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モン娘ファームの日常
牧場長とリリィさんの出会い その3
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それから、また少し季節が流れた。
相も変わらず、俺は人外相手に拳を振るい、イーリスは看守やVIP相手に股を開く毎日が続いていたが、俺の方には若干の変化が訪れていた。
ここ数ヶ月、処理する人外種の偏りに変化が出ているのだ。
以前であれば、亜人に加え、都会で増えすぎたキャットピープルやドッグウーマンが比較的多かったのだが、最近は彼女等が送られてくる事がほとんどなくなった。
今では、アラクネ系やラミア系と言った、ぱっと見で異形とわかるシルエットのモン娘ばかりが対象となっている。
正直、彼女等を捕獲するのは、そんなに簡単な事ではないと思う。
元々数が少ない事に加え、ラミアやアラクネ等の半人系は都会に住む事をあまり好まないので、専門家が発見しようとがんばっても、生息地である自然豊かな山中や汚染の少ない河川を隈なく探し、ようやく見ける事ができるレベルの希少種なのだ。
もっとも、見つけにくいと言う意味での希少性らしく、少ないながらも居る所には居るとの報告もあるにはあるのだが。
その希少性に加えて、身体能力もそれなりに高いので、発見できたとしても捕獲できずに、逃げられてしまう可能性も高い。
さらには人に化ける能力も有しているので、人間社会に溶け込まれたら見つけ出すのは非常に困難だ。
なので、こんな所に送られて来るコト事態が希な事だったのだが、
ここの所、集中的に集めたとでも言わんばかりの入所率に加え、数居る新入りの中でも優先的に処分されている。
亜人や猫娘、犬娘などの虐殺シーンに飽きて、VIP達からそういう指示でもあったのかとも思ったが、どうやらそうでもないらしい。
俺の凡夫な脳みそでは思いつかない。なにかしらの意図があるのは明白だろう。
ここには様々な種が収監されているので、ラミア系やアラクネ系も見かけるコトはあったが、それでも彼女達の数は他の種と比べて、圧倒的に少ない。
その少ない古参の彼女達も、効率的な殺害方法の研究、簡単に言えば殺虫剤の開発試験に使われ続け、ちょっと前に星となった。
そんな不自然な日々が続いたある日の事だった。
「おら!ここがてめぇの小屋だ!入れ!!」
深夜0時過ぎ、本日の業務と言う名の殺戮を終え、そろそろ寝ようかと煎餅布団に潜り込んだ矢先、唐突に怒声と共に俺の部屋のドアが開け放たれ、なんだか白い物が投げ込まれてきた。
「おう13番、起きてたか。聞いて驚けよ、こいつはなアルビノ。色違いの魔物だ」
やってきたのは例のメタボ看守、田中だ。
奴はどや顔でそう息巻くと、放り込んだその色違いの魔物とやらの髪をつかんで顔を持ち上げる。
呻きながら苦悶の表情をみせるその娘は、なるほど、確かに全身が白い。
そして下半身が蛇? だろうか??? その割には鱗が見当たらないが・・・。
「見ての通り、気色の悪い半蛇族のラミアだが、珍しいから簡単には殺すなってお達しでな。どうせ生かしておくならついでだから子供を取ってみろって事になったんだが、ここには魔物の♂はいねぇし、俺達だってこんな気色の悪い生き物を抱く趣味はなくてな。おめぇに白羽の矢が立ったわけだ」
おいおいおい、マジかよ。殺処分兵器の次は繁殖動物かよ・・・。
てか、ラミアが気色悪いって、イーリスは良くて、コレが駄目な意味がわからん。
つーか、半蛇種だからってラミアとは限らないんだがな・・・。
それはともかく、確かにイーリスは完全な人間型で、コスプレパーツを付けた女の子ですって言われれば、それで押し通せる見た目だが、アレもコレも魔物って意味では大差なく同じだ。
それがこうまで扱いに差がつくとは、やはり視覚動物の人間では、見た目が人に近いかどうかで、性衝動に差が出るのだろうか?
そうだなぁ、仮に俺がこの白いのとやる。と考えた場合、どうだろうか?
