騎士ヴィアンの訳アリ事情

カリノア

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14:疲れる行事

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 パーティー参加者たちの挨拶に、今回のパーティーの主役として私―――ヴィアン・ソロディアは、国王陛下・教皇猊下の隣で対応していた。永遠に続くかに思われた挨拶が終わるころには、顔をつりそうになっていた。
 理由は単純明快である。生まれてこの方、こんなにも不自然な形で顔に笑顔を貼っ付けていたことなどないからだ。笑顔を自然に出てこそ、である。
 今日初めて夜会という名のパーティーに出て分かった事がある。
(社交界の、なんと面倒な事よ………――っ!)
 何故、目の前にいるこの若い男女は、きゃっきゃ、うふふと楽しそうに笑ていられるんだろうか。謎すぎる。人生最高レベルで謎すぎる。といっても、人生まだ十九年なのだが。
 挨拶が終わって、やっとパーティーを楽しめると思っていたのに、私の性格的に苦痛でしかなった身としては、この男女が憎たらしいくらいだ。
「ヴィアン殿? どうされましたかな?」
 私の目の前で、二人でお花畑な会話を繰り広げていた男の方が話しかけてきた。
「いえ、何も」
 思ってる事が顔に出ていたのだろうか。出ていても不思議じゃない。というより、ここまで笑顔を保っていられた事の方が不思議である。
「そうですか。では、このワイン、いかがです?」
「え、えぇ。そうですね、大変すばらしいです。風味が豊かで、流石、といったところでしょうか」
 んな事知らんよ、と心の中で毒吐きつつも、にこやかに返した。
 二人だけの世界に入り込んでいたのに、いきなり話しかけないでくれ。この流れで上手く返せた私を、大いに褒めてやりたい気分だ。
「レナルド様? わたくし、こちらの果実酒の方が好きですわ」
 会話に、男の隣にべったりとくっついていた女が割り込んでくる。というか、ご令嬢がそんなぐびぐびお酒飲んで大丈夫なんですか? いくら無礼講だからって、外聞的にいくら好きでもご両親に諫められるだろうに。
「ん? おお、そうか。ではとってきてやろう」
「まぁっ! いいんですの? ありがとうございますぅっ!!」
 おぉいっ! ちょっと待てぇっ!! 女性を一人置いていくなよ。何と言っても、私に押し付けて行かないでくれっ!!! レナルドォオオォオオォッ(多分こんな名前だった気がする)!?
 そんな私の願いも空しく、男はエスコートしていた方の女性を置いて、とっとと飲食コーナーの方へ行ってしまう。
(どうしてくれる。私がまともに会話した事のある女性なんて、カリメア母様くらいなものなのに…………っ!)
 詰まる所、女性経験ほぼ皆無の、女性に対して少しばかり苦手意識があるというだけの話なのだが。
 どうしたものか……。
「あのぉ……」
「っはい?」
 物思いに耽っていたところをいきなり話しかけられたから、声が微かに裏返ってしまった。
 何だかわからないが、顔を紅潮させながら、ご令嬢は言葉を紡ぐ。
「ヴィアン様は、どのような女性がお好きなんですのぉ?」
「…………」
 ど、
(ド直球キタ―――――っ!?)
 はい? 何ですかっ!? マジですか、そんな包み隠さず聞いてきちゃいますか。私だってもう少し遠まわしに言うよ?
 このご令嬢は、貴族としてのまともな教育を受けられなかったのか? あまりにもお粗末すぎやしないか? 目が点になった気がしたよ。
「………と………言われますと?」
 ぎこちない声音で問い返す。
「わ、わたくし……ヴィアン様みたいなお人は好みなんですのぉ………」
 恥じらいながら言っても、あまり効果がない気がする。ご令嬢が口にするにしては、はしたない言葉ばかりだ。
 まったく、このご令嬢はいったいどのくらいの家のご令嬢なのだろう。教育がまるでなっていない。いや、教育だけで差別する気は毛頭ないが、この夜会に出席できるくらいの家格となると、すくなくとも伯爵家以上だとは思うのだが……。とりあえず、ご両親はいらっしゃるのかな?
