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第13話 絶対絶命
しおりを挟む「ジュロロロォーッ!!」
「うおぉぉっ!? いっ、いきなり!?」
突如としてヒュドラによる猛攻が開始された。
巨躯のために速度は遅いが九つもある首を振り回し、沼地の毒にも耐えるほどの丈夫な木々を薙ぎ倒しながらこちらへ迫りくる。
「くそっ、一体どうすれば……!?」
勝利への一手が全く考えつかない俺。
毒沼自体が可燃性の毒かもしれないので、火属性や雷属性の魔法を使うわけにはいかず。
風属性の魔法で斬り裂いてもすぐに再生され、光属性や闇属性の魔法に至っては使いどころが難しい。
「そうなると、残る魔法は……?」
ヒュドラの猛攻を避けながらも考えていた瞬間、不覚にもヒュドラの尻尾による一撃が俺の胴体に直撃。
「しまっーー」
直撃を喰らい勢い良く吹き飛ばされ、その勢いのまま大木に叩きつけられることに。
「ーーがはっ!」
大木は折れ、肋骨も多数折れた。
その影響で呼吸困難に陥り、意識が朦朧としてくる。
まさに、絶対絶命の状態である。
(……うぅ、痛い……い、息が……苦しい……こ、これは……マズい、な……)
どうにかしたいのだが身体が思うように動かず、いつ意識を失ってもおかしくはない。
正直、このまま死んだものだと思って見逃してはくれないかな? 意識が朦朧とするなか、そう思ったりもした。
しかし、それでも容赦なくヒュドラは近づいてくる。
この最凶最悪な状況を打開する方法は……
(……!! これだっ!)
何かの策を閃き、閉じそうになる目を再び覚ます。
閃いた策を実行するため、先ずは身体を動かせるよう自身に治癒魔法を施し始める。
(め、メガヒール……)
声が出せなかったので心の中で唱えた。
本当は特級魔法のエクストラヒールを唱えたかったのだが、エクストラヒール自体を見たことがないので唱えられず。
どうやら既存の魔法については、自分が理解していないと使用不可の模様。
「でも、これで動ける!」
肋骨の損傷や呼吸困難が改善されたため、声が出せるようになった。
メガヒールは上級魔法なので、瀕死の状態にならない限りは相当の治癒が可能である。
「あの時、あの人から見せてもらえて良かった……」
過去に、ある人物からメガヒールを見せてもらったことがあり、今回はその出来事が生死を分けた。
(あとで礼を尽くしに行かなきゃな……まぁ、会えればだけど……)
その人物は人嫌いなので滅多に会えることはないが、それでもこの感謝の気持ちを伝えたい。
そんなことを考えていると、大きな足音が徐々に近づいてくる。
「来たか……」
ヒュドラがすぐ側まで来ているようだ。
閃いた策を実行するため、ヒュドラへの接近を試みることに。
「ジュロロロロォーッ!!」
だがその時、再びヒュドラによる猛攻が開始された。
2度目となる猛攻は始めの時よりも激しく、接近はより困難となる。
「くそっ、また……! こ、こんな状態で上手くいくのか……?」
果たして、俺の閃いた策はヒュドラに通用するのだろうか? そんな疑問を持ちながらもヒュドラに立ち向かうのであった……
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