同期に恋して

美希みなみ

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ただの同期です

第3話

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「ちなはさ、優しすぎる」
少しお酒が入ったからか、涼真は私をじっと見た。

あのあと、2人でやった仕事は早く終わり、肉まんだけではお腹が空いただろうと、近くの居酒屋にいた。


「だって……お願いしたらその人が負担になるし、私がやればいいかって思っちゃう」
私も目の前のビールをグイッと飲むと、ため息をついた。

「それは違うだろ?」
涼真もため息をつくと、私をジッと見た後言葉を続ける。
「みんなで仕事をやってるんだし、だれか1人が犠牲になるものでもない。ましてやちなは後輩を指導する立場なんだから、ちなが1人でやると、下が育たないぞ」

そう、涼真の言う通りだ。

うわべでは綺麗なことをいっているけど、人に仕事を任せられないのも、後輩を指導する立場として失格だ。
自分でやった方が早いとか思ってしまう。

「おっしゃる通りです」
反省して箸を置いた私に、涼真は「あーもう!」そう言うと、私の口に唐揚げを突っ込んだ。

「ううん!」
文句を言いたかったが、またもやきちんと声にならない。

そんな私を見て涼真はケラケラ笑っている。そしてそんな涼真に私も笑えてきた。

「俺はさ、ちなが一人でがんばるのが嫌なだけだからな。誤解するなよ」

笑いながらそう言ってくれる涼真に、私も笑顔を向ける。

この今の関係がやっぱり居心地がいい。

モゴモゴと唐揚げを咀嚼すると、改めて私は涼真に頭を下げた。

「ありがとう、涼真」

そこへメッセージが来たことをしらす音がして、私は机の上のスマホに目を落とした。

「あっ……」
つい、嫌そうな声が出ていたのだろう、涼真はそんな私を心配そうに見た。

「どうした?」

「あっ、なんでもないよ。昔の友達からの結婚式の招待状の返信がないって催促の連絡」
小さくため息をつきながら、私はそのメッセージを涼真に見せた。

[千夏ちゃん久しぶり。なんとか連絡先がわかったってよかった。結婚式の招待状手元にとどいているかな?まだ間に合うから、ぜひ出席してね。よければ彼か旦那様ときてね]

どうして、彼氏がいると決めつけてるんだろう……。
憂鬱な気持ちになり、返信しようと思ったものの、文面が思いつかずスマホを置いた。

「結婚式に招待されるぐらいだから、仲がよかったんだろ?」
涼真のもっともな意見に苦笑する。

「仲ね……」

「その言い方すると、そうでもないの?」
それほど興味のない話題だろうと、私は早く話を終わらせようと言葉を発した。

「そうだね。元カレを獲られただけ」
うわー。
本当に端的に言うと、どうしてその関係で招待状が送られてきたのか疑問になる。

「え?」
意外にもそれだけの話に、涼真は興味を示したようで、私をジッとみた。

「ちなって付き合ってた男いたの?」

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