Blood Spare of Secret : The story of Creeds

千導 翼『ZERO2005』

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第二章 シャインティアウーブ編

細胞腐蝕症

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シャインティアウーブの富士浪グループ 本社ビル 社長室

 仕事をしている男性に社内ポストが青白く光り、機械音声で喋り始める。

 「ルーク・ギルデア様から返信を確認。内容を確認しますか?」

 「もう返信が着たか。確認する。」

 男性がそう言うと、機械音声は男性の目の前に手紙の内容が青白い光の画面で表示される。

 「...現在向かっている。明日の9時には到着できます。...よし、会議は早ければいい。だが、何でも屋の者たちからは返信が来るのかわからんのが不安だな。だが、元々、市長にだけ頼もうと思っていただけだ。来なくても、大丈夫ではある。」

 男性はそう思案したのちに、テーブルの棚を開ける。

 「ここに紅茶が入っていたはずだ。頼み事をする客人が来てくれるのだ。年下と言えど失礼のないようにしなければな。」

 男性はそう言いながら紅茶袋を取りだし、まだ飲めるかの確認の為に、自分で入れて飲んでみる。

 「初めて自分で入れて飲んでみたが、便利なものだな簡単に作れる。しかもうまい。ちゃんと飲んで使いきらなければな。いつまでも、あいつのことを引きずっていてはダメだ。あぁ、それと今日中に仕事を終わらせなければ。」

 男性はそうして仕事を再開する。

翌日 富士浪グループ 本社ビル前

 俺は近くの駐車場にバイクを止めて、金属のバッグを持って本社ビルに入ろうとすると、警備員が止めてきた。

 「許可証を持っていますか?」

 「あっ...はい。」

 俺はすぐさま胸ポケットから許可証を取り出し、警備員に渡す。警備員はしばらく確認した後に、一礼して扉の前からどいてくれた。

 「セキュリティー抜群かよ。それとも早めに来たからか? 30分前だからむしろ遅すぎる気もするけどなぁ。」

 俺が小声でそう言いながら、本社の中を歩いていると、出迎えの秘書が話しかけてくる。

 「ルーク市長ですね。お待ちしておりました。応接室までご案内いたします。」

 「お願いします。」

 俺は秘書に言われるがままに、付いて行って応接室の前まで来た。その後、秘書が扉を2回ノックする。

 「入っていいぞ。」

 扉の奥から誠二さんの声が聞こえると、秘書が扉を開けて言う。

 「社長。ルーク市長が参られました。」

 「おぉ、来てくれたか。通してくれ。」

 「承知しました。」

 扉を開けた状態で秘書が俺の方を見る。それに俺は頷いて、入室する。扉を閉めようとすると、秘書が静かに閉めてくれていた。俺は会釈で感謝した後に、誠二さんの元に歩いていき、握手する。

 「お久しぶりです誠二さん。」

 「あぁ久しぶり。相変わらず忙しいか。目つきが前よりも悪く見える。」

 「止めてくださいよ誠二さん。俺の目つきが悪いのは元からです。というか、誠二さんも人のこと言えた義理じゃないでしょう。」

 「それもそうだな。」

 俺と誠二さんは軽く冗談を言い合いながら相対するように椅子に座った。俺がもう一つの席に金属のバッグを置こうとすると、誠二さんは手でそれを制止して、首を横に振る。俺はそれをくみ取って、床に金属のバッグを立てた。

 「それで誠二さん。本題は?」

 椅子に座ってすぐに俺が真剣な目でそれを言うと、誠二さんの表情はさっきまでの明るい表情とは一転して暗く、深刻なものになった。

 「私には娘がいることは知っているね?」

 「もちろん。富士浪 清雅さんですよね?」

 「あぁ。その子の病気を完治させてほしいんだ。」

 「病気を? それは医者に任せてもいいのでは?」

 俺がそう言うと、誠二さんは首を横に振って言う。

 「それが、ただの病気ではないんだ。」

 「え? 一体のなんの病気なんです?」

 「細胞腐蝕症。」

 「少しずつ、細胞が腐蝕していって、最終的には原型すら留めなくなるってやつですね?」

 俺がそう言うと、誠二さんは無言で頷く。

 「いつ発症したんです?」

 「今から10年前。娘が15歳の時だ。」

 「それから10年間延命に成功しているんですか?」

 「あぁ。方法としては全身を急速冷凍して進行を遅めるというもので、リスクは高いがな。」

 「なるほどぉ....。」

 俺は誠二さんの話を聞きながら額に手のひらを当てて、俯いてしまう。

 「(未だ治療法が見つかっていない難病の1つかぁ。しかも、全身を急速冷凍して進行を押さえて延命? 下手すりゃ即死するぞ。こりゃ早くなんとかした方がいい。なのに、難病...。...厳しいぃ~。)」

