神様を育てることになりました

34 解決

現在俺は破落戸達に囲まれて、攻撃を受けている。

最初にバリアに激突してからは、武器を手にバリアを攻撃しだしたのだ。

（あー、余計に逃げるのが困難になったなぁ。でも、ここで転移なんて出来ないし）

俺は周りを見てため息を吐いた。

破落戸達は、俺のため息をバカにしたと勘違いして、罵詈雑言を吐きながら攻撃の手を強めた。

そんな破落戸達の後ろで、イライラしながら声を荒げている貴族の男からは、真っ黒なモヤが立ち上っていた。

（あれは邪心、だったか。また面倒な）

そう思い、またため息が漏れた。

俺はラグの植物魔法とネオの土魔法で、まとめて縛って閉じ込めようと魔法を発動しようとしたら

「グルルルル～ガウ！」

と、上から唸り声と共にネオが降ってきた。しかも、最初に出会った時と同じサイズで

「は？」

俺は今まさに破落戸達を撃退しているネオを見て、上を見上げた。

すると、赤いフクロウが急降下して貴族の頭に鍵爪を食い込ませた。

「フクロウって急降下するの？」

破落戸達はネオの魔法で首だけを出して、体は土団子に埋もれさせた形で転がっていて、貴族の男はジェムが風圧で押し潰していた。

ちっさいフクロウにやり込められてる姿は、言ってはなんだけど滑稽に見える。

ジェムの捕まえている貴族を蔦でぐるぐる巻きにして逃げられないようにした。
もちろん、うるさく喚く口も塞いだ。

すると、ジェムは俺の所に飛んで来て肩に止まった。
俺はいまだに破落戸達を威嚇しているネオのそばに行き

「なんででかくなってんだ？」

と宥めるように撫でながら聞いた。

するとネオは、威嚇するのを止め、俺に向き直ると

『俺は巨大化を持ってるから。たぶんラグ達もすぐに覚えると思うぞ。それより、ケガはないのか』

ネオは俺の体をクンクンとしながらそう言った。

俺はその鼻息がくすぐったく、ネオを頭を撫でながらそっとネオの顔を離すと

「ああ、ケガはないよ。心配してくれてありがとう。それと、助けに来てくれてありがとうな」

と、ジェムの頭も撫でた。

「所で、ラグ達は？」

ここにいるのはジェムとネオだけだ。不思議に思い聞くと

『今のボクでは、全員連れてここまで飛べませんからね。ラグとレティとルルは施設で留守番です。みんな心配してたよ。特にラグが』

「そっか」

俺がジェム達と話していると、多くの馬が駆けてくる音がして、咄嗟に二匹を庇うように立つと、

「ヨミー！無事か！」

聞き覚えのある声に警戒を解き

「セドリックさん、ここです。無事ですよ」

俺が答えると、慌ただしかった足音が落ちつき、セドリックさんを先頭に、15人くらいの騎士達が騎乗したまま現れた。

「これまた大勢で」

予想外の人数に口元が引きつった。

破落戸達と貴族をセドリックさんに引き渡した。
その後はセドリックさん達と一緒に街まで戻った。

俺は一旦ギルドに寄るため、街の入り口でセドリックさん達と別れた。

ギルドで依頼達成の処理をした後は、寄り道をせずにセドリックさん邸に帰った。

帰りついたとたん、アルフレッド君とアリアちゃんと一緒にいたラグ達が走り寄ってきた。

『ヨミ～、良かった、無事だ～』

『ラグってばずっと落ちつきなく動き回っていたのよ。無事でなりよりね』

『ケガはないなの？あれば治すなの』

俺はラグ達を抱き上げ

「ラグ、レティ、ルルただいま。心配かけたな。ケガはないよ。ありがとう、ルル」

ひとしきりラグ達を宥めたら、正面を向いて

「ただいま。ご心配かけました。この通りケガもなく無事です」

アルフレッド君は目を潤ませ、泣いてしまったアリアちゃんを宥めていた。
そんな子供達の頭を撫でながらリアさんが

「お帰りなさい。無事な姿を見れて良かったわ。ほら、言った通りでしょ？ヨミさんは大丈夫だって」

最後の方は子供達に向けていって、アルフレッド君とアリアちゃんはウンウンと首を縦に振っていた。

思ったよりも心配をかけてしまっていたみたいだな。でもラグ達ならわかるけど、どうしてセドリックさんやリアさん達は俺のピンチがわかったんだ？

疑問が顔に出ていたのか

「ラグちゃん達がいきなり円陣を組んで、何か相談しているみたいだったから、もしかしたらヨミさんに何かあったのかもって。もしもの時の為にあの人に伝令を送ったら、ジェムちゃんがネオちゃんを掴んで飛んで行ったのよ」

と話してくれた。

その後夕食の時間まで、アルフレッド君もアリアちゃんも俺から離れなかった。