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とあるハッピーエンドな話
コウモリの行方 後
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最初に違和感を覚えたのは12歳の時。可愛がってくれていた常連のおじさんが私を睨んだり、無視したりしだした。
他の常連さん達は「今日は機嫌が悪かったのかもな、気にすんな」と慰めてくれていたけど、数日後には、そのおじさんも私を無視しだした。
そして最終的に、私が13歳の終わりごろ、食堂のおかみさんや旦那さんからも避けられ、辞めさせられた。
「まさか、こんなに早く影響が出るなんて」
それからは街の何処へ行っても私は受け入れて貰えなくなった。
マイケル叔父様が、完全にあの子へ落ちた辺りから公爵家の別館には帰れなくなった。
必要な時以外は、マジックリングから物を出していなかったので置いてきたものはない。
強いていえば、別館の裏庭の家庭菜園だけが心残りだった。
別館に帰れなくなった時から、寝泊まりはおかみさんの許可を得て、食堂に泊めてもらっていた。
「いつかはこんな日が来るんじゃないかと備えてはいたけど、本当は来てほしくなかったな。優しかったおかみさん達を私が巻き込んじゃったのかな」
私は認識阻害を自身にかけ、スラムの一角に向かった。
浮浪者が多くいるスラムの一番奥。人が居ないのを確認してから、壁に手をかざした。すると、手が壁をすり抜けた。
私が仕掛けた幻影魔法。本来はこの壁よりも先がある。
理由は分からないけど、私はあの子に嫌われている。もしかしたら、近く私は追われの身になるかもしれないと思った。だから、安全に身を隠せる場所が必要だと感じた。その為の場所がここ。
壁をすり抜けた先の広がった景色は、色々は野菜や果物、薬草などがなっている畑に、土でできた家もどき。
「建築のいろはなんて知らないしね。最低限、雨風しのげて、寝れればオーケーとしとこう」
土魔法で、家もどきを作ったときの私の言い訳だ。
それなら約1年半。どうしても買わないといけないものは、認識阻害と変装魔法を使って、街へ買い物をする以外は、ここから出ずに過ごしていた。
だけど、やっぱりというか私を見つけたのは、あの子に取り込まれたマイケル叔父様だった。叔父様は数人の騎士を率いて現れた。
私は手を後ろで縛られた格好のまま、マイケル叔父様と一緒に馬車へ乗った。
「お久しぶりですね、マイク叔父様。これは何処へ向かっているのですか?」
私の正面に座っている叔父様は、腕を組み目を瞑ったまま、私の質問には答えなかった。
久しぶりにあった叔父様は、昔のようなキラキラや色っぽさはなくなっていた。まるで生ける人形のように生気が感じられなかった。
(はぁ、思ったより早く捕まっちゃたな。まだ一回もちゃんと発動したことないのに。ぶっつけ本番になろうとは。これに失敗すれば、、、ううん。考えるのはよそう)
沈黙の中、走り続けていた馬車が停まった。
しばらくすると馬車の扉が開き、叔父様が先に降りた後、騎士が乱暴に私を馬車から引きずり降ろした。無理に引っ張られたことで、私は馬車から落ちた。
しかし、体の痛みが引く前にすぐに無理矢理立たされ、騎士は前を行く叔父様の後に続いた。
ここが何処か分からないが、だいぶ大きく広い場所なのはわかった。だってかれこれ10分位歩いてると思うから。
そして、ようやく目的の場所についたのか、叔父様は大きな扉の前にいる騎士に何かをいうと、その騎士は私をひと睨みしてから扉を開け、
「罪人ケイト、到着しました」
門番の騎士がいうと、叔父様がまた歩きだした。
それにならい、私を捕まえている騎士も、私を押すように歩きだした。
(まるで、小説で描かれている夜会みたい)
扉を入ると、そこには色とりどりのドレスや正装をした人達がいた。
扇子で口を隠してひそひそとしているのを見ると、
(へぇ、本当にそうやって話すんだ)
と、今の状況を何処か他人の事のように思いながら、目だけで周りの様子を見ていた。
程なくして、歩みを止めた叔父様が片ひざをつくと
