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結論
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「はあ……」
夢叶がわたしのことを好きだなんて信じられない。ならば昔のわたしは告白したら夢叶と付き合えていたのだろうか。
(いや、今そんなこと考えても仕方ないか……)
そもそもなんで夢叶はわたしのことが好きなのだろうか。わたしが夢叶に助けられてばっかりだったのに。
自分でも信じられないが、わたしは夢叶と同じくらい沙耶のことを好きになっていた。でも自分の夢叶と沙耶に対する感情を天秤にかけてみても全く動かない。
わたしはもうはまらないようにしていた夢叶の沼に片足だけはまってしまい、抜け出すこともできないし、はまりきることもできない、そんな身動きがとれない状態に陥っていた。
(わたしどうしたらいいんだろう……)
結局結論は出ることなく、わたしは家に到着してしまった。家に帰ってからも考えて考えて考え抜いたが、やはり答えは出てこない。
「姫華、今日元気ないわね」
「え?」
わたしがソファに座ってぼーっとテレビを見ているとお母さんが話しかけてきた。
いつも通りにしているつもりではいたのだが、お母さんにはわたしが悩んでいるのがお見通しのようだった。
わたしはこれ以上どうすればいいかわからなくなって、思い切ってお母さんに相談してみることにした。
「お母さんはさ、もしも好きな人が二人いたらどうする?」
「ええ? 好きな人が二人?」
「うん。どっちも好きだけど、絶対どっちかを選ばなきゃいけないの」
「そうねえ……」
お母さんは首を少し傾けて悩んでいるようだった。まあこんなことを急に聞かれも悩むのは当たり前だ。
「うーん、やっぱり今一緒にいて幸せな方じゃないかしら?」
「……幸せ?」
「そう。この人といると楽しい、安心するーっていうよりかは幸せだなって思った方の人が本当に好きな人なんじゃないかしら?」
(幸せ……)
そう考えているとわたしの頭に一人の顔が思い浮かぶ。
(……! ああそうか。わたし…… もしかして……)
「ありがとうお母さん!」
「なんの質問だったの?」
「えーっと、心理テスト的な!」
そう言ってわたしは自分の部屋に戻る。
お母さんの言葉を聞いてわたしはどうすればいいのか、どうしたいのかがわかった。お母さんのおかげでわたしは一歩前進どころか結論を出すところまでたどり着くことができたのだ。
きっと幸せとは……
わたしは自分の中で考えを整理して、明日二人に伝えようと決心した。
☆
「な、なんでいるの?」
わたしは朝目覚めて、いつも通りの時間に玄関の扉を開けると、なぜかわたしの目の前に沙耶と夢叶がいた。
「姫華と一緒に学校行きたかったから」
「姫ちゃんに早く会いたかったから!」
二人が同時にそう言うと、わたしの前でバチバチとした睨みあい合戦が開催される。
「朝雛さんさあ、なんでいるの? いっつもわたしが姫ちゃんと一緒に学校行ってるんだけど?」
「だから姫華と一緒に学校に行きたいからって言ったと思うけど。てかわたしは姫華の彼女なんだけど? 友達の桜庭さんが姫華の恋を邪魔しないでよ」
「邪魔してないもん! 姫ちゃんが好きなのはわたしだもん!」
「この前姫華はわたしのこと好きって言ってくれたけど?」
「なっ……!」
なんだろうこのギスギスした空気は。
「姫ちゃん! 気持ちは決まった?」
「……うん。決まったよ。二人ともお昼休憩に時間もらってもいいかな?」
今ここで伝えてしまうよりも、周りに人がいない場所で真剣に伝える方がいいだろう。
「もちろん!」
「沙耶も大丈夫?」
「……うん、大丈夫だよ」
どこか沙耶の様子がおかしかったが、すぐにまた夢叶と言い合いを始めたので、すぐに気にならなくなった。