・・・・・・・。
ふむ。いや、そんなに嫌悪感はないな。息子の都合的には不可能ではないだろう。
むしろ、そこらの人間の女よりよほど魅力的だと思う。
一緒に暮らすとなれば、なにかの拍子にアバンチュール! バキューン! 流れ弾が着弾!! 誕生! となっても不思議はない。
田中と俺ではストライクゾーンの幅に違いがあるようだ。
いや、そもそも俺の場合、母親からしてアレで、人の女にいい思い出がなく、おまけに性衝動の目覚める思春期以降の大半をここで暮らし、モン娘達と生活を共にしているのだから、性愛対象は人よりモン娘寄りという事になってもおかしくはない。
あ、いやいや、まてまて、自己分析はあとだ。
まずそれ以前に、気楽な一人部屋だったのに、いきなり雌をあてがわれての相部屋化、トドメにさぁ繁殖しろって言われても困る。
「当面、てめぇの仕事はソイツを孕ませる事だ。しばらく戦闘実験は休止するから、キッチリ種付けしろ。ああ、そうそう、ここでの暮らし方すら教えてねぇから、色々と面倒も見てやれや。いいな」
んが、俺の戸惑いなど意に介さず、田中は言いたいことだけ言って、さっさと出て行ってしまった。
残されたのは、なにがなんだかわからず、涙目で困惑している白いラミア?と、気まずい空気に堪えられず、どうしたもんかと冷や汗をたらす俺。
よくよく考えてみれば、ここでモン娘達と暮らしているって言っても、俺の仕事はそのモン娘達の殺処分だ。
忌避される存在の俺とまともに会話するのなんてイーリスぐらいなものなので、それ以外の相手とどう接すればいいのかなんてさっぱりだ。
おまけにその相手が、捨てられた子犬みたいになってる娘で、繁殖強要された存在ともなれば、どう扱えばいいのかなんて、全くの未知。
と、軽く逡巡してみたが、答えなんて出るはずもなく、
「よし。寝よう。今日はもう遅い。うん。それがいい。考えるのは後だ。あんたもそこいら辺で適当に寝ておけ。危ないから俺には近づかない方がいいぞ」
と言って、俺は布団に逃げた。
言うだけ言って布団に潜った俺に対し、白いのはポカーンとしていたみたいだったが、スルーする事にした。
その後少しして、隅の方からすすり泣く声が一晩中聞こえて来たおかげで、俺は全く寝れなかったのだが、まぁ、それもしかたのない話だ。
ここに連れてこられた奴は最初に大体3つの反応を示す。泣くか、暴れるか、諦めるかの3択だ。
どの場合でも最後には諦めるのだが、この娘の場合は良くある泣きパターンだった。
~~~次の日の昼~~~
「え! なに!! あんた私と言うものがありながら、他の雌を娶ったの!! 裏切り者ぉ!!」
「声がでけぇよ!! てか娶ってねぇし、お前ともそんな関係じゃあねぇっての!! つーかその理論で言うならお前は毎晩バカ共とハッスルしてて裏切ってねぇのかよ!!」
「えへへ~、照れるね」
「褒めてねぇから!!」
昼飯時の餌場でイーリスを見つけたので、ほぼ指定席となりつつあるベンチに座って餌を食いつつ昨日の出来事を話した所、イーリスの最初の発言がコレだった。
「まぁ、なんだ、確かにお前ぐらいしかまともに会話する奴いないからな、正直俺も扱いに困ってるんだよ。どう接すりゃいいか、てんでわからん」
「押し倒してやっちゃえばいいぢゃん」
あっけらかんとのたまうイーリス。
「いやいやいや、やっちゃえばいいぢゃんって、いいわけねぇだろ。俺のツラ見ると、恐怖で産まれたての子鹿みたいにブルブル震え出すんだぞ? 同じ部屋に居るだけで罪悪感ハンパねぇんだよ」
そう。田中の野郎があんな事を言ったせいか、例の白い娘はいつ俺に犯されるのかと、朝からガクブルしっぱなしなのである。
今日から戦闘実験と言う名の殺処分は休みになったものの、その理由がアレとの妊活だって言うのだから笑えない。
「う~ん。その人間の価値観が私には良くわからないけど、私らは無理やり犯す事が出来る雄を行為の最中に受け入れるからね。たとえ事前に心が拒否してても、繁殖相手としての条件に、自分を犯せる程に強い雄ってのがあるし。犯されたなら諦めて受け入れるのさ。あんたならその条件、存分に満たしてると思うけど??」
その理屈は確かに知っている。野生での魔物はその価値観で繁殖行為に及ぶ事もあると。
「でもよ、イーリス。俺はこれでも一応ヒトだ。人間社会に適応できない落ちこぼれな存在だが、それでもヒトなんだよ。理屈上の正論だからと、獣の道理で動けば、ここのバカ共と同じヒトの皮を被った野獣に成り下がってしまう」
