誰にでもできる簡単なお仕事です。

04.初めての回収です

03.助けた騎士を街にあずけました。

辺りは暗く"ココ"の街の灯だけがポツポツと見え始めてきた。
門から少し外れた場所に着地して風魔法"フライ"を解除した。
騎士さんの容態を確認すると、息はまだあったので少し残っていたポーションを口に流し込んで、門のところまで担いでいった。

「門番さんいるかい。開けてくれ。ケガ人がいるんだ。」

俺は門を叩きながら門番にケガ人がいることを伝えた。
すると門の脇にあるドアが開き、門番が様子を伺うようにドアの隙間から顔を出してきた。

「門番さん、ケガ人なんだ手当してくれないか。」
「お、お前は田舎の両親に仕送りをするために出稼ぎにきた青年じゃないか。」
「覚えていてくれてたんですね、実は砦の先で騎士隊の隊長さんがケガを負っていたので、ここまで運んできたんですよ。」
「え、それは一大事だ。直ぐに治療した方がいいな。中に入れるから手伝ってくれ。」

門番と一緒になって騎士さんを門の脇のドアから"ココ"の街の中へ入れた。
騎士さんは、生きてはいるが自分では動ける状態ではなかった。
俺は、門番の耳元に小さな声でささやいた。

「さっきも言いましたが、この騎士さん、おそらく騎士隊の隊長さんらしいので、手当してあげればかなりの報酬を貰えると思います。それと呪いらしきものをかけられているようなので、解呪ができる術師さんのところに連れていってあげてください。騎士さんからの報酬で、田舎の両親にいいものを食べさせてあげられるかもしれませんよ。」
「おお、分かったありがとうよ。」

門番がそう言って顔を上げた。しかし、そこには先ほどまで耳元でささやいていた青年の姿はどこにもなかった。

「この騎士さんを治療師のいるところに運ぶぞ、こんなところで死んで化けて出られたら明日から誰も門番をやらなくなるぞ。」

門番は、大声で部下に指示を出した。
警備隊の隊員が慌ただしく動き出した。