夜街迷宮

八陣はち

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夜街迷宮

家族*

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 裸のまま、ユーシーはレイと寝室に向かった。
 照明の落とされた寝室では、ベッドサイドの灯りだけが優しい金色の光をシーツに落としていた。その傍では、上半身裸のジンがベッドを整えていた。
 窓のカーテンは閉ざされ、微かに風の音が聞こえるばかりだった。

 ベッドにユーシーが乗り、レイが乗る。
 衣擦れの音に振り返ると、ジンのスラックスが床に落ちたところだった。
 キングサイズのベッドは、男三人が乗っても僅かに鳴るだけで静かだった。

「シャオユー」

 ヘッドボードを背にして座ったジンに呼ばれて、ユーシーが寄り掛かって座る。脚を開いたユーシーの正面にレイが陣取った。

 既にユーシーの蕾はひくつき、中に含ませたローションが溢れて震える蕾を卑猥に光らせていた。
 ジンの手はユーシーをあやすように髪を撫でていた。ユーシーは蜂蜜色の双眸を揺らしてレイを見上げた。
 これから始まる行為への期待に、ユーシーは喉を鳴らす。胸は高鳴り、熱が全身に広がっていく。

 レイは中指と薬指を揃えてユーシーの中へ潜らせる。柔らかな窄まりを押し広げ、熱い粘膜を探るレイの指は前立腺をすぐに見つけた。

「っあ、レイ、さ」

 ユーシーが声を震わせる。肉壁越しにしこりを撫でながら、レイは楽しげに目を細めた。

「どうした?」

 ユーシーが味わっているのものを知らないわけではないのに、レイはわざと訊く。
 レイはたっぷりと焦らして、ユーシーが我慢できる限界まで快感を与えてくれる。快感で追い詰められて、身も世もなく泣き喚くのがいつものことだったが、それがたまらなく好きだった。
 レイの鳶色の瞳が熱を浴びている。そこに自分が映っているのがわかって、腹の奥が物欲しげに疼く。

「奥、ほしい」

 震える唇で紡いだ言葉にレイは微笑みを返すばかりだった。

「久しぶりなんだ、ゆっくり楽しもうじゃないか」

 穏やかな言葉とは裏腹に、無慈悲にも奥への刺激は先延ばしにされた。
 増やした指で前立腺をじっくりと捏ねられる。レイとジンに挟まれて後退ることもできず、熟れたしこりを弾かれ、潰されて、漣のような快感が押し寄せる。

「っ、ぁ、ーーッ」

 抗議の声は、快感のうねりに飲まれて引き攣った。突っ張らせた脚が勝手に跳ね、背はしなって緩やかな弧を描いた。
 蜂蜜色に濡れた瞳は大きく見開かれ、虚空を見上げる。浅い呼吸は熱く濡れて唇を撫でていく。
 ユーシーの性器は天を仰ぎ震えるだけだった。
 吐精のない絶頂は、脳髄まで灼くような快感でユーシーを苛む。気持ちよくて苦しくて、どうにかなりそうだった。

 胎の中がレイを食い締めているのがわかる。絞り上げるような動きが、レイの質量を余計に意識させる。
 はしたない反応を全て見られていると思うと、また身体の温度が上がった。

 もう胸にあった寂しさはどこかに消えて、身体中に多幸感が溢れる。
 絶頂から戻れないでいるユーシーのしこりを、レイは執拗に撫でる。輪郭をなぞり、弾力を確かめるように揉み込む。

「っぁ、ぅ、い、てぅ、から、ぁ」

 その度にユーシーの腰は勝手に跳ね、中はうねり、レイの指を締め付ける。胎の奥の切なさは募るばかりだった。

「れぇ、さ、も、なか、さみしい」

 喉からはもう蕩け切った声しか出ない。

「ああ、もう少しここを可愛がったらな」

 ユーシーの甘い懇願にも、レイは手を止めてはくれなかった。
 ユーシーの意思に関係なく腰が跳ね、脚が強張り、撓んだシーツを掻く。逃げたくても、背後にはジンがいるので逃げられず、ユーシーは薄い腹を震わせてレイの責めに耐えた。
 身体の中が、快感で溢れて飽和しそうだった。
 性器は天を仰ぎ震えて、先端からは透明な雫が止めどなく溢れていた。垂れた先走りは幹を伝い落ち、陰嚢までてらてらと濡らしていた。

