Blood Spare of Secret : The story of Creeds

千導 翼『ZERO2005』

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第二章 シャインティアウーブ編

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15分前 シャインティアウーブ地上 天候はやや曇り アスカvsヒカリ

 太陽の光はまだ顔を見せていないが、曇り空が薄くなっているのは見てわかる。また曇り空にしようとしても、次はうまくいかないだろう。

 「(難しいけど、できるだけ早く.....いや、早く戦闘不能にさせないと...面倒なんてことじゃなくなる。)」

 「光脚こうきゃく!!」

 「!」

 女の光速の蹴りの連打を私は強化した視力で視認し、それを元に攻撃を避け続け、スピードエンジンの青白い光と共に、同じように女の蹴りに合わせて蹴る。それで体勢を少し崩した女に、翼の銃口を全て向けて青白い炎を勢いよく噴射する。

 「!!」

 女はすぐに体を光にしてすり抜ける。

 「またそれですか。」

 同時に私は炎を噴射した勢いで距離を取って、そこからライフルブレードを女に向けて連射する。

 「またそれか。」

 女は鬱陶しそうにして、さっきの戦いと同じように体を光らせて、無数の光線を放ってくる。

 「(でも、さっきとは違う。)」

 私がそう考えていると、国全体をおおうようにバリアが展開される。

 「チッ。」

 展開されたバリアは光線を完全に防ぎきっている。

 「なら、このバリアをまた消すために....潰す!! 光轟隕こうごういん!!!」

 それを確認した一瞬の隙に、女は上空から光速で落下してくる。

 「速い!! (高速変形。銃翼を盾翼じゅんよくに! 腕力強化。...カウンターを狙う!)」

 私は即座に銃から盾のように広くなった翼を8本全て束ねて身を守る。

 「はぁぁ!!」

 光速と落下による重さの乗った蹴りは盾翼に直撃し、辺りに轟音が響き、衝撃波が起こる。

 「!? (ひびすら入らない!?)」

 「!!」

 アヌビスの防御力に驚いた隙に、私は勢いよくライフルブレードで女を挟み込むように切り裂く。

 「ぐっ...!!」

 「......あなたも疲れてきましたか?」

 私が攻撃を当てると、女は一瞬で距離を放す。それに、私はスピードエンジンの出力を上げて追いかけながら、盾翼を銃翼に戻して、ライフルブレードについた血を払い、ヘルメットのサーチシステムで照準を合わせて、連射する。

 「それは当たらない!!」

 女はそう言って、体を光にしてすり抜けさせる。

 「...。」

 私はこのまま追いかけても意味がないと悟り、ライフルブレードの機能を変える。

 「電力を食うのであまりやりたくはないんですが、切りかかるときの一瞬だけなら、いいでしょう。」

 「ん?」

 突然動きを止めた私を女はじっと見据えている。

 「ライフルブレード機能変換。五式近接型特殊兵装、朱刄あけのやいば。」

 ライフルブレードの刀身を赤いオーラのような光が包み込む。

 「(全身強化。スピードエンジン瞬間的最大出力に変更。五感を強化。近接戦闘に特化。)」

 私は集中するために、ゆっくりと瞬きをした。そして、女の姿をしっかりと捉える。

 「(何かした。)」

 「よし、やろう。」

 私はそう言って、女に向かって動き出す。その瞬間、アヌビスのライン状の光の循環が足のスピードエンジン含め、一瞬だけ赤く光る。その瞬間に、女の目の前まで距離を詰めた。

 「(赤い残光が見えた瞬間に、あたしの目の前に!?)」

 「!!」

 そして、勢い良くライフルブレードを振り下ろすが、すぐに女は体を光にしてすり抜けて距離を取る、私は振り下ろしたライフルブレードを逆手に持ち変えて、切り上げながら女に向かって連射する。

