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第三章 シルヴァマジア編
双月の双王の帰還
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シルヴァマジア国外避難キャンプ地
男性がそうして向かっていこうとすると、バラガラが静止させるように手を突き出して、耳にもう片方の手を当てる。
「どうした?」
「そろそろ、出てきそうだけど。」
何か話しているようだけど、相手の声は聞こえない。男性は何度も瞬きをして、困惑して固まっている。
「どうする? メモリアに戦ってもらう? 初見だとあたし無理だよ?」
「やめとけ。メモリアには大仕事があるんだ。出てきたらそれでいいよ。別にまだ時間はあるしな。てか...ラファスからの連絡はどうした?」
「こねえよ。どっかで足止め食らってんじゃね?」
「...ラファス...。」
バラガラの口から出たラファスの名前に小声で反応してしまった。それに気づいたバラガラは光琳さんを一瞥して、何か納得したような顔をして通信を続ける。
「(あの野郎...俺の目的を邪魔するために、本気で殺しに行ったな。どうりで死にかけすぎだろと思ったんだ。) 一度3人で集まってこっからの対応を考えよう。いつシャインティアウーブからの応援がくるかわからねえし。」
「おっけ。おいメモリア! 指示聞いてたか?」
「もちもちぃ。聞いてた聞いてた。了解だよぉボスぅ~。」
「じゃあ切る。」
バラガラはそう言って、光琳さんと男性を見る。そうして、私も光琳さんを見て男性を見ると、男性の顔が何かにすごくショックを受けたのかオーラも無くなって元の状態に戻って、目を見開いているのに気づいた。
「何か聞きたそうだな。」
「今...何て言った...?」
「集まってから対応を...。」
「...その前だ...。」
「ラファスからの連絡...。」
「それだ! ラファス...ラファスだと...? あいつは...生きてるのか...?」
「死んでりゃ連絡なんて取れないだろ。」
「そ...そうか...そりゃあ...そうだよな...。」
「予定が変わった戦いは無しだ。俺はここで一時撤退する。無駄な戦いはしたくねえからな。」
バラガラはそう言って、その場から消えるように去った。
「虎牙さん?」
光琳さんが虎牙さんと呼ばれた男性に話しかけると、虎牙さんはあたりを見回して、バラガラが去ったことに今気づいた。
「ぁあ~ごめんな? 何か勝手に盛り上げておいて戦闘何もせずに逃げられてよ。」
虎牙さんは作り笑いをして、光琳さんの元に行ってゆっくりと横たわらせ、装備の解けた七瀬さんも担いで、隣に横たわらせた。その後、私も同じように隣に寝かせてもらい、他の皆も元の位置に戻してくれた。そうして、私達3人の隣に座りこんだ。
「大丈夫?」
光琳さんがそう訊くと、虎牙さんは現れた時のようなラフな感じではなく深刻そうな顔で答える。
「とりあえずはな。...もし...ラファスが...俺の知っているラファスなら...。」
「なら...?」
「絶対にこの手で倒さなきゃならねえ。」
「因縁があるの?」
「ああ。因縁何て言葉で片付けられねえもんがある。あいつは...俺『達』の仇なんだ。」
「俺『達』?」
光琳さんが更に訊こうとすると、虎牙さんは立ち上がって顔を必死に作って言う。
「まぁ安心しろよ。またあんなことがあったら大変だから、ここで見張っとく。」
「ありがとうございます。」
「(話について行けねえ。)」
「...。」
虎牙さんに私は素直にお礼を言って、光琳さんと七瀬さんは黙っていた。
シルヴァマジア世界樹頂上
私は力が消えて、体中に激痛が走りながらも、何とか頂上に到着した。でも、その場で倒れこんでしまい、動けなくなる。
