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38 未開の森へ
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彼女はじっとくまさんを見た。
くまさんもじっと彼女を見ている。
そして、くまさんから俺に視線を戻すと
「皆、席を外しなさい。この者と動物達だけにして」
視線を外すことなく指示を出した。
護衛騎士達は、戸惑いながらも指示に従い、部屋から出て行った。
全員が出たら、ジェムが気を利かせたのか、風で声が漏れないように防音の結界を張った。
「あら、気が利くのね」
とジェムにニッコリ笑い、
「いったい神たちの話し合いで何が決まったのかは、あえて聞かないでおくわ。そして、くまさんが望むのなら、私に否やな無くてよ」
「それがもし、貴女に不都合な事ででもですか?」
俺があえてそう聞くと
「ええ、それがくまさんの望みなら」
感情の読めない笑顔でそう答えた。
すると、ラグがテーブルの上に上がると
「その言葉、我らが聞き届けた。約束の反故は認めない」
そう言うと、俺と彼女の手首に、細く薄いリングが現れた。
「それが約束の印。もし約束を反故しようものなら、そのリングが縮み、手首を落とすだろう」
ラグよ。もう少し穏便な罰は無かったのかな?
俺はリングのある方の手を、少し体から離した。
少し場の空気が悪くなったけれど、俺は一つ咳をすると、
「コホン。あー、では、俺達は未開の森へ行きます」
そう言ってソファから立ち、バッグを掛け直した。すると、彼女も立ち上がり
「ご無事の戻りをお待ちしております」
と、とても美しいカーテシーをした。
「なにがあって、俺になにが出来るかはわかりませんが、やれるだけはやってみようと思います。では、行ってきます」
そう言って、その場で転移した。
*****
「行きましたね。ねぇ、くまさん?貴女の望みを叶えたら、私の望みも叶えてくれますか?」
振り返ることなく、後ろに居るくまさんに問う。
私、ルルリカは一度生を終えている。
そして、望む望まぬ関係なく、今私は私のままでここに居る。
「貴女の望みは、私ではなくきっと、彼が、彼らが叶えてくれると、思います」
いつもの優しくて、そして少し自信なさ気な声が答えた。
私はゆっくり振り返り
「私は貴女に、叶えて欲しい」
私の言葉に、彼女は曖昧に笑うだけで、答えてはくれなかった。
*****
深淵が支配しているかの様な暗闇に覆われた森。それが最初の印象だった。
「ライト!」
俺は自分の近くに大きめの光を、そして四方を囲うように、小さめの光を周りに灯した。
「ラグ達は、なにか感じるか?」
胸ポケットから顔を出したラグに聞くと
「うーん?少し、、神気がある?」
ラグは自信がないのか、首を傾げながら答えた。
「ええ、微かだけど神気を感じるわね」
レティもラグに同意するように答え
「邪心は無さそうだけど、、なんて言うか、、」
ジェムは歯切れ悪く、言い淀んみ
「弱ってる、ってわけでもなさそうなの」
ルルも困惑した感じ言い
「コレって、、アレだよな?」
「「「「う、、、ん」」」」
ネオの言葉に、ラグ達は曖昧に頷いた。
「アレって?」
俺が聞くと、ラグが困った様な顔をしながら
「ごめん、ヨミ。確信がないからまだ言えない」
ラグだけではなく、レティ達も頷いた。
「そっか、わかった。場所はわかるか?」
すごく気になるけど、無理に聞くことをせず、まずは先に進もうと聞くと
「うん、微かだからだいたいだけど、わかるよ。道案内するね」
そう言うと、ポケットから出て、肩に登ってきた。
「いや、ポケットにいてくれた方がいいんだが、、まぁ、俺の戦闘スタイルは魔法が主体だし大丈夫か?でも気をつけろよ」
「うん!」
そうしてラグの案内のもと、俺は足を進めた。
くまさんもじっと彼女を見ている。
そして、くまさんから俺に視線を戻すと
「皆、席を外しなさい。この者と動物達だけにして」
視線を外すことなく指示を出した。
護衛騎士達は、戸惑いながらも指示に従い、部屋から出て行った。
全員が出たら、ジェムが気を利かせたのか、風で声が漏れないように防音の結界を張った。
「あら、気が利くのね」
とジェムにニッコリ笑い、
「いったい神たちの話し合いで何が決まったのかは、あえて聞かないでおくわ。そして、くまさんが望むのなら、私に否やな無くてよ」
「それがもし、貴女に不都合な事ででもですか?」
俺があえてそう聞くと
「ええ、それがくまさんの望みなら」
感情の読めない笑顔でそう答えた。
すると、ラグがテーブルの上に上がると
「その言葉、我らが聞き届けた。約束の反故は認めない」
そう言うと、俺と彼女の手首に、細く薄いリングが現れた。
「それが約束の印。もし約束を反故しようものなら、そのリングが縮み、手首を落とすだろう」
ラグよ。もう少し穏便な罰は無かったのかな?
俺はリングのある方の手を、少し体から離した。
少し場の空気が悪くなったけれど、俺は一つ咳をすると、
「コホン。あー、では、俺達は未開の森へ行きます」
そう言ってソファから立ち、バッグを掛け直した。すると、彼女も立ち上がり
「ご無事の戻りをお待ちしております」
と、とても美しいカーテシーをした。
「なにがあって、俺になにが出来るかはわかりませんが、やれるだけはやってみようと思います。では、行ってきます」
そう言って、その場で転移した。
*****
「行きましたね。ねぇ、くまさん?貴女の望みを叶えたら、私の望みも叶えてくれますか?」
振り返ることなく、後ろに居るくまさんに問う。
私、ルルリカは一度生を終えている。
そして、望む望まぬ関係なく、今私は私のままでここに居る。
「貴女の望みは、私ではなくきっと、彼が、彼らが叶えてくれると、思います」
いつもの優しくて、そして少し自信なさ気な声が答えた。
私はゆっくり振り返り
「私は貴女に、叶えて欲しい」
私の言葉に、彼女は曖昧に笑うだけで、答えてはくれなかった。
*****
深淵が支配しているかの様な暗闇に覆われた森。それが最初の印象だった。
「ライト!」
俺は自分の近くに大きめの光を、そして四方を囲うように、小さめの光を周りに灯した。
「ラグ達は、なにか感じるか?」
胸ポケットから顔を出したラグに聞くと
「うーん?少し、、神気がある?」
ラグは自信がないのか、首を傾げながら答えた。
「ええ、微かだけど神気を感じるわね」
レティもラグに同意するように答え
「邪心は無さそうだけど、、なんて言うか、、」
ジェムは歯切れ悪く、言い淀んみ
「弱ってる、ってわけでもなさそうなの」
ルルも困惑した感じ言い
「コレって、、アレだよな?」
「「「「う、、、ん」」」」
ネオの言葉に、ラグ達は曖昧に頷いた。
「アレって?」
俺が聞くと、ラグが困った様な顔をしながら
「ごめん、ヨミ。確信がないからまだ言えない」
ラグだけではなく、レティ達も頷いた。
「そっか、わかった。場所はわかるか?」
すごく気になるけど、無理に聞くことをせず、まずは先に進もうと聞くと
「うん、微かだからだいたいだけど、わかるよ。道案内するね」
そう言うと、ポケットから出て、肩に登ってきた。
「いや、ポケットにいてくれた方がいいんだが、、まぁ、俺の戦闘スタイルは魔法が主体だし大丈夫か?でも気をつけろよ」
「うん!」
そうしてラグの案内のもと、俺は足を進めた。
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