 「はああ!!」

 女はそれに対して、無数の光弾を放ってくるが、私はライフルブレードの縦断と刀身で相殺しながら、近づいていく。

 「(あれになった瞬間に、あたしの速度に完全にとは言えないが、近い速度で動いてる。)」

 「ちょっと本気にならないといけないじゃん。」

 私の動きが先程違うことを確信したのか、あっちから近づいてくる。私はすぐさまカウンターを狙う形にして、女の攻撃を受け止め、斬りかかる。

 「はっ!」

 すると、女は宙返りして避けた後に、大量の光の分身を作り出し、入り乱れるように攻撃してくる。私はそれを避けながら、1人ずつ確実に減らしていく。

 「(まるで舞うようにあたしの分身を切り裂いてる。これがあの変な異名の由縁ってやつ。) うざいったら、ない!」

 そうしていると、女は突然私に斬りかかってきた。

 「皆から尊敬されて、されるだけの実力も実績もあって...。...うざい。」

 「妬みですか? いきなり国を襲っておいて、国民を危機にさらしておいて...。ずいぶんと身勝手ですね。」

 女の言葉に少し腹が立って、語気が強くなってしまった。そうすると、女の目に沸々と怒りが宿っていくのがわかる。

 「もっと喋る余裕がなくなりそうですね。」

 「(幸せそうな奴も、恵まれた奴も....まとめて....潰してやる!!!)」

 そう言って彼女は私を睨み付けた状態で攻撃を仕掛けてくる。

同時刻 移動中 ルーク・ギルデア

 移動の途中で、ラブに俺やクリードがいない間の状況を聞いた。どうやら、謎の協力者がいたらしい。そのお陰で、時間を稼げたらしい。そして今ラブは、俺の指示で七瀬愛翔と浦坂千波を地下の監獄施設に連れて行かせた後に、アスカのサポートに徹するようにさせた。

 「さて...今日初めての会話でもしてみるか...。」

 俺はそう言いながら、ライレトを起動して俺の専属AIを呼ぶ。

 「マーシィ。」

 「こんにちは。社長出勤ですね。ルーク。」

 「まぁまぁ言うなって...。本人が一番わかってんだから。」

 「では指示を。」

 「じゃ、マジモンのボーダーVer.10を俺に装着させてくれ。今回は相手が相手だ。ド頭からフルスロットルで行く。」

 「了解。」

 どこからともなく、金属製のバッグのようなものが鎧のような形に展開されていきながら迫ってくる。俺は本気で走って、そこに飛び込むようにジャンプする。鎧に接触した瞬間に、俺の体を包み込み、黒い装甲に青いライン状の光が循環している鎧になる。

 「装備展開完全解放。モードイグニス。」

 「音声認識完了。装備を展開します。」

 マーシィがそう言った瞬間に、全身の装甲が変形していく。腰からは黒く巨大な二挺の機関銃が、腕からは変型式銃器が、肩からは翼のような形状をしたジェット兼重火器、胸にはコアを覆い隠す装甲が重ねられ、顔全体を覆うヘルメットのサーチシステムは赤に変色し、ライン状の循環光も赤色になる。背中から脚にかけては赤い循環光が強く光輝き、モーターの回転する駆動音が聞こえる。

 「スピードエンジン最大出力充填完了。...よし、行くか!!」

 俺がそう言うと、全身の赤い循環光が更に輝く。駆動音は大きくなり、装甲は微量に振動する。そして....そのエネルギーを放つ。

.......ドゴォーーーーン!!!!