目を合わせずに餌だけ見つめてそう話す俺の顔を下から覗き込み、イーリスが問う。
「嫌なの?獣に落ちるのは?」
「それ自体は気にならないさ。そもそも俺は一応ヒトと言うだけであって、とうにまともなヒトではないだろう? どれだけの命をこの手で散らせたと思う? 数なんて覚えてねぇぐらい大量にだ。そんな奴が普通の人間だなんて言えねぇだろ?」
「まぁね。確かにその通り」
俺の独白をイーリスは顔も変えずにうんうん肯定する。
「だからさ、せめて、自分の価値観だけは曲げられない。獣に落ちるのはかまわないが、あいつ等と同じ獣にはなれない。畜生道に違いなんざ無いのかもしれないが、それでもな、譲れないモノはあるんだよ」
自分でも何に意地を張っているのか良くわからないが、少なくとも、事前に了承を得ていない相手に行為を迫る事はできない。
「それは、あんたが私を抱かない事と関係あるの?」
「いや、ないな。単にお前は尻軽すぎて俺の好みではないだけだ」
「ぬあー! しょーがないでしょ!! そういう種族なんだから!!!」
「だからそういう種族が好みぢゃねー!って言ってんの!!」
まじめな話をしていたのだが、大体コイツとの会話は最後にふざけた感じで終わる。
股が緩い事意外は良い女なんだがなぁ・・・。
~~~~~~~~~~~
「で、どうすんのさ」
「んぅ?」
餌を食い終わった午後。いつものお勤めが無いため、久々に俺はブラブラしていた。
そしてイーリスの仕事も基本的に夜なので、二人揃って暇だ。
「んぅ? じゃないわよ。その押し付けられた子の事よ。看守命令って事は結局やらないワケにはいかないでしょ?」
「うぐっ、うむ。まぁ、確かに、うむ・・・」
暇故に、必然的に会話はさっきの続きになってしまう。
そしてその結論から言えば、俺の矜持とか覚悟とか関係なしに、命令である以上、あの白いのを抱かないワケにはいかない。と言う事になる。
今こうしているのも、結局はそのために空けられた時間なのだ。
「てかさ、あんた的には双方合意の上での行為なら問題ないのよね? 相手の見た目が不服で主力兵装が使用できないとかじゃなくて」
「あ、ああ。見た目的には良い方だと思うぞ。息子も不服はないと言っている」
そう、件の娘は愛らしさで言えばイーリスより上だと思う。
行為に入ってしまえば、息子も理解してくれるはずだ。たぶん。
「いやそれ、どんな息子よ。それはさておき、なら相手があんたに惚れて股座濡らす程に好感度上げていけばいいんぢゃない?」
「その通りだけど、イチイチ生々しい表現をするな。てか雌の好感度の上げ方なんかわかれば苦労しねぇよ」
「え?」
「え?」
二人揃って素っ頓狂な声を上げ、ハテナ顔。
「え、あんたもしかして、DT? DTOなの??」
「悪ぃかよ!! こちとら中学出て即効でここに収容されているんだよ!! 相手なんかいねぇつーの!!」
「へー、はー、ふぅーん」
その肯定を聞いた途端。興味のなさそうな台詞とは裏腹に、獲物を見つめる猛禽類の目となるイーリス。
「それは私とした事が痛恨のミスだったわー。そっかー。ならさ、私がとっとと奪ってしまえば良かったって事よね!!」
「ふぇ?? ぬぉ! ちょ!! なにしやがる!!」
咄嗟の事で、イーリスの言葉を理解しようと脳が整理を始めた瞬間、答えにはたどり着かせぬとばかりのとんでもない速さで俺の後ろに回りこむと、ヘッドロックを決め込むイーリス。
「へへーん。下手に抵抗すればあたしがミンチになっちゃうぞぉ。大人しくやられちゃいなさい」
「な、この糞アマ、自分を人質に逆レを迫るとか斬新すぎるだろ!!」
不味い。冗談抜きに抵抗できない。腕を外そうとすれば、そのままもげてしまう可能性も高いし、暴れればひき肉になってしまうこと必死。
気に食わない雌ならそれでもいいが、こいつは数少ない話相手であり、憎からず思っている奴だ。
「さぁさぁこちらへ。さぁさぁ」
「ちょ、おい! 冗談だよな!!」
そう青ざめながら言う俺だったが、後ろへと引きずるイーリスは便所に向かって一直線だ。
「だー!! 本気っぷりパネェ!!」
「あんたの悟り具合からして、てっきり百戦錬磨のスケコマシが一周回って修行僧になったモノだと思ってたのに、騙されたわー。単なるエロ孔明だったなんて、この試合妙者め!!」
ずりずりと俺をバックで引きずり、完全にスイッチONになっているイーリス。
こちとらそういう機会がなかっただけで、試合妙者もへったくれもないのだが!!
