Blood Spare of Secret : The story of Creeds

千導 翼『ZERO2005』

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第三章 シルヴァマジア編

お仲間さん

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 ーーやぁ、随分と久しぶりな気がするね。

 真っ暗な空間のなかで、男かも女かも判断のつかない声で、脳内で囁かれるように響く。

 ーーあなたは...あの日の...じゃあこれは...夢?

 私がそう訊くと、声は耳元で囁くように答えた。

 ーーそう、ただの夢の中の出来事さ。

 私は声に対して、一切の警戒心を持たずに耳を傾ける。それをわかっているのか、声は同じように耳元で囁くように話し始める。

 ーー今回君に話しかけたのは、これから起きることに対して、2つの助言をする為だよ。

 ーー2つの助言?

 私がそう言うと、声は優しく反応を示しながら続ける。

 ーーそうだよ。君はこれから向かう国で大きな事件に巻き込まれる。

 ーー大きな...事件...。

 ーーだから、事件が起こる前にシャインティアウーブの紅陽の機人とシルヴァマジアの蒼月の聖王にコンタクトを取り、協力を求めるんだ。もしかしたら、あちらから協力の依頼が来るかもしれないけどね。

 聞いたことのない単語が2つ出てきて、私は一瞬戸惑う。

 ーー落ち着いて、紅陽の機人と蒼月の聖王については君の仲間に尋ねればすぐに教えてもらえるよ。それに、片方は既に会っているしね。...これが1つ。

 ーーもう1つは...。

 ーーもう1つは、君の上司に頼んで、漆暗青葉に救援を求めること。

 知っている人の名前が出てきて、私はわかりやすく驚く。それに対して、声が笑ったような気がした。

 ーー以上で助言は終わりだよ。

 ーーあ...。

 ーーでも、これだけ長く会話ができたと言うことは...もしかしたら、深天極地の力の片鱗の覚醒が近いのかもしれないね。

 声がだんだん小さくなっていくのが感じる。完全に聞こえなくなる前に、最後に一言だけ訊いた。

 ーーあなたの名前は...?

 声が聞こえなくなる。でも、とても小さくなった声で声の主は答えてくれた。

 ーー言えないかな

 !!

 その後に、私は目を覚ました。

 「名前はまだ教えてくれないんだ。」

 「ふぁぁ...薫...おはよう...。」

 近くで眠っていた光琳が目が半開きの状態で欠伸をしながら、私に近づいてきた。どうやら、ほとんど同じタイミングで起きたみたい。私は回りを見渡して、耳をすませる。朝食を作る音が聞こえる。私は未だに眠たそうな光琳を連れて洗面台まで向かい、一緒に顔を洗って、洗っておいたいつもの服装に着替えて、朝食を用意しているクリードさんとバンバさんの元に行った。

 「クリードさん! 師匠! おはようございます!!」

 「おはようございます。」

 「「おはよう。」」

 私たちの起きてくる時間を予測しておいて、朝食を準備していたのだろうか。私と光琳の分だけ用意されている。バンバさんはコーヒーを飲みながら、何か書類のようなものを書いている。クリードさんは紅茶を飲みながら、何か考え事をしている。

 「バンバさん。紅陽の機人と蒼月の聖王ってなんですか?」

 「ん? それは、このシャインティアウーブのトップであるルーク・ギルデアと隣国のシルヴァマジアのトップであるジーク・ヴィネアの異名だな。両者とも2年前に起きた第二次工魔戦争の英雄だな。」

 「トップ...英雄...。(そんな人たちに協力を頼めと...まず普通に会うのが難しい...。ん? でも...片方には既に会っているって...もしかして...バンバさんと一緒に戦ってくれていた...あの目付きの悪い金髪の男の人のことかな...だとしたら怖いなぁ...睨まれたら気絶しそうなんだけど...。)」

 私が内心でそう思っていると、バンバさんが書類を書いているペンを置いて、私の方に目を向けているのが見えた。

 「で? その2人がどうかしたか?」

 「単に興味があって、バンバさんが出掛けていて、クリードさんが眠っていたときに、耳に入りまして。」

 「ほう...意外と歴史に興味が...。」

 「やめとけ薫。バンバに歴史に関係する話題はアウトだ。ろくなことにならん。」

 クリードさんが聞き飽きたと言うふうな仕草をしながら言った。それを聞いたバンバさんは私の顔を見るなり、忘れてくれと言うようなジェスチャーをしてペンをもって書類仕事を再開した。

