力は最適化と強化が施されていた。その一つが範囲の拡大とそれに伴う出力の上昇。
今やその出力は十倍以上。最大範囲は半径約2000m。
それほどの超火力を、ミナは右手の先の一点に集め、放つ。
爆裂は一瞬。範囲も絞ったから、広域破壊は行われていない。
「⋯⋯⋯⋯くく。この刹那で、どれほどの⋯⋯」
防御力に優れた特級魔獣を出し、併せてギーレ自身も耐爆に仕様変更した防御魔術を展開した。それでも尚、特級魔獣は即死。防御魔術は貫通し、ギーレの半身が弾けた。
人間なら当然即死。形が無くなっていてもおかしくはない。
〈零下〉よりも格段に火力が高い。だが、それほどまでの超火力であるがゆえに⋯⋯、
「だけど君自身も爆破されてちゃ駄目だろう!」
ミナの右腕が消し飛んでいた。痛みに顔を顰めることもなかった。
ギーレは拳を突き出す。ミナはそれを避ける。瞬間的に爆破が生じていた。それによるスピードアップだ。
ギーレの腕が伸び切るより先に、ミナは彼の右脇腹へと潜り込んでいた。左腕で爆裂を伴う肘打ちを繰り出す。
防御魔術は間に合わず、ただの魔力強化のみでそれを受ける。当然のように左側の胴体が骨ごと弾ける破壊力。
「最早人間には強大すぎる火力だね」
ミナの右腕と左の肘から先は弾け飛んでいた。彼女自身は痛覚が狂っているのか、動きに一切の障害がないが、戦闘はもはや続行不能なほどの自傷ダメージを受けている。
対してギーレは、自らの肉体の再生を完了させていた。
「両腕がない状態では何もできないさ。最後にもう一度だけ訊こう。私と一緒に新時代を創らないか? 君なら⋯⋯」
「両腕が、ない? 何、バカげたことを?」
──ミナの両腕が、再構築された、一瞬で。
「⋯⋯⋯⋯。⋯⋯『変質』の魔力。マナ家相伝の固有魔力か。くくく⋯⋯やるね」
パチパチと、ミナの周りで爆裂の源が発生した。
ミナは目を見開いていた。集中している。思考を巡らせている。どれくらいの火力で、どれくらいの範囲で、どれくらいの制限をすれば、可能な限り周囲に影響を与えずに最高パフォーマンスを引き出せるのか。
──月宮リエサならどうするか?
『仄明星々』──74%
右足を踏み込んだ瞬間、インパクトを発生させる。
超能力と魔力の起動タイミングにはラグがある。やはり超能力の方が早く起動できる。できてしまう。
今まではそうだった。二つの力の発動がズレていた。
ならばそれを合わせればいい。そうすれば、
──ミナのキックがギーレの顔面を砕いた。
(はや、い⋯⋯っ!? 見えなかったッ!?)
直後、爆裂が生じる。その前にギーレは退避することに成功した。
砕けた首の骨や頭蓋骨を再構築させつつ、ギーレはミナの動きを最大限警戒する。彼女は足の自傷ダメージを回復している。
(今の追撃を食らっていたら死んでいた。⋯⋯しかしなんだ、あのスピード。この程度の魔力量で為せるものじゃ⋯⋯)
いくら超能力があろうと、ミナの魔力量から考えるとイアに匹敵するほどのスピードなど出せるはずがない。
もっと言えば、『変質』の魔力によってミナは肉体を再生させている。
体の再構築は魔族ですら相当な魔力消費を伴う。ましてや肉体を魔力で構築していない人間なら、変換時にロスが生じてそう何度も欠損を完治させることはできない。魔力が足りなくなるはずだ。
(⋯⋯いや、待て。おかしい。なぜ⋯⋯魔力が減っていない?)
