誰にでもできる簡単なお仕事です。

純粋どくだみ茶

文字の大きさ
167 / 169
18.火龍の神殿

47.魔族国との懇親会。(その2)

しおりを挟む
「最後に最も大切な事を聞きたいのだ。」

「あの悪魔はどうした。なぜあそこで優雅に茶など飲んでいた。」

魔族国の魔王様はそれが気になっていたのか。それでこんな場所に俺を呼んだのか。

「悪魔さんですか、悪魔さんには俺の経営するレストランで料理コーディネーターをやってもらっています。それと、うちの従業員の男の子の従者なんです。悪魔さんは、料理が大好きでさっき話した男の子に食べてもらう料理の研究をするためにうちの店に来てもらっています。」

「まてまて、あの悪魔がそんな理由で大人しくしているはずがない。300年前にあの悪魔に魔族国は滅ぼされかけたのだぞ。その悪魔が料理をするために人族と肩を並べているなど信じられん。」

魔族国の魔王様は、わなわなと震えていた。かつて国を滅ぼそうとした悪魔が今は料理のために仲良くしてるなど言語道断。けしからん話らしい。でも家でよく料理しているし、皆で一緒にご飯食べてるし、気さくで楽しい悪魔さんなんだよな。

「まあ、信じてもらわなくても良いですよ。悪魔さんとは良い関係を築いているのでこちらとしては何の問題もありません。でも、あの悪魔さんは、うちの従業員の男の子の従者なんです。もし、その男の子がどうにかなると、おそらく暴れるでしょうね。この世界が亡ぶかもしれませんので、変な事は考えないでください。」

「そうそう、あの悪魔さんは、この国の王立魔術院の特別顧問兼特別講師になってもらいました。それと、先ほどお話した魔族の女の子ですが、王立魔術院の魔術師になりました。」

魔族国の魔王様は、腕を組んで天井を見上げると、大きなため息をひとつついた。
俺が話す話全てが信じられないようだ。

「それでは何か、もし魔族国がこのセイランド王国と再び戦争などしたら…。」

「はい、龍神様がふたりと悪魔さんが、揃ってもれなく戦いに参加されるかと。悪魔さんはきっと楽しそうに暴れるでしょうね。2人の龍神様は、"龍神の業火"を力の限り連続でお使いになられるでしょうね。国が焦土と化します。」

「私の元には、神器が人化した者が4人おりますが、悪魔さんを止める事など無理だと皆申しておりました。私もそう理解しております。」

俺は、少し盛って話を振ってみた。同じテーブルに座っている水神様にも話は聞こえているはずだが、すまして茶を飲んでいるところを見ると、それを否定する気はないようだ。

ベティは、相変わらずテーブルに出ているお菓子を手あたり次第がつがつ食べているだけなので、話なんて聞いちゃあいない。

すると、魔王様と従者のおふたりが顔から大粒の汗を流して部屋の角まで移動してひそひそ話を始めた。
どうせ、最初は、適当に条約を結んでどこかでまた戦争でも仕掛けるつもりだったんだろう。

だが、こちの戦力が想像を超えていたので、考えが纏まらないのだろう。
部屋の角から戻ってきた魔王様と従者は、顔の汗を拭いてニコニコした顔で話始めた。

「セイランド王国と魔族国は、条約締結を持って実りある関係を築けると確信している。両国は、未来永劫より良い関係を構築できるであろう。」

魔王様が手を出して俺に握手を求めてきた。
まてまて、それはセイランド王国の女王様とやるべき事だろう。なぜ俺に向かってやるんだ。
何か勘違いしてないか。
そう思っても仕方ないので、俺は手を出して魔王様と握手を交わした。

魔族国の魔王様は、誰がこの国の要なのかを瞬時に理解したようだ。それは、この国の女王では
なく、悪魔やふたりの龍神との人脈を持つ俺だと。
この国に手を出すと国が亡ぶと瞬時に理解したのだ。

