なんで誰も使わないの!? 史上最強のアイテム『神の結石』を使って落ちこぼれ冒険者から脱却します!!

るっち

文字の大きさ
58 / 128

第58話 終わらぬ脅威

しおりを挟む

「絶対にこの場で止めてみせる! 落ちろ、百雷ひゃくらい!」

 魔法を唱えると同時に高々と上に挙げた両手を前方に向ける。
 その直後、天空から幾つもの雷撃が降り注ぎ、魔物の大群に直撃していくと、更なる土煙を立ち昇らせて辺り一面が黄色一色となった。


「うわっ、土煙がこっちまで来た! ぺっ、ぺっ……凄いな、新たに閃いた魔法は……でも、これじゃあ魔物がどれだけ残ってるのか分からないな……魔法の余波で魔力探知もできないみたいだし……」

 取り敢えずは後方へ下がり、様子見しながら耳を澄ませてみる。
 あれほど地鳴りと化していた足音は全く聞こえず、あの足を竦ませるような咆哮も聞こえてはこない。
 だが、全ての魔物を倒せたとはとても思えず、警戒は解かずに身構えておく。
 すると、少数だが土煙の中から魔物が駆けてくる気配を感じ、見逃さぬよう目を見開いて姿を現すのを待つことに。

 10秒ほど待つと、土煙の中からポツリポツリと1匹ずつ魔物が出てきて、街を目指して駆けてくる。
 その魔物達は100匹にも満たない数であり、どうやら9割以上は先程の百雷で倒せたようだ。
 しかし、およそ90匹の生き残りの魔物達は俺に眼中はなく、ただただ街を滅ぼすためだけに動いているように見え、それが逆に恐ろしく感じた。

「なんか操り人形みたいだな……これも統率者による指揮なのか? もしそうなら可哀想な気もするけど、それでも街を滅ぼさせるわけにはいかないんだよな……悪いけど、これ以上は進ませない!」

 一瞬、魔物達を憐れに思うが、それでも街とそこに住む人々を守るため、迷うことなく次なる魔法を唱えた。

「灼爍たる礫となれ! 爍礫しゃくれき!」

 俺を中心に赤々と明るく照り輝く小さな火球が急速かつ次々と出現して、その火球を100、200、300、400、そして500個まで数を増やしたあとに「当たれ!」とそれらを魔物達へ向けて一斉発射。

 豪速で飛んでいく小さな火球は魔物達を確実に燃やしていき、1匹また1匹と順に倒れていく。
 1発1発の威力は弱めだが、5発も当たれば脅威ランクBの魔物でさえも倒すことが可能であり、結果的に全滅とまではいかなくとも残り12匹まで魔物の数を減らせた。
 その残り12匹の魔物は、ヘルハウンドが4匹とステルスリカオンが4匹、ダイアウルフが3匹にアヌビシオが1匹の計12匹となっている。

「これは、見事に犬科の魔獣しかいないな……そういえば、あの大群も殆どがグラスウルフやフラワーウルフだった気がする……ということは統率者ももしかして……?」

 スタンピードを引き起こした魔物の正体は未だ不明ではあるが、とてつもなく嫌な予感しかしない。
 すると、アヌビシオを除く11匹の魔物達が一斉に威嚇の咆哮を上げ始める。
 それらは全て俺に向けられたものであり、どうやら俺を倒すべき相手だと認識したようだ。

「本当に大変なのはこれからかもな……まさか脅威ランクAの魔物が普通に来るなんて……というか、もしかしてアイツが統率者なのか……?」

 何やら怪しい気もするが違う気もしている。
 だが、結局は今いる魔物達を倒さねばこの脅威は終わらない。
 そう己に言い聞かせて、警戒しながら魔物達の様子を窺うのであった……
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

処理中です...