 俺がその場から居なくなった10秒後に爆発音のような音が聞こえた。エネルギーを放出して速度を出した影響だからだ。

 「フォオオオオオオオ!!!!! 久々だこれやんの!! こっっっっっわ!!!!」

 「この重装備で着地失敗したら死ねますねこれは。気を付けましょう。」

 「そんなやわに造ってねえよ。それに何のためのジェットとスピードエンジンの任意減速システムを造ったと思ってんだよ。」

 「はて?」

 「はて? じゃねえよ。...何でつまんねえコントやってんだよ。俺らは...。」

 「あなただけですよ。」

 「お前発信なんだよ。」

 移動中に俺とマーシィはそんな会話をしながら、標的を見つける。

 「標的見っけ!!」

 俺はそう言って、両腕の変型式銃器をガトリングにしそのスピードをあげながらアスカに向かって攻撃しようとしている金髪の女に向かっていく。

 「オラアアアアアアア!!! 回転式多銃機関拳ガトリングブロウ!!!」

 俺は女の顔面に躊躇なく右ストレートを食らわせ、その距離のままガトリングガンを撃ちまくる。

 「グォ...!!」

 俺の殴打とガトリングによる追撃で女の顔は歪み、身体中を銃弾の嵐が貫く。その勢いのまま地に激突し、血反吐を吐く。

 「...(不意打ち...クッソ...!!)」

 だが、流石の再生能力、みるみる傷が塞がっていく。

 「やっぱ上位ランクは再生速度が異常だなぁ。」

 「だから躊躇ちゅうちょなくガトリングぶっぱなしたんでしょ?」

 「まぁそりゃな。普通にやってたら相手死ぬしな。」

 俺のコメントにアスカはじとっとした目で俺を見ながら訊いてきた。それに俺は同意しながら理由を述べると、「わかりきったことを言わんでいい」というような動きをされた。

 「さて、こっからは2対1だ。スペアネル相手...出し惜しみなんてしてらんね。」

 「もっと早くやりたかったですけどね。」

 「よし行くか~。」

 「無視。」

 俺はアスカとそんなやり取りをしながら準備運動のように伸びをする。

 「何かありましたね?」

 「...あったけど、それは後でな。」

 俺の様子に違和感を覚えたのか、すぐにアスカに感づかれた。

 「もうこの形態になっちゃってるので、できるだけ早く終わらせたいですね。」

 「まぁそれでうまくいったこと俺らないんだけどね。」

 「それは言っちゃいけない。」

 俺とアスカはそんな会話をしながら、瞬時に腰の機関銃を掴んで、女に向かって撃ち始める。それに合わせるように、アスカはライフルブレードを撃ち始める。

 「光軍襲喰裂こうぐんしゅうさんれつ!!」

 すると、女は光の粒子を作り出し、さながら進軍するように放ち始める。

 「マーシィ、遮光機能を上げろ。」

 「遮光機能を上昇。」

 俺とアスカはサーチシステムの遮光機能を最大限まで下げてこちらに向かってくる光の粒子を視認した後に互いにアイコンタクトを取って、動き始める。

 「銃翼を盾翼に、突っ込む。」

 俺は翼からのジェットと重火器の機能で煙幕を出しながら、高速で動きながら光の粒子の軍を掻い潜っていく。

 「チッ! 乱光刃雨みだれひかるやいばのあめ!!」

 「散弾拳ショットブロウ。」

 女は一瞬で2本の光の剣を作り出し、逆手や順手の持ち方を絡めながら斬りかかってくる。俺はその刃の嵐もギリギリで避けて、腹部を本気で殴る。それと同時にガトリングはショットガンに変形し、パンチで浮いた所を撃たれる。

 「クソッ!!」

 女が俺に反撃をしようとした瞬間、俺が出した煙幕の中から、盾翼を構えたまま弾丸のように突っ込んできたアスカに吹っ飛ばされる。

 「グアッ!!」

 俺はすぐに低姿勢になって、女の吹っ飛ばされた方向に先回りして、一度大気圏まで上昇した後に一気に落下して、ちょうど目の前に来た女に踵落としを決める。

 「.....!!」

 それで血反吐を吐きながら、地面に仰向けになっている所を首根っこを掴んで吹っ飛んできた方向に投げる。すると、ライフルブレードを構えたアスカに胴体を斬られる。

 「リンチっぽくて悪いですが、これ以上暴れられても、困るだけですので....。」

 俺はアスカの方に戻って、斬られてから立ち上がらない女の首もとにライフルブレードを当てている所を見ている。

 「どうしました? ルーク。」

 マーシィが黙って目の前の光景を見ている俺に話しかけてきた。

 「おかしい。」

 「おかしい?」

 「スペアネルにしちゃ弱すぎる。暴れ方もなんか回りにあまり被害が出ないような感じになってる。」

 俺は感じている違和感にしばらく思考した。アスカも動いていないところを見るに、急にうまく連携が決まったことに違和感感じているのか、見つめたまま動かない。

 ...............。

 ...............。

 ...!!

 「アスカ!!」

 俺が声をかける前にアスカは既に女の首を斬っていた。だが...女の首を斬れておらず、光に粒子になって消えた。

 「分身だった...!!」

 「(光の粒子を撃ってきたときに、既にそれらのどれかに移ってたのか!)」

 俺とアスカは互いの顔を見て頷いた後に、アスカはサーチシステムで辺りを見回す。その間に俺はマーシィに女の居場所を訊く。

 「...。...いました。」

 「どこ?」

 「地下です。」

 「地下...!? そこには国民と協力者たちが...!」

 「驚くのは後! 早く地下に行くぞ!!」

 俺はそう言って、アスカを連れて地下都市の入り口まで急いで向かう。

同時刻 地下都市 光琳と薫

 影の化け物を倒して、分隊の人たちは疲れ切った表情で元の場所に帰ろうとしていた矢先...