 少し考えて俺は今度は天井を体ごと向けて見る。すると、扉からノック音が聞こえた。

 「ん?」

 「どうした?」

 誠二さんがそう言うと、秘書が扉を開けて話す。

 「玄関に社長の手紙を読んで来たという女性が来ています。」

 「女性...? ...すまないルーク君、ちょっと空けてもいいかな?」

 「どうぞ、お気になさらず。」

 俺がそう言うと、誠二さんは秘書と一緒にこの部屋を出ていった。

10分前 富士浪グループ 本社ビル前

 ーーー住所としてはここであってるな。

 俺は手紙の書いてあった内容を頼りに、出かでかと富士浪とかかれたビルの入口前まで来た。とりあえず、警備員に富士浪 誠二という名前を出して、呼んでもらう。

 「あの。」

 「ん? 何ですか?」

 「ここに富士浪 誠二さんという方はいらっしゃるでしょうか?」

 「はいもちろん。ここの社長なので、何かご用ですか?」

 警備員がそう訊かれると、俺は手紙を警備員に渡して答える。

 「この手紙を貰って来たのですが、生憎、許可証というものは持っておらず。この会社に入れないのです。なので、富士浪 誠二さんご本人を呼んでいただけるか、それとも社長なので秘書を呼んでいただいて、取りなってもらうか、してもらいたいのです。」

 そう言うと、警備員の人は手紙を返して

 「わかりました。」

 会社の玄関口をノックして扉を開けたのちに、中にいる社員に

 「秘書の浦坂 千波さんを呼んできてくれ。」

 というと、社員はハキハキと返事をして、秘書と思われる女性の元に行く。

5分後

 しばらくして、女性が玄関口までやって来て、警備員としばらく話をする。その後に俺の方を見る。

 「わかりました。社長を呼んできますので、しばしお待ちを。」

 「はい。」

 女性の言葉に俺が返事をすると、女性は無言で頷いて、エレベーターに乗って上の階まで上っていくのが見える。

5分後

 女性が黒髪の短髪で整った髭を生やした男性と共に戻ってきた。

 「待たせてしまってすまない。社長の富士浪 誠二です。えっと、手紙を読んできたということは...?」

 「大変ご無沙汰しております。富士浪さん、クリードです。何でも屋にあなたの手紙が届いたので、時間の10分前に来ました。」

 「クリード...? クリード!?」

 富士浪さんは俺の名前を聞いた途端に驚いて一歩後退する。そしてしばらく呆然としたのちに咳払いをして、俺の容姿を見る。

 「随分と変わったなぁ。全く気づかなかった。前とは全然違う。でも...雰囲気はあまり変わって...ないか...。まぁあれから9年も経ってるものな。まぁ変わるだろうな。すまない、取り乱した。」

 「いえ、なんの連絡も寄越さなかった私の責任です。奥様の件は...。」

 俺が何か言おうとすると、富士浪さんは手で制止して首を横に振った。

 「それは、全部落ち着いてから話そう。」

 「...わかりました。では、依頼の件を...。」

 「それは、応接室に行くまでの道のりで端的に話すよ。協力者のことも含めてね。」

 俺は富士浪さんに黙って従い、応接室まで一緒に歩いて行く。その間に、富士浪さんの何でも屋への依頼と協力者について聞いた。それは

 ・娘さんが発症している細胞腐蝕症を治すこと。

 細胞腐蝕症とは、身体中の細胞が腐蝕していき最終的には分子崩壊していくという未だ治療法が見つかっていない難病。発症する割合はそう多くはないが、早ければ生まれた瞬間の段階から発症したという実例がある。

 ・協力者はシャインティアウーブのトップ、ルーク・ギルデアであるということ。

 ルーク・ギルデア。現在の異名 紅陽の機人。2年前に起こった大戦の最前線で戦い、負傷しながらも、大戦を終結させた2人の英雄の片割れ...。シャインティアウーブきっての元科学軍人。その功績を称えられたと同時に、当時の市長に国を託され、なかば強制的に市長に就任した人物。

 ということ。

 「(有名人だな。)」

 俺がそう思っている頃には、応接室につき富士浪さんと一緒に応接室に入り、体ごと天井に向けている有名人の隣に座らせてもらう。

 「どうかな。2人とも。」

 富士浪さんがそう言うと、有名人は体を富士浪さんの方向に向けて、その途中で視界に入ったのか、俺の方を見る。

 「え?」

 「俺は受けます。治せるかどうかは、はっきりとは言えませんが、このまま延命を続けても必ず体にガタが来ます。なんなら、今の方法で体にガタが来てないのが不思議なくらいですし。」