「我が国の光に挨拶申し上げます。国王陛下、並び王妃殿下におかれましてはご機嫌麗しく。我が国の次代の輝きで在られる王太子殿下とその婚約者、アリア ディット様の憂いの元をこちらにお連れしました」
叔父様がそう言うと、騎士はいきなり私を押さえつけ、叔父様が
「罪人ケイトでごさいます」
と言った。
(一体何をして私は罪人などと言われているのだろう。私は何一つ悪いことなどしていないのに)
私は唇を噛みしめ、この屈辱に耐えた。
前の方で誰かが立ったような衣擦れの音がしたと同時に
「罪人ケイトに処刑を言い渡す!」
私は押さえつけられている頭を無理矢理起こして
「お待ちください!一体私が何をしたと言うのですが!私はなにもしてはません!」
「許可もなく発言するな!」
と私を押さえている騎士が私を殴った。
私は簡単に吹き飛び、口が切れたのか、血が床に落ち、口の中にも血の味が広がった。
私は、口の血を肩口で拭き、痛い体をおして立ち上がった。
貴族として教育を受けていないので、正しい立ち姿ではないけれど、それでも胸を張り、背筋を伸ばした。
「では、国王陛下。どうぞこの憐れな罪人に発言の許可をお許し願えますか」
こんな小娘の気迫に押されたのか、小さく一歩後ずさるのが私には見えた。
陛下はそんな自分に焦ったのか、佇まいを正し
「あ、ああ。何か言い分があるのなら聞こう。だが、どんな事を言おうと処刑は変わらぬ。それでも良いのなら話すが良い」
「ありがとうございます」
運良くと言って良いのか、あの子の魅了を解く為に必要な血は用意できた。あとは、呪文を混ぜながら話せばいい。
「私は生まれたとき、周りから“可愛い鳥”だと言われ育ちました。でも、私が三歳の時。“一羽のヒナ”が生まれました。そして、その時を境に私は周りから、お前は“鳥ではない”と言われ、“仲間外れ”にされました。でも、ある“三羽の白いカラス”は私は鳥だと言い続けてくれました」
そう言って、マイケル伯父様と祖父母を見て、また陛下に向き直った。
「私の五歳の誕生日の時、“三羽の白いカラス”は私の心を守る為に、“鳥の群れ”から離すことを決めました。“群れ”から離れた私は、与えられた住みかから“動物達”の暮らす場所に通うことにしました。私は自分を“動物”だといい、“動物達の仲間”になりました」
私は目を瞑り、おかみさんや旦那さん、食堂の常連さん達を思い浮かべ、自然と笑顔がもれた。
しかし、それもすぐに取り繕い
「しかし、それも長くは続かなかった。なぜかいきなり“動物達”は私を、お前は“動物ではない”といい、“仲間外れ”にしました。“鳥”でもなく“動物”でもない。私は自分が“コウモリ”だったのだととその時初めて知りました。しかし、本当に私は“コウモリ”なのかと、ここに立って疑問に思いました」
なにもしていないのに罪人扱いされ、今だって白い目で見られている。
「私は思うのです。何者かが私を“コウモリ”に見えるようにしているのではないか。あの“ヒナ”は本当に“鳥のヒナ”だったのか。ああ、誤解の無いように言えば、親鳥を疑ってはいません。ヒナは間違いなく親鳥の子であり、托卵でもありません」
青い顔と赤い顔をしてる母鳥と父鳥を横目に見、話を続けた。
「“ヒナ”こそが本当は“コウモリ”だったのではないか。己を偽り、私を“コウモリ”に偽装して私を排除することで、“ヒナ”は“本物の鳥”になろうとしていたのではないかと」
あの子と私は血の繋がった姉妹。だからこそできる力業がある。呪文を交えながらだから、話が多少ちぐはぐだけど、誰も真面目に聞いていないので突っ込まれることもない。
私の血と呪文で、あの子の魔力を誰にも気づかれずロックできた。これでもうあの子は魅了を使えない。そして、最後の一文で魅了が解ける。
「陛下。そして、ここにおられる諸侯方。お父様、お母様。マイク叔父様にお祖父様、お祖母様。アリアを責めないであげてください。子は親の愛情を無条件で求めるものです。ただアリアは、人が使うにはあまりにも強力な力を持ってしまっていたために、力の使い方を間違ってしまっただけです」
私はひと呼吸すると