 「邪魔。」

 バンバさんが戦っているはずの光の女が目の前に現れ、いきなり光琳さん目がけて光線を放つ。

 「!!」

 「軍曹!!」

 それを軍曹さんが光琳さんを庇って撃たれ、その場に倒れこむ。光琳さんはすぐに軍曹さんに駆け寄る。すると、軍曹さんはうつ伏せの状態で光琳さんの顔を見ると、安心したような顔をする。

 「無事...か?」

 「はい...もちろんです...!」

 「そうか...。では...逃げろ。ここまでやってくれたのだ...あとは、俺たちが...やるさ...。」

 軍曹さんは息も絶え絶えでそう言って、悔しそうな顔をしている軍人達を見る。

 「お前たち...まだ仕事は終わって...ないぞ...。」

 「はい...。後は、俺たちに任してください!!!!」

 部下の人が唇を血が流れるほど強く噛んで、軍曹さんにそう言った。その後、光琳さんに覚悟を決めた顔で言う。

 「嬢ちゃんはサポートしてくれたあの子を連れて逃げな。ここは、俺たちでやるさ。」

 「...でも...。」

 「嬢ちゃんに何かあったら、軍曹にドヤされるからな。」

 「俺達なら大丈夫。何せ軍人だからな...。」

 「それでも...。」

 「頼む...。行ってくれ...。」

 光琳さんは食い下がろうとしたが、軍人達の顔を見て、暗い顔になりながらも、明るい顔を作って

 「ありがとうございます!!」

 と感謝を述べて私の元に走って来る。

 「何? 戦おうっての?」

 「お前たち、相手が子供だろうと容赦するな!! あれは、俺たちの国を脅かす敵だ! 国を守るために、軍曹の最期を無駄にしない為に、命を懸けろ!!!!」

 光の女の言葉に軍人たちは怯まず、残弾残り少ないショットガンとかなり消耗した火炎放射器を携えて雄叫びを上げながら向かっていく。

 「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」」」」

 それに私と光琳さんは背を向けて一目散に逃げる。それを補助するように狙撃班の人たちが邪魔な障害物を破壊して追ってきたとしても邪魔になる障壁を作ってくれる。

 「うああああああ!!!」

 「ぎゃああああ!!」

 さっきまで戦っていた軍人たちの悲痛な叫びが聞こえる。

 「!!」

 私は思わず逃げながら後ろを見てしまった。すると、向かっていった軍人たちが次々と殺されていくのが見えた。

 「見ちゃダメ!!」

 それに気づいた光琳さんは私の視線を元に戻して、悔しそうに下唇を噛んでいた。

 「ああ鬱陶しい!」

 そう叫んで光線が狙撃班の人たちの方に撃たれたのが一瞬見える。その後、狙撃班の人たちの補助がなくなった。

 「...ぁ...ぁあ...!!」

 さっきまで喋っていた人が次々と殺されていく光景に私は発狂しそうになる。でも、光琳さんが

 「大丈夫。大丈夫だよ。」

 と自分が一番辛いのに、私に気を遣ってくれる。私は今の光景を記憶の隅に置いて、一緒に逃げることに集中した。そうしていると、戦っていた音が全く聞こえなくなった。

 「!」

 そう気づいた瞬間に、光の女が目の前に現れた。

 「そういや、あんた等あの男といたやつらだよね? 流し見してたからわかんなかったけど...。」

 「...だから...?」

 「あの男には凄いムカついたから、あんた等で発散するわ。」

 光の女はそう言って光線を撃つ構えを取る。私は咄嗟に光琳を後ろにやって、ナイフを構える。

 「(光琳さんはさっきの戦いで疲弊しきってる。私が一番疲れてない。役に立たないかもしれないけど、やるしかない!!)」

 私がそう覚悟を決めた瞬間に、あっさりと光線が腹部に直撃し、仰向けに倒れる

 「薫! 薫! 薫!!!」

 駆け寄ってくれる光琳さんが泣きそうな顔で名前を呼んでくれる。そんなのを無視するように光琳さんの顔面を蹴り上げる。それで仰け反るが、光琳さんはすぐに刀を抜いて戦おうとする。

 「...逃げて!!」

 「友達置いて行けるわけない!! それに軍曹は私達を絶対に死なせないって言った。だから、死ねない! 軍曹の約束を破らせちゃう!」

 「!!」

 光琳さんはそう言って、光の女に向かっていくけど、嘲笑うように流して、カウンターを決めるように腹部を蹴って、関節を必要以上に攻撃する。

 「お綺麗な友情だね。ほんとうざい!!」

 「光琳さん!!」

 そうして、光の女は光琳さんを踏みつけて光線を撃とうとする瞬間

 バン!!

