誰にでもできる簡単なお仕事です。

純粋どくだみ茶

文字の大きさ
23 / 169
05.森でがんばっています

01.エルフを助けました。

しおりを挟む
朝、目覚めると俺の横でクリスが寝ていた。
お、体が自由に動く。
クリス、君はいろんな意味ですごいです。そう思いながらベットから起き上がり椅子に腰かけた。
夕べの行為を思い出してしまい顔が赤くなってしまった。
荷物を鞄に入れ直していると、クリスが起き上がり俺の顔をまじまじと見つめてきた。

「主様、おはようございます。」

クリスは、そう言うと唇を俺の唇に合わせてきた。

「これは、主様と"技切姫"ことクリスの師従関係を確認する行為でございます。人が行う愛情表現でありません。」

そう言ってはいるが、クリスの顔が真っ赤だった。
2人で宿の食堂に移動し、クリスの分の朝ご飯を追加注文した。

「そういえば、クリスの朝ご飯を追加注文したけど、武具もご飯とか食べるの。」
「はい、武具も人化している時は食事を取ります。食べなくても死んだりはしませんが…。」

クリスの顔が少し曇って見えた。

「そうか、じゃあ、森の小屋に戻る前に水と食料を多めに買い足そう。」
「それと、クリスの着替えとか服も買おうか。」

クリスに似合う服はどんな感じかなどど鼻の下を伸ばしていた。

「服は、武具が所有しているアイテムボックスに保管してありますので問題ありません。」

あそう。なんか寂しいな。涙が出てきそうだ。

「クリス、武具がもし冒険者ギルドで冒険者登録をしようとしたらどうなる。」

「主様、武具はある意味"神器"でございます。それ用のステータスを用意しておりますので問題なく登録できます。」

クリスを連れて冒険者ギルドに来た。
美人受付嬢のカリーナさんの窓口に行き、営業スマイルの笑顔に癒されながら要件を話した。

「お疲れさまですカリーナさん。今日は、こちらのクリスを冒険者登録したいのですが。」

美人受付嬢のカリーナさんがクリスの顔をみて表情が凍り付いた。

「うそ、"女神アルティナ様"そっくり…。」

美人受付嬢のカリーナさんは、クリスの顔を覗いたまま動かなくなった。

「カリーナさん、カリーナさん。」

「あ、あ。ごめんなさい。クリスさんが"女神アルティナ様"そっくりだったんでついビックリしてしまいました。」

「カリーナさん、それは他人の空似ってやつですよ。」
「それより登録をお願いします。」

書類に必要事項を記入してカリーナさんへ提出した。

「そ、そうですね。石板の上に手を乗せてください。」
「クリスさんは、犯罪記録もないようですので冒険者登録は完了です。」

クリスの登録カードの記載内容を確認したカリーナさんがつぶやいた。

「クリスさんも"女神アルティナの加護"をお持ちなんですね。そういえば榊さんもお持ちでしたね。」
「スキルに女神様の加護を持つ人は殆どいません。それをこの数日のうちに2人も見ることができるなんて、何かが起こる前触れでしょうか。」
「カリーナさん、なに不吉なこと言っているんですか、たまたまですよ。」
「ははは…。そうですよね。私、何を言ってるんでしょう。忘れてください。」

クリスの登録料の銀貨1枚を渡して、冒険者ギルドを後にした。
カリーナは、冒険者ギルドの奥まった場所にある1室のドアをノックした。

「開いてるぞ。おっ、カリーナどうした。」

カリーナが疲れた顔でギルド長の前に立ち、冒険者の登録情報が記された帳簿を手渡した。

「先ほど冒険者の榊さんと一緒に来られた女性の登録情報です。」

「榊さんは、スキルに"女神アルティナの加護"をお持ちでしたが、今日、榊さんが連れてこられた
女性も"女神アルティナの加護"をお持ちでした。」
「女神様の加護はレアスキルと聞いています。ただの偶然でしょうか。」

ギルド長は、渡された帳簿を見ながらカリーナへ些細な助言を行った。

「確かに女神様の加護は、レアスキルだね。さらにそれを同じパーティの2人が持っていると
いうことは、何かの準備段階にあると考えてもいいかもね。何かについは言えないけどね。」
「でも2人とも"勇者"のスキルは持っていなんだから、慌てることでもないよ、きっと。」
「カリーナさん、このことは誰にも言ってはいけないよ。」
「はい、誰にも言いません。」

カリーナは、ギルド長に一礼をして部屋を後にした。

「"女神アルティナの加護"か。さて何が始まるのかお楽しみというところかな。」

以前、現役冒険者だった頃、仲間の冒険者が女神の加護を持っていた。
その冒険者は、女神様に与えられた密命があると言っていたこと思い出していた。

"ココ"の街を出た。クリスをお姫様だっこして風魔法"フライ"と唱えて森の小屋へ向かった。
"人化"を解いて鞘に入れて飛んでもいいのだが、お姫様だっこしたいよね。…胸もあたるし。へへへ。
森の木の上にある小屋に到着した。

「小さい小屋だけど、ここを拠点に魔獣狩りを行っているんだ。」
「主様の家でしたら、どこでも構いません。」
「じゃあ、クリスはこっちのベットを使ってくれ。」

俺の向いにあるベットを指さすと、クリスはベットに腰を下ろした。
水や食料以外の物をアイテムいボックスから取り出して棚に並べる。
ひととおりの支度が終わったので魔獣狩りに出かけることにした。
クリスに剣スキル"人化:解除"と唱えてショートソード"技切姫"に戻ってもらった。
腰の鞘に"技切姫"を戻し、小屋から出て"探査"と唱えた。
"探査"には、複数の"青"と"赤"の点が表示されていた。
俺は風魔法"フライ"で複数の点が重なって表示されている森の奥へ向かって飛んだ。
飛行中にも点はどんどん減っていった。
これは、魔獣と誰かが戦っているということか。
おそらく魔獣相手に冒険者が戦っているのだろう。
これだけの点の数だと、おそらくオークの集団と戦闘になっているのだろう。
"探査"で点が複数表示されていた場所に来てみたが、やはりオークと人の死体が散乱していた。
"探査"の表示を再度確認すると、点が二つ移動していた。
俺は、点の後を追って風魔法"フライ"と唱えてで飛んだ。
目の前に1体の血だらけのオークが歩いていた。
右手には、エルフの女が捕らえられていた。
オークの左手は、取れかかっていた。
あのエルフ、オークの繁殖用に巣に連れていかれるな。これは、最悪な結果になると誰でも予想できる。
俺は風魔法"フライ"と唱えオークの後ろから近づき"技切姫"を抜いた。
さらに近づきオークの首に向かって剣を振り抜いた。
オークの頭が森の地面に転がった。続いてオークの体が地面に倒れた。

オークの右手からエルフを助け出し、再び風魔法"フライ"と唱えて森の小屋へと飛んだ。
小屋に入ると俺が使っていたベットにエルフを寝かせ、ポーションを少量ずつ口に流し込んだ。
体のあちこちにある傷口にポーションを垂らして傷を癒した。
剣スキル"技切姫:人化"と念じてクリスを呼び出し、今あったことを説明しようとした。
クリスは、剣に戻っていても全て見えているので説明不要と言っていた。
あまり使ったことがない"回復魔法"も使ってみたが意識は戻らなかった。
しかし、いつも思うのだが、なんでエルフってこんなに美人ばかりなんだ。
ケガ人の前で失礼だが、これでは俺が辛くなるばかりだ。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

処理中です...