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13.王都が陥落しました
07.事後処理だそうです。
しおりを挟む王城の地下の牢獄で楽しそうに談笑していたクリスとサティを救出した。
2人は、牢内でお茶飲んでお菓子を食べていた。とても"救出"したとは思えない状態だった。
クリスが"ローゼリーナ"という国王の護衛兼愛人だというダークエルフを縄で縛って弄んでいた。
ダークエルフは、普通に縄で縛られていたのでなく、SMで施される"菱縄縛り"という高度な縛り方をされていた。
どこで"菱縄縛り"を覚えたんだか。
どうせどこかの冒険者のスキルを奪ったに違いない。もう何も言わない。
しかし、こんなスキルをよく見つけるよな。逆の意味で関心してしまう。
"ローゼリーナ"というダークエルフは、クリスとサティに拷問を行うためにやってきたそうだ。
「このダークエルフを主様に進呈します。私達に拷問を行おうとした不敬の輩です。ご自由にお楽しみください。」
クリスの言葉を聞いた途端、俺の顔が真っ赤になってしまった。
だめです。もうあんな事やこんな事を想像してしまいました。
おっ、そうだ。いいものがあった。
アイテムバックから"従属の首輪"を取り出す。
この首輪に魔力を補充し、対象者の首にはめると魔力を補充した者の命令を無条件に履行する優れたアイテムだ。
俺は、にやにやしながら"従属の首輪"に魔力を込めた。これでもかというくいらい。
「な、何をしようと言うのだ。まさかそれは"従属の首輪"ではないのか。」
「私にそれを嵌めようというのか。覚えていろ。お前には口では言い表せない攻めを与えてやる。死んだ方がよかったと思わせる攻めを与えてやる。覚悟しろ。」
このダークエルフ威勢がいいな。これなら楽しめそうだ。
「や、やめろ。"首輪"を近づけるな。"首輪"を…。」
いやがるダークエルフの首に"従属の首輪"を嵌めた。
「ご主人様。くそ…ご主人様。なんなりと…お申し付けください。」
ダークエルフの言葉使いが変わった。
"従属の首輪"ぱねえ。
首輪を嵌めた途端に態度が変わった。
でも心の底まで従属している訳ではないのね。目から涙が出ていた。
でも、俺はやめない。
そうだ。家に帰ったらこのダークエルフに"あれ"をやらせよう。すごい楽しみだ。
"ポロロン"回収の腕輪が鳴った。
おっ、女神様からの手紙だ。ということは武具の回収か。
回収の腕輪から手紙を取り出す。
「榊さん。王都城下でのご活躍見てました。お疲れさまです。さっそくですが、王城の宝物庫に"勇者の剣"が保管されています。保管されてから既に200年以上の時が流れています。回収をお願いします。」
クリスと2人で王城の宝物庫へと向かった。
王城は、まだ魔獣の駆逐が済んでいなため兵士も近づかない状況だ。
王城の宝物庫へ向かう通路を歩いていると魔獣に出くわすが、クリスが呆気なく倒していく。
相変わらず"技切姫"を魔獣に刺す瞬間が見えない。見えるのは魔獣の腹から"技切姫"を抜く動作だけだ。
クリスが魔獣から"技切姫"を抜いても殆ど血は出ない。
魔獣が床に倒れた瞬間、衝撃で大量の血と臓物が溢れてくる。
あまり見ていて気分のよいものでない。
宝物庫の前に到着した。
宝物庫の扉を開ける。
俺の右手の人差指の"赤い糸"を確認すると宝物庫お奥へと続いている。
宝物庫というくらいなので、骨董品の壺とか皿とか、美術品とかが大量にあるのかと思ったが、ただの倉庫だった。
目的の物は、宝物庫の奥の棚にあった。
木の箱に入っていたが鍵などはかかっていなかった。
箱から剣を取り出す。
"勇者の剣"と聞いていたのでもっと金ぴかで豪華な剣かと思ったが、何の変哲もない普通の剣だった。
俺は"勇者"じゃないので"勇者の剣"には全く興味がない。
うちのチームで"勇者の剣"がにあいそうなのは"ベティ"くらいか。ベティは"覇者の槍"をすごく気に入っていたので、こついは女神さまへ即返却だ。
左腕の回収の腕輪に"勇者の剣"を近づけると静かに剣が消えていった。
"ポロロン"と音が鳴った。