 「じゃあ今度クリードさんがいないときに聞きますね。」

 「すまないな。俺の周りで歴史好きないなくてな。」

 「いえいえ。」

 バンバさんはそう言いながら少し口角が上がっている。私も歴史はそれなりに興味がある。その時が楽しみだ。

 「あ、あとバンバさん、クリードさん。」

 「「ん?」」

 「今日出掛けてもいいですか?」

 「いいが、見張りとして光琳と俺達が頑張っていた間。どこかに行ってたこの鷹を連れていってくれ。」

 バンバさんがそう言うと、光琳さんの元に、あの鷹が飛んできて肩に止まった。

 「何かあったら、光琳を頼り、その間に鷹で俺か...いや、バンバを呼べ。」

 「はい...ありがとうございます。」

 私は感謝の言葉を述べる。でも、どこかぎこちなくなったやっぱり昨日言われたことが心に引っ掛かっている。クリードさんは黙ったまま私の顔を見つめてきた。

 「ん?」

 「大丈夫か?」

 「あぁはい。大丈夫です。」

 「そうか、ならいい。」

 そうやり取りを交わした後、私と光琳は鷹を連れて、シャインティアウーブの町中まで行った。

 「朝だから、まだ人がいないね。」

 「そうだね。(青葉さんのこと...どうしよう...。夢で言われたことを真に受けて言ったところで、バンバさんは呼んでくれないだろうし...。それに、とりあえず外に出てみたものの、ルーク・ギルデアっていう人に会う算段も何もないから、時間をただ無駄にするだけかもしれない。)」

 私が歩きと考え事をしながら、返事をしていると、光琳が止める前に、人とぶつかった。

 「あっ、ごめんなさい。前を見てなくて。」

 私はすぐに謝って、ぶつかった相手のほうを見る。すると、ぶつかった相手は結構な怪我をした、黒髪に眼鏡をかけた赤い模様のようある黒いフードつきパーカーと黒いジーンズを着た年上の男性だった。

 「いやいや、俺も前を見てなかったから。ごめんね、怪我はない?」

 「あぁはい。私は全然...。」

 「そうか、よかった。それにしても何か考え事をしてたの?」

 「え?」

 不意の質問に私は驚いて、一歩後ずさる。光琳さんは少し警戒している。

 「いや、俺もそうだけど、前見てない人同士でぶつかったっぽいから...。」

 「あぁいえ、そこまで大したことじゃ...。」

 「ぁあそう。....ごめんいきなり。あいつと同じで何か悩んでるような人を見ると、つい気になっちまって、怖い思いをさせたらごめん。」

 「あいつ?」

 私は男性の言葉の一つが気になり、首を傾げながら訊いてみた。

 「ん? ルークのこと。知らない? 半強制的にトップにされた、ルーク・ギルデアっていうアホのこと。」

 「...ルーク...。ルーク!!」

 まさかの名前に私はつい大声で名前を言って、男性の両腕を掴んで頼む。

 「ん? どうした?」

 「私その人に会いたいんです!!」

 「ルークに?」

 「はい!!」

 いきなり声が大きくなった私に光琳と鷹は驚いていて、男性は少し戸惑っている。

 「わかったとりあえず連絡はしておくよ。」

 「えっと名前は...。」

 「ん? 俺の?」

 「はい。」

 「リーフ。」

 「(すっごいタイミングで、スッゴい都合の良いこと起きた。これ逆にジーク・ヴィネアさんと青葉さん時は苦労しそうで怖いな。)」

 私は目を何度も瞬きさせながらそう思っていると、リーフさんが名刺を取り出して、渡してくる。私は両手でそれを受けとると、私はお礼を言って、受け取った名刺を見ていると、光琳が名刺を覗き見にきた。

 「...ごめん、すぐには会えない。どうやら先約があるらしい。」

 「ああ...。」

 「よかったら俺から話の内容を伝えようか?」

 「あっ、えっと...。」

 私が返事を渋っていると、私の様子を観察していたのか、リーフさんがこんなことを言う。

 「信用できない?」

 「...いえ...。」

 私は少し迷いながらも、リーフさんを信じて離すことを決める。

 「私...ちょっと前から、変な夢を見るようになって...それで、今日の朝もそんな感じをの夢を見て、夢の中で、これから起きる大きな事件に備えて、紅陽の機人と蒼月の聖王に頼れと言われたんです。」

