なんで誰も使わないの!? 史上最強のアイテム『神の結石』を使って落ちこぼれ冒険者から脱却します!!

るっち

文字の大きさ
50 / 128

第50話 開戦

しおりを挟む

「……!! この反応は!」

 街中を駆け抜ける最中、魔力探知を実施し早くも反応を探知。
 どうやら西門のところで戦闘中の模様。
 相手の魔物は1匹だけのようだが、魔力はそこそこ大きく移動速度は速そうだ。

「急いで助けに行かなきゃな……」

 そう呟きつつも前だけを見据える。
 そして疾風の如く駆け抜けられるよう、魔法を唱えた。

「疾駆!」

 風のチカラを借り、先程よりも速く駆け抜けていく……がヒュドラの巣窟内よりもスピードが出てしまい、危うく転びそうに。

「うおっ、あっぶな……でも、この状態に慣れればヒュドラにも余裕で勝てそうだ!」

 今よりも強くなれる! その希望を密かに喜びながら西門を目指してゆく……



「や、やめろ! ここ、こっちに来るな!」

 何やら門兵が魔物に襲われているようで、魔物に遮られて顔は確認できていないが、声はどこかで聞いた気が。
 もう少し近づけば魔法を当てられるので、このまま前進することにした。


「ぎゃあぁぁー!! 腕を噛まれたぁぁー!!」

 残念ながら噛まれてしまったようだが、やはりこの声に聞き覚えがある。
 しかも聞きたくない類いの声で、何故か助ける気が失せてしまう。
 だが、それでも助けなければ冒険者として失格だろうと思い、一応は助けることに。
 すると、突然モモは俺の肩から降りて右手を挙げた。
 それはきっと、俺の邪魔をしたくはないからだろう。
 その気遣いに俺も右手を挙げて応えつつ、振り返ることなく駆けていく。



「痛い、痛い、痛い! 頼む! 離してくれぇ!」

 右腕を噛まれ、懇願しながらも無理矢理に剥がそうとジタバタしているが、それは寧ろ逆効果だ。
 何故なら懇願しても言葉が通じないし、自らが傷口を広げてしまっているから。
 というか、普通なら分かると思うのだが。
 しかも鎧の上からなので致命傷にはなっていないのにあの慌てようときたら……くくっ!
 だけど時間稼ぎにはなってくれようで、俺は小さく笑いながらも一気に近づき魔法を発動した。

水牢すいろう!」

 左手の掌から拳大の大きさの水球を魔物に目掛けて放出。
 速度はそれほど速くはないが、まだ俺には気づいていないので恐らくは当たるだろう……


「!? あれっ、避けられた!?」

 まさか回避されるとは。
 こちらを見ることなく避けられるという想定外のことに驚き、思わず声が出てしまった。
 すると、魔物に回避された水球が門兵に直撃。謂わゆる、流れ弾である。
 水球が門兵を囲むくらいの大きさまで膨れ上がり、見事に水牢の出来上がりだ。

「な、なんだこれは!? ここから出れないぞ!?」

 それはそうだろう、なんせ捕縛系の魔法なのだから。
 でもこれで襲われる心配は無くなったのだから、寧ろ喜んでもいいのでは? というか、あの顔はどこかで見たような……?
 そう思いながら魔物の方へ目を向けると……


「へ、ヘルハウンド!? 何故こんなところに!?」

「ヘルハウンド」は脅威ランクBの犬系魔獣で、俊敏性に優れているうえに特殊な炎を吐く、街中では戦いたくない魔物である。
 しかし、本来ならヒュドラの巣窟よりも遠方に生息しているはずなのだが……?

「ま、まさか、こんなのが大勢で攻めてきたりはしないよな……!?」

 冷や汗を掻きつつ、ヘルハウンドと対峙するのであった……
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

処理中です...