家族になった人族のポムと魔族のポムの物語

純粋どくだみ茶

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家族になった人族のポムと魔族のポム

15.あくまのおねえ(さん)とうじょう

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街道の脇の小川の近くで休憩を取ります。

荷馬車を外してロバのろっとくんを草原に放ちます。

小川の水を飲み草を食むロバのろっとくん。

いつも畜舎に入れられているので"ココ"の街の帰りには、草原で自由にしてあげます。

草原で寝転ぶポムくんとポムさん。

「気持ちいいね。ずっとこうやっていられるといいね。」

「でも、働かないとご飯食べられないよね。」

「そうだね。でも今は気持ちいい風を楽しんでいたい。」

草原で寝転ぶポムくんとポムさんは、とめどない会話を楽しんでいました。


気が付くとロバのろっとくんがポムくんのそばに寄ってきて体をこすりつけてきました。

「ろっとくん甘えん坊。」

ポムくんがロバのろっとくんの顔を抱きかかえて頬ずりしています。

「ろっとくんってポムくんに妙に懐いているよね。」

「私が手を出すと必ず噛むんだよ。」

ポムさんは、いつもロバのろっとくんに手を噛まれるので、ロバのロットくんが苦手です。

ふとロバのろっとくんがポムくんの目を見つめています。

"ジー"。

目と目で何かを語り合っているかのようです。

"チュ"。

「あー。ロバのくせにポムくんにキスした。私だってちゃんとしてないのに!」

ポムくんが苦笑いをしています。

「ポムさん落ちついて、ロバのろっとくんだよ。キスじゃないよ。」

しかし、ロバのろっとくんの様子がおかしいです。

"ポン"。

ロバのろっとくんが突然変身しました。



「…何百年ぶりかしら、封印が解けたみたいね。」

「あたし悪魔よ。」

「そこのおふたりさん、そこにひれ伏しなさい。」

「…」

「ちょっと聞こえないの。」

「…」




「ポムさん、なんか小人が出てきた。これが妖精さん?」

ポムくんは、悪魔と名乗った身長が30cmもない小人を指でつっつきました。

「これ、悪魔をゆびでつっつくでない。」

ポムさんも悪魔と名乗った小人を指でつっつきはじめました。

「なんか悪魔と言ってるけど怖いとかそんな感じしないね。」

ふたりからゆびでつっつかれて我慢の限界に達した悪魔は巨大化しました。




「ちょっと、なにするのよぉ。いたいじゃなあぃ。」

悪魔は、身長が2mを越える大きさに巨大化しました。

躯体は逞しく筋肉ははち切れんばかりに盛りあがり黒光りしています。

でも、なぜか口調が"おねえ"です。

ポムくんもポムさんも巨大化した悪魔を口を開けて見上げていました。

悪魔は、ポムくんを見下ろしていましたが、地面に膝をつきポムくんの小さな両手を大きな手でにぎりこう言いました。

「ポムくん。わたし、ロバの姿をしていたけどポムくんをひとめ見たときからココロを奪われてしまったの。」

「こんなのポムくんがは・じ・め・て。」

ポムくんは、全身から汗が滝のように噴き出して止まらなくなってしまいました。

顔も青くなって震えが止まりません。

ポムくんはまだ11歳。

11歳の男の子が知らない禁断の愛の世界に誘おうとする悪魔。



「ポムくん、ポムくん。この悪魔は何を言っているの。男同士で何をしようと言うの。」

ポムさんも巨大化した悪魔とポムくんが手を握りあっている姿を見て全身から変な汗が流れでていました。

悪魔は、ポムくんの顔へだんだんと顔を近づけはじめました。

ポムくんは、蛇ににらまれた蛙のように動けなくなっていました。

ポムくんの体は、震えが極限に達しました。

「まさか、私のポムくんの唇を奪うつもり。だめ!ポムくんの唇は私のなの!」

ポムさんが膝を付いてポムくんの顔のすぐそばまで顔を近づける悪魔に猛然と抗議しました。

「あら、わたし女は嫌いなのぉ。やっぱり可愛いらしい"お・と・こ・の・こ"が最高よねぇ。」

「だめ。だめ。だめー。ポムくんは私のなの。」

ポムさんは、膝を付いて背中を丸めてポムくんの両手を握りしめる悪魔の背中へグーにした両手で何度も叩いて抗議しました。

ポムさんが猛然と抗議するも全く受け入れられません。

とうとう膝を付いた悪魔がポムくんの唇を奪いました。

すると。

"ポン"。

ヒヒーン。

さっきまでいた2mを越える巨体の悪魔ではなく、そこにはロバのろっとくんがいました。

ポムくんは、体の震えが止まり変な汗も出なくなりました。

ポムくんは、ロバのろっとくんの顔を抱きしめて撫で始めます。

「ポムくん、そのロバ。さっきの悪魔よ。よく撫でられるわね。」

「だって、ろっとくんだもん。」

ポムさんは考えました。もしかするとポムくんがロバのろっとくんにキスをすると悪魔にかけられた呪いが解ける?

そして悪魔にキスをするとロバのろっとくんに戻る?

「ポムくん、いい、ろっとくんを可愛がるのいいけど絶対キスをしてはダメよ。」

「絶対に絶対よ。」

ポムさんは、ポムくんをろっとくんから離そうと手を出しました。

カプ。

「いったーい。また噛んだ。」

「ロットくん。なんで噛むのよ。」

はっ。ポムさんは思い出しました。さっき悪魔が言っていたことを。

「わたしは女は嫌いなのぉ。」

つまり、このロバは私達に買われる時には既にポムくんに目を付けていた?

私、はめられたの。ロバに?もしかしてとんでもないロバを買ってしまったの。

後悔しても後悔しきれない。

こんな近くにポムくんを狙う敵がいるなんて。

ちょっとまって、なんでろっとくんが敵なの?ロバよ!

ポムさんは噛まれた手をさすりながら、ロバのろっとくんの顔を睨み付けました。

ロバのろっとくんもポムさんの顔を睨み付けました。

しかし、ロバのろっとくんの顔は睨み付けているがどこか余裕のある笑い顔をしていました。

ポムさんは悔しくって地面を何度も踏みつけました。

なぜ、ポムくんをロバと奪い合わなければいけないのよ。

とにかくポムくんをろっとくんに取られないように注意しないと。

もしかすると盗賊より危険な相手かも。

ポムさんは、頭の中でおかしな考えがグルグル回って目が回りそうになりました。



ポムくんとポムさんとろっとくんは、街道を村へ向かって進み始めました。

これからどうやってポムくんをロバのろっとくんから守ればいいのか、そればかり考えて盗賊の見張りなど手につかなくなってしまったポムさんでした。
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