「“コウモリ”は孤独なものにあらず。“鳥”でもなく“動物”でもない。しかし、“コウモリ”はどちらにでもなれると私は思います。だって私がそうだったから。ねぇ、アリア。“コウモリ”は”何処から来て”、”何処へ行く”のかな?」
アリアがようやく自分の異変に気づいた。
(ああ、そんなに怖い顔しちゃって。可愛い顔が般若になってるわよ)
解呪は成功した。その途端、私の中の魔力がものすごい勢いで減っていった。
魅了が解けて気を失うご婦人やご令嬢が多い中、座り込むけど、意識を保っているご婦人やご令嬢もいた。
男性は気を失う人はあまりいなかった。座り込む人も居なく、ご婦人やご令嬢の介抱に走り回っている。さすが貴族の紳士。ごく一部気を失ったふりをしている人物もいるけど
魔力を通して、市井の人達も魅了から解放されたのがわかった。
私は静かにその場に倒れた。
願うは、アリアに温情があること。
後は、神様。次の転生先はどうか、家族に愛される人生がいいなぁ、、、
私が倒れた後、魅了から解放されたマイケル叔父様様が私にかけより、私が息をしていないのに気づくと、多くの人がいるにも関わらず、声をあげて泣いていた。
****
遠くで声がする。とても楽しそうな声が。
優しい声がする。その声が私を呼んでいるとなぜかわかった。
温かい何かに包まれている。優しく、力強い手に撫でられているようだ。
声のする方へ手を伸ばせば、誰かがその手を掴んでくれた。それも沢山の手が
「早く、戻っておいで。皆が待ってる」
「もう、一人ぼっちにはさせない。ずっと側にいるよ」
「これからはうんと愛してあげる。もう泣かないように、笑顔でいられるように」
「“鳥”でも“動物”でも“コウモリ”でも関係ない。さぁ、この手を取って、こっちへ帰っておいで」
「愛しい子。これからはずっと一緒よ」
完
ーーーー
迷走しまくりこの結末。ハッピーエンドとは?
作者の力不足です。少しでも面白いと思ってもらえれば幸いですf(^_^)
捕捉として
最後の部分の上の方は、転生先の様子。
下の「」の部分は生き返った時の様子です。
ケイトにとってどっちが幸せかな。
アリアは生涯幽閉になりました。
他の常連さん達は「今日は機嫌が悪かったのかもな、気にすんな」と慰めてくれていたけど、数日後には、そのおじさんも私を無視しだした。
そして最終的に、私が13歳の終わりごろ、食堂のおかみさんや旦那さんからも避けられ、辞めさせられた。
「まさか、こんなに早く影響が出るなんて」
それからは街の何処へ行っても私は受け入れて貰えなくなった。
マイケル叔父様が、完全にあの子へ落ちた辺りから公爵家の別館には帰れなくなった。
必要な時以外は、マジックリングから物を出していなかったので置いてきたものはない。
強いていえば、別館の裏庭の家庭菜園だけが心残りだった。
別館に帰れなくなった時から、寝泊まりはおかみさんの許可を得て、食堂に泊めてもらっていた。
「いつかはこんな日が来るんじゃないかと備えてはいたけど、本当は来てほしくなかったな。優しかったおかみさん達を私が巻き込んじゃったのかな」
私は認識阻害を自身にかけ、スラムの一角に向かった。
浮浪者が多くいるスラムの一番奥。人が居ないのを確認してから、壁に手をかざした。すると、手が壁をすり抜けた。
私が仕掛けた幻影魔法。本来はこの壁よりも先がある。
理由は分からないけど、私はあの子に嫌われている。もしかしたら、近く私は追われの身になるかもしれないと思った。だから、安全に身を隠せる場所が必要だと感じた。その為の場所がここ。
壁をすり抜けた先の広がった景色は、色々は野菜や果物、薬草などがなっている畑に、土でできた家もどき。
「建築のいろはなんて知らないしね。最低限、雨風しのげて、寝れればオーケーとしとこう」
土魔法で、家もどきを作ったときの私の言い訳だ。
それなら約1年半。どうしても買わないといけないものは、認識阻害と変装魔法を使って、街へ買い物をする以外は、ここから出ずに過ごしていた。
だけど、やっぱりというか私を見つけたのは、あの子に取り込まれたマイケル叔父様だった。叔父様は数人の騎士を率いて現れた。