「くっ...あと少しなのに...。」
私はそう言いながら這って移動していると後ろから人の気配がした。私は即座に立ち上がろうと力を込めると何だか暖かい光に包まれた。
「完全治癒。」
後ろからそう声が聞こえると、光は私の体に入っていき、その瞬間に体中の痛みが完全に無くなり傷口が塞がれ、万全の状態に戻る。
「え?」
私は驚きながら後ろを見ると、そこには長く黒い髪に綺麗な青い眼をしていてローブに身を包んでいる...女の人? が立っていた。
「あ...ありがとうございます...。」
「いえ、こちらこそありがとうございます。僕はジーク・ヴィネア。この国を治めている者です。」
「ジーク・ヴィネア...蒼月の聖王...。」
「その呼び名は恥ずかしいので止めてもらえると助かります。」
「すいません。」
私がそう謝ると、ジークさんは優しく微笑んだ後に青く光る宝石のついた大杖を上にあげて、私に資料のようなものを渡す。
「では、表立って動けるようにするために、あなたの口からフリードの陰謀を国中に明かしてください。」
「私でいいんですか?」
「第三者の方が、信用できるんです。当事者が直接手を下したとなったら、雲行きが怪しくなったから消したと解釈される可能性があるので...。」
「...そうなんですか...。では...。」
私はジークさんの近くに寄って、資料からフリードの謀略を言った。すると、その声は国中に響き渡り、世界樹の近くからこんな声が聞こえた。
「じゃあ、軍を撤退させていいのか!?」
「軍?」
「僕を陥れるために、軍をシャインティアウーブに向かわせて戦争を起こそうとしていたんです。」
「...そうなんですね。では相手の方は...。」
「実は相手の軍も撤退しようとしている動きがあるのだ! できれば手早く頼む!!」
「...じゃあ。はい! 撤退してもらって構いません!」
「早い返答助かる! できれば、森長を解放してくれ! 幸い死者はいないが、怪我人がいる!」
「はい!!」
私が緊張しながら返事をすると、軍の人は連絡を切った音が聞こえた。
「すみません。こんなことに巻き込んでしまって...。」
「いえ! 役に立てて光栄です。」
「とりあえずこの国全体に回復魔法をかけます。恐らく敵だと思われる人間が11人なので、その人たち以外ですね。」
「そんなことできるんですか?」
「はい。ただ少し時間がかかりますが...。」
ジークさんはそう言って笑いながら、目をつむりゆっくりと開くと...目に右と左に互い違いに魔法陣が描かれ、色は水色に変色して輝く。
「完全治癒。」
そう言った瞬間、ジークさんの体から青い光の粒子が飛び出して、怪我人のいる場所に向かっていく。
「...凄い...。」
思わずそう零すと、ジークさんは上げていた大杖を下げて、私の方を向いて
「終わりました。」
と言った。私はその場で何度も瞬きして驚いて
「え?」
と口を開ける。
「これで皆の回復は完了しました。後は、国民たちを一か所に集めて安全な空間の中に閉じ込めて、他の皆が戦闘に集中できる場を整えましょう。」
「...あ...はい。」
私はそう返事してジークさんと一緒に世界樹から降りようとすると、さっきと同じように連絡が届く。
「まだいるか?」
「はい!」
「もし森長さまに会う時、これを伝えてくれ。」
「...はい!」
私がそう返事をすると、しばらくして連絡先の声がどこかで聞いたことのある声に代わる。
「えっとジークさん! こっちもゴタゴタある程度片したら、リーフとアスカと...もしかしたらあと2人で一緒に救援に向かう! あんま時間かかんねえと思うから、そっちの戦力に説明よろ!」
「...ルークさん。...了解です!」
「...? 頼むな!」