ギーレは冷静なって、ミナの残存魔力量を改めて確認すると、まるで減っていなかった。
精々一級魔術師程度の魔力量。両腕と片足の欠損を完治させ、爆裂にも魔力を使っていることを考えると、とっくに枯渇していても良い消費量のはず。減ってさえいないのは明らかに異常だ。
「そうか。異常!」
──星華ミナの超能力の本質はエネルギーの変換。爆裂など所詮はその能力のオマケに過ぎない。
『星塵』は、至る所にある星のエネルギー。ミナはこれを認識し、干渉することができる異能力を持つ。
ミナは『星塵』を魔力に変換することで、魔力の補給を行っていた。
「はぁ──」
空気を吸い込んでいけばそこが真空になるように、いくらでも『星塵』を変換し、補給できるわけではない。
時間が経てば『星塵』は再び空間内に戻ってくるが、それまでエネルギー源はなくなる。そしてミナの超能力の影響範囲、つまり吸収できる『星塵』の量を考えると、今みたいな戦い方ができるのは精々あと五分。それ以上は場所を変えるか、クールタイムを待つしかない。
(いや、それより先にわたしの脳に限界が来るかな。どっちにしても、わたしがこの状態をキープしたまま戦えるのは、あと五分には変わりない)
『星塵』を爆裂させる操作は大した負荷ではないが、魔力への変換には負荷が掛かっている。慣れていないというのもあるだろうが、おそらくそもそも魔力への変換には向いていないのだろう。変換効率も80%程度にまで落ちている。爆裂なら100%なのに。
(あとどれ程、星華ミナがその能力を扱っていられるのか私には分からない。だが⋯⋯ここで魔獣を必要以上に失うわけにはいかない。それに彼女の成長速度は異常だ──)
(ギーレの手札の数が分からない以上、長期戦はわたしにとって不利になる。ここまでやってようやく殺せるかどうかの実力差。限界が近くなればなるほど、勝算は悪くなる。だから──)
星華ミナ、大魔族ギーレは、奇しくも同じ結論に行き着く──。
(これ以上の驚異になる前に、殺す)
(わたしの限界が来る前に、殺す)
──両者、構えを取る。
────そして次の瞬間、光が放たれた。桃色の光。それがギーレの目前に生じる。
散布から起爆までの猶予はほぼゼロ。ギーレでは見てから回避することは殆ど不可能。
だから、彼は予測して避けていた。が、それはミナにとって想定済みである。
避けた先にも星屑を蒔いていた。コンマ数秒だけオフセットし、起爆。ギーレは爆破を直撃する。
当たり前のようにギーレは肉体の半分以上を失う。
「魔族化していない肉体の、魔力による再構築。それの肉体的負担は辛かったさ。なら、慣れていない君はどうだ?」
ミナの体がよろける。その瞬間を見逃さず、ギーレは彼女に接近し、取り出した『断骨』を振るう。
防御魔術が展開されるも、『断骨』はこれを容易く破壊。ミナの右肩を深く抉る。
直後、カウンターの爆撃がギーレを襲う。彼は吹き飛ばされるも、受け身を取り、体制を直す。
「今の爆破、随分と火力が落ちていたね。どうしたんだい? もう限界なのかい?」
ギーレの肉体は破損していない。表面上の火傷を治すだけで済んでいた。
「うる⋯⋯さいっ!」
爆撃が連鎖するも、ギーレはその全てを避ける。火力は回復したが今度は精度が落ちている。今の一撃が大分効いたようだ。
(一時的なものだし、確実なものでもないね、この隙は。でも⋯⋯)
ギーレは回避ではなく防御を選択する。ミナから百メートル近く離れて、防御に徹すれば何とか無傷で凌げることがわかった。
(畳み掛けられるキッカケがあるとすれば、これだけなのもまた事実。今の星華ミナの瞬間火力は特級魔術師に匹敵すると考えていい。下手に距離を詰めれば、近距離の減衰無しの爆撃食らって即死するのがオチだ)
ミナは先程のような『断骨』による直接攻撃を警戒している。原理までは把握していないが、それが防御魔術では防げないものだと理解した。
(ただこっちも近づかないと有効打は与えられない。ほんと厄介だ。近距離も遠距離も馬鹿みたいに強い)