私は手を後ろで縛られた格好のまま、マイケル叔父様と一緒に馬車へ乗った。
「お久しぶりですね、マイク叔父様。これは何処へ向かっているのですか?」
私の正面に座っている叔父様は、腕を組み目を瞑ったまま、私の質問には答えなかった。
久しぶりにあった叔父様は、昔のようなキラキラや色っぽさはなくなっていた。まるで生ける人形のように生気が感じられなかった。
(はぁ、思ったより早く捕まっちゃたな。まだ一回もちゃんと発動したことないのに。ぶっつけ本番になろうとは。これに失敗すれば、、、ううん。考えるのはよそう)
沈黙の中、走り続けていた馬車が停まった。
しばらくすると馬車の扉が開き、叔父様が先に降りた後、騎士が乱暴に私を馬車から引きずり降ろした。無理に引っ張られたことで、私は馬車から落ちた。
しかし、体の痛みが引く前にすぐに無理矢理立たされ、騎士は前を行く叔父様の後に続いた。
ここが何処か分からないが、だいぶ大きく広い場所なのはわかった。だってかれこれ10分位歩いてると思うから。
そして、ようやく目的の場所についたのか、叔父様は大きな扉の前にいる騎士に何かをいうと、その騎士は私をひと睨みしてから扉を開け、
「罪人ケイト、到着しました」
門番の騎士がいうと、叔父様がまた歩きだした。
それにならい、私を捕まえている騎士も、私を押すように歩きだした。
(まるで、小説で描かれている夜会みたい)
扉を入ると、そこには色とりどりのドレスや正装をした人達がいた。
扇子で口を隠してひそひそとしているのを見ると、
(へぇ、本当にそうやって話すんだ)
と、今の状況を何処か他人の事のように思いながら、目だけで周りの様子を見ていた。
程なくして、歩みを止めた叔父様が片ひざをつくと
「我が国の光に挨拶申し上げます。国王陛下、並び王妃殿下におかれましてはご機嫌麗しく。我が国の次代の輝きで在られる王太子殿下とその婚約者、アリア ディット様の憂いの元をこちらにお連れしました」
叔父様がそう言うと、騎士はいきなり私を押さえつけ、叔父様が
「罪人ケイトでごさいます」
と言った。
(一体何をして私は罪人などと言われているのだろう。私は何一つ悪いことなどしていないのに)
私は唇を噛みしめ、この屈辱に耐えた。
前の方で誰かが立ったような衣擦れの音がしたと同時に
「罪人ケイトに処刑を言い渡す!」
私は押さえつけられている頭を無理矢理起こして
「お待ちください!一体私が何をしたと言うのですが!私はなにもしてはません!」
「許可もなく発言するな!」
と私を押さえている騎士が私を殴った。
私は簡単に吹き飛び、口が切れたのか、血が床に落ち、口の中にも血の味が広がった。
私は、口の血を肩口で拭き、痛い体をおして立ち上がった。
貴族として教育を受けていないので、正しい立ち姿ではないけれど、それでも胸を張り、背筋を伸ばした。
「では、国王陛下。どうぞこの憐れな罪人に発言の許可をお許し願えますか」
こんな小娘の気迫に押されたのか、小さく一歩後ずさるのが私には見えた。
陛下はそんな自分に焦ったのか、佇まいを正し
「あ、ああ。何か言い分があるのなら聞こう。だが、どんな事を言おうと処刑は変わらぬ。それでも良いのなら話すが良い」
「ありがとうございます」
運良くと言って良いのか、あの子の魅了を解く為に必要な血は用意できた。あとは、呪文を混ぜながら話せばいい。
「私は生まれたとき、周りから“可愛い鳥”だと言われ育ちました。でも、私が三歳の時。“一羽のヒナ”が生まれました。そして、その時を境に私は周りから、お前は“鳥ではない”と言われ、“仲間外れ”にされました。でも、ある“三羽の白いカラス”は私は鳥だと言い続けてくれました」
そう言って、マイケル伯父様と祖父母を見て、また陛下に向き直った。
「私の五歳の誕生日の時、“三羽の白いカラス”は私の心を守る為に、“鳥の群れ”から離すことを決めました。“群れ”から離れた私は、与えられた住みかから“動物達”の暮らす場所に通うことにしました。私は自分を“動物”だといい、“動物達の仲間”になりました」