 という銃声と共に光の女を撃った者がいた。狙撃班の班長だ。

 「チッ! 死にかけが...!」

 女は悪態をついて、班長に光線を撃つ。

 「頼むぞ。」

 班長は何かを言ったのか口を動かして、光線に撃たれて絶命した。

 「往生際が悪いんだよ。」

 「それはどっちだ?」

 光の女の発言に反論するように背後にバンバさんが現れ、容赦なく心臓目がけて剣を刺し貫き、持ち上げ投げ飛ばす。

 「師匠...。薫が...。」

 「わかっている。すまんな2人共。勝てないと考えて、本気でやらなかった俺のミスだ。」

 「...師匠...。」

 「今度は本気でやる。」

 バンバさんはそう言いながら、光琳さんを抱きかかえて、私もおぶる。

 「すぐに医療班の元に連れていく。少し痛いかもしれないが、早く着くからな。」

 「はい。」

 私も返事をしようとするけれど、うまく声が出ない。でもそうしている間に本当にすぐに医療班の元についた。

 「あなた方は!?」

 国民たちを見ていた軍人達が驚いた顔をするけど、バンバさんがすぐに横たわらせて、

 「2人の応急処置を頼む。」

 そう言って、武器を構えながら立ちあがる。

 「なにを...。」

 軍人たちが警戒した瞬間に光速で背後に現れた女をバンバさんが読んでいたように後ろ蹴り飛ばす。

 「今更キレてんの? 遅くない?」

 「いいから来い。」

 バンバさんは低い声で挑発しながら女を蔑むように見た。

 「そんな目で見るんじゃねえよ。」

 「俺の勝手だ。」

 そうして、すぐに女との距離を詰めて人のいない方に蹴り飛ばした。

現在地移動 バンバvsヒカリ

 俺は剣を逆手に持ちかえて低姿勢のまま迅でより速く移動する。その最中、鈴で感覚を研ぎ澄まし、正面からの女の蹴りを伝を使い、右の剣で受け流して、迅を腕に使って女を斬る。しかし、光になって避けられる。だがその勢いのまま体を回転させて踵の蹴りを女に食らわせる。

 「チッ...! 光拳こうけん!!」

 女はすぐに体勢を立て直して、光速の拳で殴りかかるが、岩を使って左の剣の柄で防ぎきった後に、右の剣で女の体を突き刺して、烈による手首と肘の間接を使った内部への振動で突き刺された箇所が破裂するように吹き飛ぶ。