 「なるほど。じゃあ俺はそれをとりあえず伝えればいいんだね?」

 「え? はい...。」

 「夢の中の内容をそんな簡単に鵜呑みにしていいのかとか思っている?」

 「....はい。」

 「君の眼が真剣だから信じたまでだよ。ほら面接とかでさ熱意が伝われば、受け答えが拙くても受かる可能性あるじゃん。それと同じ。」

 私がその言葉に深く頷くと、リーフさんは落ち着いた感じのまま微笑んで言う。

 「...そう...なんですね。」

 「そうそう。あれこれ考えるより、感情と人柄で判断するよ。優秀さとか真実とかなんて、一発で分かるわけないんだから。」

 「なるほど。...!!!!」

 リーフさんの話に私が返そうとすると、全身に形容しがたい激痛が襲ってくる。

 「どうした? 大丈夫!?」

 「... (知ってる...! この激痛...あの日に味わった、激痛だ...!!)」

 リーフさんが心配してくれる声が聞こえる。私はそれに反応しようと顔をあげている最中に、同じように激痛に悶えている光琳の姿が見える。

 「(深天極地の純血が...反応している...。つまり...この近くに...私たちと同じ...深天極地の純血がいる...!!)」

 私がそう考え出すと、ピタリと激痛が止んだ。純血が離れたんだ。私と光琳は何事もなかったかのように、立ち上がって互いの顔を見合わせた後に、心配してくれたリーフさんの方を見る。

 「もう大丈夫です。ご心配をお掛けしました。急用ができたので、ここで。」

 「お願いします。」

 「おい...。ぇえ~?」

 私と光琳はリーフさんに一礼して、その場から立ち去る。

 「近くに私たちの同じ純血の人がいるはず...見つけて協力をあおぐか、仲間になってもらおう。」

 「うん。それに、師匠たちからも褒められるかもしれないしね。」

 「...そうだね。」

 つい、探しにいくと言う風な選択をしてしまったけど...これが正しいのかは、よくわかっていない。もし敵だったら戦闘になる可能性があるし、話を聞いてもらえない可能性だってある。でも、それより、私は光琳以外の自分と同じような人に会いたいと言う欲で動いていると思う。

 「うあっ!!」

 「わぁっ!!」

 そうやって走って動いていると、後ろで光琳が2人組の男性の内の1人にぶつかって倒れていた。

 「すみません!!」

 私がすぐに頭を下げて謝ると、倒れていた男の人がすぐに立って

 「いやいや気にしないで、俺らも走ってたし...お互い様だよ。第一適当に進んでたこいつが悪いんだからさ...。」

 と言ってくれた。私は光琳を立ち上がらせながら、2人の男性の顔を見る。背丈的にも、同い年くらいだろうか...。ぶつかってしまった方は、銀の短髪で特徴的な靴と腰にグローブのような武器を持っている。まだ一言も発していない方は、黒の長髪で動きやすそうな服装に、背中に矢筒と弓を持っている。

 「.....でも、互いに探し物が見つかったようで何よりだな。」

 「探し物?」

 「ああ。あんたら、深天極地の純血だろ?」

 「「!!」」

 「その反応から察するにビンゴってとこだな。俺らもそれだよ。俺の名前は虎牙奈終夜。で、さっきから一言も喋らねえこいつが、立神獅業。ってことだ、はじめましてお仲間さん。」

 「始めまして。私は橘薫。そして...」

 「入町光琳です。」

 私が紹介する前に、光琳が隣に立って名乗ってくれた。ただし、私と同じように警戒心が剥き出しになっている状態で...。

 「お互い警戒心むき出しだな。だが、まぁこういう出会いだ...仕方ないんだろうな。でも、一応言っておく。敵じゃない。間違いなく味方だ。」

 そんな中、さっきまで一言も喋らなかった立神さんが落ち着いた声でそう言った。私もそれに続いて一歩前に出て言う。

 「こちらも一応言っておきます。私たちはただ話したい一心で来ました。」

 「あぁ僕らも同じだ。だから、お互いの事を知り、その後にお互いの話をしよう。」

 そうして、私たちはその場で話し合いを始める。
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