私は目を瞑り、おかみさんや旦那さん、食堂の常連さん達を思い浮かべ、自然と笑顔がもれた。
しかし、それもすぐに取り繕い
「しかし、それも長くは続かなかった。なぜかいきなり“動物達”は私を、お前は“動物ではない”といい、“仲間外れ”にしました。“鳥”でもなく“動物”でもない。私は自分が“コウモリ”だったのだととその時初めて知りました。しかし、本当に私は“コウモリ”なのかと、ここに立って疑問に思いました」
なにもしていないのに罪人扱いされ、今だって白い目で見られている。
「私は思うのです。何者かが私を“コウモリ”に見えるようにしているのではないか。あの“ヒナ”は本当に“鳥のヒナ”だったのか。ああ、誤解の無いように言えば、親鳥を疑ってはいません。ヒナは間違いなく親鳥の子であり、托卵でもありません」
青い顔と赤い顔をしてる母鳥と父鳥を横目に見、話を続けた。
「“ヒナ”こそが本当は“コウモリ”だったのではないか。己を偽り、私を“コウモリ”に偽装して私を排除することで、“ヒナ”は“本物の鳥”になろうとしていたのではないかと」
あの子と私は血の繋がった姉妹。だからこそできる力業がある。呪文を交えながらだから、話が多少ちぐはぐだけど、誰も真面目に聞いていないので突っ込まれることもない。
私の血と呪文で、あの子の魔力を誰にも気づかれずロックできた。これでもうあの子は魅了を使えない。そして、最後の一文で魅了が解ける。
「陛下。そして、ここにおられる諸侯方。お父様、お母様。マイク叔父様にお祖父様、お祖母様。アリアを責めないであげてください。子は親の愛情を無条件で求めるものです。ただアリアは、人が使うにはあまりにも強力な力を持ってしまっていたために、力の使い方を間違ってしまっただけです」
私はひと呼吸すると
「“コウモリ”は孤独なものにあらず。“鳥”でもなく“動物”でもない。しかし、“コウモリ”はどちらにでもなれると私は思います。だって私がそうだったから。ねぇ、アリア。“コウモリ”は”何処から来て”、”何処へ行く”のかな?」
アリアがようやく自分の異変に気づいた。
(ああ、そんなに怖い顔しちゃって。可愛い顔が般若になってるわよ)
解呪は成功した。その途端、私の中の魔力がものすごい勢いで減っていった。
魅了が解けて気を失うご婦人やご令嬢が多い中、座り込むけど、意識を保っているご婦人やご令嬢もいた。
男性は気を失う人はあまりいなかった。座り込む人も居なく、ご婦人やご令嬢の介抱に走り回っている。さすが貴族の紳士。ごく一部気を失ったふりをしている人物もいるけど
魔力を通して、市井の人達も魅了から解放されたのがわかった。
私は静かにその場に倒れた。
願うは、アリアに温情があること。
後は、神様。次の転生先はどうか、家族に愛される人生がいいなぁ、、、
私が倒れた後、魅了から解放されたマイケル叔父様様が私にかけより、私が息をしていないのに気づくと、多くの人がいるにも関わらず、声をあげて泣いていた。
****
遠くで声がする。とても楽しそうな声が。
優しい声がする。その声が私を呼んでいるとなぜかわかった。
温かい何かに包まれている。優しく、力強い手に撫でられているようだ。
声のする方へ手を伸ばせば、誰かがその手を掴んでくれた。それも沢山の手が
「早く、戻っておいで。皆が待ってる」
「もう、一人ぼっちにはさせない。ずっと側にいるよ」
「これからはうんと愛してあげる。もう泣かないように、笑顔でいられるように」
「“鳥”でも“動物”でも“コウモリ”でも関係ない。さぁ、この手を取って、こっちへ帰っておいで」
「愛しい子。これからはずっと一緒よ」
完
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迷走しまくりこの結末。ハッピーエンドとは?
作者の力不足です。少しでも面白いと思ってもらえれば幸いですf(^_^)
捕捉として
最後の部分の上の方は、転生先の様子。
下の「」の部分は生き返った時の様子です。
ケイトにとってどっちが幸せかな。
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