家族になった人族のポムと魔族のポムの物語

純粋どくだみ茶

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家族になった人族のポムと魔族のポム

13.ポムくんおやすみなさい

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ろっとくんの荷馬車が"ココ"の街の門に到着した。

ポムさんは、いそいで門番のところに駆け寄ってポムくんのことを伝えた。

「街道で盗賊に襲われて死にそうなの!ポーションを下さい!」

門番が荷馬車に駆け寄って荷台に横たわるポムくんを見た。

「こりゃまずい!」

門番は、鞄からポーションの瓶を取り出すとポムくんの口を開けてポーションを飲ませようとしたが口が開かない。

ポムさんはとっさに門番の手からポーションの瓶を取り上げてポーションを自分の口に含んだ。

そしてポムくんの口にポムさんの口を重ねると無理やり唇を広げてポーションをポムくんの口の中へポーションを流し込んだ。

もういちど、さらにもういちど、ポムくんの口の中にポーションを流し込んだ。

すると、ポムくんの顔色が少しだけ赤くなった。

ポムさんは、ポムくんを抱きしめた。

「…ポムさん、…痛いよ。」

ポムくんの声だ。

もう二度と聞くことができないと思ってしまった声だ。

ポムさんは、さらにポムくんを強く抱きしめた。

「痛くしているの。痛いって分かるんだよね。」

ポムさんは泣きながらポムくんを強く抱きしめた。

「ポーションを飲んで少しは良くなったが、血が足りないから安静にしてないとかなり危ないぞ。」

門番さんの言っていることは正しい。すぐににでもベットに寝かせて休ませないと。

ポムさんは、門番にポーションの代金を払おうとした。

「いいよ。それより盗賊が出たんだろ。街道に兵隊を出して見回りさせるよ。」

「まだ他にも盗賊がいるかもしれないからな。」

数人の兵隊が馬で足早に街道に出ていった。

門番にお礼を言って城門を通って街へと入った。



お客さんの店の厨房にへ行き、従業員にポムくんが盗賊に襲われて瀕死の状態だと伝えた。

慌てて数人の従業員が厨房から出てきた。

牧場に来たお客さんも店から出てきてポムくんの様態を見た。

「かなりよくない状態だね。」

そう言うと、ポムくんより遥かに強力な回復魔法を唱えた。

ポムくんの顔色がみるみる回復していった。

「そうだ、僕の名前は"榊"って言うんだ。"榊さん"って呼んでもらっていいよ。皆はオーナーって呼ぶけどね。」

その後、榊さんの計らいで榊さんの家の部屋を貸してもらい、ポムくんを休ませてもらえることになった。

ポムくんをベットに寝かせ、ポムさんはベットの横に置いた椅子に座ってポムくんの顔を濡れた布で拭いていく。

顔や体についた血を少しづつ拭いていく。

ポムさんは後悔した。

昨日襲ってきた盗賊を逃したばかりにこんなことになったんだ。なさけない。くやしい。くやしい。

また目から涙が溢れてきた。

今度、盗賊が襲ってきたら容赦なく全員殺してやる。ポムさんは泣きながら唇を噛みしめて誓った。



ろっとくんは、荷馬車を降ろして榊さんの庭の草を美味しそうに食んでいた。

榊さんが夕食を持って部屋にやってきた。

「ポムくんは、もう大丈夫だから心配しないでいいよ。」

「そうは言っても心配だよね。テーブルに夕食を置いておくよ。」

「ポムくんには、食べやすいものを用意したから、目を覚ましたら食べさせてあげて。」

榊さんが気を利かせてくれた。感謝の言葉もない。

ポムくんの寝顔を見ているとなぜかほっとする。

「ポムくん、おやすみなさい。」

ポムくんの顔を静かになでながら、寝ているポムくんの唇にポムさんの唇がそっと重なった。

空が少しだけ暗くなり夜が始まったばかりの頃だった。
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