なんで誰も使わないの!? 史上最強のアイテム『神の結石』を使って落ちこぼれ冒険者から脱却します!!

るっち

文字の大きさ
90 / 128

第90話 瞳に浮かぶ何か

しおりを挟む

「へぇ~、私のカラダには全く興味無いくせに、この娘の生脚には興味あるんだ~、へぇ~?」

 イズナからピリピリするほどの痛い視線と言葉を送られ、初めて自分の行ないが礼儀に欠けていることに気づく。
 だがイズナの顔を見るなんてことはとてもできず、どうせなら目の前にいる女性からの冷めた視線でも受けようと、生脚から視線を上げて顔を覗くことにする。

(はぁ……どうせ虫でも見るような冷たい目をしてるんだろうな……はぁ……)

 心の中で2度のため息を吐き、生脚から胸部へ、胸部から頸部を通過して顔を覗いてみた。すると……


「……えっ?」
(……えっ? 何故そんなに頬が赤くて目も潤んでるんだ? もしかして、風邪でも引いてるのか……?)

 思わず驚いてしまったが、それは女性が俺の想像とはまるで違う反応を見せているからだ。
 恐らくは風邪を引いているせいだと思われるのだが、特段つらそうには見えず、寧ろ気分が高揚しているように見える。

(気のせいか? でも……)

 人の感情に疎い俺では当然分かるはずもなく、目のやり場にも困っていたので、仕方無しにイズナの顔を見ることに。

(……あれ? イズナさん、怒ってないぞ? というよりも、何か呆気に取られてるような……?)

 イズナの様子が気になるので視線の先を辿ってみると、行き着いたのはなんとあの女性の顔であった。

(何故だ? 何故イズナさんはあの人の顔を見て呆気に取られてるんだ? うーん、全く分からん……)

 首を傾げて悩んでいる最中、よろけながらもその女性は立ち上がり、何も無いところで足を躓かせては「きゃっ!」と声を上げて俺の胸に飛び込んできた。

「えっと、大丈夫ですか?」

「はい♡ 大丈夫です♡」

 大丈夫と答えた女性の瞳には、ハートの形を模した何かが浮かび上がっており、それは比喩ではなく実際に浮かび上がっているのだ。
 初めて目にした物珍しさからつい凝視していると、目の前にいる女性とイズナはほぼ同時に同様の問い掛けをしてくる。

「あの、この瞳を見てて何か感じませんか?」

「ねぇ、そんなに凝視して何か異変はない?」

「え? いや、別に何もありませんが……?」

 俺の返答を聞いた2人は、鳩が豆鉄砲を食ったかのようにキョトンとしてしまい、何故そうなったのかは先程の2人の問い掛けが関係しているのだろう。
 そしてその2人の問い掛けに共通するものは、目の前にいる女性の「瞳を見たこと」で間違いなく、その瞳には一体どんな秘密があるのだろうか。
 そんな風に女性の瞳を見ながら考えていると、女性の後ろから複数の刺すような視線を感じる。

(ん? なんであの人達は俺を睨んでいるんだ……? あっ、そういうことか!)

 刺すような視線を送ってくるのは女性の後ろにいる4人の男達であり、それはきっと俺と女性が密着したうえに見つめ合ったからだ。
 その4人の男達は、嫉妬してしまうほどに女性のことを好いているのだろう。

「なんかいいな、そういうのって……」

「えっ!? どうしたのいきなり!?」

 ついうっかり呟いたことにイズナが反応してしまい……

「いっ、イズナさん! は、早く他の皆さんも助けに行きましょう!」

「え、えぇ……」

 それを誤魔化すため、慌てて先を急ぐのであった……
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

雑魚で貧乏な俺にゲームの悪役貴族が憑依した結果、ゲームヒロインのモデルとパーティーを組むことになった

ぐうのすけ
ファンタジー
無才・貧乏・底辺高校生の稲生アキラ(イナセアキラ)にゲームの悪役貴族が憑依した。 悪役貴族がアキラに話しかける。 「そうか、お前、魂の片割れだな? はははははは!喜べ!魂が1つになれば強さも、女も、名声も思うがままだ!」 アキラは悪役貴族を警戒するがあらゆる事件を通してお互いの境遇を知り、魂が融合し力を手に入れていく。 ある時はモンスターを無双し、ある時は配信で人気を得て、ヒロインとパーティーを組み、アキラの人生は好転し、自分の人生を切り開いていく。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~

名無し
ファンタジー
 主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

クラスの陰キャボッチは現代最強の陰陽師!?~長らく継承者のいなかった神器を継承出来た僕はお姉ちゃんを治すために陰陽師界の頂点を目指していたら

リヒト
ファンタジー
 現代日本。人々が平和な日常を享受するその世界の裏側では、常に陰陽師と人類の敵である妖魔による激しい戦いが繰り広げられていた。  そんな世界において、クラスで友達のいない冴えない陰キャの少年である有馬優斗は、その陰陽師としての絶大な才能を持っていた。陰陽師としてのセンスはもちろん。特別な神具を振るう適性まであり、彼は現代最強の陰陽師に成れるだけの才能を有していた。  その少年が願うのはただ一つ。病気で寝たきりのお姉ちゃんを回復させること。  お姉ちゃんを病気から救うのに必要なのは陰陽師の中でも本当にトップにならなくては扱えない特別な道具を使うこと。    ならば、有馬優斗は望む。己が最強になることを。    お姉ちゃんの為に最強を目指す有馬優斗の周りには気づけば、何故か各名門の陰陽師家のご令嬢の姿があって……っ!?

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

処理中です...