Blood Spare of Secret : The story of Creeds

千導 翼『ZERO2005』

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第五章 アンヴィルヘム邸編

日記帳

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 2日前の深夜 元ルーウィッド領 アンヴィルヘム邸

 〝ブリザの日記1ページ目〟

 今日、家族が死んだ。生き残ったのは僕だけだ。何が起こったのか正直わかってない。普通に今日はフロス姉さんが家を出る日だった。皆別れを惜しんでいる中で、串刺しにされて死んでた。でも、一体何で刺されていたのかがわからない。僕が見たのは下から体を刺し貫かれた遺体だけで、意識が朦朧もうろうとしていた僕にはよく見えなかった。目を覚ました時は、遺体は血塗れの床に置かれていて、幻覚だったのかと一瞬勘違いするほどだ。バルジェリアの騎士に連絡をしようにも、その手段すら潰されているよう状況だ。歩いてバルジェリアまで向かおうにも、距離を鑑みても現実的じゃない。でも、1人生き残ってしまった僕には何かやるべきことがあるはずだ。フロスの日記。ここには何か変化があった日の記録として記すことにする。

 薫と光琳は震えた字体を見て、これを書いた時のブリザの心中を察する。

 「これが...この屋敷で起きたこと...。」

 「でも全容はわかってない。誰が殺したのかも、何でブリザさんだけ生き残ったのかも、串刺しにした凶器はどこに行ったのかも...。」

 「そうだね。取り敢えず続きを読み進めよう。」

 そうして2人はブリザの日記のページをめくる。

 〝ブリザの日記2ページ目〟

 今日、領民も1人残らず殺されていることがわかった。領民も同じような死に方をしていた。下から体を刺し貫いたような箇所から流血した後が見える。自然豊かな領地が領民の血に塗れているのを見て吐きそうになったが、ぐっとこらえたけど膝から崩れ落ちた。頼ろうと考えていた領民も死亡しているのになぜ僕だけが生き残ったのかわからなかった。領民も家族も殺すくらいならいっそ僕も殺してくれればこんなに辛い想いをしなくて済んだのに。一体誰がこんな事をしたんだろう? なんで僕のことを殺してくれなかったんだろう。まだ幼い妹を、これから未来に巣立つはずだった姉を、厳格だったがよく褒めてくれた父を、優しかった母を殺して、僕ら家族を頼りにしていた領民も全員殺して、何で僕を生かしたんだ。何で僕だけ、何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で。

 だんだんと字が乱雑になっていくの当時のブリザが精神的に折れかけていた事を目の当たりにした2人はしばらく黙ってしまう。

 「...この時...10歳の子供なんだよね...?」

 「そのはずだよ。10歳の子供が...家族も領民も失って...。」

 「復讐に走ろうとはしなかったのかな...?」

 「この時はただただ絶望が強かったんじゃないかな。復讐とか...考えられる暇がないくらい。」

 光琳の言葉を聞いた薫は複雑そうな表情をしながら、次のページをめくる。

 〝ブリザの日記3ページ目〟

 枯れた雑草を食べて、川の水を飲んで、腹を壊しながらみっともなく生きて1か月が経った。何度か遺体を食べようと思ったが、皆知っている人で皆との思い出が邪魔をして食べる気になれなかった。バルジェリアからの使者も来ない。何でだ。何で誰も来ないんだ? バルジェリアは僕らを見捨てたのか? バルジェリアの人間が皆を殺したのか? いいや、そんなはずはない。バルジェリアの国王は何度がこの地に訪れてくれた。決して裏切るような方には見えなかった。ならどうして、どうしてどうして。誰も来ないんだ。

 3ページ目はここで途切れている。それからめくっても同じような言葉、恨み、憎しみ、不満、惨めさ、嘆き、それらが入り混じり、折れて狂いそうになりながらも何とか日記を書き続けているのを見ていると、これがブリザの拠り所だったのだろう。

