Blood Spare of Secret : The story of Creeds

千導 翼『ZERO2005』

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第三章 シルヴァマジア編

到着

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シルヴァマジア森林部

 森の中で立ち止まったフレアは辺りを見回している。

 「迷ったな。」

 「え?」

 「...森だから来た道がわかりづれえや。」

 「えぇ~...。」

 あたしが落胆の声を上げると、フレアはあたしの方に顔を向けて言う。

 「いやお前、おぶられてるだけで何もしてねえだろ。何勝手に落胆してんだよ。」

 「ぅ...う、動けないから仕方ないだろ...?」

 「...。まぁ、勝手に助けたのは俺だしな。」

 苦しい言い訳をするあたしを見て、フレアは呆れたように言った。

 「ってか、いつ動けるようになるんだあたしの体。」

 「そりゃお前、そんだけ消耗してたら一日中眠ってねえと無理なんじゃねえの?」

 「何だよえらく適当だな。」

 「俺そんな動けなくなったことねえもん。お前は何でそんな事になってんだよ。」

 フレアが訊いてきた質問にあたしは少し言葉を詰まらせる。

 「別に本気で知りたくて訊いてねえよ。」

 「あいつは...あたしの母さんと師匠の仇だ。」

 「...。」

 「だから、土壇場で能力を使ってでも、討ちたかった。」

 「...。」

 あたしがそう言うと、フレアは無言で歩き出す。

 「能力はあん時に初めて使って要領があんまわかんなくてさ...。」

 「要は感情のおもむくままに能力使って挑んだが、ガス欠起こしてぶっ倒れたと。」

 「...そう...。」

 あたしがそう沈みがちに返事する。そうしてしばらく沈黙が続く。

 「感情ってのは厄介なもんだ。」

 「...?」

 「後先考えずに突っ走る原動力になっちまう。どんな理性的で論理的な奴でも、本当に許せないとき、感情的になっちまう。」

 「経験...あるのか?」

 「ああ。もう随分と前だがな。」

 「そっか。」

 「その経験のせいで、俺は背中に馬鹿でかい切り傷ができちまった。未だに治らねえ。」

 そう言われたあたしは背中を指でなぞってみる。

 「服の上からじゃわからねえだろ。」

 「そっか...。」

 そうして進んでいると、見知らぬ女の人が2人話していた。

 「ん? 何してんだ?」

 フレアがそう声をかけると、右にいる見るからに貴族ですって言う風貌の女の人が手を振って近寄ってきた。

 「ねえフレア。あの子知ってる?」

 「知るわけねえだろ。」

 「だよね。シルヴァマジアの道案内してほしいって言われてさ。困ってたんだよね。」

 「それを俺に言ってどうするんだよ。」

 そのやり取りをおぶられながら黙ってみていると、女の人は急に離れてあたしたちを見る。

 「何か兄妹みたいだね。」

 「似てねえだろ。」
 
 「似てるよ。」

 「...この人は?」

 「あ? ああ。俺の主のファーラ・ルシウス。」

 あたしはそう耳打ちすると、フレアは眉間にしわを寄せて、女の人を見ると、納得した様に名前を教えてくれた。

 「やほやほ~。」

 「主?」

 「俺、四肢に枷ついてるだろ? 奴隷なんだよ。そんで買ったのがこの女。」

 「ど、奴隷?」

 あたしがその話を深掘ろうとすると、左にいた茶髪のショートボブヘアで袖のない布シャツにフードのついたマントを羽織って、ショートパンツとブーツを履いている女の人が腕を組んで待っている。

 「いや、あの人どうすんの?」

 「あ?」

 「え?」

 あたしがそう言うと、2人は欠伸をしている女の人の方を見て、近づいていく。

 「あんた誰なんだ?」

 「ん? 明純あきすみ つかさ。」

 「いや名前じゃなくて。」

 「ああ。ここの国の人から依頼受けてさ。今からあの塔にいる悪人ぶっ飛ばして、報酬いただいておさらばしようとしてんだよ。でも道に迷っちゃってさ、どこをどう行けばいいか教えてもらおうとしてたら、ちょうどあなたがたが来たんですねえ~。」

