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純粋どくだみ茶

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18.火龍の神殿

03.卵。

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ベティは、朝から火龍神殿に来ていた。
神殿は広いが3人の神官が掃除を行っているので塵ひとつない。

「おれが火龍神殿の主?になったことで廃墟みたいだった神殿もなぜか昔の姿に戻ってしまったのだ。」

「この神殿自体に何かの魔法がかかっているようだが、おれには難しいことは分からん。」

「3人の神官達が余りにも可愛そうなので勢いで神殿で火龍の"あるばいと"なるものを始めたが暇だ。すごく暇なのだ。」

当然だが神殿にはこの200年間、火龍がいなかったので誰も来ない。
礼拝堂の祭壇の前にいてもすることはない。

「暇だ。暇じゃ。暇なのじゃ。」

「クレア、デルナ、ステラは、よく働くな。でも誰も来ないぞ。」

クレア、デルナ、ステラは、3人の神官の名前だ。
3人とも身寄りがなくて前任の神官に育ててもらったらしい。
なので、この神殿以外に行くところがないと嘆いていた。

「散歩に行ってくる。」

とてつもなく暇なので、神官達に断って神殿の周りを歩いてみた。
神殿の外に出ると…神殿以外何もない。
火龍の神殿は、山の中腹にあるので階段が延々と続いている。その階段も所々壊れたり道が荒れていた。
その階段の先の麓に小さな村が見える。
この神殿は、あの村人達から生活の糧を得ているのか。
後で挨拶にでも行くか。

神殿の裏手に回ってみた。
すると神殿の裏山のあちこちから湯気が立ち上っていた。
風魔法"フライ"で湯気が立ち上っている場所に来てみると熱いお湯が沸きだしていた。
榊殿がよく温泉はきもちがいいと言っていたがこれがそうなのか。
湯気が出ている湯に指を入れてみたが熱くて火傷した。
うう。榊殿の嘘つき。熱くて火傷したではないか。
しかも卵の腐ったような臭いがするぞ、こんなもののどこがよいのかさっぱり分からん。
後で榊殿に文句を言ってやろう。

風魔法"フライ"でさらに山の上へと飛んで行く。
遥か彼方の山の山頂付近に飛龍が数多く飛んでいた。

「ここは、やつらの縄張りか。あとでからかいに行ってみるか。」

ベティの戦闘力からすると飛龍ごときでは全く相手にならないので遊び相手に丁度よい。
神殿がある山からいくつかの山を越えたところで絶壁にぽっかりと開いた洞窟を見つけた。
試しに洞窟に入ってみると洞窟の中はかなり広く、龍が入ることもできるほどだ。
ただ、洞窟内に魔獣がいる気配はなかった。

「特に何もないか。面白そうなものでもありそうな感じがしたんだが。」

ひとりごとを言いながら洞窟の奥に入っていく。
すると、なぜか懐かしい雰囲気のする巣があった。

「おお。懐かしいぞ。人化する前はこういった巣で寝ておったな。」

ただ、巣には埃がたまっていて、かなりの年月の間使われていないようだった。

「今じゃ榊殿のところでフカフカのベットで寝ているからの。もう以前のようにここで寝ろと言われても勘弁なのだ。」

そう言いながら巣の中を覗いてみると、何やら丸い物がふたつ並んでいた。

「おっ、卵か。しかも何か懐かしい感じがするがこの卵は生きておるかの。」

ベティは、試しにふたつの卵に触れてみた。
すると、なにやら胸の中からある衝動が沸き起こった。こやつらを守ってやらねばと。
ふたつの卵はまだ生きていた。
ただ、埃を被ってかなりの時が立っていたようだ。
ベティは、アイテムバックから布を取り出して卵を布でつつむと"覇者の槍"にくくりつけて神殿に持ち帰った。



「クレア、デルナ、ステラ帰った。山で卵を見つけたぞ。」

神官達がベティが持ち帰った卵を興味深げに見ていた。

「これは何の卵ですか。まさか飛龍の卵じゃないですよね。」

神官達は、遠くの山に住む飛龍を知っているので、飛龍の卵だと思ったようだ。

「飛龍ではない。おそらく龍の卵だ。何龍かは分からぬがの。しかもこの卵は生きておる。」

「なので、これから卵料理を作るぞ。」

ベティが満面の笑みで皆に宣言した。

「えっ。食べるんですか。龍の卵ですよ。食べないでください。」

神官達は、卵を食べようと言い出したベティに卵を食べないよう抗議した。

「うそじゃ。食べる訳がなかろう。同族かもしれんのだぞ。そんなことする訳がなかろう。」

神官達は安堵した。でもベティと知り合ってまだ何日も立っていないので、ベティの性格がいまいち分からなかった。
礼拝堂の祭壇の前にふたつの卵を毛布でくるんで、壺に温かい湯を入れて卵の側に置いた。

「この卵が産まれるも死ぬもこやつらの生きる力しだいだからな。」

「後は湯をこまめに変えて温かくしておけば、こやつらが勝手にするであろう。」

あまりにもあっけらかんとしているベティに神官達は苦笑いをしていた。
もっと親身になって卵の世話をすると思っていたからだ。

「いい、ベティさんに卵の世話は任せられないわ。」

「私達3人でなんとかしましょう。もし龍が孵ったらこの神殿始まって以来の出来事よ。」

「そうです。こまめに壺の湯を取り換えて、温かくすればきっと早く孵るはずです。」

神官達は、ベティに任せてられないと、卵の世話をする順番を決め始めた。
この神殿で龍の卵が孵ったという記録は残っていなかった。
もし、この神殿で龍の卵が孵ったらこの神殿創設以来の出来事になる。
龍の卵が無事に孵るように神官達は、力拳を握って"頑張るぞ"と叫んでいた。
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