「ヴィアン様?」
 黙り込んだ私を、心配そうにのぞき込んでくるご令嬢。けれど、私はあなたの方が心配でなりませんよ、切実に。
「お加減でもよろしくないんですの?」
「あ、いいえ。御心配には及びませんよ。『葵』を背負い立ちたる者、この程度では何ともありませんから」
「まぁ。恰好良いですわぁ。ヴィアン様っ!」
 ごめん。今ものすごく適当に言いました。それで感動されるとか、ものすごく申し訳なくなってきますね。そんなキラキラした顔を向けないでください。演技であったとしても、止めてほしいです。あざとすぎて気持ち悪いですから。
「それで、好みの女性ってどんな方ですのぉ?」
 あ、その話に戻るんですか。
「特にいませんが……」
 にこやかにばっさり切り捨てる。ここは断言しておいた方がいいだろう。
「敢えて言うのならば、賢い人がいいです」
 知的な会話ができる女性がいいです。
「まぁまぁ、そうなんですのねっ! わたくし、これでも詩集を三十篇は諳んじてご覧に入れられますわぁっ!!」
 ………。何が言いたいんでしょうかね? きついようですが、そんなの貴族令嬢なら当たり前、むしろ劣るくらいですが。
 ご自分がまさに才女とでもいうような口ぶりで、何をアピールしようとしているんですかね? 本当にこのパーティーに及ばれするほど両家の人間なんでしょうかね?
 ご自分がバカという事を、アピールしているんでしょうか?
「そうなのですか。では、『はるとばり』はご存じですか?」
「え?」
 私は、あえて意地悪な質問をした。『春の帳』は、有名な詩人が作った詩なのだが、これを作った当時はあまり有名ではなかったために、あまり知名度がない詩だった。何故知名度がないかというと、詩人本人が黒歴史だとか言って封印しているからだ。
 おそらく、この詩人の詩集にも載っていないだろう。私がこの詩を知ったのは、カリメア母様がこの詩人と大の仲良しだった事に尽きる。
「え、あの……その……」
 ご令嬢は、予想通り言いどもっている。うーん。ちょっとばかし意地悪しすぎただろうか。『春の帳』はマイナー中のマイナーだからなぁ。
「待ってくださいまし。今思い出しますわぁっ!」
 思い出すも何も、知らないと思います。
 私は、一つ息を吸った。
 目を伏せて一息に、朗々と暗唱して見せる。閉じていた瞼をそっと開く。
 ご令嬢は、きょとんと私を見つめていた。近くで私たち成り行きを見守っていた貴族たちも、静かに聞き入っていた風情であった。
「それが………『春の帳』、ですの?」
「ええ、私が好きな詩の一つです。世の中、善い事も悪い事もあると言ってい る所が、綺麗事ばかりでなくて好きなんですよ。内容的にはあまり上手い作りとは言えませんが」
 私はにこりと彼女に笑って見せた。
 『春の帳』は、構成自体はあまりいい出来とは言えないが、綺麗ごとを並び立てた詩よりよっぽど好ましいと思っている。
「この詩は詩聖アリ・ナイザックの初期の頃の作品なんですけど、それほど有名ではないんですよ。貴女がご存じないのも無理はありません」
「そう、なんですのぉ………」
 ご令嬢はポーッと顔を赤らめ、俯いた。先ほどあんな自慢をしてしまった事が、今更に恥ずかしくなってきたのだろうか。
「すいません。少し意地悪な事を言いましたね。許してください」
「ゆ、許すだなんて、とんでもないですわぁっ! わたくしこそ、良いお勉強になりましたものぉ」
「そうですか。ならよかったのですが」
 愛想よく笑っておく。
 アリ先生ごめんなさい。
「お待たせしました、レディ。ご志望のお飲み物はこちらですか?」
 そこで、気取った風勢で例の男(名前忘れた)が飲み物を片手に戻ってきた。
「まぁっ! 嬉しいですわぁ。有り難うございますぅ」
「いえいえ、貴女の笑顔が見られる事こそ私の至高ですよ、レディ」
 戻ってきてそうそう、先ほどのむっだにあまあまお花畑な空気を醸し出してきたものだから、私はそっとその場を離れた。
「………面倒くさい人間ていうのには、いろんな種類がいるらしいな」
「そうだな」
 唇が微かに震える程度の呟きのつもりだったのに、何処からともなくやってきたサムにはしっかり聞かれていたらしい。
「サム、いたんですか」
 愚痴を勝手に訊かれていた腹いせに、少し意地悪な事を言ってみる。
「え、酷くないか? ずっといただろうがよ」
「そうですか? 気が付きませんでした。就任式が終わってからふっと何処かへ行ってしまったように思っていたんですが」
「冗談。俺はずっと会場にいたぜ」
 サムは肩を竦めて文句を言った。
「親友のハレブタイを見逃すはずがないだろうがよ」
「………。晴れ舞台。親友?」
「そぉそ。晴れ舞台。あと親友の部分で疑問符付けるのはやめろ」
「………、―――私が面倒くさそうにする姿を、面白がって見ていただけだと思っていました」