 俺はそれを無視して、自分の意見を言う。すると、富士浪さんは無言で頷いて有名人の方に顔を向ける。心なしか俺が答える直前の顔より深刻そうに見える。

 「(えぇ~。無視ぃ~?)」

 とうの本人は俺が無視したことに対して「えぇ~。無視ぃ~?」というようなことを言いたげな顔をしているが、俺は無視を続ける。そうすると、諦めたのか富士浪さんの方に顔を向け喋る。

 「できる限りは尽くします。でも、治すといっているのは、細胞腐蝕症、世界屈指の難病です。最悪の場合...。」

 「もちろん。覚悟はしている。していなければ、わざわざ頼んではいない。」

 「わかりました。やりましょう。3人で。」

 富士浪さんは、有名人の言葉に深く頷きながら答えた。その答えに、有名人は何度か頷いて、富士浪さんと俺の順番で顔を向けて立ち上がる。

 「じゃ早速、やります?」

 「いや、昼からにしてほしい。それまでにここの社員を帰しておきたい。」

 「あぁわかりました。じゃあ、その間に他の荷物でも持ってきておきます。」

 「では私も。」

 少しやり取りをしたのちに、俺は有名人と共に、応接室を後にした。

富士浪グループ 本社ビル前

 そうしてビルを出ると、有名人が俺に手を差し出してきた。俺は「握手」といわれているように感じたため、その手を握る。

 「名前は知ってると思うけどな。俺は一応この国の市長、ルーク・ギルデア。よろしく。あんたは?」

 「何でも屋の店長、コーネリアス・クリード。よろしく。」

 「誠二さんの娘、必ず救おうな。」

 そう挨拶を交わすと、有名人のルーク・ギルデアはバイクに乗って起動し、発進しようとする前に言った。

 「乗れよ。」

 「は?」

 俺が思わずそう言うと、ルーク・ギルデアはこう言う。

 「知ってる情報だけじゃ、どれくらい強いか、頭が良いかの予想はできても。実際に会って、行動を共にしないと人間性はわからないだろ。だから、俺が昼まであんたと行動して、お互いの人間性や考えを少しでも知ろうって話。を、今さっき思い付いた。だからもちろんお互いの荷物は取りに行くぞ。」

 「...。」

 「だめか?」

 「一理ある。」

 「じゃあ行こう。」

 ルーク・ギルデアの話を聞いた後に俺は少し考えた後に納得してバイクの後ろに乗る。それを確認すると、ルーク・ギルデアはゆっくりとバイクを発進した。

 そうして、まるで観光しているように、様々な店によった。そこで俺はサングラスを買ったり、和食屋で秋刀魚の定食を食べたりして、俺は荷物は粗方持っていたため、ルーク・ギルデアの荷物をとって、その後、ミラージュタワーの展望台まで来た。

 「俺に対して何かわかったことは?」

 「まぁ一言で言うと...うるさい、だな。一々会話中にギャグを挟むな。鬱陶しい。」

 「えぇ~!! でもそっちの方が、受けいいぜぇ~?」

 「じゃあ俺から受けは悪かったな。」

 「それを言われると、そうだな。」

 展望台からシャインティアウーブの全域を見下ろしながらそう会話していると、周りに人がいないことに気づいた。

 「この時間帯は人がいないのか?」

 「あぁ。まっ、それを聞くってことは、ただ単にここに来たんじゃないってことはわかってるってことだよな?」

 ルークが展望台の手すりに腰掛けながらそう言うと、俺は無言で頷く。

 「よかった。じゃあ話そう。もちろん話は誠二さんからの頼み事に関係するものだ。」

 ルークは展望台から見える景色に目を移して話し始める。

 「まず、細胞腐蝕症については知ってるよな?」

 「あぁ。有名だからな。」

 「じゃあもう1つ訊かしてもらうけど、延命できるってことも知ってるか?」

 「延命? 知らないな。」

 予想していなかった単語に俺は首を傾げて答える。すると、ルークは景色の方に向いていた体を俺の方に向き直す。

 「だよな。聞いたことねぇよな。」

 「どういう意味だ?」

 「いや今日、誠二さんと会ってからの話でな、誠二さん娘さん、今から10年前に細胞腐蝕症を発症したんだと、そんで今まで体を急速冷凍させることによって、延命してたんだとよ。」

 「10年、延命に成功していると? 急速冷凍させる方法で? そのまま死ぬリスクが高いだろう。」

 「そうそれだよ。死ぬ可能性が高すぎんだよ。普通の人間じゃ治療どころの話じゃないし、細胞腐蝕症だったら容態をひどくさせる一方だ。だがそれを誠二さんに直接言ったら混乱する。」