 「めちゃ喋るな。」

 「あ、お褒めいただき。」

 「別に褒めてねえよ。」

 「え!?」

 「オーバーすぎるだろ。」

 フレアはそう突っ込んだ後、ファーラを見て訊く。

 「お前、帰り道わかる?」

 「わかるよ。全然来ないから戻ってきただけで。」

 「そうか。じゃあ、陽葉山を頼む。」

 フレアはそう言って、ファーラにあたしをおぶらせる。

 「え? あんたは?」

 「俺はこの明純とここを出て、そっから独りで行動する。」

 「おい!」

 あたしが止めようと声を上げる。

 「別にお前の仇横取りしねえよ。でも、そろそろ大火弾が切れそうだから見に行かねえとやべえだろ。」

 フレアはそう言って、ファーラに釘を刺すように言う。

 「真っ直ぐ戻れよ。そんでそっからは動くな。」

 「わかってるって。」

 ファーラがそう返事をすると、フレアは明純の方に行って、短く話した後に、行こうとする。

 「フレア!」

 「んあ?」

 「ありがとう!」

 「どういたしまして。仇取る前に死に急ぐなよ。」

 フレアに言葉にあたしは深く頷くと、ファーラにおぶられて避難キャンプまで行った。

シルヴァマジア 東中央の森林部住宅地

 火の砲台がやっと収まって動けるようになった俺は、辺りの空気が変わっていることを感じ取る。

 「ふ~ん。あのおっさんどもやられてやがる。はっ、異名がなくねぇ~。」

 俺はそう言いながら戦闘中だろう巴に連絡を取る。

 「何?」

 「異能力者スペアネル3人投入だ。国民が集まってるところに隕石落として、影がつながせて環境を壊せ、後は光線で適当に破壊すりゃ一瞬だ。その後流れで壊しに行こうぜ。」

 「そんなうまくいくの?」

 「さあな。話持ちかけたやつらが先に退場してんだからもうこの一見に関してはやけくそだよ。」

 「わかった。」

 巴はそう言って連絡を切る。

 「さて...やけくそとは言ったが...別に策がないわけでもねえ。」

 空気が重くなるのを感じる。

 「(あの異能力者スペアネルのガキトリオには強化剤を打ち込んである。常人なら勝手に自壊するだろうが。あの3人なら寿命が縮むくらいで済むだろ。)」

 「異能力者スペアネルを何だと思っているのです?」

 「んあ?」

 白い紳士服の男が立っている。

 「(いつ来たんだ?) お前の取引相手ってバラガラとこんだろ? 俺とは関係ないだろ?」

 「別にただの取引相手なので気に食わなければ、別に独断で消しても問題はありません。」

 「...。何のつもりだ? お前だって俺を消す方法知らねえだろうが。...それとも、そんなにあのガキがお気に召したか?」

 鎌をかけてみると、男は無言で地面を凍らせながら、俺を睨む。青い髪は冷気によって霜が降りるように白く変わっていく。

 「僕に能力を出し惜しみしていたら、面白くないですよ?」

 「やっぱ消せるとは思ってないのな。」

 そう言った次の瞬間、俺は遥か上空に蹴り飛ばされ巨大な2つの氷の球体に圧し潰される。

 「別に出し惜しんでも死なねえんだから、このままでいかしてもらうぜ。」

 「...。」

 俺はニヤニヤしながら降りて男を見る。男は背を向けたまま周りを更に凍らせていく。

 「僕に勝てると?」

 「勝てはしねえだろうが、負けもしねえだろ。」

 そうやって俺は男に歩いて向かっていく。

シルヴァマジア国外避難キャンプ地

 私とジークさんは逃げ遅れた人たちを避難キャンプ地まで連れて行った。他の国民たちは安心しきらずに黙って、頷いていた。こんな危機がこれまでもあったのかもしれない。

 「...。これで大丈夫です。」

 「ありがとうございます。」

 「いえ、まだ終わってません。クレイ君に任せた事も裏をかかれる可能性もあります。」

 「はい。」

 そう会話をしていると、回復した光琳と陽葉山さんが駆け寄ってきた。後ろには知らない男の人と虎牙さんがいた。

 「薫! 大丈夫だった!? 先に死んでたらどうしてたの!?」

 光琳は心配と混乱が入り混じったような声で畳み掛けた。

 「落ち着いて光琳。危なかったけど助かったし、皆助けられた。」

 「薫さん。」

 私が落ち着かせるように答えると、陽葉山さんが何とも言えない表情を向ける。ふと後ろの方を見ると、虎牙さんと男の人が小声で話していた。

 「話に入っていけねえんだけど。」

 「まぁ仕方ねえだろ。ほぼ、女子の空間だしな。数でも負けてる俺らは入る隙そりゃねえよ。」

 後ろで杖を振るっていたジークさんが杖を地面に突き立てると、周りが青い光に包まれる。

 「五重結界ヴィ・オビーチェ・ストティス。」

 すると、五層の青い透明な壁のようなものが張られる。

 「簡易ですが丈夫ではあるので、これで外からの攻撃はある程度防げます。」

 「簡易的?」

 「内側からは出られますが、外側からは入れません。普通は。」

 「普通は...。」

 私がそう復唱すると、外から結界を叩く音が聞こえた。

 「ちょい~開けて~。」

 「あ! 助けてくれた人と、お姉ちゃん!?」

 「...。もう入れますよ。」

 ジークさんは少し2人を見て、目を青く光らせた後にそう言うと、2人はゆっくりと結界内に入ってきて、おぶられている陽葉山さんのお姉さんを横たわらせた。

