なんか3Dプリントとかいうスキルもらったんだが…

ぽぴー

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第三話

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まさしは槍をしっかりと握りしめ、慎重に森の中を進んでいた。今までの平穏な景色も、魔物が存在するという事実を知ると一変し、なんとなく不安な気持ちが湧いてくる。それでも、次に何が待っているのかを確認するためには、まずは一歩踏み出さなければならない。

「スライムか…弱いとは言われているけど、気を抜くわけにはいかないな。」

前回、あのスライムが本当に弱いのか、それとも何かの罠だったのか。それがまさしの心に引っかかっていた。だが、彼は何度も自分に言い聞かせる。「どんな弱い魔物でも、油断しないことだ。」

歩きながら、まさしは周囲の草むらや木々に目を光らせた。すると、ふと木陰の中から小さな物音が聞こえてきた。「ん?何だ?」

足音をひそめ、ゆっくりとその音のする方に近づく。息を殺して草むらの中に顔を出すと、そこには一匹のスライムがうごめいていた。

「こ、これがスライムか…」

スライムは、まるで透明なゼリーの塊のような姿をしており、緑色の柔らかな体がぷるぷると揺れている。その動きはゆっくりで、まさしに気づいていないようだ。しばらくそのまま、スライムは地面を這いながら動き回っている。

「やっぱり、これくらいのサイズなら楽に倒せるか。」

まさしは槍をしっかりと握りしめ、スライムに向かって歩き出した。しかし、すぐに冷静になって立ち止まった。「待てよ…スライムって、どんな攻撃をしてくるんだ?」

スライムはまったく反応を示さない。だが、まさしは慎重に考える。スライムには物理攻撃が効きにくいという話を聞いたことがある。魔法で弱点を突くこともできるが、今はそんなスキルは持っていない。唯一の武器は「3Dプリント」で作った槍だ。

「よし、いけるだろ。」

まさしは決心して、槍を持ち直し、スライムに向かって素早く駆け出した。スライムはまったく気づかず、ゆっくりと地面を這っている。まさしはその隙を突いて、槍をスライムの中央に突き刺した。

「えいっ!」

槍がスライムの透明な体に突き刺さると、スライムはぷるぷると震えた後、まさしの槍を避けるように動き始めた。しかし、槍がしっかりとスライムの体に食い込んでいるので、スライムは身動きが取れない。

「効いてる!」

スライムは明らかに苦しんでいる様子だ。まさしはさらに槍を押し込むと、スライムがぷしゅっと音を立てて割れるように潰れていった。

「やったか?」

数秒後、スライムは完全に消えてなくなり、地面に緑色のゼリーのような液体が残った。

「ふう…これで終わりか。」

まさしは息をつきながら、スライムの残骸をじっと見つめた。予想通り、スライムはあっけなく倒すことができたが、それでも心の中では少し安堵していた。

「やっぱりスライムは、見た目通りの弱さだな。けど、これでスキルの使い方がもっと分かった。」

まさしは槍を引き抜き、周囲を見渡しながら再び歩き出した。「次はもう少し強い魔物を倒してみよう。」


スライムを倒した後、まさしは少し冷静になって周囲を見渡した。スライムの弱さを再認識したものの、今後は効率よく倒す方法を考える必要がある。手にした槍では、多少面倒な作業が残るし、何より無駄な体力を使ってしまう。それならば、もっと効率的にスライムを倒せる道具を作った方が賢いだろう。

「槍はまあまあ使えるけど、もっと簡単にスライムを倒せるものがあれば楽だな。」

まさしは考え込んだ。スライムは基本的に柔らかいゼリーのような体をしているが、物理的な攻撃が効きにくいという話だった。ならば、槍を使って突き刺すよりも、別の方法で処理したほうが効率的だろう。

「そうだ、例えば…ネット状の道具とか、トラップみたいなものがあれば、スライムを簡単に捕まえられるんじゃないか?」

まさしは手を広げて、自分のスキル「3Dプリント」を発動させた。スキルレベルはまだ低いが、それでも試してみる価値はある。今度は何か「捕える」ことができる道具を作ることにした。

まず、まさしは手をかざしながら考えた。「捕まえる」「束縛する」ことに特化した道具。最初に浮かんだのは、網や罠、そしてスライムを素早く捕えるための道具だ。

「よし、まずはネットのようなものを作ってみよう。」

まさしは空間に手をかざし、目の前に「3Dプリント」の力を集めた。すると、見る見るうちに、網のようなものが浮かび上がった。それは細い糸状の素材で編まれており、見た目には丈夫で使いやすそうだ。

「これなら、スライムを包んで動きを封じることができるかも。」

まさしは網を手に取ってみる。持った感じも軽く、強度もしっかりとしている。とにかくスライムを捕まえるための道具だ。これでスライムを一網打尽にできるはずだ。

「よし、次は…」

まさしは更に考え、もう一つ道具を作ることにした。それは、スライムを捕えるだけでなく、効率よく処理できるものがあれば、無駄な手間を省けるだろう。次に作ったのは、大きなバケツのような容器だ。

