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純粋どくだみ茶

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10.武具回収ふたたび

03.新たな仲間ですか。(その2)

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まずは、冒険者ギルドに行って"バーラ"の城塞都市で活躍したという冒険者に面会しないと。
ミリアーナは、教会の司祭が書いた手紙をギルド長のセイカトラルに渡した。
このセイランド王国では、司祭の手紙を一介の田舎町のギルド長が請け取ることなど絶対ありえないのだ。

その手紙にはこう記されていた。

"バーラ"の城塞都市で活躍した冒険者チームへ神官ミリアーナを加えるべく取り計らって欲しい。そのためには教会は冒険者ギルドへのいかなる協力も行うことを約束すると書かれていた。

「やっぱり、教会が動いたか。」

「教会は、榊君に首輪を付けたいんだろうな。冒険者ギルドとしては、それだけは避けたいな。」

「わかりました。」

「榊君の件については、冒険者ギルドは教会への全面的な協力を約束します。」

「ただ、榊君の家は、魔族軍との戦争で燃えてしまって建て替え中なんです。で、殆ど森の中で生活をしているんで連絡に時間がかかります。連絡が取れるまで宿屋で待っていてもらえますか。」

神官ミリアーナは承諾し、神官兵とともに冒険者ギルドを後にした。

冒険者ギルドのスタッフが手紙を持って俺の増築中の家に来た。
丁度、居間に居合わせたので、手紙を受けとりクリスと2人で冒険者ギルドに向かった。
ギルド長の部屋に通され、教会が神官を派遣してきた事を伝えられた。

ギルド長の考えはこうだ。
"バーラ"の城塞都市での戦闘を見た神官が"女神アルティナ様"の件に感づいた。
恐らく榊君をなんらかの方法で懐柔して首輪を付けて教会に連れて行こうとしている。
冒険者ギルドとしては、榊君を教会に取られたくない。が、教会と敵対することも避けたい。
なので、榊君のところで、のらりくらりとかわして森の小屋に閉じ込めて教会と連絡が取れないようにするのが得策ではないか。

ギルド長に聞いてみた。神官を冒険者のチームに派遣することなどあるのかと。
相手が"勇者"だったりすると、チームに神官を派遣して王国への発言権を高めるように動くらしい。
ただ、一介の冒険者にそんなことをするのは聞いたことがないそうだ。
まずは、森の小屋に連れていって冒険者としての力量を見ることにした。
ギルド長の部屋で神官と神官兵の2人と対面し、簡単な挨拶を交わした。

2人がクリスを見た途端、クリスの目の前で土下座を始めた。

「"女神アルティナ様"、このような場所でお目にかかれるとは、神官として嬉しく思います。」

「ミリアーナさん、エリカさん。クリスは"女神アルティナ様"にそっくりだけど別人だから立ち上がってよ。」

2人は、教会に飾られていた絵にそっくりなクリスが"女神アルティナ様"ではないと言われても信じられなかった。
ギルド長の説明でようやく立ち上がった2人だが、まだ半信半疑のようだった。

その後、2人を連れて建築中の家に戻り、転移石で森の木の上にある小屋に移動した。
2人を転移石がない方の小屋に案内してベットとトイレについて説明した。
2人は、きょとんとしていた。
冒険者なので、宿屋を転々としたり野宿をすると思っていたらしく、苛酷な生活を強いられると覚悟していたらしい。
もうすぐ家の増築が終わるので、チームのメンバには、ひと部屋づつ割り当てるとも言っておいた。
神官兵のエリカさん曰く。

「冒険者としては破格の待遇です。」

え、そうなの。

家の建築が終わった。殆ど新築になった。
建築資金は"ココ"の街の防衛戦の報奨金から出した。
女性陣に5部屋。クリス、サティ、ベティ、アレス、レディ。
のはずだったのが、ミリアーナ、エリカがチームに入ると7部屋となる。
さらに"指切姫"を人化したら8部屋。
余裕を持たせた間取りにしたので大丈夫だが、えらく人が増えたな。
家が完成したので、新しいキッチンの使い勝手を確認するべく、いつものオムライスとシュークリームを作った。

8人掛けのテーブルを2つ並べているのでテーブルに椅子が14脚。
オムライスを作っていると、オムライスの数が1つ少ないことに気が付いた。
椅子に座る人の数を数えると1人多い。
そこには、伊達メガネをしているがクリスと同じ顔がもうひとつあった。もちろん右手にはスプーンを握りしめていた。
俺は、キッチンに戻り黙ってオムライスを作り続けた。
皆にオムライスとサラダを配り、食事前に"ミリアーナ"と"エリカ"を紹介した。

「教会から来ました"ミリアーナ"です。今後ともよろしくお願いします。」

「エリカです。神官兵ですが、元冒険者でしたのできっとお役に立てると思います。」

2人が椅子に座ったので、メンバーの紹介を行った。

「今日は、我が家の定番メニューのオムライスです。皆さんのリクエストでふわとろ卵のオムライスにしました。」

「さて、オムライスの日と言えばいつものことですが、今日も"女神アルティナ様"とご一緒にご飯を頂くことになりました。」

皆がクリスの顔を見る。あれ、クリスが伊達メガネをしていた。いや、クリスは伊達メガネをしていないので"女神アルティナ様"だ。
皆が椅子から立ち上がり、"女神アルティナ様"へ片膝を付き頭を垂れて礼を尽くした。
ミリアーナとエリカは、何が起こったのか理解できずきょとんとしている。

「ミリアーナさんとエリカさんは初めてなので無理もないけど、こちらの方が"女神アルティナ様"です。」

「うちでオムライスを食べる時は、必ず食べに来られるんですよ。」

2人は、言葉が出なかった。
ミリアーナとエリカ以外は、片膝を付いて頭を垂れて礼を尽くしていた。
慌てて2人は、土下座を始めた。
まさか本物の"女神アルティナ様"に会えると思っていなかったのだ。

「ミリアーナさん、エリカさん。いつも布教活動ご苦労さまです。神官の行いと導きが人々の健やかな暮らしの支えになっています。とても嬉しく思います。」

2人からは何の言葉も発せされず、ただただ土下座をするばかりであった。
俺は、2人を説得して皆と一緒にテーブルの席に座らせた。
皆は、"女神アルティナ様"との食事も慣れたもので雑談に花を咲かせていた。
ただし、ミリアーナさんとエリカさんは、体が震えて食事をする事などできないようだ。
2人は、ただただ、オムライスを見つめるだけだった。
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