ギーレの周りを星屑が、そして爆裂が生じる。
対爆に仕様変更した防御魔術でも防ぎ切ることはほぼ不可能。ミナが爆裂を発生させる度に体力か魔力、それか両方を削られる。
(星華ミナは消耗戦を仕掛けるだけでいい。賭けにでなければならないのは、私)
心核結界のリキャストタイムは終えている。
ミナもそれを肌で理解している。だから、問題はいつその手札を使うのか。
ミナは複合能力を得たことによって感覚が研ぎ澄まされている。魔術練度の低さを、センスと超能力の練度でカバーできる今の状態、ギーレにも、心核結界の勝負の結果がどうなるのか分からない。
異例の力を相手に、ギーレは立ち回らなくてはならない。
「──っ」
ギーレが顕現したのは特級疑似魔獣『九頭水蛇』。
家ほどの大きさを持ち、名前の通り八つの首を持つ大蛇だ。
伝承として伝わる本物のヒュドラではないものの、それに由来する魔獣。
そしてギーレが持つ最高位の手札の一つ。イア・スカーレットを相手に切るつもりだったが、今ここで出さなければならないと判断した。
八つの頭がミナを食らおうと迫る。うち一頭が彼女に噛み付いた。しかし噛み千切られることはなかった。魔力強化によってミナは身体強度を高めていたのだ。
(魔力量が増加している? ⋯⋯本当に理屈はわからないが⋯⋯そんなことをすれば⋯⋯)
「⋯⋯がっ」
ミナの意識が一瞬揺れる。魔力の過剰出力による肉体への反動だ。
血飛沫が舞う。そして次の瞬間、ギーレはその場を跳躍して離れた。なぜならそこが爆撃されるからだ。
噛み千切られたのではない。ミナはヒュドラの首に魔力を流し、破裂させたのだ。
拘束から抜け出したミナはギーレを追う。
追いついたミナはギーレにラッシュを仕掛ける。ギーレはこれに『断骨』で応戦しようとするも、スピードで負けてしまっていた。
拳が叩き込まれる度に爆裂が生じる。魔力打撃に加えて純粋な爆発ダメージが雨のように浴びせられる。
しかしそこにヒュドラが来る。ミナに噛み付き、ギーレから離れる。
(頭⋯⋯回復してる。再生持ち⋯⋯)
過剰な魔力が流し込まれる前にミナは投げ飛ばされた。
ヒュドラは先回りし、頭を武器のように振り回しミナを地面に叩きつけた。
そしてその巨体を活かし、ミナを踏み潰そうとした。
が、ミナはそこには居なかった。空中に彼女は逃れていた。
ヒュドラは彼女を見た。その赤い目で。
「──面倒。邪魔」
そこは『星塵』に満ちている。これを吸収した後、ミナはヒュドラに向かって手を伸ばした。
爆裂がヒュドラをギーレの所まで吹き飛ばした。
そこは誰もいない。巻き込むことは、ない。
一瞬だけ淡いピンク色の光が生じ、直後、周囲が焼け野原になった。
その爆心地。ミナは立っていた。体を治癒し、彼女と彼だけが立っていた。
「⋯⋯はは。一撃って。強みなくなったじゃん。全くどうなってるんだか、君のその能力は、さ」
残り二分。体の限界が近づいてきているのを理解した。
その時だった。ギーレは魔力の喪失を確認した。
(⋯⋯レジアが死んだ。カーテナ⋯⋯も、か。まさか二人とも死ぬとは。想定外だね)
ミナとの戦闘で気がつくのに遅れたが、大魔族二体が既に殺されている。
例えここでミナに勝ったとしても、援軍に来た魔術師と超能力者を相手にしなければいけないことが確定した。
(星華ミナはここで殺しておきたかったが⋯⋯)
一番近場のグリンスタッドからここまでの距離を考えたとき、五分もあれば魔術師たちならば来ることができる。十分もすれば確実に来ると言っていい。
(⋯⋯魔力が大分削られた。駄目だね。もう撤退ラインを超えている──)
心核結界を使えば魔力はほぼ枯渇する。そんな状態で援軍と戦っても、死ぬ確率のほうが高い。それに、心核結界を使ってミナを殺せる確信もなければ、下手をすれば押し合いに負ける可能性だってある。そうなればそこで即死だ。
ここで選択すべきは撤退だ。
しかし、ただでは帰してくれないだろう。
「────」
ピンク色の光線が放たれた。ギーレは避けた。