 「あ...。」

 「字体が...少し柔らかくなってる...。」

 薫と光琳はブリザの日記の15ページ目を読み始める。

 〝ブリザの回想〟

 あれから枯れた雑草もほとんどなくなり、川の水も枯れて、腐敗しきる前の遺体を食べた。美味しくはない。知っている人を遺体とは言え食べて、みっともなく生きて2年が経った。ボロボロの服のまま汚い身なりのままルーウィッド領だった荒地に寝転がって早く死ねばいいのにと思いながら、まだ生きたいという矛盾を抱えて空を見ている。綺麗な、雲一つない青空だ。僕は無意識に手を伸ばした。

 「あ~こんなにも...空は綺麗なのに...。こんなにも...明るい希望の光で照らしてくれるのに...。心はずっと晴れないや...。汚らしい泥だらけの豪雨だ...。フロス姉さん。リズレット。母さん。父さん。...僕は...どうすればよかったんだろ...。」

 そう言いながら目を閉じる。しばらくして目を覚ますと屋敷の中にいた。血塗れだった床や壁は綺麗に拭き上げられ、遺体は丁重に棺桶の中に入れられていた。警戒しながら屋敷内を歩いていると、暖炉の前で椅子に座って佇む女性がいた。

 「だ、誰だ。」

 「...! お? 起きたようね。」

 短い銀髪でガラスのような白い目をした僕と同い年くらいの女性だ。何かを隠し持っているかのようなダボっとした服を着ている。

 「名乗り遅れたわね。私の名前はカーツェ・ベーチェ。依頼があってこの〝元〟ルーウィッド領に来たの。」

 「〝元〟?」

 「そう〝元〟ね。あなた名前は? 見たところ私と年近そうだけど?」

 「ブリザ...アンヴィルヘム...。」

 カーツェの言葉をしっかりと飲み込みながら名を名乗った。

 「あ~あなたが...。ルーウィッド領の生き残りとされている名前と一致してるわ。」

 「何で...今日まで誰も来なかったんです?」

 「このルーウィッド領を取り囲むように何等かの幻覚作用が施されていてね。外部からじゃ普通に機能しているように見えた。そして、代わりの影武者のような者たちがこのルーウィッド領を治めるアンヴィルヘムの名を騙ってバルジェリアとの関係を保っていたの。」

 「そんな...馬鹿な...。」

 ショックで僕は壁にぶつかってその場に座り込む。

 「一体誰が...?」

 「それがわからないの。今調べてる最中。だから調査としてここに入ったらまさかのもぬけの殻だったわけ。で、そのど真ん中で眠ってるから屋敷に連れてきて、掃除してくつろいでたらあなた...ブリザが起きてきたってわけ。」

 「そっか...でもやっぱり...家族や領民を計画的に殺した奴らは居る訳だ。」

 「...どうする気?」

 「そりゃ復讐するさ。今までは生きていく理由がなかった。何のために生きてるかわからなかった。だからこそ! 復讐という明確な目的が見つかったんだ!」

 「復讐を目的にして生きるのは...よくないと思うわよ。復讐した後どうするの?」

 「それは...。」

 「遺体の状態を見て分かった2年くらいこんな生活送ってたんでしょ? 本来の精神状態ではないはず。一度ゆっくり休むべきだわ。」

 カーツェの言葉にいまいち納得できないまま、流されるように屋敷のベッドで長く睡眠を取らされ、満足のいく食事をさせてもらった。家族や領民の皆がいたころと比べたらなんてことない日常だけど、本当に楽しくて、本当に幸せで、本当に生き延びた甲斐があったって思った。

 「ブリザ。」

 「ん?」

 「あなたに基本的な戦い方を教える。でも、基礎の基礎だけね。それ以外は自分で何とかして。」

 「...何で急に?」

 「...少しくらいは戦い方を知って自分の身を護れればいいかなって。」

 「...わかった。ありがとう。」

 僕はいまいち納得できなかったが、そのまま流されるようにカーツェに戦い方を教わりながら、カーツェの修行にも付き合ってお互いを高め合った。僕は飲み込みが早かったのか、すぐに基礎を応用してある程度戦えるようになった。でも、そんな僕を見るカーツェの目が最近は少し複雑そうに見えた。思い切って聞いてみようと思ったけど、勇気が出なかった。