そうして、連絡は切れる。そうするとジークさんは無言で箒を呼んで飛び乗る。
「えっと...。」
「あっ、薫です。」
「薫さん。僕の箒の上に乗ってください。彼らが応援に来てくれるのなら急がないと。」
「えっ...はい...。」
私は戸惑いながら箒の上に立っているジークさんを見て、足がすくむ。
「すいません。」
「...?」
それを見て、ジークさんは察したのか箒を同じ高さまで移動させて私に手を差し伸べる。
「大丈夫です。何があっても守りますよ。」
「...はい...。」
私は頑張って歩いて、ジークさんの手を掴む。でも、足を踏み外して落ちそうになる。
「あっ!」
「...。」
すぐにジークさんは私を抱えて、そのまま飛んで避難キャンプ地まで向かう。
「すいません...。」
「いえ...初めて箒に乗るんですよね? 怖くて当たり前ですよ。」
申し訳なさそうにする私にジークさんは安心させるように笑いかけてくれた。
その頃、シャインティアウーブ ミラージュタワー最上階
僕がシャインティアウーブ全域にヴェルフォルア・スミスとフリード・フォン・ファーヴァの謀略を細かく伝えると、シャインティアウーブの軍が撤退する姿が見えた。
「シャインティアウーブの軍? えらく撤退するのが早いな。シルヴァマジアまで行ってないのか?」
僕がそう言っていると、真正面からルーク市長が飛んできた。
「うわっ!?」
「いやぁすまんすまん。ちょっとミスった。」
「ミス...?」
「ってかすまねえな。スミス倒してもらって、あってないような疑い晴らしてくれてさ。」
「え? 知ってたんですか?」
「いや今さっき。シルヴァマジアに向かうこっちの軍を足止めしてた2人から聞いた。元々その2人からあっちに連絡とって、あっちから依頼してもらったって流れっぽいからさ。」
「ああ~そうなんですね。で、何をしに? 国のゴタゴタをまとめた方がいいのでは?」
僕がそう言うと、ルーク市長は変わらず戦いに行くような準備を進めている。
「大丈夫。ほぼこっちの被害ゼロだから。」
「え?」
「シルヴァマジアにはこっちの軍は行ってないし、死者もゼロ。相手側は俺らのおかげで怪我人は出たけどそんぐらいだ。で、今はリーフに避難場所にそれぞれ行ってもらっていた国民たちをいつも通りの生活に戻させる手配をしてもらってる。それが終わったら、晴れて救援に行く。」
「いや、そんな適当だと...。」
「知らねえよ。こっちの被害はほとんどゼロ、あっちはまだ続いてるっぽい。座して待てるかって。お偉い爺どもの操り人形じゃねえよ俺は。」
「そ、そうですか。」
ルーク市長のその態度に僕は困惑して立ち尽くしていると、ある程度装備を整えてから出て行った。
「す、凄いな...いろんな意味で...。」
僕はそう言って、奈終夜に連絡を取る。
「奈終夜? こっちは思いの外早く終わりそうだ。そっちは何か。」
「獅業...。」
「何だ?」
「......いや...来てから直接は話す。まだ俺も...直接見たわけじゃねえからな...。」
「別に今話しても周りには...。」
「...そうじゃねえ...。そうじゃねえんだよ。」
「わかった...会ってからだ。」
僕はそうして奈終夜との連絡を切ると、脳内でかつての光景がフラッシュバックする。
―――ここでやらなきゃ俺じゃないよな?
―――ここでやるのが...俺という『人間』だもんな?
―――大丈夫だ。かつての俺なら負ける道理はねえさ。
「ベートさん...。」
僕は頭を横に振って紛らわす。
「...まさかな...。」
僕は声を震わせてミラージュタワーから降りた。
シルヴァマジア 救世の泉
巨大な岩によって囲われて泉があることすらわからないような見た目と化しているここ救世の泉。ここで1人の男が目覚めようとしている。
ドン!!!