「人が考え事してるときに不意打ちと──」
光線が乱射される。これは超能力が編み込まれている一般攻撃魔術だ。
速度も密度も出力も並外れている。が、無理していると分かる。
命中精度が極端に落ちていたから、ほとんど避ける必要がなかったのだ。
「はあ⋯⋯はあ⋯⋯っんで⋯⋯!」
殺せる、今なら。
星華ミナは弱っている。無理な魔術行使、超能力の使用の反動が来ているのだ。
「────。⋯⋯心核結界」
逡巡というには永い思考。結果として、ギーレは魔術を使うことにした。魔力が無くなる。その後をベットしてでも。そうすべきだと、判断した。
「──〈魔胎生窟〉」
ギーレが行使した心核結界が広がり始める。暗い洞窟の心象が具現化される。その中で起きるは無数の獣による虐殺。物量と質量の両方を取った魔術による殺戮。
だが、結界術に長けた魔術師を相手にすることなど初めから分かっていた。だから星華ミナがこの戦いに繰り出された。
眼前には無数の魔獣が蔓延っている。ギーレが展開したのは『閉じない心核結界』だからだ。
魔獣たちは河のように、流れ、そこら中を見たそうと、溢れる──。
数が多すぎる。自らが持つ殆ど全ての手持ちを出しているようだ。このままでは周囲の人にも被害が及ぶかもしれない。一刻も早く、殺さなくては。
「心核結界──」
魔術界御三家、マナ家の相伝魔力『変質』。
特に星華ミナにおいては、それは変幻自在、無尽蔵の魔力となる。
たったひと目見ただけで、空井リク一級魔術師の固有魔力『金属変換』を模倣した。
ならば──ミナは、彼女に魔術を教えるため、幾度もそれを見せたエストの固有魔力を模倣することはできるのか?
答えは──、
『ミナ、キミのセンスなら私の魔術を使うことはできる。でも、これは、流石においそれと使えたものじゃない。だから使うタイミングは見極めることだよ』
〈反射防御〉や〈位置反転〉、〈対称転移〉など、無詠唱を前提にした魔術をミナは使いこなすことができなかった。だったら、使わなくていい。悟られないように、と。
──〈墜幻想煌星〉をギーレは警戒しないわけがない。
史上最高の結界術師であるギーレならば、心核結界の即時要件変更など容易いはずだ。だから一度見せた破壊特化の心核結界は通用しないか、最低でも耐えられる。
だから、二度目の心核結界の勝負があるならば、と、ミナはこの手札を隠していた。
「──〈虚無世界〉ッ!」
想定外の魔術。対物理破壊に特化したおかげで、今のギーレの心核結界の精神防御、魔術相殺は薄まっており、合成魔術ではなく純粋な魔術であるため、特化させた魔力中和効果は見事に外れてしまった。
ギーレの類まれなる心核結界の才能が、要件変更を容易とするその実力が、ここに来て裏目に出る。
例え大魔族であろうと、例え出力機構が魔術師として未熟な術師であろうと、その魔術を構築したのはイアと同格の術師。その完全模倣魔術だ。
「──────」
虚無という情報が、ギーレの脳を侵し、思考能力を掻き消す。故に起こる、あらゆる活動の停止。すなわち脳機能の破損。
「はぁ──」
魔術の演算機関は疾うに限界を超えている。
しかし、魔力を載せることくらいは、できる。
ありったけの魔力を。
そして、ありったけの超能力を。
ミナは能力演算を終え、放つ。
『仄明星々』──120%
──ピンク色の星々が、咲き、乱れる。
────それの遺体は魔力の残滓ごと跡形もなく消し飛ばされた。
「⋯⋯⋯⋯」
魔力は枯渇している。超能力にも限界が来ている。
しかし周りには、ギーレが顕現させた魔獣が溢れている。心核結界によって出現したはずだが、術者が居なくても消え失せることはないらしい。それとも、術者が死んだからこそ溢れたのだろうか?
ここで倒れてしまえば、ミナは魔獣に食い荒らされるだろう。
でも、もう限界だ。
ミナの意識が、暗闇に落ちる。そして彼女の体が倒れようとした。
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