なんで誰も使わないの!? 史上最強のアイテム『神の結石』を使って落ちこぼれ冒険者から脱却します!!

るっち

文字の大きさ
97 / 128

第97話 くだらない約束

しおりを挟む

「あっ、そうでしたです! でもどうすれば解けるですか!? 私ちゃんはギンのおかげで解けたですが、他の人様は無理でしたです!」

 どうやら例の銀魔狼は『ギン』と言う名前らしい。とても分かり易く良い名だ。

(……ん? それなら、さっきムツコさんが呼んだのは例の銀魔狼のことか……っとそれはともかく、早く呪縛を解いてアヌビシオを倒さなきゃな!)

 現状を見るからにギンの爪牙ではアヌビシオにダメージを与えられてはいないようで、逆にギンの綺麗な銀毛が出血によって赤く染まり始めているのだ。

「ムツコさん、説明してる時間は無さそうなので、これから俺のすることを見て理解してください」

「はっ、はいです!」

 ムツコから元気の良い返事を聞けたあと、動けずにいる9人の元へ向かい、解呪魔法を唱えるために左手を前に突き出す。
 しかし、9人分を連続して唱えることはできない。
 それは魔法には冷却時間があり、たとえ連魔解放があっても2連続までが限界だからだ。
 別に冷却時間を待ってもいいが時間が掛かりすぎるうえに、全員の呪縛を解く前にギンが倒されてしまう恐れがある……いや、その可能性が高いと言っても良いだろう。
 左手を前に突き出したままどうすればと悩んでいると……


「おい! 何ボーッと突っ立ってんだ! どうせ解けるわけないのにできるフリなんてするな! この無能者め!」

 俺に無能者と言い放った男はザルマだ。
 己の無能さを棚に上げてよく言ったものだと思ったが、呪縛が掛かった状態でもあれだけ話せるのは精神が図太い証拠であり見習いたい部分でもある。
 だがムッとしないわけではなく、以前とは違い落ち込むよりも腹立たしく思えてならない。
 そんな腹立たしく思う感情が顔に出てしまったようで、ザルマが続けて言い放つ。

「なんだぁ? 俺様に図星突かれて腹立ててんのかぁ? んー? なぁ、もし違うってんならコレを解いてみろよ。まぁ、どうせできやしないだろうけどな! はっはっはっ!」

 ザルマの話に辟易して「はぁ……」と深いため息を吐く俺。
 そして、折角エリザからの見下しや蔑みがなくなり、他の人達からも暖かい目で見られるようになったとしても、こういった輩はまだまだ多いのだろうなと考えさせられて嫌気が差す。
 だが確かにこのままでは無能者だと肯定しているようなものだ。
 なので、俺が無能者ではないと証明できて更に相手を黙らせられる方法はないかと模索することに。


(1人ずつ解呪したとしても無能者じゃない証明は充分できるけど、多分黙りはしないだろうな……どうせなら、ぐうの音も出ないようなことをしたい……なぁニカナ、何かないか?)

「ーー」

(なるほど、そんなことができるのか……よしっ、ソレをやってザルマ君を黙らせよう!)

 ニカナによる助言を受けた俺は、ザルマにある提案をする。

「ザルマ君、もし俺が呪縛を解いたらどうする?」

「あー? その時は全裸で『すみませんでした!』って土下座してやるよ! なんならパ……親父に頼んでEランクに昇級だってさせてやる! まぁ、解けたらの話だけどなぁ? くくくっ……」

「……約束だよ?」
(よしっ!)

 上手く乗せられたことに気づかぬザルマに対し、心の中で笑う俺であった……
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...