「っあ、や、ぁ、れぇ、さ、出したい……っ」
「ふふ、たくさん出すといい」

 先走りで濡れそぼったユーシーの性器を、レイが優しく手で包んで上下に動かす。

「っあ、れい、さ。きもちい」

 レイは、緩急をつけてユーシーの肉茎を擦る。レイの手の動きに合わせて水音が立ち、ユーシーの鼓膜を震わせた。

「っは、あ、う」

 ユーシーの腰が跳ね、レイの美しい手をとろとろと溢れるカウパーが汚していく。
 腹の底から、熱いものが上がってくる。待ち望んだ感覚に、ユーシーは惜しげもなく腰を揺すり、上擦った声を上げた。

「あ、いく、れい、さ、ぁ……ッ!」

 とぷ、と白濁が飛び、あとはだらしなくとろとろと溢れた。
 長く続く射精に、レイが吸い付く。
 吐精する性器を優しく吸い上げられ、ユーシーは腰を震わせた。だらしなく開いた口の端からは唾液が垂れていた。
 吐精の余韻の残る身体を震わせ、荒い呼吸を繰り返す。脚は不規則に痙攣してシーツを蹴るばかりだった。

 芯を失ったユーシーの性器がレイの口から抜け、薄い腹にくたりと横たわる。後孔からは散々しこりを虐めた指が抜かれた。

「さあ。奥を可愛がってやろうな」

 待ち望んだ言葉に、ユーシーの表情が蕩けた。
 ジンに凭れ掛かったユーシーの身体はベッドに横たえられ、胡座をかいたジンの脚を枕にして波打ったシーツにくったりと沈む。手にはジンの緩く勃ち上がった刀身を握り、先端に舌を這わせる。

 レイはユーシーの膝裏に手を差し込み、ユーシーの細い身体を折り曲げるように丸めた。
 レイの目に、散々焦らされた後孔が晒された。
 物欲しげに口を開ける後孔に、レイの先端が押し当てられる。丸く張りつめた亀頭は熱く、溢れる先走りで潤んでいた。
 ユーシーはその熱さに思わず息を呑んだ。
 そのまま押し込まれると簡単に先端が沈み、皺を目いっぱい拡げて雁首の張り出した部分を飲み込む。中を押し拡げながらゆっくりと押し入ってくるレイの怒張は、散々嬲られた前立腺をすり潰した。

「っひ、ぁ」

 ユーシーの身体が跳ね、甘い声が引き攣り上擦る。
 レイの性器は、ユーシーの前立腺も内壁も全て蹂躙していく。指とは比にならない質量が熱く濡れた肉洞を拓いていく。やがてそれは奥の窄まりに行き当たる。
 中がすべて、レイの熱いものにぴったりと埋められている。
 張り詰めた先端が襞に押し付けられている。逸る気持ちに、息が浅くなり乱れる。
 レイは動いていないのに、ユーシーの中は勝手にうねって、レイの怒張に媚びるように絡みつく。

「れ、さ、ぁ、はや、く」

 ジンに奉仕しながら、レイにねだると、レイがゆっくりと抽挿を始める。
 行き当たりから抜けるギリギリの浅瀬まで、ゆったりとした動きで往復されて、動きを意識が追ってしまう。張り出した雁首が熱い粘膜をこそいで、肉壁越しのしこりを優しく擦り潰す。
 散々嬲られたそこから滲み出す快感は濃すぎて、ユーシーは身を捩る。

「あう」
「そんなに締めるな」

 甘い吐息混じりのレイの声に、ユーシーは小さく首を振る。

「や、ぁ、なか、かって、に」

 身体が勝手に跳ね、中はレイに縋り付くように締まる。自分の意思に関係なく快感に反応する身体を浅ましく思いながらも、胎から生まれる快感に灼かれた。視界も頭の中も白飛びして、多幸感に埋め尽くされる。