 「ジークさん。あたしの体治せねえか?」

 「能力切れを起こした異能力者スペアネルを完治させるのはかなり複雑で時間がかかります。今はやっている時間はないですね。」

 「そっか...。」

 「ねえ私の奴隷でさ赤髪褐色の男いるんだけど、あと協力者で茶髪の女子いるんだけど、入れるようにできない?」

 「僕が認知しないと流石に駄目ですね。認知なしで入れるようにしたら結界の意味がないので。」

 「おっけ~。」

 「(そういや連絡してねえ。結界張られたけど繋がるか?)」

 来て早々に質問を投げかけた2人にジークさんは淡々と返す。

 「なので、そのお2人が戻られたら、事情を説明してください。僕は戦いに行きます。国の中央に座していれば、索敵と回復がスムーズにできるので。」

 「わかりました。」

 私がそう返事すると、ジークさんは箒に乗って私達を一瞥して飛び立った。

シルヴァマジア 北側山岳部住宅地

 俺は静かにここに降り立つと気配が3つあることを感じ取る。

 「ここか。隠れるには最適だもんな。意外と森より。...!!」

 俺が気配を感じる方向に飛び立とうとする瞬間、3つの気配が全く同時に飛び出してくる。その内1人は俺に向かって突進してきた。

 「ちょ待て!」

 そのまま2つの気配は国の中央の方に向かっていき、俺に向かってきた気配は空高く飛び上がった場所で光線を撃つ準備をしてる。

 「待て...出力おかしくないか? ...まさか国ごとをぶっ壊すつもりか!?」

 「!!」

 「無限アンリミテッド・ドラゴン咆哮・ブレス!!」

 俺は即座に空中に向かって大量の竜のブレスを放つ。すると、国全体に光線が放たれぶつかり合う。

 「ん!? (他も同じようなことしようとしてる!?)」

 俺が放っていると同時に空が黒く染まる。

 「(この出力量で3つも防ぎきれねえよ。)」

 そうしてると、俺の魔法に下に青い結界が国全体にかけられている。

 「(ジークか!)」

 そう思っていると、黒く染まった空から巨大な隕石が大量に現れる。

 「隕石雨メテオレイン。」

 その瞬間に光線は止み、俺も魔法を解く。

 「(あの女、陽動か。あわよくば俺の攻撃であの大量の隕石ぶっ壊して破片を国中にぶつけようってか?) じゃあ防ぎきるしかない。」

 俺は結界をより強固にするためにジークの元に向かう。

シルヴァマジア国外避難キャンプ地

 突然黒く覆われた空と大量に現れた隕石に私達は唖然としている。

 「何が...どうなって...。」

 「!!」

 「ちょっとお姉ちゃん!」

 そんな中、陽葉山さんのお姉さんが立ち上がって、武器を構える。

 「あたしは、あれをやってる奴同じようなもんだ。だったら、やれる可能性はある!!」

 「でも嫌だよ! お姉ちゃんまでいなくなったら、私もう何もないんだよ!!」

 「花奈...。(フレアに連絡する手段なんてない。あたしが無理をすれば止めれる可能性はゼロじゃない。)」

 そのやり取りを見ていると、上空から鷹の鳴き声が聞こえてきた。

 「え?」

 「鷹?」

 私と光琳が全く同時そう反応すると、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 「解き放たれば、あらゆる万物、事象を破り壊す。そうして、再びそれらを創り造る...。」

 「「!!」」

 「創破造壊そうはぞうかい。」

 すると、水色の光が国全体を包み込んだ。私達2人はその方向を見る。

 「クリードさん!」

 「師匠!!」

 「私もいるよ。」

 そうすると、レグスから降りたクリードさんとバンバさん、清雅さんがいた。同時に水色の光に包まれた陽葉山さんのお姉さんが軽々動けるようになっていた。

 「鷹! 戻ってこい! 巻き込まれるぞ!」

 「巻き込まれる?」

 「青葉を呼んだ。もう来る。」

 クリードさんはそう言って、レグスに戻り清雅さんが念のため氷の球体で包む。

シルヴァマジア 東中央の森林部住宅地

 ラファスと戦闘をしていると、突如として空が黒くなり、大量の隕石が現れる。

 「何!?」

 「俺と戦ってていいのか?」

 ニヤニヤしながらそう問いかけるラファスに僕は戦闘態勢を解いて、即座に隕石を止めに向かう。

 「だよな。そうするよな。じゃあ俺は、あの女のいる所へ行かしてもらうか。」 

シルヴァマジア 森林部

 やっと森林部を抜けられると思ったら、何か隕石が大量に降ってきてる。

 「あれ大丈夫?」

 「まぁ十中八九ただじゃすまねえだろ。まっこのまま真っ直ぐ行けば抜けられるだろうからあと頼むわ。俺はあれ壊しに行く。」

 「りょうか~い。」

 俺は明純と分かれて空高く飛び立つ。

シルヴァマジア上空

 3つの気配が大量の隕石の中に向かっていく。一つ白く冷気を放つ影、一つは赤い熱波を放つ影、一つは鎖の音を立てている。

 「氷晶霧散クリスタルディスペル。」

 「陽炎ネビリナ・デ・カロール。」

 「...!」

 その瞬間、中央側の隕石は全て凍らされそのまま霧散し、東南側の隕石は全て火炎の熱量で溶かされ、北西側の隕石は鎖鎌の鎚で破壊され、破片も残らずに破壊された。
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