"女神アルティナ様"返事が早いです。
回収の腕輪から手紙を取り出した。
「榊さん。回収ごくろうさまです。200年前の勇者に貸与した"勇者の剣"に間違いありません。その後、誰にも使われずにお城の宝物庫に200年も保管されていた剣です。なかなか回収できないので困っていました。」
「追伸。今度、ぜひミルクアイスが食べたいです。」
"女神アルティナ様"。"勇者の剣"の回収より"ミルクアイス"の方が本命だな。
国王軍から王都周辺の街の冒険者ギルドへ緊急クエストが発注された。
クエストの内容は"王都城下に俳諧する魔獣の討伐"。レベルは"冒険者レベルC以上。B以上が望ましい"だ。
冒険者ギルドに緊急クエストを発注して直ぐに冒険者が集まり始めた。
場所が王都城下となれば、回復アイテムや、回復魔法ができる冒険者や神官が多くいるので危険な辺境での狩りに比べると難易度は以外と低く、金とレベル上げに貪欲な冒険者にとってはもってこいのクエストだ。
俺達が王都城下の魔獣の討伐に手間取っていると、冒険者達が次々と魔獣を狩っていく。
やはり建物が多い街中では、俺達のような大火力系の攻撃は使い勝手が悪い。
王都城下の魔獣の討伐は、冒険者に任せても大丈夫なようだ。
ミリアーナとエリカは、教会で回復魔法によるケガ人の治療を行っている。
エリカは神官兵だが回復魔法も使えるのだ。
実は困ったことが起きていた。
王都城下に転移門が出現して魔獣が溢れた時に真っ先に逃げたのが教会の神官達だった。
しかも上位の者ほど逃げるのが早かった。
下級神官には殆ど情報が伝わらず、ケガ人の治療に向かった者が次々と魔獣の餌食になってしまった。
現在、この王都には回復魔法が使える神官が以前の半分以下になってしまった。
俺は、教会の問題については部外者だが、"女神アルティナ様"を信仰する教会となると、他人のふりをして無視を決め込む訳にもいかないのでどうしたものか悩んでいる。
現在、セイランド王国には国王が不在だ。
転移門から出現した多数の魔獣に国王以下大臣達も殺されてしまった。
さらに王都城下にある貴族の邸宅街に屋敷を構えていた国王派の諸侯も殆どが魔獣に殺されてしまった。
国王不在の好機を利用して反国王派が温存している軍勢を率いて王都に攻め込もうとしているという情報も聞こえてきた。
俺は、武具の回収で知り合った中間派のリーガル伯爵様と冗談半分に"王国で政変"があった場合は、リーガル伯爵様に王国の政権運営をお任せしたいとお願いしていた。
国王でも貴族でもない俺には権力も政治力もないのだが、魔族軍23万を撃退した強大な軍事力?がある。
反国王派は例え10万の兵力で王都に攻め込んでも俺達の相手ではない。
"勇者"にはならないと"女神アルティナ様"へ宣言したはずだが、いつの間にかものすごい戦力を有していた。
まあ、悩んでも始まらないないので考えないことにした。
アレスに親書を手渡し、"風神"でリーガル伯爵様とオーレリアン伯爵様の元へ飛んでもらった。
リーガル伯爵様とオーレリアン伯爵様は、旧知の仲でリーガル伯爵様が"王国の政変"時の協力を本気で願い出ていたのがオーレリアン伯爵様だ。
リーガル伯爵様とオーレリアン伯爵様には、早急に登城してもらい空白状態になった王国政権の再生に尽力してもらう予定だ。
反国王派の軍勢が現れた時は、俺達の戦力で対抗することにした。
それまでにやっておかなければならない事がひとつ残っている
転移門の向こう側にいるはずの魔族軍だ。
"バーラ"の城塞都市の防衛戦では、魔族軍に魔人イフリートが3体いた。
今回の王都城下には、魔人イフリートが1体もいない。何かがおかしい。
王都城下へ転移門が現れたのは、セイランド王国を滅ぼすことが目的ではないと思っている。
そもそも戦闘が終わったのに転移門が消えないのもおかしいし、増援の魔獣が全く侵入してこない。
つまり、魔族は俺達に転移門を通って闘いに来いと言っているようだ。
ならば受けて立とう。
戦場は、魔族国。最後の闘いになることを願う。
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