なんで誰も使わないの!? 史上最強のアイテム『神の結石』を使って落ちこぼれ冒険者から脱却します!!

るっち

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第45話 小柄な冒険者と銀魔狼

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「えっ!? えっ!? 待って!? もしかして、モモちゃんの言葉が分かるの!?」

 驚きのあまり声を上げて問い掛けてくるセリーヌに、俺は仕出かしたことを後悔しながら返事をする。

「あ、あぁ……そうだけど……」

「マジかよ!? お前、そんなスキルまで使えんの!?」

『……す、凄い……やっぱりな……無能なんかじゃ……』

 みんなが驚くのも無理はない。
「魔動物言語理解」は魔物や動物の感情が読めるとされているテイマーでさえ、ほんの一握りの者にしか得られないほどの超絶スキルなのだから。

(あぁ、厄介事になりそうで不安になってきた……)

 そんな不安がる俺に、1人の女性が声を掛けてきた。

「すっ、凄いです! 凄すぎです! あなた様はもしや、凄いテイマーさんですか!?」

「えっ!? いや、俺は……ん?」

 燥ぎながら俺の目の前まで来た女性は、桃髪ではねっ毛のある小柄な可愛らしい冒険者である。 
 ふと女性の隣を見ると、銀色の毛並みを持つ魔犬……いや、魔狼がいるようだが、何故かこの魔狼からは気配を全く感じない。

(見たことのない魔狼だ……一体、なんて種類なんだろう? まぁ、取り敢えずは銀魔狼と呼ぶか……)

 女性の方ではなく銀魔狼の方へ目を向けていると、再び女性の方から声を掛けてきた。

「私さんの名前はムツコと言うですよ! あなた様の名前はなんと言うですか!?」

 ムツコの圧に押されながらも名前を伝え、ついでにテイマーではないことも伝える。
 テイマーではないことが分かり落胆するかと思いきや、ムツコは瞳を輝かせながら俺に質問してきた。

「そそ、それは凄すぎです! テイマーさんでもない方があのスキルを持つなんて、一体全体どうやって手に入れたですか!?」

 ムツコの質問により周囲からの視線がより一層強まる。
 しかし、その期待に応えることはできないので、なんとか誤魔化すしかない。

(うーん……なんて答えるべきか……)

 ニカナの話をせずに納得させられる言葉が見つからず、返答に困り焦り出す。
 するとその最中、俺を呼ぶ声が聞こえてきた。

「キュロスさん? 報告確認が終わったわよ?」

 エリザが俺を呼んでいるようで、後ろ姿の俺には気づいていない様子。

「す、すみません……呼ばれてしまったので、これで……」

「むぅ……やむを得ないですねぇ……」

 ムツコに対し申し訳無いと思いながらエリザの元へ向かい、報告確認の結果を聞くことに。
 周囲にいる冒険者達もきっと解散してくれるだろう、そう思いながらエリザの話を聞いていたのだが、視線が途切れる気配は無い。
 すると、話に集中できずにいるのがバレたのか、エリザは俺の顔に顔を寄せて一言。

「ねぇ、大丈夫?」

 以前なら悪態を吐かれていそうな場面だが、今は心配してもらえるようになって本当に良かったと思う。
 だが、こんな至近距離で目と目が合うと緊張してしまい、余計に集中できそうにない。

「だ、大丈夫です……は、話の続きをお願いします……」

「そう? なら良いけど……」

 本当は大丈夫ではないが、大丈夫と言うしかないだろう。だって男だもの。

 そしてその大丈夫を現実にするべく、顔を赤く染めながらもエリザの話に耳を傾け、無理矢理にでも集中できるよう勤しむのであった……
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