「ずっといってるじゃないか」

 レイが笑った気配がした。

「ん、う」

 もう声を発するのもやっとだった。視界はぼやけて、レイの顔もよく見えない。

「ふふ、かわいいな、シャオユー」

 襞に先端を押し付け、レイが奥を捏ねる。張り詰めた先端に襞を押され、圧迫感とともに期待が高まる。

「ほら、奥、開けてくれ」

 身体は素直だ。レイの言葉に従うように、じっくりと捏ねられて、先端にしゃぶりつく。

「ん、く」

 あの焼けるような熱の奔流が欲しくて、ユーシーは腹に力を入れる。
 押し付けられた先端が、肉輪をこじ開けた。

「ぁ……ッ」

 張り詰めた先端がずるりと滑り込み、最奥までレイの剛直が収められる。熱いもので腹を奥まで埋められ、肉筒は歓喜に震え、最奥は甘えるようにしゃぶりつく。
 まとわりつく粘膜を振り切るように、襞の奥に潜り込んだ亀頭を小刻みに出し入れされると、視界が白く弾けた。
 陥落してなお締め付ける肉輪を何度も捲り上げられて、ユーシーは全身を染め上げる濃密な快感に浸された。

「あ、いく、いって、ぅ」

 脚を痙攣させ、薄い腹を震わせてユーシーが上擦った声を上げる。呂律も回らない、舌足らずな声が響く。
 もう声も出せず、浅い呼吸を繰り返すしかなかった。
 脳髄まで甘く痺れて、思考は白飛びしていた。
 こんな短いスパンでこんなに強い快感を味わうのは良くない気がした。バカになりそうだ。でも、何も考えたくない今のユーシーにはちょうどよかった。

「まだ頑張れるか?」
「ん、ぅ」

 何度も頷く。まだやめてほしくなかった。もっと、神経が灼き切れるくらい、いじめられたい。

 ちらつく視界に、牙を剥いた大蛇が見える。黒い大蛇に、腹の中から食われているみたいだった。

 最奥から浅瀬まで、力強く大きなストロークで擦られる。レイがいつも見せる上品な雰囲気とはかけ離れた、雄の本能を剥き出しにした動きに、ユーシーは翻弄される。

「シャオユー、いくぞ」

 低く唸るようなレイの声がして、最奥の柔い肉壁に熱い奔流が叩きつけられる。最奥が熱い白濁で濡れていくのがわかって、また腹が甘く疼いた。
 飛びかけた意識は、新たな快感に引き戻されて絶え間ない快感の荒波に揉まれる。

 もう、自分が上げている声がどんなものなのか気に留める余裕もなかった。快感は何度も違う色で意識を染め上げ、その度に視界がちらつく。

 それが落ち着くころには、ユーシーは息も絶え絶えだった。
 ぐったりと体を投げ出すユーシーは体勢を入れ替えられ、レイに奉仕しながら後ろからジンに責められる。

 白濁に塗れたレイの怒張に舌を這わせ、腰だけ高く持ち上げてジンを受け入れた。
 熱い泥濘のようなユーシーの胎は、しなやかなジンの刀身を容易く受け入れた。掻き回され、襞を捏ねられて容易く最奥が陥落する。最奥の柔らかな肉壁を突き上げられ、内臓を捏ねるような苦しさはやがてえもいわれぬ快感に変わった。
 止めどなく胎から湧く快感に身体中が塗りつぶされ、尻だけ持ち上げた格好でいることになんの疑問も感じない。

 目の前に聳り立つ赤黒いレイの怒張に必死に舌を這わせるが、快感に染まった身体では舌も思うように動かない。透明な雫の滴る幹に頬を擦り付け、雄の匂いに、鼻先を擦り付けた。

「シャオユー」

 レイの指先が、ユーシーの薄い唇を撫でる。
 うっすらと開けた口に、怒張が捩じ込まれる。

「ン、む」

 ジンに後ろから突かれ、その揺れに合わせて頬張ったレイの怒張を舐る。
 喉奥まで突き入れられ、ユーシーはえずく。喉がひくつき、レイを締め付けた。
 口の中でレイの怒張が脈打ち、質量を増す。ユーシーは条件反射のように舌を動かし、唾液を塗すようにレイの幹を擦る。
 もはや焦点は定まらず、ユーシーは生理的な涙を零す。
 ジンはゆったりと後ろから突き上げる。浅瀬から最奥の柔らかい肉壁まで擦られ、かと思えば一番奥の行き当たりをとんとんと叩かれ、ユーシーはくぐもった声とともに潮を吹いた。

