なんか3Dプリントとかいうスキルもらったんだが…

ぽぴー

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第一話

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まさしは目を覚ました。暗い空間に浮かんでいたような感覚から、一瞬で現実に引き戻される。身体を起こし、周囲を見渡した。

「…ここはどこだ?」

見渡す限り、荒れた大地が広がっている。遠くには崩れた山や荒れた森が広がり、空は灰色に覆われている。その光景を目にして、まさしは思わず立ち尽くした。

「おいおい、これは夢か?」と、自分に言い聞かせる。

でも、夢にしては現実的すぎる。空気の冷たさ、足元の不安定さ、そして、何よりも目の前の景色があまりにもリアルだ。

その時、突然、上空から光が降り注ぐような感覚がした。まさしは驚き、体を硬直させた。

「な、なんだ!?これは…」

空を見上げると、どこからともなく、輝く光がまさしに向かって降りてきた。その光は次第に収束し、一つの大きな存在が現れた。

「ようこそ、新しい世界へ。」

その存在は、まさしを見下ろすように静かに語りかける。まさしはその声に驚きつつも、何となく神聖な感じがするその存在に目を見張る。

「お前、神か?」まさしは目を見開いて尋ねる。

その存在は静かに頷いた。「その通りだ。私はこの世界を統べる神だ。」

「へぇ、神様ね…」まさしは納得がいかない様子で首をかしげた。「なんで俺がここに転生してんだ?異世界転生ってやつ?」

神は穏やかな声で答える。「君は選ばれた者だ。この世界で新たな人生を始め、世界を変える力を持っている。」

「選ばれた?」まさしはその言葉に疑問を感じつつも、何となく自分の中でそれが事実だという感覚が湧いてきた。「でも、どうやって世界を変えればいいんだよ?俺はただの普通の人間だし。」

神のような存在は、まさしの目の前に何かを浮かび上がらせた。それは、まるで空気を裂くかのように、いくつかの光の粒子が集まって形を成し、一つの奇妙な形を成す。

「君には特別なスキルが授けられた。君のスキル『3Dプリント』を使えば、この世界で必要なものを作り出すことができる。君が手をかざすことで、物質を具現化し、君の望むものを生み出せるのだ。」

まさしはその言葉を聞いて、ただ立ち尽くすしかなかった。「な、なんだって?」

神は少し微笑んだ。「そのスキルを使い、君はこの荒れた世界に新たな村を作り上げ、仲間を集め、やがては大国とも取引できるような村を築くことができる。」

「それで、どうすればいいんだ?」まさしはすぐに自分の立場を確認した。「まず、俺がやらなきゃいけないことは何だ?」

神はゆっくりと語り始めた。「まずは、この荒れた土地で生き延びることだ。君のスキルを駆使して、家を作り、食料を得る。そして、君のスキルが成長すれば、もっと大きなものを作れるようになるだろう。最初は小さなものから始めて、少しずつレベルアップを目指していけ。」

「レベルアップ?」まさしはその言葉を繰り返す。「どうやってレベルアップすんだ?」

「君のスキルは、君の経験に応じて成長する。君が物を作り続け、戦い、挑戦し続けることで、スキルレベルが上がり、より強力なものを作れるようになるだろう。」神のような存在はまさしを見守りながら続けた。「ただし、注意してほしい。この世界には危険な魔物も多く潜んでいる。最初のうちは、弱い魔物と戦うことになるだろう。」

「魔物?」まさしは眉をひそめた。「そんなの、普通のファンタジーでよく見るやつか?」

神はうなずく。「その通りだ。君がこれから向かう先には、スライムやゴブリンのような弱い魔物が出現するだろう。それらを倒して経験値を得ることが、君の成長を助ける。」

「スライム?」まさしは少し戸惑いながらも、その名前に覚えがある。「ゲームで見たことがあるな。」

「その通りだ。君の知識を活かして、この世界で生き抜くのだ。」神は言葉を続ける。「君の力を試すため、まずは近くの森を探索し、スライムを倒してみるといい。」

「分かった。」まさしは覚悟を決めて答える。「スライム…か。俺の力を使って、まずはそれを倒す。じゃあ、行ってみるか。」

「頑張りたまえ。」神はにっこりと微笑んだ。

まさしは自分の手をじっと見つめ、軽く息をつく。「よし、やってみよう。」

その瞬間、まさしは周囲の景色を再び見渡した。荒れた土地が広がっている中、近くに森の入り口が見えた。彼はその方向へ向かうべく、足を踏み出した。

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