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37 招待された理由
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「ごきげんよう。貴方がヨミ?最初に見た姿とは違いますのね?」
アルフはすぐに俺だと分かったのに、この人は気づいてない?
「ええ、俺がヨミです。姿は訳あって前とは違います」
「そう」
聞かれたと思ったから答えたのに、興味がないと言うように、一言言って上座に座った。
俺は彼女が入ってきたときについつい立ってしまい、彼女が座るよう促したけど俺は、彼女の後ろにいる神候補だと思われる動物に目がいってしまい呆然としてしまった。
彼女は俺の視線の先に気づき
「彼女は、くまさんよ」
見たままの言葉に
「え?ええ、くま、、ですね」
と言うと、彼女は少し眉を顰め
「くまではなく、くまさんです。彼女の名前です」
そう言った彼女の言葉に、くまさんは悲しそうに眉を下げた。
『ヨミ、保護して!今すぐ保護して!』
『いくらなんでもヒドすぎるわ!』
『ヨミ以上のセンスのなさだ』
『ひどいなの!そんなの名前じゃないなの!』
『···ヨミ、すまなかった。ヨミはちゃんと名前を考えてくれてたんだな。わがまま言って悪かった』
ラグ達の批判がすごい。ジェムは俺に恨みがあるのか?そしてネオが謝った!
確かに俺もそれはどうなんだと思った。くまさん本人も納得してないみたいだし。
くまさんは納得してなくても、押し切られたんだろうなぁ、あの人に
『落ち着け。確かに俺もアレはどうかと思うけど、くまさん本人や彼女が納得しないと譲渡も何も出来ないだろう』
俺は、未だに威嚇しているラグ達を宥めながらそう言った。
ラグ達は一度俺を見てから俺から離れ、くまさんの所へ行く。くまさんはしゃがんでラグ達を手に乗せラグ達が何やら話すと、部屋の隅に移動した。それを見届けてから
「何やら神同士でお話があるみたいですね。ではその間に私達も話し合いを致しましょう」
そう言って彼女が話したのは以下の通りだ。
彼女が気づいた時にはここ、プリトパラの王都の廃教会に居た。
彼女は生前、王太子の婚約者で王太子妃、王妃教育をすでに終了していたため、人の動かし方には慣れいたので、その能力と備わったスキル、❝統率❞を使い、近くに居た人達にこの国の事などを聞いたり、または調べさせたりした。
その過程で自ら王城へ赴き、己を売り込み相談役としての地位を手に入れ、また、王城の図書館などでこの国の事や世界の事を学び、自分達育成者が❝神の選定者❞として呼ばれていることを知り、くまさんが孵った時に自分が選定者である事を明かした。
そして今は国王に次ぐ権力を持っている。
しかし異変は突然訪れた。
月が変わる少し前から雪がチラつき出し、やがて吹雪だした。
彼女はこのままでは危ないと判断し、王に王都の住人を王城の敷地内に避難させるよう言った。
しかし王を始め、周りは難色を示したが今の状況の危険性を説明し、くまさんの力で安全は確保する事で何とか納得させた。
それから急ピッチで門城門前から正門前での2つの門の間に仮設テントなどを張り、住人の避難場所を作った。
そして、住人の避難とくまさんの神域の展開が完了したと同時に、今の状況になったとのこと。
「くまさんが言うには、この大陸の中央にして、この王都の裏手にある未開の森に原因があるみたいなの」
そう言って、一旦言葉を区切り、改めて俺を見据えると
「あなたの事はくまさんから聞いてます。他4名を消滅させ、その4から神候補を奪ったと」
「語弊があります!」
まるで俺が他の育成者を消して回り、神候補達を奪っている言い方に即座に異議を唱えた。
そして、彼女の言葉に控えていた護衛騎士達が動き、彼女とくまさんを守る体制になった。
「消滅したのは二人だけで、もう二人は消滅してないから!消滅した二人だって自業自得な部分あったから!神候補だって成り行きで引き取ったんです!奪ってませんから!」
とんだ濡れ衣に、焦りながらも否定したけれど警戒が解けない中、ラグ達がくまさんとの話が終わったのか、くまさんが彼女の所へ戻り、彼女に誤解を解いたのか警戒態勢を解いてくれた。
ラグ達が戻ってきたとき
『くまさんがぜひ、育成者の変更を希望したいって』
ラグがそう言うと、全員揃ってニヒルに笑顔を見せ、くまさんが頭を下げた。
(コイツら、何を吹き込んだ!)
俺の引きつった顔と、くまさんの態度に首を傾げながらも、彼女は話の続きをした。
「少し情報の誤りがあったみたいですが、結論を言えば、貴方に未開の森へ赴き、原因を見つけ、この異常気象を止めてもらいたいのです。始めに病がここ、北より広がりました。次は、この異常気象が大陸全土に広がるでしょ」
彼女は一呼吸置いてから
「私はここの指揮があり動けません。そして他の同胞方はすでにいません。ですので、貴方にお願いするしかないのです。行って下さいますね」
さすが、上に立つ教育を受けただけはある。お願いがお願いではない。言葉の裏では行けと命令している。
俺は一度、思案するために目を瞑ったけど、答えはすでに出ている。
(セドリックさん達が大変な目に遭うのはだめだ)
俺は目を開き、彼女を見据えると
「わかりました。でも条件があります」
そう言って俺はくまさんを見た。
「彼女の意思を尊重してもらいます」
俺の言葉に彼女はくまさんを見た。
アルフはすぐに俺だと分かったのに、この人は気づいてない?