「DTなんてちょっと良い子良い子してやれば、意思に反してすぐにやる気になっちゃう暴れん坊なんだから、最初からこうすればよかったなー」
完璧に発情してエロイ顔になっているイーリス。これは不味い!!
「ぬあー!! 万事休すぁー!!!」
首筋に当たる乳のおかげで、行為前だと言うのに息子は元気になりつつあるし、奇数を数えて精神統一しても、おっぱじまったら抵抗できねぇぞこれぇ!!!
「まじかー!! おいぃ!! これマジな奴なのかぁー!!」
こうして、俺は魂の叫びもむなしく、されるがままに個室へと連れ込まれた。
後の顛末はその、察して欲しい。
どれだけ表面上で抵抗しようとも、自家発電三郎すら困難な禁欲監視生活の中で、据え膳食わねばな状況に引きずり込まれたら、DTOには抵抗の術などなく、始まったが最後、暴走機関車もびっくりな感じでハッスルしてしまうのだった。
相も変わらず、俺は人外相手に拳を振るい、イーリスは看守やVIP相手に股を開く毎日が続いていたが、俺の方には若干の変化が訪れていた。
ここ数ヶ月、処理する人外種の偏りに変化が出ているのだ。
以前であれば、亜人に加え、都会で増えすぎたキャットピープルやドッグウーマンが比較的多かったのだが、最近は彼女等が送られてくる事がほとんどなくなった。
今では、アラクネ系やラミア系と言った、ぱっと見で異形とわかるシルエットのモン娘ばかりが対象となっている。
正直、彼女等を捕獲するのは、そんなに簡単な事ではないと思う。
元々数が少ない事に加え、ラミアやアラクネ等の半人系は都会に住む事をあまり好まないので、専門家が発見しようとがんばっても、生息地である自然豊かな山中や汚染の少ない河川を隈なく探し、ようやく見ける事ができるレベルの希少種なのだ。
もっとも、見つけにくいと言う意味での希少性らしく、少ないながらも居る所には居るとの報告もあるにはあるのだが。
その希少性に加えて、身体能力もそれなりに高いので、発見できたとしても捕獲できずに、逃げられてしまう可能性も高い。
さらには人に化ける能力も有しているので、人間社会に溶け込まれたら見つけ出すのは非常に困難だ。
なので、こんな所に送られて来るコト事態が希な事だったのだが、
ここの所、集中的に集めたとでも言わんばかりの入所率に加え、数居る新入りの中でも優先的に処分されている。
亜人や猫娘、犬娘などの虐殺シーンに飽きて、VIP達からそういう指示でもあったのかとも思ったが、どうやらそうでもないらしい。
俺の凡夫な脳みそでは思いつかない。なにかしらの意図があるのは明白だろう。
ここには様々な種が収監されているので、ラミア系やアラクネ系も見かけるコトはあったが、それでも彼女達の数は他の種と比べて、圧倒的に少ない。
その少ない古参の彼女達も、効率的な殺害方法の研究、簡単に言えば殺虫剤の開発試験に使われ続け、ちょっと前に星となった。
そんな不自然な日々が続いたある日の事だった。
「おら!ここがてめぇの小屋だ!入れ!!」
深夜0時過ぎ、本日の業務と言う名の殺戮を終え、そろそろ寝ようかと煎餅布団に潜り込んだ矢先、唐突に怒声と共に俺の部屋のドアが開け放たれ、なんだか白い物が投げ込まれてきた。
「おう13番、起きてたか。聞いて驚けよ、こいつはなアルビノ。色違いの魔物だ」
やってきたのは例のメタボ看守、田中だ。
奴はどや顔でそう息巻くと、放り込んだその色違いの魔物とやらの髪をつかんで顔を持ち上げる。
呻きながら苦悶の表情をみせるその娘は、なるほど、確かに全身が白い。
そして下半身が蛇? だろうか??? その割には鱗が見当たらないが・・・。