「これで、スライムを捕まえて、まとめて処理できるようになる。」

彼は手をかざし、バケツのような容器を作成した。それは大きさもちょうどよく、スライムが逃げないようにするためには最適なサイズだ。もちろん、バケツにスライムを入れて、そのまま処理できる仕組みも作るつもりだ。

「よし、準備完了だ!」

まさしは新たに作成した道具を手にして、森に戻った。あとはスライムを捕まえて、そのまま効率よく処理するだけだ。森の中を歩きながら、少しワクワクした気持ちが湧いてきた。

その時、まさしは再び草むらの中から小さな音を聞いた。「またスライムか?」

今度は先程よりも少し大きめのスライムがうごめいているのが見えた。前回よりも少しだけ数が増えているようだ。「いいタイミングだな。」

まさしはすぐに網を取り出し、スライムの動きに合わせて慎重に近づいていった。スライムはまったく気づいていない様子で、地面を這っている。まさしは素早く網を広げ、スライムにかけた。

「これで捕まえた!」

スライムは抵抗することなく、ネットに絡まって動きを封じられた。そのまま、まさしはネットを持ち上げ、スライムをバケツに放り込んだ。

「うまくいったな。」

スライムはあっけなく捕まえられ、バケツの中でうごめいているが、もう逃げることはできない。まさしは満足げにその様子を見つめ、次に進む準備を整えた。

「これで、スライムを効率よく倒せる。あとは他の魔物に備えて、もう少し強い道具を作らないとな。」



スライムを効率よく倒すために作り上げた道具を使いこなして、まさしはしばらくの間、森を徹底的に掃討していた。彼は、捕まえたスライムを次々とバケツに放り込み、スライムたちが無駄に動くことなく、しっかりと収集される様子を見て、心の中で満足のため息をついた。

「これなら、効率よくレベルアップできるはずだな。」

スライムは弱いとはいえ、いくつか倒しているうちに、まさしのスキル「3Dプリント」のレベルが急激に上がる気配を感じ取った。スライムを捕まえる度に、次々とスキルの「経験値」が溜まり、目に見えて能力が成長しているのだ。

「スキルレベルアップ!レベルが3に到達しました!」

突如としてスキルのレベルが表示された。まさしは少し驚きつつも、嬉しさがこみ上げてきた。これで、少しは強力な物を作れるようになるだろう。

「これからは、もう少し大きいものを作れるようになるのかな?」

スキルが成長することで、まさしは更に大きな道具や物を作れるようになる。今後、より効率的な道具を作成するために、レベルアップの進捗に期待をかけていた。

「よし、もっとスライムを捕まえて、どんどんレベルアップだ!」

まさしは意気込んでスライムを次々と捕まえていった。スライムの弱さに油断せず、慎重に捕獲し、バケツに放り込んでいく。その度に、「3Dプリント」のレベルは着実に上がり続けた。

「レベル4に到達!スキルの範囲が広がった!」

再びスキルのレベルが上がった。まさしは喜びの表情を浮かべながらも、すぐにその効果を試してみたくなった。これで、さらに大きなものや複雑な形を作れるようになるはずだ。

「次は…何を作るか。」

まさしは周囲を見渡しながら、試しに新たな道具を作成してみることにした。今度はスライムを捕まえるだけでなく、他の魔物に対しても有効なものを作ることを目指す。少し手をかざして、スキルを発動させる。

すると、空間に浮かび上がったのは、大きな捕獲用の網だった。まるで大きな網のようなものが、しっかりと編まれていて、強度が抜群に感じられる。

「これなら、より多くのスライムを一度に捕らえられるだろう。」

まさしは新たに作った網を手に取り、広げてみた。今までの網よりもかなり大きく、スライムが大量に捕まるサイズだ。これを使えば、さらに効率よく魔物を捕らえられるだろう。

「よし、これで次は大きなスライムを捕まえてみよう。」

まさしは新しい網を携えて再び森を歩き始めた。しばらく進んだ先で、大きなスライムがうごめいているのを見つけた。

「こいつがターゲットだ!」

まさしは素早く網を取り出し、スライムに向かって投げた。スライムは反応する間もなく、大きな網に包まれ、動きを封じられた。

「捕まえた!」

まさしは自信満々に捕まえたスライムを見つめた。これでスライムの討伐はさらに効率的になり、スキルも急激にレベルアップしていくのだろう。

「スキルレベル5に到達!さらに大きな物が作れるようになった!」

スキルのレベルアップの通知が届いた。まさしは喜びのあまり、思わず声をあげてしまう。

「これで、もっと大きな道具が作れるぞ!」

まさしはますます自信を深めながら、スライムを次々と捕まえていった。効率よく魔物を倒すことで、スキルの成長も加速し、次第に他の魔物への備えもできるようになってきた。

「これなら、次のステージに進んでも問題ないな。レベルアップって本当に楽しい!」

スライムの捕獲作業を繰り返しながら、まさしは自分の成長を感じ、次の冒険に向けて意気込みを新たにしていった。


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