わたしはこのギスギスした空気感を回避すべく、いつもよりも早足で学校へと向かった。
夢叶がわたしのことを好きだなんて信じられない。ならば昔のわたしは告白したら夢叶と付き合えていたのだろうか。
(いや、今そんなこと考えても仕方ないか……)
そもそもなんで夢叶はわたしのことが好きなのだろうか。わたしが夢叶に助けられてばっかりだったのに。
自分でも信じられないが、わたしは夢叶と同じくらい沙耶のことを好きになっていた。でも自分の夢叶と沙耶に対する感情を天秤にかけてみても全く動かない。
わたしはもうはまらないようにしていた夢叶の沼に片足だけはまってしまい、抜け出すこともできないし、はまりきることもできない、そんな身動きがとれない状態に陥っていた。
(わたしどうしたらいいんだろう……)
結局結論は出ることなく、わたしは家に到着してしまった。家に帰ってからも考えて考えて考え抜いたが、やはり答えは出てこない。
「姫華、今日元気ないわね」
「え?」
わたしがソファに座ってぼーっとテレビを見ているとお母さんが話しかけてきた。
いつも通りにしているつもりではいたのだが、お母さんにはわたしが悩んでいるのがお見通しのようだった。
わたしはこれ以上どうすればいいかわからなくなって、思い切ってお母さんに相談してみることにした。
「お母さんはさ、もしも好きな人が二人いたらどうする?」
「ええ? 好きな人が二人?」
「うん。どっちも好きだけど、絶対どっちかを選ばなきゃいけないの」
「そうねえ……」
お母さんは首を少し傾けて悩んでいるようだった。まあこんなことを急に聞かれも悩むのは当たり前だ。
「うーん、やっぱり今一緒にいて幸せな方じゃないかしら?」
「……幸せ?」
「そう。この人といると楽しい、安心するーっていうよりかは幸せだなって思った方の人が本当に好きな人なんじゃないかしら?」
(幸せ……)
そう考えているとわたしの頭に一人の顔が思い浮かぶ。
(……! ああそうか。わたし…… もしかして……)
「ありがとうお母さん!」
「なんの質問だったの?」
「えーっと、心理テスト的な!」
そう言ってわたしは自分の部屋に戻る。
お母さんの言葉を聞いてわたしはどうすればいいのか、どうしたいのかがわかった。お母さんのおかげでわたしは一歩前進どころか結論を出すところまでたどり着くことができたのだ。
きっと幸せとは……
わたしは自分の中で考えを整理して、明日二人に伝えようと決心した。
☆
「な、なんでいるの?」
わたしは朝目覚めて、いつも通りの時間に玄関の扉を開けると、なぜかわたしの目の前に沙耶と夢叶がいた。
「姫華と一緒に学校行きたかったから」
「姫ちゃんに早く会いたかったから!」
二人が同時にそう言うと、わたしの前でバチバチとした睨みあい合戦が開催される。
「朝雛さんさあ、なんでいるの? いっつもわたしが姫ちゃんと一緒に学校行ってるんだけど?」
「だから姫華と一緒に学校に行きたいからって言ったと思うけど。てかわたしは姫華の彼女なんだけど? 友達の桜庭さんが姫華の恋を邪魔しないでよ」
「邪魔してないもん! 姫ちゃんが好きなのはわたしだもん!」
「この前姫華はわたしのこと好きって言ってくれたけど?」
「なっ……!」
なんだろうこのギスギスした空気は。
「姫ちゃん! 気持ちは決まった?」
「……うん。決まったよ。二人ともお昼休憩に時間もらってもいいかな?」
今ここで伝えてしまうよりも、周りに人がいない場所で真剣に伝える方がいいだろう。
「もちろん!」
「沙耶も大丈夫?」
「……うん、大丈夫だよ」
どこか沙耶の様子がおかしかったが、すぐにまた夢叶と言い合いを始めたので、すぐに気にならなくなった。
わたしはこのギスギスした空気感を回避すべく、いつもよりも早足で学校へと向かった。
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