 「そろそろ、戻らなくちゃ。」

 そうして5年経ったある日。手紙を読んでいたカーツェがそう言った。僕は驚きながらもそれを隠して平静を保ちつつ訊いた。

 「国に?」

 「うん。ここに滞在して5年くらい一緒に過ごしたけど、これからもブリザと過ごす為に一回国に帰らないと。」

 「そっか...。」

 「落ち込まないの。もうお互い17なんだから男らしくなって頼りにさせてよ。」

 冗談交じりに言うカーツェの声色にはどこか悲しそうだけど、何か覚悟が滲み出てるように感じた。

 「もし私がいなくなっても道踏み外すなよぉ~。」

 「いなくなるなんて言わないでよ。もう嫌だよ。大切な人がいなくなるの...。」

 僕が笑顔でそう言った瞬間、カーツェは泣きそうになりながら僕を抱きしめてくれた。

 「短かったら来年。長くて6年で戻ってくるよ...。でも...もし戻ってこなかったら...。ここに、誰か訪ねて来るから。その人について行って...。そしたら戻らなかった理由を見せるよ。」

 「戻ってくるよ。だって、カーツェは強いんだから。」

 「うん...。そうだね...。」

 悲しそうにしているカーツェに僕は一個のわがままを言った。

 「じゃあ何かプレゼントしてほしいな。」

 「プレゼント?」

 「うん。何でもいいよ。」

 「...いいよ。」

 わがままを言った後、カーツェはほんの少し困惑してたけど、すぐに笑顔になってプレゼントを探すために、一緒に遠出した。これまで度々一緒に出掛けることはあったけど、今日ほど特別だと思う日はなかった。

 「今はまだ着れないけど...私が...もし戻ってきたらこの服...着て待っててほしいな。」

 そう言って僕に渡してきたのは純白の紳士服だった。

 「ありがとう。絶対に着て待ってるからね!」

 「うん!」

 そんな会話をした翌日。カーツェは僕に手を振ってルーウィッド領の跡地から立ち去った。また孤独な日々が始まったけど、カーツェが僕に教えてくれたことは決して無駄じゃなかった。前より生きやすいし、全然孤独も耐えられる。今から7年前、僕は大事な人たちを全て失った。それでも今、生きてまた大切な人ができた。生きてれば、生きてさえいれば、どうにかなるんだ。

 「ブリザ・アンヴィルヘム様...ですね?」

 「誰です?」

 あれから6年。カーツェは戻ってきていない。もうあの純白の紳士服が体にちょうど良く合うようになった。そう思ってるところで訪れてきたのは、白髪の紳士のおじさまだった。

 「カーツェ様から頼まれ、あなたに戻ってこられない理由を見せるために参上しました。」

 「わかりました...。」

 僕の返答を聞いた後、困惑する僕を他所に車に乗せられてユーフォリアと呼ばれる国まで送ってもらった。

 「こちらへ...。」

 その人は少し重い足取りでそこに案内してくれた。そこで僕は目の前に広がる光景に唖然とした。文字の掠れた看板、雰囲気からして多分校庭だったんだろう。でも断言できない。だって、おびただしいほどの大量の墓が立っていたから。でも、そんなことどうでもいいんだ。

 「カーツェ・ベーチェ...享年18歳。」

 その人は淡々とその事実を突きつけてきた。目の前にあるのが、カーツェの墓なのだと。目の前にあるのが、カーツェが戻らなかった理由なのだと。

 「あれ...? 何だこれ...?」

 目がにじんで墓が見えなくなった。耳がよく聞こえない。絶叫が聞こえた。いや違う。僕自身の泣き叫ぶ声だ。また知らないところで大切な人を失った。なぜ。なぜ。なぜ。なぜ。なぜ大切な人を守ることすらできない。なぜ大切な人を助ける事すらできない。なぜ、なぜ大切な人が死んでいくのに僕だけのうのうと生きてるんだ...?