 重たい水音がどこからしているのかもわからないまま、身体を揺すられる。胎の中はずっと気持ちが良くて、中を擦るジンの刀身に媚びるように絡みついた。
 腰を掴むジンの指が肌に食い込む。ジンが息を詰め、最奥を突き上げた。
 最奥の柔い肉壁を、熱い奔流が打つ。ユーシーの中はまた歓喜してうねり、ジンを締め上げた。



 レイとのセックスは夜半過ぎになっても続いた。ジンは早々に離脱したが、レイは底なしだった。
 ジンがタバコを燻らせる傍らで、レイに正常位で深々と貫かれていた。

「ジン、水飲ませてやれ」

 ユーシーはもう精液も出ず不規則に潮を吹くばかりで、散々啼かされて声もガラガラだった。ジンが、ベッドサイドに置いてあったペットボトルの水を口移しで飲ませてくれた。

 もう礼を言う気力もなくジンを見上げると、優しい顔で頭を撫でられ、頑張れよと言われているみたいだった。
 繋がった場所からは何度も出されたレイのものかジンのものかわからない白濁が溢れ、泡立って垂れていた。

 正常位の状態から左脚を抱えられ、大きく脚を開いて最奥をくぽくぽと虐められると、おかしくなりそうなくらい気持ちがよかった。ユーシーはもう力の入らない身体を波打つシーツに横たえ、揺すられるまま、掠れた声を上げる。

「ッは、れぇ、さ……ぁ」

 ずっと絶頂から降りて来られない。何度も浴びせられる特濃の快感に身体は勝手に跳ね、緩く勃ち上がり震える性器からは申し訳程度に潮が散った。
 刺青に彩られた身体は吐き出した体液に塗れてどろどろだった。

 すっかり受け入れることに慣れた奥はただ灼けるような快感を生むばかりで、ユーシーは撓んだシーツを握る力もなく、嗄れた声で啼くばかりだった。

「れ、さ……っひ、ぅ」
「中、ずっといってるな、シャオユー」

 ユーシーはもう息も絶え絶えなのに、レイは責めを止めることはない。
 遮音性の高い部屋。聞こえるのは荒い呼吸と、ユーシーの甘い喘ぎばかりで、打ち付ける雨音も吹き荒れる風の音もユーシーの耳に届くことはなかった。
 レイの容赦の無い快感責めに意識がプツリと途切れたのは、夜半を過ぎて夜明けが近づいた頃だった。



 ユーシーの意識が戻ってきたのは、陽が西に傾いた夕方前だった。
 珍しく寝室のカーテンは開けられ、色付く空が見えた。
 快晴ではなさそうだが、空には太陽の明るさを感じる。嵐はすっかり過ぎ去ったようだった。

「起きたか」

 傍には半裸のジンがいた。スラックスだけ履いて、上半身は裸で気怠げに紫煙を燻らせていた。
 ベッドにはレイの姿はなく、広いベッドで布団を被っているのはユーシーだけだった。

「レイさんは」
「さっき帰った。仕事だってよ」

 ジンは言葉とともに細く紫煙を吐いた。

「お前の身請けの話は通しておくから安心しろって。レイさんから」
「ありがとう」

 ユーシーはのろのろと身体を起こした。痛いところはなかったが、全身が怠い。動こうとすると全身に砂袋を括り付けられたようだった。

「ジン、シャワー借して」

 言ってベッドから降りようとしたが、ユーシーはそのまま動くことができなかった。腰が立たないなんて久しぶりだった。前にレイとした時もそうだったのを思い出す。
 ジンを見上げると、ジンも驚いたようで涼しげな目は少しだけ見開かれていた。
 その表情はすぐに緩み、かき混ぜるように寝癖の残るユーシーの髪を撫でた。

「仕方ねえな、少し休め。後始末はしてあるから」

 動けないままのユーシーを憐れむように、ジンは苦笑した。

「レイさんは底なしだからな」

 よく付き合わされているので、レイの絶倫ぶりはジンもよく知っている。
 こんな爛れた関係だが、ジンもレイも、ユーシーにとっては家族同然の存在だった。

 もう、本来の家族と言える存在はどこにもいない。ここまで守って生かしてくれたのはジンとレイだ。
 二人への恩を知らない訳ではない。
 どうすればいいのか、どうしたいのか、まだ答えは出ていなかった。
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