 「どうする気だ?」

 「今日、誠二さんと一緒に娘さんのところに行って、姿を見せてもらう。本当に細胞腐蝕症かどうかを判断するためにな。もちろん、担当医もしかしたら専門医かな。に直接話を聞く。」

 「そうか。...ん?」

 ルークの会話中に、こちらを覗き見るように飛んでいるドローンが視界に写った。

 「あのドローンは何だ?」

 「あ? ドローン?」

 その瞬間、赤いランプが点滅し、こちらから逃げるように飛び去ろうとするのが見えたため、俺はすぐに投げナイフを飛ばしてドローンを落とした。その影響で展望台のガラスが割れたがすぐに再生した。

 「すごい技術だな。」

 「そんな事言ってる前に、さっさと降りてドローンを回収しに行こうぜ。」

 俺がそういっている間にルークはエレベーターに乗って下に降りようとしていた。俺もすぐにエレベーターに乗る。

 「さっきの会話聞かれてたか。」

 「聞く者がいると言うことは、裏に何かいるな。」

 「はぁ~マジかよ。難病の治療法を見つけるって目的に色々なことが一気に増えたなぁ。めんどぉ~。」

 「言ってる場合か。」

 俺たちがそんなやり取りをしていると、エレベーターの扉が開き、ドローンを手にして、その場でルークが解析する。が、足取りは完全に断たれており、何者が今の会話を聞いていたのかわからなかった。

 「しっかしおかしいなぁ。あんな高度まで届くドローンなんざ早々手に入らねえはずなんだがな。」

 「でもまぁこれで、今回の依頼も面倒なことになりそうだ。」

 「そうだなぁ~。はぁ~きつ。」

 俺とルークがそんなやり取りをしていると、時計を見たルークがバイクを呼ぶ。

 「もうすぐ時間だ。ビルまで行こうぜ。」

 「...。」

 「どした?」

 静かだ。不自然なくらいに...

 「いや。(そういえば...鷹は?)」

 俺はそう言って、またバイクの後ろに乗る。そして30分経ったところで、本社ビルの玄関口まで来た。すると、バッグを持った富士浪さんがそこに立っていた。

 「早いですね。まだ時間ありますけど。」

 「いや、早い方がいいだろう?」

 「まぁそれは確かにそうですが。で今からどちらに?」

 「病院だ。まずは娘の状態を見て欲しくてね。」

 富士浪さんがそう言うと、ルークは俺の方に目を向けてきた。それに俺は頷くと、ルークも頷いて富士浪さんの方を見る。

 「移動は電車で行こう。」

 「あぁいいですねぇ。」

 富士浪さんが言ったことにルークは同意しながら金属のバッグをバイクの上に乗せ、合体させてキャリーバッグにする。その光景を見て富士浪さんがルークの方を見る。

 「流石だね。見ない間にまたなにか作ったんだね。」

 「まぁ不器用ですが得意なんで。」

 ルークが得意気に返すと、富士浪さん少し微笑んでから駅まで移動を始める。ルークと俺は周りに警戒しながら、後をついていった。

10分後

 無事に駅につくと、まるで電車が待っていたかのように止まっていた。俺とルーク、富士浪さんは電車の中に入って、とりあえずに席についた。そこで改めて思った。

 「「(乗客がいない。)」」

 「誠二さん。電車貸し切りっすか?」

 「あぁ。何せ国のトップに手伝ってもらうのだから。これくらいは当然だよ。」

 「へぇ。」

 俺とルークはそう会話をした後に、ルークはキャリーバッグの持ち手を強く握り、俺は短剣に手をかける。

数十分前 応接室

 仕事を粗方終わらせて、他の社員も帰らせた。その後は秘書は自分で退社すると言ってまだ会社に残った。

 「2人とも来ないな。どうしたんだ?」

 男性はしばらく待っても2人が来ないことに不安になり、秘書に電話を掛ける。

 「2人から何か連絡はなかったか?」

 そう訊くと、秘書はビックリしたような声を出して、

 「社長? 先程お2人と出ていかれておりませんでしたか?」

 「何?」

 男性は異変に勘づき、クローゼットにしまっていた。剣を取り出して応接室を出る。そして、ビルを出る際に、秘書に

 「今から出る。もし2人が来たら、すぐに私に知らせろ。」

 と指示を出してビルから出る。すると、玄関口にいた警備員が驚いて男性の方をみる。それに気づいた男性は警備員に

 「ルーク市長とクリード君はどこに向かった?」

 と訊くと、警備員は駅の方を指差して

 「電車に乗って移動すると言っておられました。」

 と答える。男性は警備員の肩を叩く。

 「ありがとう。」

 男性はそう言うと、発進し始めた電車を見ながら車を呼んで、電車を先回りできるようルートを決めて、車を走らせた。
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