 「...。」

 カーツェとまた会った時の為に用意していた花束をお墓に添えて僕はその場を立ち去った。途中で赤い髪の褐色肌の黒服の男性とすれ違って何か会話したけれど、ほとんど覚えてない。そうして、おじさまの運転で僕はルーウィッド領の荒地に戻ってきた。なぜだか故郷に戻ってきただけなのに、胸がとんでもなく苦しい。

 「はぁ...はぁ...はぁ...。」

 辛くなって屋敷に戻るともっと苦しくなる。大切な人と過ごした記憶が、これからもう一度紡がれることない過去に思い出に変わってしまった現実が胸を容赦なく締め付ける。

 「うあああああああ! うあ! うあっ!! ああああああああっ!!!!」

 屋敷内で物をひたすら壊し続けた。そうでもしないと正気を保てないと思った。

 「ふぅああああああ!! あっ!?」

 それでも、家族やカーツェと一緒に写真は、もらったものは、壊せなかった。

 「クソっ...クソ...クソ...!! 何で...何で...僕の大切な人ばかり...。会いたいよ...会いたいよ...。復讐なんてどうでもいい...。殺した奴なんてどうでもいい...。会いたい...。会いたい...!!」

 みっともなく泣きながらそう叫んだ。誰も居ない屋敷の中で僕はそう叫び続けた。

 「お前の望み...俺が叶えてやる。」

 反射的に声の聞こえた方向に振り向くと黒髪黒目の黒い服を身に纏った男が立っていた。

 「望み...? できる訳ない...だって...もう...死んでるんだぞ...皆...。」

 その場に座り込んで項垂れてそう言うと、男は確かな声で言った。

 「蘇らせることは可能だ...。」

 僕は面を上げて男を見つめる。

 「何...?」

 「ただし2つ条件がある。」

 僕が立ち上がって男を見つめると、男は僕の目を見据えて言った。

 「その前に、お前は知るべきことがある。」

 「知るべきこと...?」

 「それを知って、その上で覚悟を決めて、2つの条件を聞くかを決めろ。」

 「...わかった。」

 男の言葉に少し動揺しながらも僕は深く頷いた。家族だけでももう一度蘇らせることができる。そう思って男から知るべきことを聞こうと思った。

 「まず。お前はなぜこの地の領民と家族が死んだ理由を知らんだろう? お前だけが生き残った理由も。」

 「うん。」

 男はいきなり水筒の水を僕にかけた。反射的に僕は顔に手をかざした。でも、水はかからなかった。それどころか、何か割れた音がした。

 「え?」

 男が割れた破片を見せる。それは、かけようとした水が凍り付いたものだった。

 「これは...。」

 「お前は人間じゃなくなった。異能力者スペアネル。能力は氷、雪などと言った冷気系統の...。それも、無駄に多くを凍らせなかった反射的な技術面から見て...恐らくNo.1相当の...。」

 知らなかった。人間じゃなく異能力者スペアネルと呼ばれる。人型の化け物と言われていたものに僕がなっていたことを、信じられなかったけど、信じるしかなかった。だって、目の前で水を凍らせたんだから。

 「だがこれは本題のお前が知るべきことじゃない。」

 「え?」

 「これを発現した...いや、異能力者スペアネルにいつなったか。わからないだろう?」

 「はい...。」

 男は少し言い淀みながらも、僕の目を見て落ち着いた声で言った。

 「調べたところによると...今から約13年前...お前が10歳の頃だそうだ。」

 「10歳の頃...。」

 男に言われた言葉をそのまま復唱した瞬間、強烈な頭痛がした。テレビ画面の砂嵐がだんだんと綺麗な画面に戻っていくように、その光景を鮮明に思い出した。

 「!?!?」

 あの日。僕はフロス姉さんが家を出て行ってしまう寂しさと、これから兄としてリズレットを守らないといけない不安と、父さんに口酸っぱく言われた領民を守る領主の息子であることの責任。そんな気持ちが入り混じってた。フロス姉さんが出て行く瞬間、これからの不安で、フロス姉さんに「行かないで」と言おうとした瞬間。目の前で皆が串刺しにされた。

