罰ゲームの告白は本物にはならないらしい

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3、屋上にて

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「この、お待たせ」

 屋上で遠くの建物を何を思うでもなく眺めていたら、のんびりとした声とともに少しさびれた扉が開く音が聞こえた。
 今は真冬でこの時期に屋上にいるのは私以外いないし、この時期の屋上に私を訪ねてくる人も決まっていた。

「急に呼び出してごめんね。和人くん」

 こんなに寒いのに真夏みたいなさわやかな笑顔を見せる和人くんに形だけの謝罪をして見せる。
 彼の名前は染谷そめや和人よりとくんだ。
 柔らかい黒髪に少し日に焼けた肌、品の良い笑みを浮かべた美形はこの学校でも大人気だと聞く。
 なぜ、私がそんな人と知り合いなのかというと私の兄の友達だからだ。
 だからなのか、彼は兄と同じく私を『この』と呼ぶ。
 兄の心羽は頭がいいしかっこいいし優しい。
 私はブラコンだけど困ったことは兄には相談したくない。
 自立していないと思われるのが嫌だし、迷惑をかけたくない。
 そういうのを知っている和人くんは私の相談に乗ってくれるようになったけど、あまり仲良くしているのを噂されたら大変だから屋上で会うのが暗黙のルールみたいになった。

「いや、何かあったんでしょ?」

 和人くんは私が人に相談するときがどうしても詰んだ時だということを知っているらしい。

「どうしても答えが見つからないの」

 私は先日の一件について和人くんに助言を求めた。
 それから、最近の東くんの態度についてもどうすればいいか聞く。

「てか、このって彼氏いたんだね」

 私の話を一通り聞いた彼の一言目がそれだった。

「うん。知ってると思ってた」
「いや、全然。心羽も知らないでしょ?知ったら泣きそう」

 なんでかちょっとうれしそうな和人くんに苦笑いしておくけど、実際そうかもしれないと思った。
 私がブラコンなら兄も相当な過保護なのだ。

「絶対に言わないでね」
「分かってるよ。俺だってあいつに殺されたくないし。てか、さっきの話、なんにしてもちゃんと話し合いなよ。ただ、どんな甘い言葉を言われても本当に罰ゲームで告白されたのなら別れたほうがいい思うけどね」
「わかった。ありがとう、急に呼び出してごめん。あ、もう五分前になっちゃった」
「まじか、じゃあもう行くね。また、相談してね」

 手を振りながら走り去っていく和人くんを見送って私も教室に戻ることにした。
 いつだって相談に乗ってくれるあの人をこれ以上心配させるわけにもいかず私はあの人の言葉に頷きつつももう相談はできないと思った。
 大切だからこんなことは相談できない。
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