「見ての通り、気色の悪い半蛇族のラミアだが、珍しいから簡単には殺すなってお達しでな。どうせ生かしておくならついでだから子供を取ってみろって事になったんだが、ここには魔物の♂はいねぇし、俺達だってこんな気色の悪い生き物を抱く趣味はなくてな。おめぇに白羽の矢が立ったわけだ」
おいおいおい、マジかよ。殺処分兵器の次は繁殖動物かよ・・・。
てか、ラミアが気色悪いって、イーリスは良くて、コレが駄目な意味がわからん。
つーか、半蛇種だからってラミアとは限らないんだがな・・・。
それはともかく、確かにイーリスは完全な人間型で、コスプレパーツを付けた女の子ですって言われれば、それで押し通せる見た目だが、アレもコレも魔物って意味では大差なく同じだ。
それがこうまで扱いに差がつくとは、やはり視覚動物の人間では、見た目が人に近いかどうかで、性衝動に差が出るのだろうか?
そうだなぁ、仮に俺がこの白いのとやる。と考えた場合、どうだろうか?
・・・・・・・。
ふむ。いや、そんなに嫌悪感はないな。息子の都合的には不可能ではないだろう。
むしろ、そこらの人間の女よりよほど魅力的だと思う。
一緒に暮らすとなれば、なにかの拍子にアバンチュール! バキューン! 流れ弾が着弾!! 誕生! となっても不思議はない。
田中と俺ではストライクゾーンの幅に違いがあるようだ。
いや、そもそも俺の場合、母親からしてアレで、人の女にいい思い出がなく、おまけに性衝動の目覚める思春期以降の大半をここで暮らし、モン娘達と生活を共にしているのだから、性愛対象は人よりモン娘寄りという事になってもおかしくはない。
あ、いやいや、まてまて、自己分析はあとだ。
まずそれ以前に、気楽な一人部屋だったのに、いきなり雌をあてがわれての相部屋化、トドメにさぁ繁殖しろって言われても困る。
「当面、てめぇの仕事はソイツを孕ませる事だ。しばらく戦闘実験は休止するから、キッチリ種付けしろ。ああ、そうそう、ここでの暮らし方すら教えてねぇから、色々と面倒も見てやれや。いいな」
んが、俺の戸惑いなど意に介さず、田中は言いたいことだけ言って、さっさと出て行ってしまった。
残されたのは、なにがなんだかわからず、涙目で困惑している白いラミア?と、気まずい空気に堪えられず、どうしたもんかと冷や汗をたらす俺。
よくよく考えてみれば、ここでモン娘達と暮らしているって言っても、俺の仕事はそのモン娘達の殺処分だ。
忌避される存在の俺とまともに会話するのなんてイーリスぐらいなものなので、それ以外の相手とどう接すればいいのかなんてさっぱりだ。
おまけにその相手が、捨てられた子犬みたいになってる娘で、繁殖強要された存在ともなれば、どう扱えばいいのかなんて、全くの未知。
と、軽く逡巡してみたが、答えなんて出るはずもなく、
「よし。寝よう。今日はもう遅い。うん。それがいい。考えるのは後だ。あんたもそこいら辺で適当に寝ておけ。危ないから俺には近づかない方がいいぞ」
と言って、俺は布団に逃げた。
言うだけ言って布団に潜った俺に対し、白いのはポカーンとしていたみたいだったが、スルーする事にした。
その後少しして、隅の方からすすり泣く声が一晩中聞こえて来たおかげで、俺は全く寝れなかったのだが、まぁ、それもしかたのない話だ。
ここに連れてこられた奴は最初に大体3つの反応を示す。泣くか、暴れるか、諦めるかの3択だ。
どの場合でも最後には諦めるのだが、この娘の場合は良くある泣きパターンだった。
~~~次の日の昼~~~
「え! なに!! あんた私と言うものがありながら、他の雌を娶ったの!! 裏切り者ぉ!!」
