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片思い
第2話
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こんな光景を見るのも、もう慣れてしまった。
いつからか、何かがあったわけではないが自然に私の中に入ってきてしまったその人をどうやって諦めるかをこの数年考え続けている気がする。
涼真は決して誰とも本気で付き合わない
それが私を含め、みんなの共通認識だ。
ああやって告白をしても軽く上手に交わされ、食事やデートは軽い感じで行ってくれる。
だから、周りの子も軽い気持ちで告白をしてみたり、誘ってみたりする子は後を絶たない。
そして私はよくあの光景を見ることになる。
こんな不毛な恋愛はもうやめないと、私ももう27だ。
実家の両親からも彼氏の1人でもと言われるし、友達の結婚式の招待状も頻繁に届くようになった。
美耶子と一緒に会社の近くのイタリアンのランチに並びながら、私はぼんやりと空をみた。
「ねえ、千夏。また考えてるの?」
「え?そんなんじゃ……」
ずばりと言われて、私は小さく声を濁した。
「もうさ、違う男をみなさいよ」
言葉は冷たく聞こえるが、愛情いっぱいの美耶子に私も「そうだね」と言葉を返した。
「高遠はさ、なんていうのかな……私達には手に負えない?そんな気がしない?」
「そうだよね」
確かに万が一付き合えたとしても、いつもふらふらとどこかに行ってしまいそうな上に、いつも他の女に告白ばかりされる彼氏は私には無理だ。
そこで順番がきて、店内に入り、私はなすとトマトのパスタのAランチを、美耶子はジェノベーゼのパスタのBランチを頼むと、水を一口飲んで一息つく。
「それに、千夏は告白するつもりもないんでしょ?」
美耶子の言葉に、私は頷いた。
「今の距離が居心地がいいし、告白して気まずくなるのも嫌だしね」
仲の良い同期という今のポジションはとても心地がいい。
後輩や告白する女の子たちより、少しだけ近い位置にいる気がして、それだけで嬉しくなってしまっている。
「同期だからね」
美耶子の言葉に、その通りだと思う。
「いっそ、涼真が本命の彼女でも作ってくれたら、諦められるのにな」
呟くように言った私の言葉に、美耶子は顔を歪めた。
「それはそれできっと傷つくくせに」
「そんなこと……」
あるな。
自分でも泣くだろうなと思い、大きなため息をつく。
でも、涼真が特定の彼女を作らないからこそ、この安心ポジションが心地よくて、他に目がいかない気もするし……。
こんな不毛な事をもう何年もしている私は、どうかしているかもしれない。
「ちな、今日の夜飯行ける?」
終業時間も過ぎ、つい仕事に没頭していた私はその声に振り向いた。
「涼真……おつかれ。もうこんな時間だったんだ」
くるくると首を回して、小さな息を吐いた私に涼真はクスリと笑いを漏らした。
「おっさんみたいだぞ」
その言葉に、内心ズキッと心が痛む。
「い……いでしょ。肩が痛いんだから……」
最後まで言葉を言おうとしたところで、涼真の手が私の肩に触れた。
「うわーお前これマジでやばいよ」
心地よくマッサージをしてくれているはずなのに、涼真の手にドキドキが止まらない。
振り払うのもわざとらしいしと、私はなんとか、強がって言葉を発する。
「ちょっと!痛い痛い!もう少し優しくしてよ」
本当は羞恥で真っ赤のはずだが、痛みのせいにして私は俯いた。
「はいはい、これぐらい?」
俯いて髪で顔を隠して、私は小さく頷いた。
いつからか、何かがあったわけではないが自然に私の中に入ってきてしまったその人をどうやって諦めるかをこの数年考え続けている気がする。
涼真は決して誰とも本気で付き合わない
それが私を含め、みんなの共通認識だ。
ああやって告白をしても軽く上手に交わされ、食事やデートは軽い感じで行ってくれる。
だから、周りの子も軽い気持ちで告白をしてみたり、誘ってみたりする子は後を絶たない。
そして私はよくあの光景を見ることになる。
こんな不毛な恋愛はもうやめないと、私ももう27だ。
実家の両親からも彼氏の1人でもと言われるし、友達の結婚式の招待状も頻繁に届くようになった。
美耶子と一緒に会社の近くのイタリアンのランチに並びながら、私はぼんやりと空をみた。
「ねえ、千夏。また考えてるの?」
「え?そんなんじゃ……」
ずばりと言われて、私は小さく声を濁した。
「もうさ、違う男をみなさいよ」
言葉は冷たく聞こえるが、愛情いっぱいの美耶子に私も「そうだね」と言葉を返した。
「高遠はさ、なんていうのかな……私達には手に負えない?そんな気がしない?」
「そうだよね」
確かに万が一付き合えたとしても、いつもふらふらとどこかに行ってしまいそうな上に、いつも他の女に告白ばかりされる彼氏は私には無理だ。
そこで順番がきて、店内に入り、私はなすとトマトのパスタのAランチを、美耶子はジェノベーゼのパスタのBランチを頼むと、水を一口飲んで一息つく。
「それに、千夏は告白するつもりもないんでしょ?」
美耶子の言葉に、私は頷いた。
「今の距離が居心地がいいし、告白して気まずくなるのも嫌だしね」
仲の良い同期という今のポジションはとても心地がいい。
後輩や告白する女の子たちより、少しだけ近い位置にいる気がして、それだけで嬉しくなってしまっている。
「同期だからね」
美耶子の言葉に、その通りだと思う。
「いっそ、涼真が本命の彼女でも作ってくれたら、諦められるのにな」
呟くように言った私の言葉に、美耶子は顔を歪めた。
「それはそれできっと傷つくくせに」
「そんなこと……」
あるな。
自分でも泣くだろうなと思い、大きなため息をつく。
でも、涼真が特定の彼女を作らないからこそ、この安心ポジションが心地よくて、他に目がいかない気もするし……。
こんな不毛な事をもう何年もしている私は、どうかしているかもしれない。
「ちな、今日の夜飯行ける?」
終業時間も過ぎ、つい仕事に没頭していた私はその声に振り向いた。
「涼真……おつかれ。もうこんな時間だったんだ」
くるくると首を回して、小さな息を吐いた私に涼真はクスリと笑いを漏らした。
「おっさんみたいだぞ」
その言葉に、内心ズキッと心が痛む。
「い……いでしょ。肩が痛いんだから……」
最後まで言葉を言おうとしたところで、涼真の手が私の肩に触れた。
「うわーお前これマジでやばいよ」
心地よくマッサージをしてくれているはずなのに、涼真の手にドキドキが止まらない。
振り払うのもわざとらしいしと、私はなんとか、強がって言葉を発する。
「ちょっと!痛い痛い!もう少し優しくしてよ」
本当は羞恥で真っ赤のはずだが、痛みのせいにして私は俯いた。
「はいはい、これぐらい?」
俯いて髪で顔を隠して、私は小さく頷いた。
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