なんで誰も使わないの!? 史上最強のアイテム『神の結石』を使って落ちこぼれ冒険者から脱却します!!

るっち

文字の大きさ
34 / 128

第34話 告白

しおりを挟む

「お前が……何故……?」

 突然仕掛けてきた男の事はよく知っている。
 だからこそ何故、俺にこんな事をするのか理由が分からなかった。

「はぁ? 何故だと? それは、お前の事が大嫌いだからだよ!」

 そう言い放ったこの男は「ミカゲ」というAランク冒険者であり、俺にとっては数少ない友人の一人でもあるのだ。
 ランク差はあれども、俺・セリーヌ・ミカゲの他にあともう一人いるが、その計4人で一緒に依頼を熟したりもする間柄なのだが……


「俺の事が嫌いって……?」

「違う! 大嫌いだ!」

「あ、あぁ、ごめん……」

「そういうところだよ! お前の事が大嫌いな理由は! 他にもーー」

 堰を切ったかの様にミカゲは喋り出す。
 それは俺を嫌う理由であり、とても耳の痛い内容であり、要は悪い意味での告白であった。

 その俺を嫌う理由とは先ず、気弱ですぐに謝り弱音を吐き動揺するところ。
 他には、無能とまでは思わないが落ちこぼれてばかりでよく足を引っ張るところ。
 更には、嘲笑われ貶されても何一つ反論もせずに只々落ち込むところ。終いには……


「あのセリーヌに今でもずっと好かれ続けている事が1番嫌いなところなんだよ!」

『……えっ!? え、えぇっ!?』

 ミカゲからの予想だにしない発言に、俺とセリーヌは同時に驚き動揺する。

「なっ、なんでソレを言っちゃうの!?」

 何事にも動揺しないあのセリーヌをこんなにも動揺させるなど、魔宝くじを当てるよりも難しい事なハズだが。
 しかし、今の俺はそれどころではない。
 何故なら、第三者によりセリーヌからの好意を言い渡された訳なのだから……


「セリーヌ……」

 てっきり見捨てられたものだと思い込んでいた為、嬉しさが一気に込み上げ言葉にならず、瞳で語り掛けるしかなかった。

「キュロス……」

 セリーヌも同じ気持ちなのか言葉ではなく、瞳で俺に語り掛けてくる。
 互いに通じ合う俺とセリーヌは周りの目も気にせず、見つめ合い頬を赤く染め、そして照れ笑う。

 すると、この甘い雰囲気を阻むかの様にミカゲが割って入る。

「だ、か、ら、それがダメなんだって! 俺だってセリーヌの事が本気で好きなんだからよ!」

『……はい?』

 俺やセリーヌだけではなく、その場にいる全員が目を丸くしながら呆気に取られていた。
 まさか、こんな場所でそんな告白をするとは誰も想像すらしないだろう。
 それに今も尚、何故か俺は影の鎖に囚われたままなのだから……?


「そ、それより! これからお前を倒すから覚悟しろ!」

(それは、やられ役が喋る台詞なのでは?)

 そう思ったが口には出さず、真剣な眼差しでミカゲを見据える。
 何故ならミカゲの実力は本物であり、そして今の俺でも勝てるかは分からない相手だからだ。

 それでも俺は負けられない、少なくともセリーヌが見ている前では負けたくない!

 その感情を剥き出しにしながら、ミカゲからの勝負を受けて立つのであった……
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

処理中です...