「声がでけぇよ!! てか娶ってねぇし、お前ともそんな関係じゃあねぇっての!! つーかその理論で言うならお前は毎晩バカ共とハッスルしてて裏切ってねぇのかよ!!」
「えへへ~、照れるね」
「褒めてねぇから!!」
昼飯時の餌場でイーリスを見つけたので、ほぼ指定席となりつつあるベンチに座って餌を食いつつ昨日の出来事を話した所、イーリスの最初の発言がコレだった。
「まぁ、なんだ、確かにお前ぐらいしかまともに会話する奴いないからな、正直俺も扱いに困ってるんだよ。どう接すりゃいいか、てんでわからん」
「押し倒してやっちゃえばいいぢゃん」
あっけらかんとのたまうイーリス。
「いやいやいや、やっちゃえばいいぢゃんって、いいわけねぇだろ。俺のツラ見ると、恐怖で産まれたての子鹿みたいにブルブル震え出すんだぞ? 同じ部屋に居るだけで罪悪感ハンパねぇんだよ」
そう。田中の野郎があんな事を言ったせいか、例の白い娘はいつ俺に犯されるのかと、朝からガクブルしっぱなしなのである。
今日から戦闘実験と言う名の殺処分は休みになったものの、その理由がアレとの妊活だって言うのだから笑えない。
「う~ん。その人間の価値観が私には良くわからないけど、私らは無理やり犯す事が出来る雄を行為の最中に受け入れるからね。たとえ事前に心が拒否してても、繁殖相手としての条件に、自分を犯せる程に強い雄ってのがあるし。犯されたなら諦めて受け入れるのさ。あんたならその条件、存分に満たしてると思うけど??」
その理屈は確かに知っている。野生での魔物はその価値観で繁殖行為に及ぶ事もあると。
「でもよ、イーリス。俺はこれでも一応ヒトだ。人間社会に適応できない落ちこぼれな存在だが、それでもヒトなんだよ。理屈上の正論だからと、獣の道理で動けば、ここのバカ共と同じヒトの皮を被った野獣に成り下がってしまう」
目を合わせずに餌だけ見つめてそう話す俺の顔を下から覗き込み、イーリスが問う。
「嫌なの?獣に落ちるのは?」
「それ自体は気にならないさ。そもそも俺は一応ヒトと言うだけであって、とうにまともなヒトではないだろう? どれだけの命をこの手で散らせたと思う? 数なんて覚えてねぇぐらい大量にだ。そんな奴が普通の人間だなんて言えねぇだろ?」
「まぁね。確かにその通り」
俺の独白をイーリスは顔も変えずにうんうん肯定する。
「だからさ、せめて、自分の価値観だけは曲げられない。獣に落ちるのはかまわないが、あいつ等と同じ獣にはなれない。畜生道に違いなんざ無いのかもしれないが、それでもな、譲れないモノはあるんだよ」
自分でも何に意地を張っているのか良くわからないが、少なくとも、事前に了承を得ていない相手に行為を迫る事はできない。
「それは、あんたが私を抱かない事と関係あるの?」
「いや、ないな。単にお前は尻軽すぎて俺の好みではないだけだ」
「ぬあー! しょーがないでしょ!! そういう種族なんだから!!!」
「だからそういう種族が好みぢゃねー!って言ってんの!!」
まじめな話をしていたのだが、大体コイツとの会話は最後にふざけた感じで終わる。
股が緩い事意外は良い女なんだがなぁ・・・。
~~~~~~~~~~~
「で、どうすんのさ」
「んぅ?」
餌を食い終わった午後。いつものお勤めが無いため、久々に俺はブラブラしていた。
そしてイーリスの仕事も基本的に夜なので、二人揃って暇だ。
「んぅ? じゃないわよ。その押し付けられた子の事よ。看守命令って事は結局やらないワケにはいかないでしょ?」
「うぐっ、うむ。まぁ、確かに、うむ・・・」
暇故に、必然的に会話はさっきの続きになってしまう。
そしてその結論から言えば、俺の矜持とか覚悟とか関係なしに、命令である以上、あの白いのを抱かないワケにはいかない。と言う事になる。
