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08.城塞都市を守ります
03.籠城戦です。
しおりを挟む明け方に雨がやんだ。
道はぬかるみぐちゃぐちゃだ。
俺達は、朝から冒険者ギルドの建物の前に集まった。
冒険者ギルドから招集がかかったのだ。
集まった冒険者の前でギルド長が静かに、しかし力強く話始めた。
「"ココ"の街にいる冒険者の諸君。私の招集に集まってくれてありがとう。」
「既に知っている者もいると思うが先ほど王国軍から連絡があった。魔族に率いられた魔獣8000が"ココ"の街へ進軍中だ。」
「恐らく、森を抜けて草原地帯にさしかかった頃だと思う。あと2日で"ココ"の街に来る。」
「そうなれば、この街は戦場になる。他の街にも多かれ少なかれ魔族の軍勢が向かっているとの情報も入っている。」
「俺達は腹をくくる必要がある。もう逃げ場がないのだ。そこで冒険者の皆にお願いしたい。」
「兵士となって戦えとは言わない。しかし、兵士の手助けをしてほしい。この街にいる住民を守ってほしい。魔獣の牙から皆を救ってほしい。冒険者ギルドは、戦うことを強制しない。だが、お願いしたい。皆を守ってほしい。」
ギルド長が頭を下げた。
「やってやるよ。酒を飲むことしか能がないなんて言わせねーぞ。」
「宿屋のねーちゃんに男を見せてやる。」
「俺は、この戦争が終わったら宿屋のねーちゃんと結婚するんだ。」
おい、それは"ど定番"の死亡フラグじゃないか。縁起の悪いことを言うやつもいるもんだな。
冒険者達は、面白いことを言ってはギルド長の"お願い"に応えた。
"ココ"の街にいる冒険者の数は100人程で以外に少なかった。
冒険者のレベルや能力によって仕事が割り振られた。
俺はEランクなので戦闘向きではないと判断されたが、回復魔法が使えるので救護所でケガ人の回復をすることになった。
サティは、Cランクで弓を使えるので、城壁よりさらに一段高い塔の上で王国軍の弓兵の補助をすることになった。
クリスは、俺と一緒にいることを選んだ。クリス曰く俺の護衛だそうだ。
ベティは、城壁を越えて街に入ってきた魔獣を叩くことになった。
アレスとレディは、直接戦闘向きじゃないし、まだ冒険者登録を行って間もないFランクの冒険者なので今回は腕輪での参戦になった。最終局面で必ず2人のスキルが役に立つはずだ。
昼頃には、王国軍の兵士500人が"ココ"の街に入った。
王国軍の斥候も魔族軍の偵察から戻ってきた。
本来なら魔族軍は"ココ"の街近くまで進軍していてもよいはずだが、草原で進軍に手間取っているらしい。
どうやら草原に開いた多数の大きな穴に雨水が溜まり、大穴を迂回するにも時間がかかり、大穴を渡ろうにも泳ぐほど雨水が溜まっているので、進むに進めず右往左往している状態なんだそうだ。
「草原にあんな多数の大穴を開けたバカがいると聞いた時は、どこのバカの仕業だと思ったが、それが敵の進軍を遅くしているんじゃ悪く言えないな。」
みんな笑っていたが俺は笑えなかった。体中から汗を流れでていた。ごめんなさい。
クリスがそっとハンカチを差し出してくれた。その冷めた表情が優しく感じます。ありがとうクリスさん。
しかし、良い話ばかりではなかった。
あと1日で到着する予定だった王国軍1000人の兵士が遅れるとの連絡が入った。
街道に多数の魔獣が出現して王国軍の進軍を妨げているらしい。
敵もバカじゃないってことか。
最悪の場合、王国軍1000人の兵士と冒険者100人で魔人族8000人と戦うことになるかもしれない。
やっぱり数は力だよなあ。
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