誰にでもできる簡単なお仕事です。

純粋どくだみ茶

文字の大きさ
151 / 169
18.火龍の神殿

31.水神様の神殿。(その2)

しおりを挟む
「あれはなんだ。顔が3つ、手が6本、人の形をしているが人ではなぞ。なんと悍ましい姿だ。」

龍殺しの一族の男達は、顔から汗を流し剣を握る手は汗ばんでいた。

「いくぞ、やつらの攻撃が止んだのだ、全員でかかれば龍殺しである我々が負けることなどない。」

そう檄を飛ばすと龍殺しの一族の男達は、次々に阿修羅に剣を振り下ろした。
阿修羅は6本の手から繰り出す剣で全ての剣を薙ぎ払い、次々と龍殺しの一族の男達へ剣を突き刺していった。

「ええい、やつは3つの顔と6本の手で全方向からの攻撃に対応している、全方向からさらなる同時攻撃を行え。さすれば奴も対応できまい。」

龍殺しの一族の男が、他の男達へと指示を飛ばした。
龍殺しの一族の男達は、阿修羅へ3方から同時に剣を突き出したが、すべていなされると同時に3人の男達の首が跳ねられた。

次に6方向からに阿修羅に向かって剣を突き出したが、すべていなされると同時に6人の男達の首が跳ねられた。

「阿修羅さん、無双状態ですな。最初から阿修羅さんを召喚していたら、火龍神殿での闘いももっと簡単に終わっていたのか。」

俺は、剣技がだめだめなのでチームの状況の把握と指示出しを行ってきたが、阿修羅さんは最後の切り札という認識を持っていたため、日頃から闘いの場には出していなかった。今になってそれを後悔した。

「族長、我らではあの異界の者を止められません。これでは水神の広間にすら到達できません。」

「…仕方ない。我ら3人が水神を葬る。お前達は、なんとしてもやつの足を止めろ。」

龍殺しの一族は、阿修羅の足止めと水神の討伐のふたつに分かれていった。

「あっ、やっぱり水神様を討つために隊を分けたか。ベティ、水神様を討ちにに3人が向かった。あいつらを追ってくれ、クリス、ローザ、ベティの護衛を頼む。」

3人は、すぐに水神様の広間に向かった男達を追った。
阿修羅は既に10人以上の龍殺しの一族を倒していた。

残った敵は、既に数えるほどだ、ならばそろそろ潮時か。
俺は、残った敵に対して大きな声で提案を行った。


「龍殺しの一族の皆さん、もうやめにしませんか!」

「ベティを倒せなかった時点であなた方の力量は分かりました。もうこれ以上闘っても命を無駄に散らすだけです。」

「私は、水神様と懇意にしています。皆さんを無碍に扱ったりしないよう助言をします。」

俺は、助けられる者は助けたいと思った。敵とはいえ、血の一滴まで搾り取るような真似事はしたいくない。

「龍殺しの一族は最後まで闘いを止めたりしない。」

龍殺しの一族の男は、そう言うと剣を構えなおした。
ところが、龍殺しの一族とは、少し違う身なりをした男がこう言い出した。

「いや、俺達は、トロンヘイム王国の騎士だがこの闘いに疑問があった。」

「国王の命だからとこの闘いに参加したが、我々は国を守るためなら命も捨てよう。しかし、国を攻めたり街を亡ぼした訳でもない水龍を討つために他国に攻め込むなど、本来あってはならぬとだ。」

「俺達にとってこの闘いは既に終わったのだ、この数で水龍を倒すなど土台無理な話だ。」

そう言うと、騎士は剣を床に投げ出した。

「悪いが、俺達はあんたらのように龍に対する憎しみはない。むしろ、わがトロンヘイム王国にも龍がいてくれたらもっと国は栄えたやもしれん。龍を憎んでいるのは、国王とお前達だけだ。国民は、新しい火龍が主になったエルネス王国を羨んでいることすらあるのだ。」

それを聞いた他の騎士達も剣を床に投げ出した。
騎士達は、次々と剣を床に投げ出し、手を頭の後ろに組んで俺達の方へと歩き出した。

「まて、龍の討伐は王命だぞ。それを無視するのか。俺達"龍殺しの一族"は国王様よりこの闘いの全権を任されているんだ。勝手な真似はゆるざんぞ。」

龍殺しの一族の男は、剣を棄てて投降してきた騎士達を後ろから剣で斬り殺そうと剣を振り上げた。

ヒュン。

サティが"覇者の弓"から放った矢の音が神殿内に響いた。放った矢は、龍殺しの一族の男の胸を貫いていた。

投降した騎士は、倒れた龍殺しの一族の男を振り返って一瞥すると「命を粗末にしやがって。」そう言い残した。結局、6人の騎士達が投降した。

残った龍殺しの一族の男達は3人となったが、その3人も各々の顔を見合わせると、剣を床に投げ出し、頭の後ろに手を組んで投降を始めた。

目の前の阿修羅の手が握る6本の剣を見て戦闘意欲を失わない方がどうにかしている。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

処理中です...