ミロクの山

八陣はち

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悠真編

山神の子

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 粘りの少ない透明な飛沫が膨らんだ腹を濡らし、太腿が震える。
 柔く熱い最奥へと、ミロクの楔が潜り込んだ。
 臍の下が歪に盛り上がる。
 悠真の眦には涙が溢れた。
 悠真の最奥は媚びるように甘えるようにミロクにしゃぶりつく。そんな悠真の柔いはらわたを、ミロクは楽しげに捏ね回す。
 内臓ごと押し上げられるような感覚も、もはや悠真には快感でしかない。
 悠真ははしたなく喘ぎ、溶けた声で啼いた。

「ふふ、悠真の胎は気持ちがいい。もう、出してもいいか?」
「っあ、だして、だしてぇ」

 悠真はその身体を期待に震わせる。腹の奥に放たれる奔流を思って、ミロクの力強い律動に身を委ねた。

「ふあぁ」

 腹の奥に熱が弾ける。放たれる奔流は熱く、それは着実に悠真の腹を満たしていく。
ミロクが中で脈打つのがわかる。悠真は甘えるようにミロクを締め上げ、精を搾り取ろうとする。
 その様に、ミロクが楽しげに目を細めたのを、すっかり感じ入った悠真は知らない。

「さあ、悠真、子を宿そうか。このまま七日、繋がっていよう」
「は、ぁ、くぅ」

 緩く身体を波うたせるミロク。深くまで繋がった悠真の身体は緩やかな刺激にも大きな快感を得て勝手に跳ねて、ミロクの支えなしでは起きていられない。
 ミロクは薄く微笑むと悠真を支えながら体勢を変え、すっかり緩んだ悠真の肢体を布団に押し付けた。

「よく頑張ったな、悠真」

 労うようなミロクの緩やかな律動を感じて、悠真は甘い声を漏らした。

 そのまま、どれくらい時が経ったのかわからない。悠真の胎には、ずっとミロクがいた。
 蕾は泡立った白濁で汚れ、腹は吐き出したもので汚れていた。
 すっかり蕩けた身体を布団に預け、悠真は揺られ、啼かされ続けた。
 絶え間なくやってくる波のような快感に、悠真は溶けた声を上げる。

「あう、みぉくさま、はあ、くぅしい」
「ああ、ずいぶん大きくなった」

 ミロクに張り詰めた腹を撫でられるだけで、中が甘く疼く。それだけではない。腹の中の卵が、脈打っている。

「んあ、動いへ、ぅ」

 卵の鼓動を感じ、悠真は蕩けた声を上げた。

「ふふ、もう、産まれそうだ」

 腹を撫でるミロクにも、それは伝わったらしい。
 深々と埋めた逞しい昂りを、ミロクはゆっくりと引き抜いていく。

「っひあ」

 出ていく感覚はひどく気持ちがよかった。段差が、細かな凹凸が、熟れきった悠真の胎を擦っていく。無意識に引き留めるように締め付けてしまって、ミロクが笑う。

「悠真、これでは産めないよ」

 少々強引に引き抜かれ、濡れた音が立つ。すっかり芯のなくなった悠真の花芯は申し訳程度に跳ね、透明な飛沫を吐いた。
 長いことミロクを受け入れていた悠真の後孔は物欲しげに口を開け、熟れた粘膜を晒していた。

「れう、みお、ひゃ」

 拓けた隘路を、卵が降りてくる。
 熟れた腸壁を擦り、しこりを押しつぶすように出口へと向かう卵がもたらすのは、狂おしいほどの快感だった。
 悠真の下肢が跳ねる。

「ひあ」

 皺がなくなるほど蕾を広げて、白いものが飛び出す。連なるようにして、立て続けに産まれ落ちる、白い球体。
 だらしなく投げ出された悠真の脚の間に、卵が転がる。悠真の後孔から産まれ落ちた卵は七つあった。
 それは裂けるように割れて、出てきたのは白い蛇だった。
 山を豊かにする子とは違う、真っ白い鱗の蛇は、ミロクと同じ金の目をしていた。

「ふふ、たくさん産まれた。お前と、私の子だよ、悠真」

 ミロクが白い子蛇を手のひらに掬い上げる。

「うぇし、みぉくさま」

 余韻に喘ぐ悠真はその身を柔らかな布団に沈め、恍惚に満ちた笑みでミロクを見上げた。

「お前は良い胎を持っているね、悠真。お前を迎えてよかった」

 ミロクの白い指先が、悠真の薄い腹を撫でる。悠真はそれにも快感を拾い、身体を震わせた。

「この山のために、もっとたくさん、産んでおくれ」

 金の目が細められるのを見て、悠真は頷いた。



 山神に愛され、花嫁はたくさんの卵を産んだ。それは山を豊かにする、豊穣の卵であり、次なるミロクとなる子の卵だった。
 巳禄山の木々は以前よりも深くなり、時折新種の虫や植物が見つかるようになっていたが、それを知るものは少ない。
 依然として遭難者は出るものの、以前のような遺体の見つからない遭難者は減ったという。
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