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3、憧れたその人は……。
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は?
水瀬くんは今何と言っただろうか。
聞き間違いじゃなければ「彼女」と言ったはずだ。もしかして彼の中では一回でも言葉を交わした人は彼女になるのか。
私はついさっき初めてこの人の名前を知ったのに?
いやでもその考えで行けば目の前の彼女も彼女ということか?
それになんだか話し方だって軽いし今にも触れてきそうな距離感も違和感しかない。
前に抱いた印象とは全く違うチャラくて軽薄そうな雰囲気に驚きを隠せない。
「なにそれ! 彼女いるならそう言ってよ! サイテー!」
水瀬くんの言葉を聞いたら女の子はそれはもう怒り心頭で私はおろおろするばかりだ。
やっぱり予期せぬ事態に対処する能力は私に備わってないみたい。
これでもかと水瀬くんに牙をむいた女の子は怒ったまま立ち去ってしまったけど、多分あれは後から泣くんじゃないかと思う。
追いかけたいけどあの子のことは知らないし、第一私が追いかけたら余計にこじれちゃいそう。
それになんて言っていいかわからない。
困り果ててまた瑠衣を見る。
「……。」
「え、違うよ?」
瑠衣が何とも言えない顔でこっちを見ていたのでさっきの「俺の彼女」発言を思い出した。
一瞬でも忘れていた自分の神経を疑う。
「うん。ごめん、知ってる」
慌てて弁解したのにすんってした顔で頷かれた。
瑠衣はすごく呆れた顔をして「さっきまで名前すら知らなかったじゃん」と言う。
確かに、そうだった。
「てか、私先行くよ。変なことにならないようにちゃんとしなね」
瑠衣は喧嘩も収まったし、あとはオロオロしている私とすべての元凶だと思われる水瀬くんしかいなくなったから自分は不要だと判断したみたいだった。
さすがに冷たすぎない?
ちらほら集まりかけていたやじ馬も私が瑠衣に言った否定の言葉を聞いて散っていったみたいだし。
「どういうことですか? 私、あなたの彼女じゃないですよね?」
何から聞いていいのか分からないけど、とりあえず一番大事であろうことをまだ隣に立ったまま何も言わない水瀬くんに問う。
そこだけは言質を取っておかないと変な噂が広まったら困る。
「さっきの子に告白されてさー。断るのめんどくさいし、彼女いるっていうのが手っ取り早いじゃん?」
この前聞いた落ち着いた話し方じゃなくて口調まで軽くなっている。
しかも言ってることが最低すぎる。
やっぱりモテる人は違うのかな。
告白なんてしたこともされたこともないけど、本気の告白に嘘で返すなんてしちゃいけないと思う。
こんな人だとは思わなかった。
私の中で作られていた勝手な妄想が音を立てて崩れ落ちた気がした。
顔が似てるそっくりさんなんじゃないかと疑いたくなるくらい全然違うけど、明らかにこの人は私のことを知ってるし同じ人で間違いない。
「……最低、ですね」
先ほどの女の子の言葉を繰り返す。
「うん。そうかもね」
水瀬さんは特に気分を害する様子もなくさわやかに肯定して見せた。
「誰かに私のことを聞かれても知らない人だと答えてくださいね。噂が広まったりしたら生きていけないですから。それじゃ」
「え、ちょっ」
「あ、あと、この間は助けてくれてありがとうございました」
水瀬くんは終始人懐っこい柔らかい笑みを浮かべていたけど、言ってることが最低過ぎて普通に引く。
噂が尾を引かないようにくぎを刺してから、早々にその場を立ち去ることにした。
あの気持ちは恋なんかではなかった。
運命、なんかじゃない。
水瀬くんは今何と言っただろうか。
聞き間違いじゃなければ「彼女」と言ったはずだ。もしかして彼の中では一回でも言葉を交わした人は彼女になるのか。
私はついさっき初めてこの人の名前を知ったのに?
いやでもその考えで行けば目の前の彼女も彼女ということか?
それになんだか話し方だって軽いし今にも触れてきそうな距離感も違和感しかない。
前に抱いた印象とは全く違うチャラくて軽薄そうな雰囲気に驚きを隠せない。
「なにそれ! 彼女いるならそう言ってよ! サイテー!」
水瀬くんの言葉を聞いたら女の子はそれはもう怒り心頭で私はおろおろするばかりだ。
やっぱり予期せぬ事態に対処する能力は私に備わってないみたい。
これでもかと水瀬くんに牙をむいた女の子は怒ったまま立ち去ってしまったけど、多分あれは後から泣くんじゃないかと思う。
追いかけたいけどあの子のことは知らないし、第一私が追いかけたら余計にこじれちゃいそう。
それになんて言っていいかわからない。
困り果ててまた瑠衣を見る。
「……。」
「え、違うよ?」
瑠衣が何とも言えない顔でこっちを見ていたのでさっきの「俺の彼女」発言を思い出した。
一瞬でも忘れていた自分の神経を疑う。
「うん。ごめん、知ってる」
慌てて弁解したのにすんってした顔で頷かれた。
瑠衣はすごく呆れた顔をして「さっきまで名前すら知らなかったじゃん」と言う。
確かに、そうだった。
「てか、私先行くよ。変なことにならないようにちゃんとしなね」
瑠衣は喧嘩も収まったし、あとはオロオロしている私とすべての元凶だと思われる水瀬くんしかいなくなったから自分は不要だと判断したみたいだった。
さすがに冷たすぎない?
ちらほら集まりかけていたやじ馬も私が瑠衣に言った否定の言葉を聞いて散っていったみたいだし。
「どういうことですか? 私、あなたの彼女じゃないですよね?」
何から聞いていいのか分からないけど、とりあえず一番大事であろうことをまだ隣に立ったまま何も言わない水瀬くんに問う。
そこだけは言質を取っておかないと変な噂が広まったら困る。
「さっきの子に告白されてさー。断るのめんどくさいし、彼女いるっていうのが手っ取り早いじゃん?」
この前聞いた落ち着いた話し方じゃなくて口調まで軽くなっている。
しかも言ってることが最低すぎる。
やっぱりモテる人は違うのかな。
告白なんてしたこともされたこともないけど、本気の告白に嘘で返すなんてしちゃいけないと思う。
こんな人だとは思わなかった。
私の中で作られていた勝手な妄想が音を立てて崩れ落ちた気がした。
顔が似てるそっくりさんなんじゃないかと疑いたくなるくらい全然違うけど、明らかにこの人は私のことを知ってるし同じ人で間違いない。
「……最低、ですね」
先ほどの女の子の言葉を繰り返す。
「うん。そうかもね」
水瀬さんは特に気分を害する様子もなくさわやかに肯定して見せた。
「誰かに私のことを聞かれても知らない人だと答えてくださいね。噂が広まったりしたら生きていけないですから。それじゃ」
「え、ちょっ」
「あ、あと、この間は助けてくれてありがとうございました」
水瀬くんは終始人懐っこい柔らかい笑みを浮かべていたけど、言ってることが最低過ぎて普通に引く。
噂が尾を引かないようにくぎを刺してから、早々にその場を立ち去ることにした。
あの気持ちは恋なんかではなかった。
運命、なんかじゃない。
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