重い打撃音と共に、巨大な岩の数々は連鎖するようにひび割れる。
「やっとだよ。」
泉で眠っていた男がそう言ってひび割れた岩の数々を破壊する。
「硬すぎだよこの岩。」
俺はやっと外に出て深呼吸や伸びをしながら状況をなんとなく把握する。
「さて...やっと出番だな。」
俺はそう言って片手で箒を呼んで飛び乗る。
「よし、救援に行くぞ!」
そう言って空高く飛び上がると、女性を抱えて移動しているジークとばったり会う。
「クレイ!」
「ジーク!」
お互いが驚いていると、ジークはすぐに今やろうとしていることを簡潔に話し、シャインティアウーブから救援が来る事を聞いた。
「OK。じゃあ俺は隠れてる残り3人の敵を探し出せばいいんだな?」
「お願いします。」
「じゃあ、何か進展があったら連絡する!」
俺はそう言って、ジークと分かれてどこかに隠れてるって予想してる残り3人の敵...恐らく異能力者を探しに行く。
男性がそうして向かっていこうとすると、バラガラが静止させるように手を突き出して、耳にもう片方の手を当てる。
「どうした?」
「そろそろ、出てきそうだけど。」
何か話しているようだけど、相手の声は聞こえない。男性は何度も瞬きをして、困惑して固まっている。
「どうする? メモリアに戦ってもらう? 初見だとあたし無理だよ?」
「やめとけ。メモリアには大仕事があるんだ。出てきたらそれでいいよ。別にまだ時間はあるしな。てか...ラファスからの連絡はどうした?」
「こねえよ。どっかで足止め食らってんじゃね?」
「...ラファス...。」
バラガラの口から出たラファスの名前に小声で反応してしまった。それに気づいたバラガラは光琳さんを一瞥して、何か納得したような顔をして通信を続ける。
「(あの野郎...俺の目的を邪魔するために、本気で殺しに行ったな。どうりで死にかけすぎだろと思ったんだ。) 一度3人で集まってこっからの対応を考えよう。いつシャインティアウーブからの応援がくるかわからねえし。」
「おっけ。おいメモリア! 指示聞いてたか?」
「もちもちぃ。聞いてた聞いてた。了解だよぉボスぅ~。」
「じゃあ切る。」
バラガラはそう言って、光琳さんと男性を見る。そうして、私も光琳さんを見て男性を見ると、男性の顔が何かにすごくショックを受けたのかオーラも無くなって元の状態に戻って、目を見開いているのに気づいた。
「何か聞きたそうだな。」
「今...何て言った...?」
「集まってから対応を...。」
「...その前だ...。」
「ラファスからの連絡...。」
「それだ! ラファス...ラファスだと...? あいつは...生きてるのか...?」
「死んでりゃ連絡なんて取れないだろ。」
「そ...そうか...そりゃあ...そうだよな...。」
「予定が変わった戦いは無しだ。俺はここで一時撤退する。無駄な戦いはしたくねえからな。」
バラガラはそう言って、その場から消えるように去った。
「虎牙さん?」
光琳さんが虎牙さんと呼ばれた男性に話しかけると、虎牙さんはあたりを見回して、バラガラが去ったことに今気づいた。
「ぁあ~ごめんな? 何か勝手に盛り上げておいて戦闘何もせずに逃げられてよ。」
虎牙さんは作り笑いをして、光琳さんの元に行ってゆっくりと横たわらせ、装備の解けた七瀬さんも担いで、隣に横たわらせた。その後、私も同じように隣に寝かせてもらい、他の皆も元の位置に戻してくれた。そうして、私達3人の隣に座りこんだ。
「大丈夫?」
光琳さんがそう訊くと、虎牙さんは現れた時のようなラフな感じではなく深刻そうな顔で答える。
「とりあえずはな。...もし...ラファスが...俺の知っているラファスなら...。」
「なら...?」
「絶対にこの手で倒さなきゃならねえ。」
「因縁があるの?」
「ああ。因縁何て言葉で片付けられねえもんがある。あいつは...俺『達』の仇なんだ。」
「俺『達』?」
光琳さんが更に訊こうとすると、虎牙さんは立ち上がって顔を必死に作って言う。
「まぁ安心しろよ。またあんなことがあったら大変だから、ここで見張っとく。」
「ありがとうございます。」
「(話について行けねえ。)」
「...。」
虎牙さんに私は素直にお礼を言って、光琳さんと七瀬さんは黙っていた。