 「グァ...!!」

 流石に痛かったのか、俺から距離を取って睨み付けている。

 「不思議か?」

 「あ?」

 「さっきの戦いではろくに戦えてなかったやつが、急に戦えるようになったことが...。」

 「...。」

 俺の言葉に、女は黙ったまま破裂した箇所を押さえる。

 「あれだけ戦闘していたら、いやでも動きが体に染みついてくる。」

 「...?」

 「お前の動きはもうほとんど読めた。だから負けようがないんだよ。」

 「...チッ...!!」

 「お前は...越えてはいけない線を越え過ぎだ。」

 「あたし相手に説教か?」

 「化け物に説教するほど酔狂じゃない。」

 「てめぇ...。」

 「ムカついたのなら来い。吠えるだけ犬でもできる。」

 俺がそう言うと、女は脚と拳を光らせ始める。

 「煽ってんじゃねえよ...。」

 「その言葉、そっくりそのまま返そう」

 女は殴打と蹴りの光速の乱打をしてくる。俺は殴打は空で避け続け、蹴りは岩で防ぐ。

 「挑発すると動きが単調になったな。」

 俺はそう言って、殴打から蹴りに移行する一瞬の隙に割り込んで、殴打を剣の鍔で蹴りを柄で受け止める。

 「!?」

 「自分の為だけに世界は回っていない。お前は、自分の事を迫害してきたやつらと何も変わらない。何なら、それより質が悪い化け物だ。」

 俺はそう言って、殴打と蹴りを受け止めていた剣で体勢を崩して、そのまま2本の剣で体を切り裂く。

 「...!!」

 女は痛みでまた距離を取ろうとするが、俺は切り裂いた箇所を蹴って、そのまま踏みつける。

 「グアアア!! 私は...あいつらとは...違う...!!」

 「どこが違う? 言ってみろ? 認めたくないだけだろ?」

 「人間なんて嫌いだ。自分の生んだ子供が、他と違ったら殺そうとする。愛してほしくて、頑張って良いことをしても、全部マッチポンプだの言われて悪者にされる。それでも味方になってくれるやつはいた。でも、そいつはあたしから信用を勝ち得て、確実に殺せるように様子見してただけだった。毎日毎日戦車や重火器で撃たれ、槍で身体中を貫かれ、剣で四肢を何度も切り落とされ、激痛に気絶しようものなら火で目を炙り、骨が折れるまで全身を殴り続けるそんな日々の中の唯一の生きる理由すら嘘だった。そんな15年間を過ごしてきたあたしからすれば、信用できる他人がいるのも、命を散らしてでも守るものがあるのも、他人のために怒れるのも、恵まれていて、贅沢にしか見えない。だから、全部壊す。壊してやる。幸せそうに生きるやつら、恵まれたやつら、贅沢しているやつら、全員ぶっ壊してやる!!」

 「だからそれの何が今のお前と違う? やり方が違うだけで根本がほぼ同じだ。自分とは違う者への恐怖、嫉妬。それら復讐に置き換えてるだけだ。」

 俺がそう言った瞬間、地下天井に巨大な円形の扉が開く。そこから無月 アスカとルーク・ギルデア侵入してくる。と同時に、地下を照らす全ての電灯の光が明るくなる。

 「違う! あたしは違うんだ!! 光界こうかい。」

 地下都市全体を照らす電灯の全てが光輝き、雲がかかる前のシャインティアウーブと全く状況になる。いや、それより悪い。地下都市全体を照らしているせいで、日陰が極端に少ない。

 「光界だ!!」

 俺は降りてきた2人にそう告げると、無月アスカはすぐに気づいてルーク・ギルデアに端的に説明して指示を出した。そうして動き出した瞬間、女を踏んでいた感触が消える。俺は踏んでいた方向を見ようする直前、動き出そうとしていたルーク・ギルデアと無月アスカの前にそれぞれ女が立っていた。ということは。

 「...。」

 俺の後ろにも女が立っていた。

 「光の少ない場所での戦いも光を吸収する場所の戦いももう慣れた。もう、殺す。」

 「できるならな?」

 女の目には目に見える怒りではなく、静かな過去の出来事への憎しみがこもった目に戻る。俺も、同じようにさっきまで押し殺していた命を踏みにじったことへの怒りが沸き上がる。

同時刻 シャインティアウーブ地上 クリード 富士波清雅 晴れ

 しばらく走っていると、鷹が俺の方に寄ってきた。

 「どうした?」

 「(鷹?)」

 俺の疑問に鷹は羽ばたきながら首を振る。どうやらバンバが見つからないらしい。

 「恐らく地下都市にいるのかもしれん。さっきの指示は忘れて一緒に行くぞ。」

 俺がそう言って移動を再開しようとした瞬間

 「!?」

 突如として、全身を焼くような激痛に襲われ、片膝を着く。富士波清雅さんを見てみるが、痛そうではあるが、俺より平気そうだ。だからか、分厚い氷の傘を作って俺と落ちた鷹にかざすと、それによってできた薄い日陰で日光が軽減されて、なんとか動けるようになる。

 「大丈夫ですか?」

 「はい。何とか。ありがとうございます。」

 俺はそう言いながら鷹の方を見ると、苦しそうだが何とか飛んで俺の方に乗ってきた。

 「地下都市に行くまでそうしろ。」

 俺は鷹にそう言って氷の傘越しに太陽を覗く。その後に辺りの光景を見る。

 「思いの外状況は深刻です。」

 「...。」

 「もしかしたら、戦闘のサポートをお願いすることになるかもしれませんので、覚悟は決めておいてください。」

 「はい。」

 俺は氷の傘を持って、富士波清雅さんと共に少し歩くと、地下に繋がっている開いた大穴を見つける。

 「(地下が主戦場になっているのか。だが、そこまでやわではないだろうが敵が無差別に暴れまわれば地盤沈下する恐れがある。何とかして敵を地上まで持ってこなければ。)」

 俺はそう考えながら、創破造壊の盾を微量に発動した状態で装備し直し、氷の傘を富士波清雅さんに返す。

 「...(負荷がかかって効率が悪いが、こうしなければまともに動けない)。」

 俺は富士波清雅さんにこれから行うことを言う。

 「今からここに飛び込んでいきます。それで同じように俺についてきてください。そして、女性2人と合流した後に、僕は戦いにいきますので、口笛の合図があるまで、護衛に徹してください。」

 「はい。」

 そして、俺と富士波清雅さんは地下都市に飛び降りる。
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