「ええ、俺がヨミです。姿は訳あって前とは違います」
「そう」
聞かれたと思ったから答えたのに、興味がないと言うように、一言言って上座に座った。
俺は彼女が入ってきたときについつい立ってしまい、彼女が座るよう促したけど俺は、彼女の後ろにいる神候補だと思われる動物に目がいってしまい呆然としてしまった。
彼女は俺の視線の先に気づき
「彼女は、くまさんよ」
見たままの言葉に
「え?ええ、くま、、ですね」
と言うと、彼女は少し眉を顰め
「くまではなく、くまさんです。彼女の名前です」
そう言った彼女の言葉に、くまさんは悲しそうに眉を下げた。
『ヨミ、保護して!今すぐ保護して!』
『いくらなんでもヒドすぎるわ!』
『ヨミ以上のセンスのなさだ』
『ひどいなの!そんなの名前じゃないなの!』
『···ヨミ、すまなかった。ヨミはちゃんと名前を考えてくれてたんだな。わがまま言って悪かった』
ラグ達の批判がすごい。ジェムは俺に恨みがあるのか?そしてネオが謝った!
確かに俺もそれはどうなんだと思った。くまさん本人も納得してないみたいだし。
くまさんは納得してなくても、押し切られたんだろうなぁ、あの人に
『落ち着け。確かに俺もアレはどうかと思うけど、くまさん本人や彼女が納得しないと譲渡も何も出来ないだろう』
俺は、未だに威嚇しているラグ達を宥めながらそう言った。
ラグ達は一度俺を見てから俺から離れ、くまさんの所へ行く。くまさんはしゃがんでラグ達を手に乗せラグ達が何やら話すと、部屋の隅に移動した。それを見届けてから
「何やら神同士でお話があるみたいですね。ではその間に私達も話し合いを致しましょう」
そう言って彼女が話したのは以下の通りだ。
彼女が気づいた時にはここ、プリトパラの王都の廃教会に居た。
彼女は生前、王太子の婚約者で王太子妃、王妃教育をすでに終了していたため、人の動かし方には慣れいたので、その能力と備わったスキル、❝統率❞を使い、近くに居た人達にこの国の事などを聞いたり、または調べさせたりした。
その過程で自ら王城へ赴き、己を売り込み相談役としての地位を手に入れ、また、王城の図書館などでこの国の事や世界の事を学び、自分達育成者が❝神の選定者❞として呼ばれていることを知り、くまさんが孵った時に自分が選定者である事を明かした。
そして今は国王に次ぐ権力を持っている。
しかし異変は突然訪れた。
月が変わる少し前から雪がチラつき出し、やがて吹雪だした。
彼女はこのままでは危ないと判断し、王に王都の住人を王城の敷地内に避難させるよう言った。
しかし王を始め、周りは難色を示したが今の状況の危険性を説明し、くまさんの力で安全は確保する事で何とか納得させた。
それから急ピッチで門城門前から正門前での2つの門の間に仮設テントなどを張り、住人の避難場所を作った。
そして、住人の避難とくまさんの神域の展開が完了したと同時に、今の状況になったとのこと。
「くまさんが言うには、この大陸の中央にして、この王都の裏手にある未開の森に原因があるみたいなの」
そう言って、一旦言葉を区切り、改めて俺を見据えると
「あなたの事はくまさんから聞いてます。他4名を消滅させ、その4から神候補を奪ったと」
「語弊があります!」
まるで俺が他の育成者を消して回り、神候補達を奪っている言い方に即座に異議を唱えた。
そして、彼女の言葉に控えていた護衛騎士達が動き、彼女とくまさんを守る体制になった。
「消滅したのは二人だけで、もう二人は消滅してないから!消滅した二人だって自業自得な部分あったから!神候補だって成り行きで引き取ったんです!奪ってませんから!」
とんだ濡れ衣に、焦りながらも否定したけれど警戒が解けない中、ラグ達がくまさんとの話が終わったのか、くまさんが彼女の所へ戻り、彼女に誤解を解いたのか警戒態勢を解いてくれた。
ラグ達が戻ってきたとき
『くまさんがぜひ、育成者の変更を希望したいって』
ラグがそう言うと、全員揃ってニヒルに笑顔を見せ、くまさんが頭を下げた。
(コイツら、何を吹き込んだ!)
俺の引きつった顔と、くまさんの態度に首を傾げながらも、彼女は話の続きをした。
「少し情報の誤りがあったみたいですが、結論を言えば、貴方に未開の森へ赴き、原因を見つけ、この異常気象を止めてもらいたいのです。始めに病がここ、北より広がりました。次は、この異常気象が大陸全土に広がるでしょ」
彼女は一呼吸置いてから
「私はここの指揮があり動けません。そして他の同胞方はすでにいません。ですので、貴方にお願いするしかないのです。行って下さいますね」
さすが、上に立つ教育を受けただけはある。お願いがお願いではない。言葉の裏では行けと命令している。
俺は一度、思案するために目を瞑ったけど、答えはすでに出ている。
(セドリックさん達が大変な目に遭うのはだめだ)
俺は目を開き、彼女を見据えると
「わかりました。でも条件があります」
そう言って俺はくまさんを見た。
「彼女の意思を尊重してもらいます」
俺の言葉に彼女はくまさんを見た。
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