シルヴァマジア世界樹頂上
私は力が消えて、体中に激痛が走りながらも、何とか頂上に到着した。でも、その場で倒れこんでしまい、動けなくなる。
「くっ...あと少しなのに...。」
私はそう言いながら這って移動していると後ろから人の気配がした。私は即座に立ち上がろうと力を込めると何だか暖かい光に包まれた。
「完全治癒。」
後ろからそう声が聞こえると、光は私の体に入っていき、その瞬間に体中の痛みが完全に無くなり傷口が塞がれ、万全の状態に戻る。
「え?」
私は驚きながら後ろを見ると、そこには長く黒い髪に綺麗な青い眼をしていてローブに身を包んでいる...女の人? が立っていた。
「あ...ありがとうございます...。」
「いえ、こちらこそありがとうございます。僕はジーク・ヴィネア。この国を治めている者です。」
「ジーク・ヴィネア...蒼月の聖王...。」
「その呼び名は恥ずかしいので止めてもらえると助かります。」
「すいません。」
私がそう謝ると、ジークさんは優しく微笑んだ後に青く光る宝石のついた大杖を上にあげて、私に資料のようなものを渡す。
「では、表立って動けるようにするために、あなたの口からフリードの陰謀を国中に明かしてください。」
「私でいいんですか?」
「第三者の方が、信用できるんです。当事者が直接手を下したとなったら、雲行きが怪しくなったから消したと解釈される可能性があるので...。」
「...そうなんですか...。では...。」
私はジークさんの近くに寄って、資料からフリードの謀略を言った。すると、その声は国中に響き渡り、世界樹の近くからこんな声が聞こえた。
「じゃあ、軍を撤退させていいのか!?」
「軍?」
「僕を陥れるために、軍をシャインティアウーブに向かわせて戦争を起こそうとしていたんです。」
「...そうなんですね。では相手の方は...。」
「実は相手の軍も撤退しようとしている動きがあるのだ! できれば手早く頼む!!」
「...じゃあ。はい! 撤退してもらって構いません!」
「早い返答助かる! できれば、森長を解放してくれ! 幸い死者はいないが、怪我人がいる!」
「はい!!」
私が緊張しながら返事をすると、軍の人は連絡を切った音が聞こえた。
「すみません。こんなことに巻き込んでしまって...。」
「いえ! 役に立てて光栄です。」
「とりあえずこの国全体に回復魔法をかけます。恐らく敵だと思われる人間が11人なので、その人たち以外ですね。」
「そんなことできるんですか?」
「はい。ただ少し時間がかかりますが...。」
ジークさんはそう言って笑いながら、目をつむりゆっくりと開くと...目に右と左に互い違いに魔法陣が描かれ、色は水色に変色して輝く。
「完全治癒。」
そう言った瞬間、ジークさんの体から青い光の粒子が飛び出して、怪我人のいる場所に向かっていく。
「...凄い...。」
思わずそう零すと、ジークさんは上げていた大杖を下げて、私の方を向いて
「終わりました。」
と言った。私はその場で何度も瞬きして驚いて
「え?」
と口を開ける。
「これで皆の回復は完了しました。後は、国民たちを一か所に集めて安全な空間の中に閉じ込めて、他の皆が戦闘に集中できる場を整えましょう。」
「...あ...はい。」
私はそう返事してジークさんと一緒に世界樹から降りようとすると、さっきと同じように連絡が届く。
「まだいるか?」
「はい!」
「もし森長さまに会う時、これを伝えてくれ。」
「...はい!」
私がそう返事をすると、しばらくして連絡先の声がどこかで聞いたことのある声に代わる。
「えっとジークさん! こっちもゴタゴタある程度片したら、リーフとアスカと...もしかしたらあと2人で一緒に救援に向かう! あんま時間かかんねえと思うから、そっちの戦力に説明よろ!」
「...ルークさん。...了解です!」
「...? 頼むな!」
そうして、連絡は切れる。そうするとジークさんは無言で箒を呼んで飛び乗る。
「えっと...。」
「あっ、薫です。」
「薫さん。僕の箒の上に乗ってください。彼らが応援に来てくれるのなら急がないと。」
「えっ...はい...。」
私は戸惑いながら箒の上に立っているジークさんを見て、足がすくむ。
「すいません。」
「...?」
