家族になった人族のポムと魔族のポムの物語

純粋どくだみ茶

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家族になった人族のポムと魔族のポム

16.となり村の荷馬車競争(その1)

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今日も荷馬車で"ココ"の街へ食材を運んだポムくんとポムさん。

昼過ぎに村に帰ると村の入り口に大人達が大勢集まって話合をしています。

畜舎にろっとくんを預けてツリーハウスへ戻ろうとしていると、村長さんに呼び止められました。

「ポムくん、丁度よいところに。」

「実は、毎年恒例のとなり村との合同祭りで行う荷馬車競争にポムくんのロバで出てほしいんだ。」

「この村にもロバはいるが、みな年老いていて余り早く走れなくてな。」

「ロバの荷馬車は、早く走るもんじゃないが1日おきに"ココ"の街まで行っているくらいだから村のどのロバよりも若いと思ってな。」

「なんせ、となり村との合同祭りで行う荷馬車競争では、うちの村は負け続けていてな。いちどで
いいから勝ちたいんだ。」

「1回でいい、やつらに一泡ふかせてやりたいんだ。」

村長さんの目は輝いていました。

となり村に負け続けていることが相当くやしかったようです。

「でも、ろっとくんはロバですよ。ロバの荷馬車競争があるんですか。」

ポムくんが村長さんに確認します。

「ああ、荷馬車競争には馬とロバの競争があってな。」

「となり村には、大きくて早い馬がいてこいつには勝てないんだ。だからせめてロバで勝ちたいんだよ。」

「もちろん、勝てば商品がでるぞ。小麦の大袋が3つだ。」

「さらに、勝ったらわしからも小麦の大袋を3つ出す。どうだ。」

村長さん、もう目が血走っています。よほど勝ちたいようです。

「えっ。そんなにもらえるんですか。」

ポムくんが考え込んでいると。

「やります。やらせてください!」

「勝ったら小麦が大袋で6つなんて、毎日焼きたてのパンを食べても食べきれないわ。」

ポムさんが食いつきました。

「でもポムさん、ろっとくんは早く走れないよ。競争なんて無理だよ。」

ポムくんは、ろっとくんが早く走るところを見たことがないので知らないのです。

そう、ポムくんが盗賊に襲われて死にそうになったとき"ココ"の街に向かったろっとくんの足の早さはロバとは思えないほど異常な早さでした。

ポムさんは、考えました。

ろっとくんのあの異常に足が早いのは、あの"変な悪魔"が呪いをかけられてロバにさせられているためだと。

だから"変な悪魔"をその気にさせることができれば、優勝なんて簡単にできるはず。

そうだ"変な悪魔"は、ポムくんのことを異常なほど"好き"なはず。

そこをうまく利用すれば"変な悪魔"をだませる。

ポムさんの片方の唇の端が吊り上がりました。何か"よくない"方法を思いついたようです。

「ポムくん、ろっとくんの畜舎へ戻るわよ。ろっとくんに相談しないと。」

「えっ、ポムさん、ろっとくんに変なことしないでよ。」

ポムさんの頭の中は、荷馬車競争で優勝することしかありませんでした。

畜舎に戻りましたが、ポムくんを畜舎の外に待たせて、ポムさんだけが畜舎の中へ入っていきます。

柵の中で干し草を食んでのんびりしているろっとくんをポムさんが"じーっ"と見つめます。

ろっとくんもポムさんの存在に気が付きましたが、そっぽを向いて目線を合わせようとしません。

「ろっとくん、お願いがあるの。こんどとなり村との合同の祭りで荷馬車競争があるの。」

「そこにポムくんとろっとくんで出て欲しいの。」

ポムさんがそっぽを向て目線を合わせないろっとくんに静かに語りかけます。

「もしろっとくんが優勝したら、ポムくんを1日自由にしていいわ。」

ろっとくんが柵の外にいるポムさんに走り寄ってきました。

ふんっ。ふんっ。

ろっとくんの息が荒くなりました。今までになく興奮しています。

ポムさんはろっとくんの頭を撫でます。しかし、ろっとくんはポムさんの手を噛もうとしません。

ポムさんの片方の唇の端が吊り上がっています。顔も少し悪魔のようなほほ笑みをしています。

何か良からぬことを考えているようです。



となり村での祭りの当日、村人達と一緒にとなり村にやって来ました。

「よぉ、となり村の村長、また負けにやってきたのか。」

村の入り口でとなり村の村長さんが、にやけた顔で村長さんに言ってきました。

「ふん。今年はいつもとは違うぞ。毎年負け続けるわしではないわ。」

村長さん同士で目から火花が飛びちっているように見えます。



昼頃になり、荷馬車競争が始まります。

コースは、村の入り口からスタートします。

となり村の周りの道を1週したら街道に向かう村道を走って街道に向かいます。

街道の手前にある広場を一周したら村道を戻って村の入り口でゴールです。

ただし、荷馬車の競争なのでただ走るだけではありません。

荷馬車には、小麦が入った大袋を10袋のせた状態でスタートします。

街道手前にある広場に着いたら、小麦の袋を全て降ろして村に戻ります。

ロバの足の早さも大切ですが、小麦の袋をいかに早く降ろせるかが勝敗を分けます。

ろっとくんは、ポムくんの言うことしか聞かないので、当然ポムくんが荷馬車に乗り込みます。

となり村のロバは、みな早そうです。

ポムくんがろっとくんの頭を撫でていると、ポムさんが遠くからポムくんを手招きして呼んでいます。

ポムさんに導かれるようにポムくんがポムさんのところにやってきました。

「ポムくん、いい、小麦の袋を広場に降ろすところまでは、たいして競争にならないと思うの。問題はそこからよ。」

「ポムくんの力では、小麦の大袋を降ろすのに時間がかかって遅れると思う。」

「そこからが勝負よ。小麦の大袋を降ろして走りだしたらろっとくんにこう言うの。ごにょごにょ。そう言えばろっとくんは信じられない早さで走ってくれるわ。」

「後は、ろっとくんを信じて村まで思いっきり走って。」

ポムさんは、ポムくんに秘策を伝えました。

「ポムさん、もしかしてろっとくんに何かしたの。」

ポムさんの態度が急におかしくなりました。

「そ、そんなことないわよ。」

「ろっとくんには、荷馬車の競争で勝ったら美味しい干し草を食べさせてあげるって言っただけよ。」

「ポムさん、なんか怪しい。」

ポムくんに顔を覗かれたポムさんは、変な汗をかきながらそっとぽを向いていました。
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