「そんなわけないだろうがよ」
 にや気顔で反論されても、説得力の欠片もあったもんじゃない。私は半目でサムを見やった。
「そんな目で見るなって。自分が嘘つきになった気がするだろうが」
「おや、違ったんですか」
 わざとらしく驚いたふりをすると、サムは溜息を吐きながら頭をバリバリ掻いた。
「に、してもお前も難儀だなぁ。あんな下品なご令嬢に絡まれるたぁな」
「ストレートに言うんじゃないですよ。事実ですが」
「窘められてんだか、同調されてんだか、分からない答え方すんなよ。紛らわしい」
「すみませんね。少々ら苛立っているもので」
 サムの垂れた文句に、素直に謝罪する。
「苛立って?」
「―――到着ぎりぎりの日数に引っ越しの要求をされ、しかもそれが望んでもいない地位を与えられるためのもので、挙句の果てに到着当日に行われた就 任式で部下になる予定の人々に反抗されて決闘を挑まれて、苛立たない人は相当な人格者かと思いますが」
「………」
 仄暗い笑顔でつらつらと返答すると、サムは黙り込んでしまった。
「何とか言ったらどうですか。貴方が訊いてきた事じゃないですか」
「あ、いや、うん。何かすまん」
「サムが謝るような事ではありませんよ? 私は貴方より地位のある『人間ども』に苛立っているんですから」
「ども……………」
 何も言えぬ風勢で、彼はそれ以上これについて言及しなかった。
 そこで私はふと思い出す。
「ああ、そうだ。私の後任て、どなたになりました?」
 『緑牙』を出発したときはバタバタしていて、その後の事なんて考えてなかった。
「お? あぁ。ガイナル・バーキニリになった」
「ガイナル・バーキニリ? すみません、誰ですか?」
 それは、私が『緑牙』にいた頃(と言っても十日かそこらなのだが)には聞いた事の無い名だった。
「だろうな。新入りだ」
「新入り? この数日の間にですか?」
 異動の時期でもないのに、新入り? 私の件でそんなに不思議に思わなくなったのが、怖いくらいなんですが。
 何だか、すごく怪しげなんですけど?
「言いたい事は分かる。特例、なんだそうだ。俺にもよう分からん。ポンと出てきて、あっという間に第二補佐官に収まりやがったからな」
「だとしても限度というものが―――」
「第一補佐官たる俺にも詳しくは知らされていないんだぞ? それだけでやばい奴じゃないか。団員の奴らも遠巻きにして近づきたがないしよ、あいつの素性を知っているのなんて、団長もどうかってところなんだよ。そもそも、『緑牙』はやばい奴と訳アリが常識の人材ばっか集まってきてるんだからよ」
「ますます怪しさ満点じゃないですか」
 団長もどうかって、大丈夫なんですか『緑牙』。しっかりしてくださーい。
「うん。だから、さ。お前、ちょっくら調べてみてくれよ」
「何故私が………っ!?」
「ほら。一応、お前の後任だし」
 なっ、と頼み込まれて、私は言葉に詰まった。
「なって、私はもう部外者です」
「外部顧問って事で」
「無理があります」
「面倒な」
 そこを面倒臭がるな。たとえ思っていたとしても口に出すな。私だって口をつぐんで噤んできたというのに。
「そもそも、どうやって調べろというんですか。まさか私に『緑牙』本部まで行けというわけじゃないでしょう?」
 そんなのはもうこりごりですからね、と拒否すると、待ってましたとばかりにサムは不敵に笑った。
「心配するな、連れてきている」
「………は?」
「だーかーらー、連れてきているって言ってんだ。ほれ、そこにいるのがそいつだ」
 そう言って、サムは『緑牙』団長が物静かに佇んでいる、バルコニーの方を指した。
 柔和そうな顔立ちをしているくせに腹に何物も持っている団長の隣に、その人は立っていた。
 濃い緑色にも見える不思議な黒髪。血染めの瞳。
 何より、この――――――。
「……え…………」
 サムの指した先を認めた私の体は、主の意思に同調するかのように硬直した。
「? どうした」
 サムは、私のただならぬ気配を感じたのだろう。怪訝そうに顔を覗き込んできた。
「大丈夫か? ヴィアン。顔色悪いぞ?」
 サムの声が、遠くで聞こえた気がした。いや、サムの声以外に音も、まるで夢でも見ていると時にようにぼんやりとしか耳に入ってこない。
 ただ、自分の心臓の音だけが五月蠅い。
 相手も、こちらに気が付いてふわりと微笑んだように見えた。全身の肌が泡立ち、鳥肌が立った。
「ど、う………して……」
 呆然とした意識になかで、私は呟いたと思う。
 ――――ありえない。
 ―――――――ありえない………っ!!
 その時、私の心の中を占めていた思いは、その一言に尽きていた。
 彼が、此処にいるなんて………――――っ!!!
 私の記憶はそこで途切れた。
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