 「ブリ...ザ...。」

 「へ...?」

 目の前で何が起きてるかわからなくて、それでも姉さんや皆が血を流していることだけはわかって、それだけが僕に刷り込まれていた。そうだ。あの時串刺しにしたのは...氷の柱だ。僕が作った氷柱だ。

 「ふぅっ...!!」

 僕は膝から崩れ落ちて頭を抱える。自分がやってしまったこと。自分の招いたこと。自分のせいでルーウィッド領を屋敷ごと滅ぼしてしまったこと。

 「うああああああああああああああああ!!!!!」

 僕は自分への憎悪で氷の能力を暴発させた。でも、男は一切その場から逃げずに僕を見つめていた。

 「...ぐっ...。」

 僕は氷を止めて霧散させて自分への憎悪を押し殺して男を目を見る。

 「条件は...。何だ?」

 「1つは深天極地の純血を1人でもいい。連れてこい。そうすれば...蘇らせてやる。」

 「2つ目は?」

 「その前に一言訊くが、なぜ即決できた?」

 「僕が殺したんだ。僕は皆を蘇らせる義務がある。普通に生きていた領民達、これから未来に歩むはずだったリズレット、フロス姉さん、領地を守っていた父さん、母さん。その命を奪ったんだ。僕には、奪った責任を果たす義務がある。罪を償う義務がある。のうのうと生きてきた分以上の責任を、贖罪を果たす義務がある!!」

 僕の言葉を聞いて男は2つ目の条件を教えてくれた。僕は笑顔でその条件を呑んだ。

 「ブリザ・〝アンヴィルヘム〟の名に懸けて...。約束は果たす。」

 〝回想終了〟

 最後にその当時言ったと思われる言葉で締めくくられたブリザの日記を2人は静かに閉じて、何を言うことができず、無言でその日は眠りに就いた。

 現在 ルーウィッド領 アンヴィルヘム邸

 アンヴィルヘム邸の門の前で燃え盛る炎の熱波と凍り付く氷の冷気がぶつかり合う。

 「ユーフォリアで会った時からあんま姿変わんねえな。」

 「それあなたが言います?」

 フレアは拳から炎を噴射させて一気に間合いを詰めていき、ブリザは片手を地面についてそこから氷の壁を形成する。

 「あなたの攻撃の直撃何て受けたくありませんからね...。」

 「いいじゃねえの。一発くらい味わってけよ。熱々の方が美味いぞ?」

 ブリザとフレアは互いに軽口をたたきながら、戦闘を続けている。

 「くっ...! (まさかバルジェリアの炎帝が協力してるなんて思ってなかった...。でも、負けられない負けられないんだ! 今日は...皆がこの世に戻ってくる日だ!)」

 「戦闘中に他の事考えてる余裕があるとは随分と嘗められたもんだな。(顔つきが若干焦ってやがる。まぁおかげで戦いやすいが...。さっさと助けて来いよ。)」

 フレアとブリザが戦闘している間。屋敷内に侵入したクリードと清雅はエストックを携えた女性と相対する。

 「誰...?」

 「いいから戦闘態勢だ。」

 クリードと清雅が戦闘態勢を取ると女性は悲しそうに微笑みながら外で戦っているブリザを一瞥する。

 「兄さん...私はリズレット・アンヴィルヘム。このアンヴィルヘム家第3公女よ。ここから先は...行かせないわ。」

 「アンヴィルヘムって...。」

 「哀れな亡霊が兄の為に2度散るか。」

 クリードの言葉にリズレットは複雑そうな表情をして、2人に向かって行く。
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