140字小説まとめ

川本鏡花

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だから、僕は喫煙をやめた。

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同じ銘柄を吸っていた忘れられない人がいて、煙草をやめられなかった。

三十を過ぎて、久しぶりに恋をして、女の子と付き合った。
何回目かのデート。彼女はコンビニで僕の吸う銘柄を買ってきた。
僕の女々しさを知る由もない気遣いだった。

だから、僕はその日、こっそりと煙草をやめた。
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