この懇親会が、このセイランド王国の未来を決定付ける会合となった瞬間だったのだが、それを全く理解していない榊だった。



そして魔族の女王様が突然ある事を話しを持ち出した。

「ときに結婚はしておるか。」

「えっ、俺ですか。いや、結婚はしてません。独身です。」

「そうか、私も独身なのだ。どうだ国同士の友好関係を一番築けるのは、血の繋がりだと思うのだが。」

魔族国の魔王様は、俺に結婚話を持ちかけた。かなり強引なの人だ。いや魔族だ。
魔王様の顔が俺の目の前に迫ってきた。確かに美人だし、声も綺麗だし、そりゃスタイルもいいから悪くはないが、会ったその日に結婚を申し込まれても困るよな。

俺が返答に困っていると、座っていた水神様が席を立って俺の側に立った。

「んんっ。最近、わしは榊殿の子を産んだばかりじゃ。以前より榊殿とは、何度も寝屋を共にする間柄でな。結婚するならまずわしが第1夫人じゃ。それに龍神の角を掴むという求婚の儀式も既に終えておる。」

水神様、子供を作ったのは水神様が半ば強引にベットに引き入れたからですよね、水神様の角を掴んだのは俺が知らなかったからですが。
しかもいつの間にか俺の後ろにベティが立っていた。

「わしも榊殿に角を握られたのじゃ、じゃから順番からするとわしが第2夫人じゃ。」

ベティよ、何勝手に参戦してるんだよ。話がややこしくなるだろ。

「となると魔王様は第3夫人になるのですか、魔王様が第3夫人と言うのはいささか体面上よろしくないです。」

魔王様の側近がまた変な事を言い出した。もう勘弁してくれよ。
俺の後ろには、水神様、ベティ(龍神様)が立っていたが、いつの間にかクリスもその列に並んでいた。クリスの顔は、いつもとは異なり少し悲しげな表情で目には涙を浮かべていた。

「私は、主様に毎晩子種を注がれております。子宮が渇く暇もありません。それこそ毎晩です。」

クリスよ、ここで言う話ではないだろう。それも生々しく言うなよ。

「私以外にも他に3人おります。彼女達もとっかえひっかえ毎晩です。主様の絶倫ぶりは、それはそれはものすごく、悲鳴も出せぬほどの寝技の攻め攻め攻めを受けており毎晩枕を涙で濡らしております。それこそ悲鳴を出そうものなら、主様の男根が喉奥まで押し入ってきて…。」

なななっ、何を訳の分からない事を言っているんだ。毎晩俺の上で踊っているのはお前だろ。俺は、そんな事はしていないぞ。

涙をハンカチで拭く仕草をしたクリスだが、顔を手で隠した途端口から舌を出していた。
やりやがったな。この場をめちゃくちゃにして楽しもうって魂胆だ。

「そっ、そんなにやり手なのか。私は初心すぎて話についていけない。」

魔王様が赤い顔を背けた。魔王様でもかなり恥ずかしいようだ。

「魔王様、そんな事では、結婚などできません。結婚すれば毎晩夫婦の営みがあるのです。たとえば…。」

魔王様の側近が魔王様の耳元で何かを囁いていた。

「えっ、そんな恥ずかしい事までするのか、私は魔王失格だ。まだ私の知らない事がそんなにあるのか。」

「魔王様、それくらいで騒がないでください。さらにこんなこととか…。」

「…え、ええっ、やめてくれ、やめてくれ、恥ずかしくて顔をあげられん。」

おいおい、お前達は、国家同士の懇親会でなにエロ話に花を咲かせているんだ。

見て見ろ、オフェリア女王様の顔が真っ赤じゃないか。
俺が、オフェリア女王様の顔を見ると女王様と目線があった。

「榊さんから、私の様な地方領主の小娘にいきなり女王になれと言ってきた時は、びっくりしたのです。何の魂胆もないと言っていたし、何の見返りも要求しないし。きっと殿方だから寝屋の要求くらいはしてくると覚悟もしていました。そうですか、やっぱり私にもそうのうな事をしようと…。榊さんのエッチ。」

がーん。オフェリア女王様からエッチと言われてしまった。物凄くショックだった。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

処理中です...