それを見て、ジークさんは察したのか箒を同じ高さまで移動させて私に手を差し伸べる。
「大丈夫です。何があっても守りますよ。」
「...はい...。」
私は頑張って歩いて、ジークさんの手を掴む。でも、足を踏み外して落ちそうになる。
「あっ!」
「...。」
すぐにジークさんは私を抱えて、そのまま飛んで避難キャンプ地まで向かう。
「すいません...。」
「いえ...初めて箒に乗るんですよね? 怖くて当たり前ですよ。」
申し訳なさそうにする私にジークさんは安心させるように笑いかけてくれた。
その頃、シャインティアウーブ ミラージュタワー最上階
僕がシャインティアウーブ全域にヴェルフォルア・スミスとフリード・フォン・ファーヴァの謀略を細かく伝えると、シャインティアウーブの軍が撤退する姿が見えた。
「シャインティアウーブの軍? えらく撤退するのが早いな。シルヴァマジアまで行ってないのか?」
僕がそう言っていると、真正面からルーク市長が飛んできた。
「うわっ!?」
「いやぁすまんすまん。ちょっとミスった。」
「ミス...?」
「ってかすまねえな。スミス倒してもらって、あってないような疑い晴らしてくれてさ。」
「え? 知ってたんですか?」
「いや今さっき。シルヴァマジアに向かうこっちの軍を足止めしてた2人から聞いた。元々その2人からあっちに連絡とって、あっちから依頼してもらったって流れっぽいからさ。」
「ああ~そうなんですね。で、何をしに? 国のゴタゴタをまとめた方がいいのでは?」
僕がそう言うと、ルーク市長は変わらず戦いに行くような準備を進めている。
「大丈夫。ほぼこっちの被害ゼロだから。」
「え?」
「シルヴァマジアにはこっちの軍は行ってないし、死者もゼロ。相手側は俺らのおかげで怪我人は出たけどそんぐらいだ。で、今はリーフに避難場所にそれぞれ行ってもらっていた国民たちをいつも通りの生活に戻させる手配をしてもらってる。それが終わったら、晴れて救援に行く。」
「いや、そんな適当だと...。」
「知らねえよ。こっちの被害はほとんどゼロ、あっちはまだ続いてるっぽい。座して待てるかって。お偉い爺どもの操り人形じゃねえよ俺は。」
「そ、そうですか。」
ルーク市長のその態度に僕は困惑して立ち尽くしていると、ある程度装備を整えてから出て行った。
「す、凄いな...いろんな意味で...。」
僕はそう言って、奈終夜に連絡を取る。
「奈終夜? こっちは思いの外早く終わりそうだ。そっちは何か。」
「獅業...。」
「何だ?」
「......いや...来てから直接は話す。まだ俺も...直接見たわけじゃねえからな...。」
「別に今話しても周りには...。」
「...そうじゃねえ...。そうじゃねえんだよ。」
「わかった...会ってからだ。」
僕はそうして奈終夜との連絡を切ると、脳内でかつての光景がフラッシュバックする。
―――ここでやらなきゃ俺じゃないよな?
―――ここでやるのが...俺という『人間』だもんな?
―――大丈夫だ。かつての俺なら負ける道理はねえさ。
「ベートさん...。」
僕は頭を横に振って紛らわす。
「...まさかな...。」
僕は声を震わせてミラージュタワーから降りた。
シルヴァマジア 救世の泉
巨大な岩によって囲われて泉があることすらわからないような見た目と化しているここ救世の泉。ここで1人の男が目覚めようとしている。
ドン!!!
重い打撃音と共に、巨大な岩の数々は連鎖するようにひび割れる。
「やっとだよ。」
泉で眠っていた男がそう言ってひび割れた岩の数々を破壊する。
「硬すぎだよこの岩。」
俺はやっと外に出て深呼吸や伸びをしながら状況をなんとなく把握する。
「さて...やっと出番だな。」
俺はそう言って片手で箒を呼んで飛び乗る。
「よし、救援に行くぞ!」
そう言って空高く飛び上がると、女性を抱えて移動しているジークとばったり会う。
「クレイ!」
「ジーク!」
お互いが驚いていると、ジークはすぐに今やろうとしていることを簡潔に話し、シャインティアウーブから救援が来る事を聞いた。
「OK。じゃあ俺は隠れてる残り3人の敵を探し出せばいいんだな?」
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