今こうしているのも、結局はそのために空けられた時間なのだ。
「てかさ、あんた的には双方合意の上での行為なら問題ないのよね? 相手の見た目が不服で主力兵装が使用できないとかじゃなくて」
「あ、ああ。見た目的には良い方だと思うぞ。息子も不服はないと言っている」
そう、件の娘は愛らしさで言えばイーリスより上だと思う。
行為に入ってしまえば、息子も理解してくれるはずだ。たぶん。
「いやそれ、どんな息子よ。それはさておき、なら相手があんたに惚れて股座濡らす程に好感度上げていけばいいんぢゃない?」
「その通りだけど、イチイチ生々しい表現をするな。てか雌の好感度の上げ方なんかわかれば苦労しねぇよ」
「え?」
「え?」
二人揃って素っ頓狂な声を上げ、ハテナ顔。
「え、あんたもしかして、DT? DTOなの??」
「悪ぃかよ!! こちとら中学出て即効でここに収容されているんだよ!! 相手なんかいねぇつーの!!」
「へー、はー、ふぅーん」
その肯定を聞いた途端。興味のなさそうな台詞とは裏腹に、獲物を見つめる猛禽類の目となるイーリス。
「それは私とした事が痛恨のミスだったわー。そっかー。ならさ、私がとっとと奪ってしまえば良かったって事よね!!」
「ふぇ?? ぬぉ! ちょ!! なにしやがる!!」
咄嗟の事で、イーリスの言葉を理解しようと脳が整理を始めた瞬間、答えにはたどり着かせぬとばかりのとんでもない速さで俺の後ろに回りこむと、ヘッドロックを決め込むイーリス。
「へへーん。下手に抵抗すればあたしがミンチになっちゃうぞぉ。大人しくやられちゃいなさい」
「な、この糞アマ、自分を人質に逆レを迫るとか斬新すぎるだろ!!」
不味い。冗談抜きに抵抗できない。腕を外そうとすれば、そのままもげてしまう可能性も高いし、暴れればひき肉になってしまうこと必死。
気に食わない雌ならそれでもいいが、こいつは数少ない話相手であり、憎からず思っている奴だ。
「さぁさぁこちらへ。さぁさぁ」
「ちょ、おい! 冗談だよな!!」
そう青ざめながら言う俺だったが、後ろへと引きずるイーリスは便所に向かって一直線だ。
「だー!! 本気っぷりパネェ!!」
「あんたの悟り具合からして、てっきり百戦錬磨のスケコマシが一周回って修行僧になったモノだと思ってたのに、騙されたわー。単なるエロ孔明だったなんて、この試合妙者め!!」
ずりずりと俺をバックで引きずり、完全にスイッチONになっているイーリス。
こちとらそういう機会がなかっただけで、試合妙者もへったくれもないのだが!!
「DTなんてちょっと良い子良い子してやれば、意思に反してすぐにやる気になっちゃう暴れん坊なんだから、最初からこうすればよかったなー」
完璧に発情してエロイ顔になっているイーリス。これは不味い!!
「ぬあー!! 万事休すぁー!!!」
首筋に当たる乳のおかげで、行為前だと言うのに息子は元気になりつつあるし、奇数を数えて精神統一しても、おっぱじまったら抵抗できねぇぞこれぇ!!!
「まじかー!! おいぃ!! これマジな奴なのかぁー!!」
こうして、俺は魂の叫びもむなしく、されるがままに個室へと連れ込まれた。
後の顛末はその、察して欲しい。
どれだけ表面上で抵抗しようとも、自家発電三郎すら困難な禁欲監視生活の中で、据え膳食わねばな状況に引きずり込まれたら、DTOには抵抗の術などなく、始まったが最後、暴走機関車もびっくりな感じでハッスルしてしまうのだった。
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