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ただの同期です
第4話
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え?
そこ?
私はあ然として涼真を睨みつけた。
「ねえ、そこ?私達いくつだと思ってるの?」
私の問いに、涼真は苦笑しつつ言葉を発した。
「だって、ちな男の気配まったくないから」
それはあなたのせい。
学生のときは多くはないけど、付き合っていた人ぐらいいた。
会社に入ってからもしばらく続いていたが、そのうち涼真を好きになってしまった。
「昔はそれなりにいたよ」
少しだけ見栄を張って、多めに聞こえるように言ったけど、まあいいよね。
どうせどっちでもいいだろうし。
私はそう思いつつ、刺身を口に入れてまたビールを流し込んだ。
あ……意外に酔っぱらったかも。
なんだか楽しくなってきて、私はお酒のペースがどんどん上がっていく。
「ねえ、涼真。今度はね日本酒にしようよ。それにね、仕事だって私なりにがんばってるの」
私の言葉を、涼真はハイハイと相槌を打ちながら、たしなめる様に話しかける。
「ちーな、飲みすぎ。そろそろやめろよ」
なによ……。
自分のせいなのに。
「いや!明日休みだし、もっと飲むの!」
まったく涼真が悪いわけないのに、なぜか腹が立ってくる。
こんなに好きにさせといて、自分にはいつも他の女がいる。
一度でいいから、私の物にしてみたい。
お酒の力で、普段なら絶対に壊したくなくて封印していた欲求が口をつく。
「それにね男の気配ないって言うけど、私だって彼氏欲しいもん。幸せになりたい。そうすればこの結婚式だって行けるのに……。どうせ、旦那イケメンでしょ?とか自慢ばかりされる結婚式なんだから……」
最後の方がもう自分でも何を言っているかわからなくなっていた。
「俺が一緒に行ってやるよ。ちなの彼氏として」
涼真の言葉がふわふわと聞こえる。
「えー。涼真が?」
ふふふと酔っぱらいながら目の前の涼真を見る。
「そう」
「かわいそうな私の彼氏になってくれるの?なんと結婚式はクリスマスだよ?それでもいいの?」
ぼんやりとした頭で、それだけを聞くと、涼真は「俺はいいよ」そういってニコリと笑った。
あー、なんか幸せ。
この日だけ、涼真は私の彼氏。
その響きが嬉しくて、私は笑顔になる。
「嬉しい。じゃあ、涼真は私の彼氏ね……?」
そこまで言ったところで、急に睡魔に襲われる。
「おい、ちな!ちーな」
遠くから聞こえる、涼真の言葉に私は夢見心地で意識を手放した。
そこ?
私はあ然として涼真を睨みつけた。
「ねえ、そこ?私達いくつだと思ってるの?」
私の問いに、涼真は苦笑しつつ言葉を発した。
「だって、ちな男の気配まったくないから」
それはあなたのせい。
学生のときは多くはないけど、付き合っていた人ぐらいいた。
会社に入ってからもしばらく続いていたが、そのうち涼真を好きになってしまった。
「昔はそれなりにいたよ」
少しだけ見栄を張って、多めに聞こえるように言ったけど、まあいいよね。
どうせどっちでもいいだろうし。
私はそう思いつつ、刺身を口に入れてまたビールを流し込んだ。
あ……意外に酔っぱらったかも。
なんだか楽しくなってきて、私はお酒のペースがどんどん上がっていく。
「ねえ、涼真。今度はね日本酒にしようよ。それにね、仕事だって私なりにがんばってるの」
私の言葉を、涼真はハイハイと相槌を打ちながら、たしなめる様に話しかける。
「ちーな、飲みすぎ。そろそろやめろよ」
なによ……。
自分のせいなのに。
「いや!明日休みだし、もっと飲むの!」
まったく涼真が悪いわけないのに、なぜか腹が立ってくる。
こんなに好きにさせといて、自分にはいつも他の女がいる。
一度でいいから、私の物にしてみたい。
お酒の力で、普段なら絶対に壊したくなくて封印していた欲求が口をつく。
「それにね男の気配ないって言うけど、私だって彼氏欲しいもん。幸せになりたい。そうすればこの結婚式だって行けるのに……。どうせ、旦那イケメンでしょ?とか自慢ばかりされる結婚式なんだから……」
最後の方がもう自分でも何を言っているかわからなくなっていた。
「俺が一緒に行ってやるよ。ちなの彼氏として」
涼真の言葉がふわふわと聞こえる。
「えー。涼真が?」
ふふふと酔っぱらいながら目の前の涼真を見る。
「そう」
「かわいそうな私の彼氏になってくれるの?なんと結婚式はクリスマスだよ?それでもいいの?」
ぼんやりとした頭で、それだけを聞くと、涼真は「俺はいいよ」そういってニコリと笑った。
あー、なんか幸せ。
この日だけ、涼真は私の彼氏。
その響きが嬉しくて、私は笑顔になる。
「嬉しい。じゃあ、涼真は私の彼氏ね……?」
そこまで言ったところで、急に睡魔に襲われる。
「おい、ちな!ちーな」
遠くから聞こえる、涼真の言葉に私は夢見心地で意識を手放した。
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